【JSMO2015見どころ】消化器がん

提供元:ケアネット

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公開日:2015/07/08

 

 2015年7月16日(木)から3日間にわたり、札幌にて、第13回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち、6月25日、日本臨床腫瘍学会(JSMO)主催のプレスセミナーが開催され、今年のJSMOで取り上げられる各領域のトピックスや、期待が高まるがん免疫療法などについて、それぞれ紹介された。
 消化器がんについては、小松 嘉人氏(北海道大学病院 腫瘍センター)が、大腸がんを中心にJSMOでの見どころや注目演題を紹介した。

 小松氏は、本学会での大腸がんにおける注目点として4つを挙げ、それぞれの主な演題を紹介した。

1)バイオマーカー・遺伝子検査など
 大腸がん治療における分子標的薬には血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を標的とするベバシズマブと上皮成長因子(EGFR)を標的とするセツキシマブとパニツムマブがある。KRAS変異型大腸がんには後者(抗EGFR抗体薬)は効果を得られない可能性が高いため、ベバシズマブが投与される。一方、KRAS野生型大腸がんの1次治療においてはどちらを使用すべきか、現在、いくつかの比較試験が実施されているが、まだ答えが出ていない。
 また、KRAS変異だけではなく、NRAS変異といった新規のRAS変異のある患者も抗EGFR抗体薬の効果が期待できないことがわかってきている。大腸がんのRAS野生型は約50%であり、抗EGFR抗体薬の投与前に、KRAS/NRAS遺伝子変異の有無を測定することが推奨されている。

・シンポジウム
ゲノム解析などを用いた大腸がん分子標的治療薬の最適化
日時:2015年7月18日(土)14:30~16:30
会場:Room3(ロイトン札幌3F)

2)新薬:TAS-102、レゴラフェニブなど
 わが国で大腸がんに使用できる薬剤は、ドラッグラグの問題も徐々に改善され、レゴラフェニブでは米国での承認の翌年に承認された。また、TAS-102は昨年、世界に先駆けて日本で承認された。JSMOでは、これらの新薬のほか、FOLFOXIRI+ベバシズマブ療法の臨床成績について発表される。

・インターナショナルセッション
ISS1-1 大腸がん
日時:2015年7月16日(木)12:30~13:20
会場:Room5(ロイトン札幌2F)

・オーラルセッション
大腸3 TAS-102/レゴラフェニブ
日時:2015年7月18日(土)9:30~10:30
会場:Room5(ロイトン札幌2F)

・オーラルセッション
大腸2 FOLFOXIRI+ベバシズマブ
日時:2015年7月16日(木)15:00~15:40
会場:Room5(ロイトン札幌2F)

3)国際共同臨床試験への参画
 日本も参画した、切除不能進行・再発大腸がんに対する1次治療(フッ化ピリミジン系製剤+オキサリプラチン+ベバシズマブ)後の2次治療としてのFOLFIRI±ラムシルマブの国際共同第III相試験(RAISE試験)の結果について、プレナリーセッションで発表される。

・プレナリーセッション
PS-1 RAISE: A Randomized, Double-Blind, Multicenter Phase III Study of Irinotecan, Folinic Acid, and 5-Fluorouracil (FOLFIRI) plus Ramucirumab (RAM) or Placebo (PBO) in Patients (pts) with Metastatic Colorectal Carcinoma (mCRC) Progressive During or Following First-Line Combination Therapy
日時:2015年7月17日(金)14:05~15:20
会場:Room1(ニトリ文化ホール)

・インターナショナルセッション
ISS1-1-1 PF-05212384 + irinotecan Phase II study in metastatic colorectal cancer (mCRC): B2151005 Japanese lead-in-cohort (J-LIC)
ISS1-1-4 標準治療に不応・不耐な転移性大腸癌に対するTAS-102 の国際共同第III相試験(RECOURSE 試験)における地域別サブセット解析結果
日時:2015年7月16日(木)12:30~13:20
会場:Room5(ロイトン札幌2F)

4)New Paradigm(免疫チェックポイント阻害薬)
 現在、がん治療で期待されている免疫チェックポイント阻害薬は、消化器がんにおいても検討されている。JSMOでは、胃がんに対するニボルマブの第III相試験(現在進行中)などが紹介される予定である。

・インターナショナルセッション
ISS2-1-3 ONO-4538(ニボルマブ)第III相試験(切除不能な進行又は再発胃がんに対する多施設共同二重盲検無作為化試験)
日時:2015年7月17日(金)8:30~9:30
会場:Room3(ロイトン札幌3F)

・インターナショナル・シンポジウム
ISY4-6 切除不能進行・再発胃癌における抗PD-1抗体MK-3475(Pembrolizumab)のphase Ib試験
日時:2015年7月17日(金)9:30~11:30
会場:Room3(ロイトン札幌3F)

・インターナショナル・シンポジウム
ISY5-1 Biologics and immunotherapy in metastatic colorectal cancer
ISY5-2 New molecular targeting agents for colorectal cancer
日時:2015年7月17日(金)16:00~17:30
会場:Room3(ロイトン札幌3F)


【第13回日本臨床腫瘍学会学術集会】
■会期:2015年7月16日(木)~18日(土)
■会場:ロイトン札幌・ホテルさっぽろ芸文館・札幌市教育文化会館
■会長:秋田 弘俊氏(北海道大学大学院医学研究科 腫瘍内科学分野 教授)
■テーマ:難治がんへの挑戦 医学・医療・社会のコラボレーション

第13回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

(ケアネット 金沢 浩子)