検証!「痛み」と「うつ」関係は?:山口大学 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/08/21 末梢神経障害による気分障害を伴う神経障害性疼痛はQOLに影響を及ぼす重大な問題である。最近の研究では、大脳辺縁系の脳由来神経栄養因子(BDNF)の欠乏がpain-emotion(痛みの感情)を生じさせることが示唆されている。BDNFは4-メチルカテコール(4-MC)により培養神経細胞で誘発されるが、pain-emotionにおけるBDNFの役割は十分にわかっていない。山口大学 福原氏らは、BDNFが末梢神経障害後の慢性疼痛時に脳やうつ病様症状に対しどのように関与しているかを評価し、脳室内の4-MCが慢性疼痛を防ぎ、抗うつ効果を発揮するかどうかを検討した。その結果、BDNFの強化はうつ病を伴う慢性疼痛の新たな治療戦略となる可能性があることをCell Mol Neurobiol誌2012年8月号にて報告した。 PE-10チューブを脳室内に移植されたSDラットに対し、慢性狭窄損傷(CCI)を行った。痛みの指標として、Paw-Withdrawal-Latency(PWL)にてCCI後のマウスが熱刺激によって後肢を動かすまでの時間を計った。また、CCI後14~21日目まで強制水泳試験(FST)を実施しうつ病を伴う神経障害性疼痛モデルラットを作成した。痛みと情動行動の調節はPD0325901(MEK1/2インヒビター)の注射により行われた。CCI後14~21日目までの期間中に3日間連続で脳室内に4-MC(100nM)を投与した。4-MCの鎮痛効果および抗うつ効果を阻害するため、抗BDNF抗体またはK252a(TrkB受容体阻害薬)を4-MCと共に投与した。また、4-MCの鎮痛効果を確認するため、ナロキソンも同時投与した。 主な結果は以下のとおり。 ・CCI後の慢性期において、うつ病様症状に関連したPWL(熱痛覚過敏)の持続的な減少が認められた。 ・PWL減少とうつ病様症状はPD0325901により有意に減少し、4-MCやERK1/2阻害薬による治療によっても減少した。 ・脳室内4-MCの効果は抗BDNF抗体、K252aにより逆転し、4-MCの鎮痛効果はナロキソンと拮抗した。 ・中枢神経系のpain-emotionネットワークにおいて、BDNFの欠如とERK1/2の活性化は慢性疼痛のうつ病様症状に関連している可能性が示唆された。 ・脳室内4-MCはBDNFを産生し、ERK1/2活性化を正常化することにより、慢性疼痛やうつ病様症状を改善する。 関連医療ニュース ・難治性うつ病に対するアプローチは? ・うつ病予防には「脂肪酸」の摂取を ・高齢者のQOL低下に深く関わる「うつ」 (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Fukuhara K, et al. Cell Mol Neurobiol. 2012 Aug;32(6):971-977. Epub 2011 Dec 25. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) CareNet AcademiaによるAI生成記事 このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 再発・難治性多発性骨髄腫、トアルクエタマブ+ダラツムマブ±ポマリドミドでPFS延長/NEJM(2026/06/30) monarchE試験、日本人サブグループの長期解析結果/日本乳癌学会(2026/06/30) 統合失調症における薬物治療反応と発達障害の遺伝的リスクとの関連(2026/06/30) 進行・再発子宮体がん、ペムブロリズマブ+化学療法の長期OS結果(NRG-GY018)/ASCO2026(2026/06/30) グルコサミンがアルツハイマー病の進行を加速させる可能性(2026/06/30) がん関連VTEのDOACによる出血リスク、新たな予測モデルが有用か(2026/06/30) 美容目的でのチルゼパチド使用に伴う正常血糖ケトアシドーシス(2026/06/30)