日本語でわかる最新の海外医学論文|page:986

早期乳がんの乳房温存手術後に放射線療法を受けていない女性の要因とは?

 Stage I乳がんに対して、いくつかの無作為化試験で、乳房切除術による生存率と放射線療法を伴う乳房温存手術による生存率に差がないことが示されている。乳房温存手術においては、局所再発率と死亡率減少のために放射線療法の施行が推奨されている。  今回、米国のShayna L. Showalter氏らがStage I乳がんに対する治療の傾向を評価したところ、Stage I乳がんの治療における乳房温存手術は増加していた。また、乳房温存手術後に放射線療法を受けていない患者が一定の割合で存在し、放射線療法を受けないことが死亡率の増加に関連していた。

大腿骨頸部全置換術後、圧迫寒冷療法でアウトカム良好に

大腿骨頸部の関節形成術後に圧迫寒冷療法を行うことで、術後出血が減り、術後の鎮痛薬使用の減少および入院期間の短縮、創部の浸出液の減少、術後6週時点の疼痛もより小さい傾向がみられたことが報告された。オランダ・Spaarne HospitalのLeegwater氏らが、患者30例を対象とした無作為化試験の結果、報告したものである。

ロタウイルスワクチン、市販後の有効性モニタリングで大切なこと

スペインでは2006年に、2種の経口弱毒生ロタウイルスワクチンが、6ヵ月未満児のために認可された。そのワクチン有効性について最近のデータで、ばらつきがある可能性が示されたという。スペイン・カステロン公衆衛生センターのJuan B Bellido-Blasco JB氏らは、このことはロタウイルスワクチンの有効性に関する市販後モニタリングに重大な局面をもたらすものだとして、症例対照研究を行った。Vaccine誌オンライン版2012年10月25日号の掲載報告。

簡便かつ有効な8項目からなる乾癬重症度の自己評価PSI

乾癬重症度の自己評価によるアウトカム尺度PSI(Psoriasis Symptom inventory)について検証した結果、簡便性、有効性、再現性があり、変化に対する感度も良好で、乾癬の臨床試験で有用なPRO尺度となり得ることが示された。米国・Health Research Associates社のBushnell DM氏らが、8項目からなる同尺度について検証した結果、報告した。The Journal of dermatological treatment誌オンライン版10月24日号の掲載報告。

双極性障害では短期間の強いうつ症状が高頻度に出現

双極性障害患者の大半は、DSM-IV診断基準で定義されるうつ病エピソード以外のうつ症状を経験する。ドイツ・ドレスデン工科大学のBauer M氏らは、1~4日間の短期うつ症状エピソードの頻度を、デイリー自己申告気分評価(daily self-reported mood ratings)を用いて調査した。The Australian and New Zealand journal of psychiatry誌2012年11月号の報告。

HAARTを受けているHIV患者、マルチビタミン高用量服用にメリットみられず

 多剤併用抗レトロウイルス療法(HAART)を受けているHIV患者で、マルチビタミンサプリメントを併用する場合の高用量と標準量とを比較した結果、高用量服用により疾患進行および死亡が抑制されることはなく、むしろアラニントランスアミナーゼ(ALT)が増加してしまう可能性が示された。米国・ハーバード公衆衛生大学院のSheila Isanaka氏らが、タンザニアで行った約3,400例を対象とする無作為化二重盲検対照試験の結果、報告した。先行研究ではHAARTを受けていないHIV患者で、微量栄養素がCD4細胞数を増加し、疾患進行と死亡を抑制したことが報告されていたが、HAARTを受けている場合のサプリメント服用の安全性および有効性については検証されていなかった。JAMA誌2012年10月17日号掲載より。

院内心停止患者への蘇生処置時間、長いほど生存率が改善:AHA報告/Lancet

 院内心停止患者では、蘇生処置で蘇生した患者の処置時間は蘇生しなかった患者よりも長く、処置時間が長いほうが生存の可能性は高くなることが、米国・ミシガン大学のZachary D Goldberger氏ら米国心臓協会(AHA)の研究グループの検討で示された。先進国では、入院患者1,000人当たり1~5人が心停止を来し、心停止患者の退院時の生存率は20%に満たない。蘇生処置をいつ止めるかは臨床医が直面する最大の課題の1つだが、心停止患者の予後は全般的に不良なため、臨床医は処置開始後早期に自己心拍が再開しない場合は処置の継続に消極的になりがちだという。Lancet誌2012年10月27日号(オンライン版2012年9月5日号)掲載の報告。

てんかんを持つ人のうつ病発症を理解することが急務

てんかんを持つ人は、生涯にわたってうつ病や不安症に罹患する可能性が高いが、その最大リスクは明らかとなっていない。そうした中で、潜在的に重大なリスク因子として心理社会的要因が示唆されている。オーストラリア・シドニー大学のGandy氏らは、システマティックレビューを行い、心理社会的要因が予測因子となうるのか、エビデンスを精緻に評価した。J Affect Disord誌2012年11月号の報告。

医師の7割以上が、生活保護受給者の医療費一部負担に賛成 “後発品使用義務付け”は薬効への疑問から懸念の声も ―ケアネット調査

 不正受給問題に端を発し、生活保護のあり方が議論されているなか、現在窓口負担がゼロである医療費について患者の一部負担を求める、あるいは後発医薬品の使用を義務付けるという案も出ている。これを踏まえ、ケアネットでは医師会員1,000人に対してアンケートを行い、現場の医師たちがこの問題がどのようにとらえられているのかを調査した。その結果、医師の7割以上が生活保護受給者の医療費一部負担に賛成していることがわかった。

親のストレスは子どもの肥満に関連する?

親のストレスと子どもの肥満に関する調査結果が報告された。その結果、親のストレス因子の数は子どもの肥満に直接関連しており、親が自覚しているストレスは、肥満リスクの重大な行動学的指標である子どものファストフード消費量に直接関連していることが明らかになった。アメリカのParks氏らによる報告。Pediatrics誌2012年11月号(オンライン版2012年10月22日号)掲載報告。

ベンゾジアゼピンと認知症リスクの関連:PAQUID試験

 ベンゾジアゼピンの新規使用により認知症リスクが増大することが、フランス・ボルドー・セガレン大学のSophie Billioti de Gage氏らが実施したPAQUID試験で示された。多くの先進国では、診療ガイドラインの有無にかかわらず、高齢者へのベンゾジアゼピンの処方が広く行われ、習慣化している場合も多いという。ベンゾジアゼピンの短期投与の効果はよく知られているが長期投与の有害作用は明確ではなく、認知機能に対する遅発性の有害作用(認知機能低下、認知症)をもたらす可能性が、症例対照試験やコホート試験で指摘されている。BMJ誌2012年10月27日号(オンライン版2012年9月27日号)掲載の報告。

統合失調症患者の脳組織喪失に関わる脂肪酸、薬剤間でも違いが

ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)は脳内の細胞シグナルカスケードにおいて重要な役割を持つ脂肪酸である。通常の老化における脳組織の喪失は、多価不飽和脂肪酸(PUFA)の膜異常が関連していると言われている。また、統合失調症患者ではPUFAの膜異常が報告されている。van der Kemp氏らは、統合失調症患者の脳組織の喪失にPUFAが関連しているかについて、システマティックレビューおよびメタアナリシスを行った。その結果、統合失調症患者では赤血球膜におけるPUFA濃度の減少が認められ、使用する薬剤によっても違いがあることが明らかとなった。Schizophr Res誌2012年11月号の報告。

治療抵抗性高血圧に対する腎デナベーションはQOLも改善する

 近年、治療抵抗性高血圧に対する腎デナベーションが長期間にわたって血圧を低下させることが発表されてきているが、生活の質(QOL)に及ぼす影響については明らかではなかった。Lambert氏らは腎デナベーション施行3ヵ月後のQOLについて、SF-36およびベックうつ評価尺度を用いて検証した結果、精神的側面のQOLを改善したことをHypertension誌に発表した。

【速報!AHA2012】ダビガトラン長期投与で、脳梗塞リスクと出血リスクはどう変わる?

非弁膜症性心房細動(AF)例を対象とした大規模試験 "RE-LY" において、直接的トロンビン阻害薬ダビガトランは、220mg/日と300mg/日の2用量が用いられた。その結果、300mg/日は220mg/日に比べ脳梗塞リスクは有意に減少させるも、大出血は増加傾向にあった(ただしいずれの用量でもワルファリンよりは低出血率)。この結果は、より長期の服用においても維持されるようだ。Stuart J. Connolly氏(マクマスター大学:カナダ)がRELY-ABLEの結果として、学会最終日となる7日、Clinical Science:Special Reportsセッションで報告した。

高齢男性の大腿骨頸部骨折予防には地中海式ダイエットが効果あり!?

大腿骨頸部骨折予防は重大な公衆衛生の課題である。ギリシャ・アテネ大学医学部WHO共同・食と栄養政策センターのBenetou V氏らは、欧州8ヵ国からなる成人コホートを対象に、地中海式ダイエットと大腿骨頸部骨折発生との関連を前向きに調査した。その結果、地中海式ダイエットの遵守と、とくに男性における大腿骨頸部骨折発生減少とに関連するエビデンスを見出したと報告した。これまで大腿骨頸部骨折発生に関与する食事内容のエビデンスはほとんど報告されていなかった。Osteoporos Int.誌オンライン版2012年10月20日号の掲載報告。

【日本癌治療学会2012】膀胱がん治療の過去と未来(筋層非浸潤性膀胱がん)

第50回日本癌治療学会学術集会(2012年10月25日~27日)のシンポジウム「泌尿器がん治療の過去と未来」にて、大園 誠一郎氏(浜松医科大学泌尿器科)は、「筋層非浸潤性膀胱がんの治療」と題して、筋層非浸潤性膀胱がんの治療における、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)の意義、BCGの維持療法、高齢者などに対する副作用を考慮した低用量BCG、そして今後の展望について講演を行った。

化学療法への誤解、医師とのコミュニケーションが良い人が悪い人の約2倍

 転移性肺がん・大腸がん患者の大半は、化学療法によってがんが治癒すると誤解していることが明らかになった。また誤解をしている人の割合は、医師・患者間のコミュニケーションが良いと感じている患者の方が高かった。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のJane C. Weeks氏らが、約1,200人の転移がん患者を対象に行った調査で明らかにしたもので、NEJM誌2012年10月24日号で発表した。転移性の肺がんや大腸がんに対する化学療法は、数週間から数ヵ月の延命効果は期待でき症状が緩和される可能性はあるが、治癒は得られない。

【速報!AHA2012】日本における下肢虚血に対する血管内治療の成績発表:OLIVEレジストリ

近時、下肢虚血に対する血管内治療(EVT)の進歩が著しい。その一方、網羅的な実態は必ずしも明らかではなかった。そのため、わが国では”OLIVE”レジストリが組織され、 重症下肢虚血例に対するEVTの実態把握にのりだした。その成績が、学会最終日となる7日、Clinical Science:Special Reportsセッションにて、中村正人氏(東邦大学医療センター大橋病院循環器内科教授)により報告された。