非STEMIに多段階PCIは必要か?:SMILE試験

提供元:ケアネット

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公開日:2016/03/10

 

 冠動脈完全血行再建術の非ST上昇心筋梗塞患者(以下、NSTEMI)における役割はいまだ明らかにはなっていない。この研究では、多枝冠動脈病変を有するNSTEMI患者に対する、単段階経皮的冠動脈インターベンション(以下、1S-PCI)と多段階の経皮的冠動脈インターベンション(以下、MS-PCI)という、2種類の冠動脈完全血行再建戦略の心血管・脳血管主要有害イベントの長期的結果を比較した。SMILE(Impact of Different Treatment in Multivessel Non ST Elevation Myocardial Infarction Patients:One Stage Versus Multistaged Percutaneous Coronary Intervention)試験として、Journal of the American College of Cardiology誌2016年1月26日号の掲載報告。

 584例の患者が、1S-PCI群とMS-PCI群に1:1の比で無作為に割り付けられた。主要評価項目は主要心血管イベントと主要脳血管イベントの発生率で、1年時の心臓死、死亡、再梗塞、不安定狭心症による再入院、標的血管の冠動脈再血行再建術、脳卒中だった。

 主な結果は以下のとおり。

・主要評価項目の発生率は1S-PCI群で有意に低かった(13.63% vs.23.19%、HR:0.549、95%CI:0.363~0.828、p=0.004)。
・1年時の標的血管再血行再建術はMS-PCI群で有意に高かった(8.33% vs.15.20%、HR:0.522、95%CI:0.310~0.878、p=0.01)。
・心臓死および心筋梗塞に限り解析すると、2群間に有意な差は認められなかった。

 多枝病変を有するNSTEMI患者に対する心血管および脳血管の主要有害イベントの発生に関しては、単段階PCIによる冠動脈完全血行再建術が多段階のPCIに比べ優れていた。

(ケアネット 細田 雅之)