中枢神経刺激薬の睡眠に対する影響を検証 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/12/18 注意欠如・多動症(ADHD)の治療で用いられる中枢神経刺激薬が、若者の睡眠の変化にどのような影響を及ぼすかを、米国・ネブラスカ大学リンカーン校のKatherine M Kidwell氏らが検討した。Pediatrics誌2015年12月号の報告。 2015年3月までに公表された研究を、CINAHL、PsycINFO、PubMedより収集し、検討を行った。適格基準は、ADHDを有する小児および青年の研究、中枢神経刺激薬への無作為化割り付け、および客観的な睡眠指標を用いた試験とした。重要な変数に関連する情報が含まれない研究は除外した。研究レベル、小児レベル、睡眠データは独立した2人の担当者により抽出した。エフェクトサイズは、ランダム効果モデルを用い算出した。潜在的モデレータは、混合効果モデルを用い算出した。 主な結果は以下のとおり。 ・9本、246症例が抽出された。 ・睡眠潜時の調整後エフェクトサイズ(0.54)は有意であり、中枢神経刺激薬による睡眠潜時の延長が示された。1日当たりの投与量が、有意なモデレータであった。 ・睡眠効率については、調整後のエフェクトサイズ(-0.32)は有意であった。有意なモデレータは薬物治療期間の長さ、睡眠評価(夜間)の日数、睡眠ポリグラム/アクチグラフィー、性別が含まれていた。具体的には、薬物治療期間が長くなると、薬物治療効果は表れにくくなっていた。 ・総睡眠時間のエフェクトサイズ(-0.59)は有意であり、中枢神経刺激薬の服用が睡眠時間の減少につながっていた。 結果を踏まえ、著者らは「本知見は、対象試験が少なく、方法論的なばらつきや未発表試験の不足などの限界がある」としたうえで「中枢神経刺激薬は、睡眠潜時の延長、睡眠効率の悪化、睡眠時間の減少を引き起こしており、全体的に若者における睡眠の悪化が認められた。このことから、小児科医は、睡眠に関わる問題を慎重に監視し、最適な睡眠を促進する治療を検討することが求められる」とまとめている。 関連医療ニュース 2つのADHD治療薬、安全性の違いは 不眠症併存患者に対する非薬物療法の有効性 2つの新規不眠症治療薬、効果の違いは 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kidwell KM, et al. Pediatrics. 2015;136:1144-1153. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 肥満手術、SADI-SはRYGBを凌駕するか/Lancet(2025/09/09) 9月20日・21日、産業保健の最新動向を学ぶ!日本産業保健法学会【ご案内】(2025/09/09) 心房細動と動脈硬化、MRIで異なる脳血管病変示す/ESC2025(2025/09/09) うつ病治療において有酸素運動と組み合わせるべき最適な治療は(2025/09/09) DPP-4阻害薬でコントロール不十分な2型糖尿病にイメグリミン追加が有効~FAMILIAR試験(2025/09/09) 高齢者への不適切処方で全死亡リスク1.3倍、処方漏れで1.8倍(2025/09/09) オメガ3脂肪酸が小児の近視抑制に有効?(2025/09/09) 厳格な血圧コントロールは心臓の健康だけでなく費用対効果も改善(2025/09/09) [ あわせて読みたい ] 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) Dr.ゴン流ポケットエコー簡単活用術(2014/06/11) 診療よろず相談TV(2013/10/25) ここから始めよう!みんなのワクチンプラクティス ~今こそ実践!医療者がやらなくて誰がやるのだ~(2014/05/15) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12)