日本語でわかる最新の海外医学論文|page:983

毎日のマルチビタミン剤服用、がんリスク抑制効果はわずか/JAMA

 毎日のマルチビタミン剤服用の効果は、総合的にみたがんリスク抑制については、わずかであるが有意であることが示された。しかし個別にみると有意差はなく、またがん死亡の抑制も有意差は示されなかった。ブリガム&ウィメンズ病院・ハーバードメディカルスクールのJ. Michael Gaziano氏らが、米国男性(医師コホート)を10年間追跡した無作為化試験「Physicians' Health Study II」の結果、報告した。マルチビタミン剤は最も一般的な栄養補助食品で米国では成人の3人に1人が服用しているという。しかしこれまで、マルチビタミン剤摂取と、総合的あるいは特異的がんの発生率および死亡率との関連を検討した観察研究は行われていなかった。JAMA誌2012年11月14日号掲載報告より。

子宮頸がん治療後のフォローアップではHPV検査の実施が有効で費用対効果あり/BMJ

 子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)治療後に行うヒトパピローマウイルス(HPV)検査の費用対効果について、英国・London School of Hygiene and Tropical MedicineのRosa Legood氏らによる経済解析の結果、フォローアップでの実施は有効であり、細胞診のみによるフォローアップと比べてコスト削減につながることを報告した。先行研究では見解が一致しておらず、研究グループは、国民保健サービス(NHS)のSentinel Sites Studyのデータを用いて解析を行った。BMJ誌2012年11月10日号(オンライン版2012年10月31日号)掲載より。

認知症の進行予防にビタミンEは有効か?

 アルツハイマー型認知症(AD)および軽度認知障害(MCI)進行予防としてのビタミンEについて、ベネフィットがあるという確実なエビデンスはみつからなかったと、英国・サセックス大学のNicolas Farina氏らが報告した。結果を受けて著者は、「今後の試験では、ADにおけるビタミンEの評価をα‐トコフェロールに限定しないで行うべきかもしれない」と提言している。本研究は、ビタミンEにはフリーラジカルを消失する抗酸化作用があり、一方でフリーラジカルがADなど病理学的な認知障害プロセスに寄与するとのエビデンスがあることを踏まえて行われた。Cochrane database of systematic reviews 2012年11月14日掲載の報告。

MMRワクチン2回接種高率地域では、耳下腺炎流行を3回目の接種でコントロール可能

MMRワクチン2回接種率の高い地域では、耳下腺炎流行時に3回目の接種を行うことで、接種後すみやかに発生率の減少がみられ、流行のコントロールに有用である可能性が示された。米国CDCのIkechukwu U Ogbuanu氏らが、耳下腺炎流行コントロールに対するMMRワクチン3回目接種の影響を評価した初の試験結果として報告した。米国では2009~2010年に北東部の宗教コミュニティにおいて、MMRワクチン2回接種率が高率であったにもかかわらず耳下腺炎の大規模な流行が発生した。

ハイリスク群へのPCV13接種の費用対効果は?/BMJ

 多くの国で侵襲性肺炎球菌感染症のハイリスク患者には23価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV23)の予防的投与が推奨されているが、欧州委員会は最近、13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)の適応を50歳以上の成人まで拡大した。オランダ・フローニンゲン大学のMark H Rozenbaum氏らは、ハイリスク患者に対するPCV13接種の費用対効果について検証した。BMJ誌2012年11月10日号(オンライン版2012年10月26日号)掲載より。

糖尿病よりCKDが死亡・末期腎不全に関連性大/Lancet

 糖尿病患者は死亡および末期腎不全のリスクが高いが、推定糸球体濾過量(eGFR)およびアルブミン/クレアチニン比(ACR)といった腎疾患尺度でみた場合、その相対リスクは非糖尿病患者と変わらないことが明らかにされた。米国・NHLBIフラミンガム研究グループのCaroline S Fox氏らがメタ解析の結果、報告した。慢性腎臓病(CKD)は、低eGFR値、高アルブミン値によって特色づけられ、それらの値と重大転帰とが関連している。そのリスクが糖尿病の有無によって影響があるのかはこれまで明らかとなっていなかった。Lancet誌2012年11月10日号(オンライン版2012年9月24日号)掲載報告より。

HER1/EGFRSチロシンキナーゼ阻害剤タルセバ、米国で追加適応申請

 アステラス製薬は20日、米国子会社であるアステラス ファーマ US, Inc.とジェネンテック社が米国で共同販促をする HER1/EGFRチロシンキナーゼ阻害剤タルセバ(一般名:エルロチニブ)について、既承認の診断法で確認された EGFR 遺伝子変異を有する局所進行性又は転移性の非小細胞肺がんに対する一次治療の追加適応症について、米国食品医薬品局(FDA)に販売許可申請を提出したと発表した。

患者負担は本当に減るのか? 高額療養費制度見直しの真相

 東京大学医科学研究所 先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門 特任研究員 児玉 有子 2012年11月20日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 11月15日の日経新聞に「高額療養費に年間上限-自己負担減最大60万円 厚労省検討」という記事が掲載されました。

死亡・末期腎不全との関連、高血圧よりもeGFR、ACRが重大/Lancet

 高血圧症のない人もある人と同様に、死亡および末期腎不全のリスクとして慢性腎臓病(CKD)を考慮すべきであることが示された。米国・ジョンズ・ホピキンスブルームバーグ公衆衛生校のBakhtawar K Mahmoodi氏らが、メタ解析の結果、報告した。高血圧症は、CKD患者では最もよくみられる共存症だが、推定糸球体濾過量(eGFR)およびアルブミン/クレアチニン比(ACR)といった腎疾患尺度と、死亡や末期腎不全との関連を高血圧症の状態別でみた場合の影響はこれまで明らかとなっていなかった。Lancet誌2012年11月10日号(オンライン版2012年9月24日号)掲載報告より。

スタチンを服用していた人は、がん発症後もがん関連死が低い/NEJM

 がん患者におけるスタチン服用が、がん関連死低下と関連していることが示された。デンマーク・コペンハーゲン大学のSune F. Nielsen氏らがデンマーク国民について検討した結果、報告したもので、NEJM誌2012年11月8日号で発表した。これまで、体内に取り込むコレステロール量の減少は、がん細胞の増殖や転移を減じる可能性が示されており、研究グループは、スタチンをがんと診断される前から服用していた人ではがん関連死亡率が低くなるとの仮説を立て、検証を行った。

精製された炭水化物の大量摂取により前立腺がんリスクが増加

食事における炭水化物の摂取は前立腺がんに関係している。今回、信頼性の高いデータを用いたスウェーデンの大規模研究から、精製された炭水化物の大量摂取が前立腺がんのリスク増加と関連することが示唆された。一方、高リスク前立腺がんとの有意な関連は認められず、精製された炭水化物を多く含む食品がすべて、前立腺がんと関連しているわけではなかった。Isabel Drake氏らがThe American journal of clinical nutrition誌オンライン版2012年11月7日号に報告。

大腸がん閉塞に対する内視鏡的ステント留置術は外科的減圧術と死亡率の差はない

急性大腸がん閉塞には、従来、外科的減圧術が実施されているが、近年、閉塞の緩和に内視鏡的大腸ステント留置術が使用されている。これらを比較するためにメタアナリシスにより解析したところ、内視鏡的大腸ステント留置術はいくつかの治療成績(1次吻合、ストーマ形成、永久的ストーマ造設など)を改善する一方、死亡率と罹患率の改善は認められなかった。イタリアVincenzo Cennamo氏らによる報告(International journal of colorectal disease誌オンライン版2012年11月15日号掲載)。