生体吸収性スキャフォールド留置5年の追跡結果

提供元:ケアネット

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公開日:2016/02/15

 

 第1世代エベロリムス溶出生体吸収性スキャフォールド(Absorb BVS)による血管運動回復、再狭窄抑制、内腔面積増加は、留置6ヵ月後および2年後において示されている。オランダ・エラスムス大学医療センターのCihan Simsek氏らは、この結果が長期間持続するかについて評価した。EuroIntervention誌2016年1月22日号掲載の報告。

 対象はロッテルダムThoraxcenterコホートの中のABSORBコホートAに登録され、BVS留置5年時に冠血管造影、IVUS、IVUS-VH、OCT、血管運動検査を受けた患者。

 主な結果は以下のとおり。

・16例中8例の患者で画像検査によるスキャフォールドの評価が行われた。
・造影検査によれば、最小内腔径は留置2年後に比べ5年後で増加傾向にあった(1.95±0.37mm vs. 2.14±0.38mm、p=0.09)。
・IVUS検査によれば、平均内腔面積は6ヵ月(6.17±0.74mm2、p=0.06)、2年時(6.56±1.16mm2、p=0.12)に比べ5年時(6.96±1.13mm2)で増加していた。
・この主たる原因は6ヵ月~5年の間のプラーク面積の持続的な減少(9.17±1.86mm2 vs. 7.57±1.63 mm2、p=0.03)であった。
・OCT検査では、平均内腔面積と最小内腔面積の増加が観察された。
・スキャフォールドのストラットは観察されることはなく、滑らかな管腔内表面が観察された。
・アセチルコリン検査によれば、スキャフォールド留置部位における血管内皮機能不全のサインはみられなかった。

 留置5年後において、Absorb BVSはどの侵襲的画像検査でも識別不能であった。また、内皮機能は回復していた。血管リモデリングなしに内腔拡大は5年間持続していた。

(ケアネット 細田 雅之)