糖尿病、眼科受診しない理由は「言われなかったから」

提供元:ケアネット

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公開日:2015/05/15

 

 2015年4月23日、都内にて「糖尿病網膜症による失明予防」をテーマにプレスセミナー(主催:バイエル薬品株式会社・参天製薬株式会社)が開催された。

 糖尿病の真の恐ろしさは合併症にある。なかでも、糖尿病網膜症は視力に異変が現れるまで放置される傾向にあり、発見されたときには難治性となっていることも少なくない。糖尿病と診断された際は、少なくとも年1回以上眼科を受診することが推奨されているが1)、必ずしも守られていない。

糖尿病網膜症の意識調査概要
 糖尿病網膜症を予防していくためには、どうすればよいのだろうか? バイエル薬品株式会社と参天製薬株式会社は、2015年3月26日~27日にインターネット調査「糖尿病網膜症の予防に関する糖尿病患者さんの実態・意識調査」を実施した2)。調査対象は過去に2型糖尿病と診断されたことがあり、現在糖尿病治療のために通院中の20~79歳の男女1,000人であった。

 主な調査結果は、以下のとおり。

(1) 糖尿病と診断されても約2割の患者は眼科を受診していない。
(2) 眼科を受診していない理由の第1位は「糖尿病治療医から眼科を受診するように言われなかったから」(48.5%)。
(3) 眼科受診しても、約2割の患者は現在中断している。
(4) 現在中断中の理由は「眼科医や糖尿病の治療医から眼科の受診を続けるようにと言われなかったから」が最多(28.7%)。
(5) 眼科受診の動機は「かかりつけ医から定期的な受診を勧められること」が最多(76.8%)。

患者の言い分は「医者に言われなかったから」
 今回の調査結果より、医師に眼科の定期的な受診を促されなかったため受診は不要と自己判断している患者の存在が明らかになった。現在、抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬をはじめとする新規の眼科領域の治療薬は出ているが、早期治療・定期的な投与を行わないと十分な効果は期待できない。

 演者の北野 滋彦氏(東京女子医科大学病院 糖尿病センター眼科 教授)は、「今回の調査結果より、患者に定期的な受診を促すことの必要性が示唆された。医師だけでなく、看護師・薬剤師・カウンセラーなども巻き込んだ包括的な疾患啓発が求められる。患者に受診の意義を十分に理解してもらったうえで、早期受診・受診継続を促すことが、視力予後の延長につながる。医療スタッフが連携し、継続した患者支援を行っていくべきだ」と力説し、講演を結んだ。

(ケアネット 中野敬子)