抗凝固薬「ダビガトラン」へ期待高まる

提供元:ケアネット

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公開日:2009/12/17

 



2009年12月、急性静脈血栓塞栓症(VTE)に対する新規経口トロンビン阻害薬ダビガトランの有用性を検討した大規模臨床試験RE-COVERがNew England Journal of Medicineオンライン版に発表された。

【RE-COVER試験】




RE-COVER試験は、二重盲検並行群間無作為化比較試験で、非経口抗凝固剤を用いた初期治療(5~11日間)後、6ヵ月の急性症候性VTE治療期間中に、ダビガトラン群(1回150mg、1日2回投与)(1,274例)の有効性が、治療域に維持されたワルファリン群(1,265例)に非劣性であるかを調べた非劣性試験である。主要評価項目は、症候性VTE再発と全死亡の複合評価項目が設定された。

RE-COVER試験の結果、ダビガトラン群のVTE再発率は2.4%、治療域に維持されたワルファリン群は2.1%となり、ダビガトランのワルファリンに対する非劣性が認められた(ハザード比1.10、95%CI 0.65~1.84、p<0.001)。注目される安全性については、「大出血イベント」の発症率はダビガトラン群で1.6%、ワルファリン群で1.9%と同程度であったものの、「大出血イベント」および「臨床的に重要な出血イベント」の総発現率をダビガトラン群はワルファリン群に比べ、37%有意に低下し(p=0.002)、「すべての出血性イベント」については、ダビガトラン群はワルファリン群に比べ、29%有意に低下した(p=0.0002)。

【ダビガトランへの高まる期待】




ダビガトランに関する臨床研究としては、2009年8月にも、心房細動患者における脳卒中抑制効果をワルファリンと比較したRE-LY試験が発表されている。その試験では、ダビガトランのワルファリンに対する優越性が示されている。今回のRE-COVER試験の発表により、RE-LY試験で高まったダビガトランに対する専門家の期待が、ますます高まっている。

これまで抗凝固薬の中心をなしてきたビタミンK拮抗薬は、INR2.0~3.0μU/mLに保つための頻回モニタリング、患者の食事制限などが必要である。そのため、有用性が認められていても、臨床上使用が難しい部分があった。しかし、ダビガトランは、薬物相互作用が低く、食物相互作用もなく、定期的なモニタリングや用量調整の必要がないことも大きな特徴である。この服用の容易さも考え合わせると、医師、患者双方のメリットは大きく、ダビガトランの早い承認が望まれる。

(ケアネット 鈴木 渉)