治療とともに患者サポートを!胆道がん診療の中心機関3施設が初の共同編集

提供元:ケアネット

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公開日:2013/05/31

 

 昨年、印刷会社の元従業員が高頻度で胆管がんを発症していた事実が明らかになって以来、新聞などで「胆管がん」の文字を目にする機会が増えている。この胆管がんと、胆嚢がん、十二指腸乳頭部がんを合わせた胆道がんは、わが国の年間死亡者数が1.8万人と、がんの中でも6番目に多い。ところが他のがんに比べて、患者支援活動や情報提供が非常に少ないというのが現状である。
 このようななか、患者さんやその家族に向けた初めての書籍として「胆道がんの治療とケアガイド」が6月4日に金原出版株式会社より発刊される。この書籍は、わが国の胆道がん診療の中心機関である、がん研究会有明病院、国立がん研究センター中央病院・東病院の3施設が初めて共同編集したもので、患者さんやその家族だけでなく、診療に携わるすべての人々に役立つ内容となっている。

 この発刊に際して、5月29日、「胆道がんの最新治療とケアガイドの必要性に関するセミナー」が開催された。以下に、編集代表の1人である国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科 科長 奥坂拓志氏による講演内容を紹介する。

 胆道がんの原因は十分に解明されていないが、人口当たりの罹患者数、死亡者数は、日本人が世界第1位である。胆道がんに対する現在の治療は、まず切除可能であれば切除手術を行う。ただし、手術に耐えうる体力があり、がんをすべて切除できることが条件となる。もし切除不可能であれば、化学療法もしくは放射線療法を行うが、放射線療法は延命効果が証明されていない。化学療法は、2006年にゲムシタビン(商品名:ジェムザール)が、2008年にS-1(同:ティーエスワン)が承認され、2011年にはGC療法(ゲムシタビン+シスプラチン)が登場し、抗がん剤で延命が可能な時代となってきた。

 奥坂氏は、胆道がん診療の課題の1つとして、5年生存率が約20%と依然として予後不良であることを挙げた。その理由として、早期発見が難しいこと、また胆道がんに適応のある抗がん剤はたった4剤で有効な治療法が少ないことが挙げられる。もう1つの課題として、奥坂氏は、インターネットでの検索結果や書籍の数を提示し、患者支援活動や情報提供が脆弱であることを訴えた。

 これらの課題に対する取り組みとしては、より有効な抗がん剤治療の開発がある。現在、GS療法(ゲムシタビン+S-1)が開発されており、また、胆道がんに対する抗がん剤として、現在、分子標的治療薬をはじめとした多くの薬剤が開発されている。一方で、奥坂氏らは、治療だけではなく患者さんたちをサポートしていくことが大事ではないかと考え、さまざまな取り組みを行っている。その1つとして、国立がん研究センター中央病院において、患者向けの膵がん・胆道がん教室を実施し、年に1回、全国大会を開催していることを紹介した。また、今回、奥坂氏らが編集した「胆道がんの治療とケアガイド」には、疾患の解説や治療方法をはじめ、症状のマネジメント、副作用対策、食事の工夫、家庭でできるセルフケア、家族のための注意点など、具体的な手順や例を幅広く紹介しているとのことである。

(ケアネット 金沢 浩子)