アルツハイマー型認知症治療薬ガランタミン、緑内障治療に有望!?

提供元:ケアネット

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公開日:2013/05/20

 

 アセチルコリンエステラーゼ阻害薬ガランタミン(商品名:レミニール、本邦ではアルツハイマー型認知症治療薬として承認)が緑内障治療に有望であることが、カナダ・モントリオール大学のMohammadali Almasieh氏らにより報告された。緑内障における網膜微小血管系および網膜神経節細胞(RGC)消失の状況を検討した結果、早期からこれら両方の消失が同時に生じており、ガランタミンの投与により、血管密度の維持および網膜血流の改善が認められることを報告した。結果を踏まえて著者は、「緑内障治療において、網膜微小血管を保護し、血液供給を改善するための早期介入は有益だと思われる」と結論している。Investigative Opthalmology&Visual Science誌2013年5月号の掲載報告。

 緑内障における血管系の消失と網膜神経節細胞(RGC)消失との明確な関連は立証されていない。網膜内層血管が消失し、続いて眼内圧(IOP)上昇が惹起されるのか否か、もしそうであれば、付随して生じるRGC死の前に起こるのか、それとも後かという疑問があり、Almasieh氏らはその回答を得るべく検討を行った。また、実験的緑内障モデルを用いて、RGCの生存を促すアセチルコリンエステラーゼ阻害薬ガランタミンの、網膜微小血管系の保護ならびに血流増加作用の有無について検討を行った。

 Brown Norwayラットの上強膜静脈内に高張生理食塩水を注入し、高眼圧モデルを作製した。緑内障眼と対照眼において、網膜微小血管系とRGCを同時に観察できるよう網膜を処理した。網膜血流は、N-isopropyl-p-[14C]-iodoamphetamineを用いた定量オートラジオグラフィーにより測定した。さらに、in vitro網膜微小血管系プレパレーションを用いて血管反応性を評価した。

主な結果は以下のとおり。

・高眼圧誘発後、網膜毛細血管の大量の消失が観察された。
・微小血管系およびRGCの消失はいずれも早期の段階で起こり、最初のダメージから少なくとも5週間は同様の進展経過をたどった。
・ガランタミン全身投与により、緑内障性網膜における微小血管密度の維持および網膜血流の改善が認められた。
・ガランタミンは、ムスカリン性アセチルコリン受容体の活性化を介して網膜微小血管に作用していることがin vitroおよびin vivoで示された。
・実験的緑内障モデルにおいて、微小血管系とRGCの消失は同時に起こっており、これら細胞分画の強い共依存が示唆された。
・緑内障治療において、ガランタミンにより網膜微小血管を保護し、血液供給を改善するための早期介入は有益だと思われる

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(ケアネット)