高血圧患者では慢性腰痛が少ない

提供元:ケアネット

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公開日:2013/10/04

 

 疫学先行研究において、血圧と、片頭痛や頭痛の有病率は逆相関であることが報告されているが、腰痛に関しても同様の関係が示された。ノルウェー・オスロ大学病院のIngrid Heuch氏らによる検討の結果で、「血圧の上昇に伴って疼痛の知覚が低減するという高血圧による痛覚鈍麻の理論は、一貫していることが確認された」と結論し、「こうした反応は、長期にわたって疼痛に苦しむ患者の一種の防御反応かもしれない」と述べている。European Journal of Pain誌オンライン版2013年9月9日の掲載報告。

 研究グループは、まず横断研究として、ノルウェーのHUNT2研究(1995~1997年)における降圧薬未使用の3万9,872例について、血圧と慢性腰痛との関連を調べた。
また、HUNT3研究(2006~2008年)において、ベースライン時に腰痛がない1万7,209例と腰痛を有する5,740例について、同様の関連を前向きに調査した。

 主な結果は以下のとおり。

・横断研究では、男女いずれにおいても、収縮期血圧、拡張期血圧および脈圧の3つの血圧指標すべてについて、腰痛有病率との逆相関が認められた。
・前向き研究では、無症状の女性において、ベースライン時の脈圧および収縮期血圧と腰痛リスクとの逆相関が認められた(脈圧10mmHg上昇のオッズ比[OR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.89~0.98、p=0.007/収縮期血圧10mmHg上昇のOR:0.95、95%CI:0.92~0.99、p=0.005)。
・一方、ベースライン時に腰痛を有する患者においては、疼痛の発生との関連は示されなかった。
・以上を踏まえて著者は、「高血圧による痛覚鈍麻の理論は一貫していることが確認された。すなわち、血圧の上昇は疼痛知覚の低減を予測するものであり、おそらくそれは長期にわたって疼痛に苦しむ患者の一種の防御反応である可能性がある」とまとめている。

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(ケアネット)