日本語でわかる最新の海外医学論文|page:982

抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大

 抗精神病薬は、自律神経失調症を引き起こす要因と考えられており、統合失調症患者の潜在的な致死的不整脈を予測すると報告されている。しかしながら、抗精神病薬や他の向精神薬の用量依存的な効果が自律神経系(ANS)の活動に及ぼす影響に関しては、依然として不明なままである。横浜市立大学 岩本 洋子氏らは、統合失調症患者における抗精神病薬と他の臨床的因子の用量依存効果がANSの活性に及ぼす影響について検討した。BMC psychiatry誌オンライン版2012年11月14日号の報告。

蛋白尿も予防!やっぱり健康的な生活習慣は重要

 非喫煙、BMI 25kg/m2未満、適量以下の飲酒、定期的な運動、より良い食事パターン、といった健康的な生活習慣を送る人は、蛋白尿発現リスクが低いことが、新潟大学大学院 若杉三奈子氏らによる住民ベースのコホート研究の結果、明らかになった。著者らは、慢性腎臓病(CKD)予防には健康的な生活習慣が重要であると強調した。Hypertension Research誌オンライン版2012年11月22日付の報告。

糖尿病高リスク者のプライマリ・ケア・ベースの検診、死亡率低下せず:ADDITION-Cambridge試験/Lancet

 2型糖尿病の高リスク者を対象とした検診でみつかった患者に対し治療を行っても、約10年間の全死因死亡、心血管死、糖尿病関連死のリスクは検診を受けなかった者と変わらないことが、英国ケンブリッジ大学のRebecca K Simmons氏らが行ったADDITION-Cambridge試験で示された。2型糖尿病の有病率の増加は保健医療上の重要課題とされる。2型糖尿病の疾病負担の増大は、地域住民を対象とした検診や早期治療によって抑制される可能性があるが、検診のベネフィットは不明なままだという。Lancet誌2012年11月17日号(オンライン版2012年10月4日号)掲載の報告。

過去10年の院内心停止後の生存率、年率4%で増加の傾向が明らかに/NEJM

 米国における2000~2009年の、院内心停止後の生存率は年率4%の増加傾向を示す一方で、生存者の神経障害発症率は年率2%の減少傾向にあることが明らかにされた。米国・アイオワ大学のSaket Girotra氏らが、約8万5,000人の院内心停止患者を追跡し明らかにしたもので、NEJM誌2012年11月15日号で発表した。近年、蘇生ケアは改善してきているものの、院内心停止後の生存率や神経障害発症率の改善傾向については明らかではなかった。

家庭用レーザーしわ取り器の実力は診療所治療と遜色なし?!

 家庭用レーザーしわ取り器は、安全かつ有用であることが明らかにされた。これまで、レーザーしわ取り器のような非侵襲的治療は、診療所で訓練を受けた専門家によってのみ行われているが、試験の結果、ホームユーザーの機器の扱いは熟達しており、眼の周りのしわの改善が確認されたという。

認知症の原因疾患のひとつ「シェーグレン症候群」その関連は?

 認知症の原因疾患のひとつであるシェーグレン症候群(SS)は、外分泌腺が関与する自己免疫疾患で、目が乾く、口が乾燥するなどといった症状が認められる。高齢者の1.9~3.0%が発症すると言われており、20%の患者で認知症などの中枢神経系疾患を合併する。星ヶ丘厚生年金病院 吉川 健治氏らは、メモリークリニックを受診している患者におけるSSの有病率と影響を明らかにしようと試みた。Journal of the neurological sciences誌オンライン版2012年11月15日号の報告。

夢遊病にビペリデンは有望!?

 青年および成人の夢遊病は重大外傷に結びつく可能性があり治療が必要とされる。University Psychiatric Clinic VrapceのDanilo Hodoba氏らは、青年・成人の夢遊病に対するビペリデンの有効性と安全性に関する臨床観察研究を行った。Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2012年11月12日号の掲載報告。

抗凝固療法におけるリスク評価のための計算機アプリがリリース

 心房細動患者に対して抗凝固療法を実施する際には、腎機能、出血リスク、脳卒中発症リスクなどを考慮する必要がある。 バイエル薬品株式会社は、それらを評価するための計算機アプリとして、2012年11月14日、医療従事者向けのiPadおよびiPhoneアプリ「診療計算App」の提供を開始した。

ICU患者へのHES使用、90日死亡率は有意差なし、腎代替療法リスクは2割増/NEJM

 ICUの患者に対する輸液蘇生における代用血漿剤のヒドロキシエチルデンプン(HES、商品名:サリンヘスなど)の使用について、生理食塩水を用いた場合と比較した90日死亡率は有意差は認められなかったことが示された。一方で、HESを用いた患者では生理食塩水を用いた場合と比べて腎代替療法を受けるリスクが2割ほど高かった。オーストラリア・George Institute for Global HealthのJohn A. Myburgh氏らが、ICU入室患者7,000人について行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌2012年11月15日号(オンライン版2012年10月17日号)で発表した。

ロタウイルスワクチン予防接種プログラム、導入初年度から明らかなインパクト

 フィンランド国立健康福祉研究所(THL)のTuija Leino氏らは、同国で2010年に導入されたロタウイルスワクチン予防接種プログラムの初年度の影響について推定評価を行った。その結果、重症度、病院での治療、ロタウイルス胃腸炎の型について明らかに管理コントロールできたことを報告した。Vaccine誌オンライン版2010年11月1日号の掲載報告。

腎結石にかかった人は要注意!CHD発症リスク因子の蓄積―日本人男性を対象とした研究

 腎結石に罹患したことがある人は、現在検査で異常が認められなくても、冠動脈心疾患(CHD)発症リスク因子を有している可能性が高いことが名古屋市立大学大学院 安藤亮介氏らの研究で明らかになった。The Journal of Urology誌オンライン版2012年11月14日付の報告。

日本人女性の統合失調症発症に関連する遺伝子が明らかに

 日本人女性の統合失調症発症に、ITGA8遺伝子ミスセンス突然変異が関与している可能性があることが明らかにされた。神戸大学大学院のIrwan Supriyanto氏らが、京都の遺伝子データベース「KEGG」で報告された情報と統合失調症患者との関連を調べ報告した。Progress in Neuro-Psychopharmacology and Biological Psychiatry誌オンライン版2012年11月12日号の掲載報告。

片頭痛と脳病変進行、女性の深部白質病変を除き有意な関連みられず/JAMA

 片頭痛を有する男女のMRI所見を9年前のものと比べて比較した結果、女性では深部白質病変の発生が高率にみられたが、その他のMRIで確認されていた脳病変の進行は有意にはみられなかったことが、また男性ではあらゆるMRI既往脳病変の進行との関連がみられなかったことが報告された。オランダ・ライデン大学医療センターのInge H. Palm-Meinders氏らが、先行研究で片頭痛とMRI脳虚血病変との関連が示されていたことを踏まえて行った検討で、結果について著者は、「脳血管の構造的変化に果たす片頭痛の役割について疑問を呈する所見となった」と述べている。JAMA誌2012年11月14日号掲載報告より。

Hanifin & Rajka診断基準はゴールドスタンダードだがWilliams診断基準も非常に有用

 ポーランド・ワルシャワ医科大学皮膚科のZbigniew Samochocki氏らは、小児アトピー性皮膚炎の診断について、Hanifin & Rajka診断基準とWilliamsらによって簡略化修正された診断基準との比較を行った。その結果、Hanifin & Rajka診断基準がゴールドスタンダードであるが、Williams診断基準も4歳児以上では非常に有用であると報告した。小児アトピー性皮膚炎の診断をめぐっては多くの問題があり、Hanifin & Rajka診断基準は一般的に用いられているが、小児科医が日常診療で用いるのは難しいとされる。