筋層浸潤性膀胱がん、周術期EV+ペムブロリズマブが有効/NEJM

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2026/08/05

 

 シスプラチンベースの化学療法の対象となる筋層浸潤性膀胱がん患者において、周術期(術前・術後)にエンホルツマブ ベドチン(ネクチン-4を標的とする抗体薬物複合体)+ペムブロリズマブ(抗PD-1抗体)を投与すると、術前補助療法としてシスプラチン+ゲムシタビンを投与した場合と比較して、無イベント生存率(EFS)と全生存率(OS)が有意に改善し、病理学的完全奏効率も有意に良好であり、一方でGrade3以上の有害事象の発現率は高かった。米国・マウントサイナイ・アイカーン医科大学のMatthew D. Galsky氏らKEYNOTE-B15/EV-304 Investigatorsが、米国、欧州連合、その他の地域(日本を含む)の158施設で実施した非盲検無作為化実薬対照第III相試験「KEYNOTE-B15/EV-304試験」の結果を報告した。研究の成果は、NEJM誌2026年7月23日号で発表された。

術前シスプラチン+ゲムシタビンと比較

 KEYNOTE-B15/EV-304試験は2021年5月~2023年12月に実施され(Merck Sharp and Dohmeなどの助成を受けた)、年齢18歳以上で、組織学的に筋層浸潤性膀胱がん(臨床病期T2~4aN0M0/T1~4aN1M0)と確認され、シスプラチンベースの化学療法が適応の患者を登録した。

 被験者808例を、術前にエンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブを投与した後に根治的膀胱全摘除術(+骨盤内リンパ節郭清)を行い、術後にエンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブの投与を受ける群(周術期EV-Pembro群:405例、年齢中央値66.0歳、男性80.7%)、または術前にシスプラチン+ゲムシタビンを投与した後に根治的膀胱全摘除術(+骨盤内リンパ節郭清)を受ける群(術前Cis-Gem群:403例、年齢中央値66.0歳、男性81.1%)に無作為に割り付けた。

 主要評価項目はEFSとし、重要な副次評価項目としてOSおよび病理学的完全奏効(pT0N0)の評価を行った。

2年EFS率は79.4%vs.66.2%、2年OS率、病理学的完全奏効率も良好

 無作為化からデータカットオフ日(2025年10月27日)までの期間中央値は33.6ヵ月(範囲:22.5~53.6)であった。周術期EV-Pembro群の86.7%、術前Cis-Gem群の89.6%が膀胱全摘除術を受けた。

 2年の時点でのKaplan-Meier法による推定EFS率は、術前Cis-Gem群が66.2%(95%信頼区間[CI]:61.2~70.8)であったのに対し、周術期EV-Pembro群は79.4%(95%CI:74.9~83.1)と有意に優れた(イベントまたは死亡のハザード比[HR]:0.53、95%CI:0.41~0.70、p<0.001)。

 また、EFS中央値は、周術期EV-Pembro群が未到達、術前Cis-Gem群は48.5ヵ月(95%CI:43.3~未到達)だった。

 2年OS率は、術前Cis-Gem群の81.3%(95%CI:77.1~84.8)に比べ、周術期EV-Pembro群は86.9%(95%CI:83.2~89.8)であり、有意に良好であった(死亡のHR:0.65、95%CI:0.48~0.89、両側p=0.006)。

 病理学的完全奏効の達成率も、周術期EV-Pembro群で有意に優れた(226例[55.8%]vs.131例[32.5%]、推定群間差:23.4%ポイント、95%CI:16.7~29.8、p<0.001)。

Grade3以上の有害事象は75.7%vs.67.2%

 あらゆる原因によるGrade3以上の有害事象は、周術期EV-Pembro群で75.7%、術前Cis-Gem群で67.2%に発現し、重篤な有害事象はそれぞれ63.3%および48.0%にみられた。手術期のGrade3以上の有害事象は、それぞれ36.2%および35.4%に認められた。

 死亡に至った有害事象は、周術期EV-Pembro群で17例(4.2%:術前治療期7例、手術期2例、術後治療期8例)にみられ、このうち治療関連死は2例(いずれも多臓器不全症候群)であった。同様に、術前Cis-Gem群では11例(2.8%:術前治療期2例、手術期9例)にみられ、治療関連死は1例(肺炎)だった。

 Grade3以上の薬剤関連有害事象は、周術期EV-Pembro群で46.4%、術前Cis-Gem群で46.5%に発現し、試験薬の投与中止に至った薬剤関連有害事象はそれぞれ35.2%および11.1%にみられた。また、周術期EV-Pembro群で認められたとくに注目すべき有害事象では、皮膚反応(63.5%)と末梢神経障害(36.0%)の頻度が高かった。

 著者は、「本試験とKEYNOTE-905試験(シスプラチン適応外の患者で周術期EV-Pembro群の強力な抗腫瘍効果を確認)の結果を合わせると、シスプラチンの適応の有無を問わず、切除可能な筋層浸潤性膀胱がん患者に対する根治的膀胱全摘除術と周術期エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ療法の併用の有用性を裏付けている」「これらの知見は、この病態における免疫療法および抗体薬物複合体に基づく新たな治療選択肢を提示するものである」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)