発毛治療に光明、サーカディアン時計遺伝子を特定

提供元:ケアネット

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公開日:2014/03/27

 

 英国・マンチェスター大学のYusur Al-Nuaimi氏らは、ヒト毛包の発育サイクル(毛周期)を調整するサーカディアン時計遺伝子としてPeriod1BMAL1を明らかにした。著者は、「今回の所見は、Period1BMAL1が、ヒトの発毛治療のターゲットとなりうる可能性を確認するものとなった」と報告している。Journal of Investigative Dermatology誌2014年3月号(オンライン版2013年9月4日号)の掲載報告。

 毛包は、毛周期と呼ばれる周期的なリモデリングプロセス下にある非常に動的な小型器官である。毛周期は、さまざまな幹細胞集団から豊潤な寄与を受けており、毛包は周期的に細胞死と再生を繰り返す。その循環には、「成長期」「退行期」「休止期」の3相がある。

 先行研究において、この毛周期コントロールは、末梢神経の時計機序(すなわち成長期から休止期への転換)が関係していることが確認されている。著者らは、時計機序の詳細を解明することは、薬理学的に同機序をコントロール可能とする有効な治療の開発につながるとして、次の2つの点について検討を行った。

 1つが、先行研究で明らかになっている時計遺伝子および蛋白質の、ヒトの頭皮毛包での発現が、サーカディアンおよび/または毛周期依存性を示すかを明らかにすること、2つ目は、核となる調整時計部分を遮断することで、ヒト毛包サイクルおよび発毛に影響が認められるかをin vitroで検証することであった。

 主な結果は以下のとおり。

・毛周期への影響を遮断した分離培養したヒト毛包において、コア時計遺伝子(CLOCK、BMAL1、Period1)、時計調整遺伝子(c-Myc、NR1D1、CDKN1A)がサーカディアン変化を示し、また、Period1が毛周期に依存していることが示唆された。
・成長期のヒト毛包におけるBMAL1、Period1のノックダウンは、成長期を有意に延長した。
・すなわち、末梢コア時計遺伝子は、ヒト毛周期を調整するものであり、ヒト毛周期時計に不可欠な要素であるとのエビデンスが示された。具体的には今回の検討により、BMAL1、Period1がヒト発毛治療のターゲットとなりうる可能性を確認できた。

(ケアネット)