日本語でわかる最新の海外医学論文|page:977

初期症状がより重症のうつ病患者のほうが、低レベル介入の効果は大きい?/BMJ

 うつ病患者に対する、パンフレットによる自助といった低レベルの介入は、初期症状がより重症であるほうが、より軽症である人に比べ、その効果は高いことが、メタ解析の結果、示された。英国・マンチェスター大学のPeter Bower氏らによる報告で、これまで、重症うつ病患者に対する低レベル介入効果の有無については不明であった。本結果を踏まえて著者は、「より重症のうつ病患者に対する低レベルの介入は、段階的ケアの一部として有用な可能性はある」と述べている。BMJ誌オンライン版2013年2月26日号掲載の報告より。

プレドニゾロン+クロラムブシル、特発性膜性腎症の腎機能低下を抑制/Lancet

 特発性膜性腎症で腎機能障害が進行している患者について、プレドニゾロンと免疫抑制剤クロラムブシル(chlorambucil)による併用療法(1ヵ月ずつ交替で6ヵ月間)が最も支持される治療アプローチであることが、英国・バーミンガム大学のAndrew Howman氏らによる無作為化試験の結果、報告された。本検討は免疫抑制剤の腎保護効果の検証を目的としたもので、同時に検討されたシクロスポリン単独12ヵ月の治療については腎保護効果がみられず、同治療については「回避すべきである」と報告した。膜性腎症の一部の患者について免疫抑制剤による治療効果が認められているが、これまで腎機能が低下している患者については試験に基づくエビデンスは得られていなかった。Lancet誌オンライン版2013年1月8日号掲載報告より。

がん関連製薬企業に求める情報=有害事象と製品関連(病院看護師アンケートより)

 ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:梅田一郎、以下、「ファイザー」)オンコロジー事業部門は、2013年2月16日~17日に石川県金沢市において開催された「第27回日本がん看護学会学術集会」にて、これまでの活動を通じて得た調査結果等を発表した。

パーキンソン病患者は骨折リスクが高い

 パーキンソン病(PD)患者は非PD患者と比べ骨折リスクが有意に高いことが、オランダ・ユトレヒト大学のS. Pouwels氏らが行った後向きコホート研究で明らかになった。PD患者では、一般的な骨折リスクとされる高齢者および女性のほかにも、最近の選択的セロトニン再取込み阻害薬または高用量抗精神病薬の使用歴、骨折歴、転倒、BMI低値、腎疾患がある場合は骨折リスクを評価することが望ましいと考えられる。

血清ビタミンD値と小児アトピーの重症度、統計学的に有意な関連は認められない

 血清25ヒドロキシビタミンD値と小児アトピー性皮膚炎の重症度との関連について、統計学的に有意な関連はみられないことが、米国・ウィスコンシン医科大学のYvonne E. Chiuらによる検討の結果、報告された。両者の関連については、逆相関の関連性が示唆されていた。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2013年2月14日号の掲載報告。

仕事のストレスが大きいほど、うつ病発症リスクは高い:獨協医科大学

 日々の仕事で深刻な悩みやストレスを抱えている日本人就労者の割合は60%を超え、仕事への義務感による精神的重圧から、精神障害および自殺を起こす頻度が増加している。そこで獨協医科大学の和田佳子氏らは、職業性ストレス簡易調査票(BJSQ)で測定・評価したストレス反応から、うつ病のリスクを識別しうるか否かを明らかにすることを目的としたコホート研究を行った。PLoS One誌オンライン版2013年2月12日号の掲載報告。

テレヘルス(遠隔医療)、慢性疾患患者のQOLや不安・うつ病への効果は?/BMJ

 英国・シティ大学ロンドンのMartin Cartwright氏らは、テレヘルス(遠隔医療)による慢性疾患患者への介入について、QOLおよび精神的アウトカムへの効果について評価を行った。テレヘルスは、患者の自己モニタリング評価を遠隔的にできる簡便性から、医療コストを削減し健康関連QOLを改善するとして推進されてきたが、その有用性についてのエビデンスは相反する報告がされている。また不安症やうつ病への効果についてはほとんど評価が行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2013年2月26日号掲載より。

ダビガトラン、VTEの延長治療に有効、出血リスクも/NEJM

 直接トロンビン阻害薬ダビガトラン(商品名:プラザキサ)による抗凝固療法は、静脈血栓塞栓症(VTE)の延長治療として有効であり、大出血や臨床的に重要な出血のリスクはワルファリンよりは低いもののプラセボに比べると高いことが、カナダ・マクマスター大学のSam Schulman氏らの検討で示された。VTE治療はビタミンK拮抗薬が標準とされ、複数の血栓エピソードなど再発のリスク因子を有する場合は長期投与が推奨されるが、大出血のリスクとともに頻回のモニタリングや用量調整を要することが問題となる。ダビガトランは固定用量での投与が可能なうえ、頻回のモニタリングや用量調節が不要で、VTEの治療効果についてワルファリンに対する非劣性が確認されており、初期治療終了後の延長治療に適する可能性がある。NEJM誌2013年2月21日号掲載の報告

統合失調症の再燃や再入院を減少させるには:システマティックレビュ―

 統合失調症の再燃や再入院を減少させるには、早期警告症状への気づきを促す介入が重要であることが、英国・ノッティンガム大学のRichard Morriss氏らによるシステマティックレビューの結果、明らかとなった。Cochrane database of systematic reviewsオンライン版2013年2月28日掲載の報告。

大腿骨転子部骨折に対するINTERTANの治療成績はsliding hip screwと類似

 大腿骨転子間・転子下骨折の治療では髄内釘またはsliding hip screwが用いられる。ノルウェー・ベルゲン大学ハウケランド病院のKjell Matre氏らは多施設前向き無作為化比較試験を行い、TRIGEN INTERTAN nail使用時の術後12ヵ月における疼痛、運動機能および再手術率はsliding hip screws使用時と類似していることを示した。The Journal of Bone & Joint Surgery誌2013年2月6日号の掲載報告。

統合失調症患者の社会的認知機能改善に期待「オキシトシン」

 統合失調症患者は社会的認知機能(感情認識、他者への共感、パースペクティブテイキングメンタル[相手の立場で考える能力]を含む)が広い範囲で損なわれていることはこれまでの研究で明らかとなっている。最近の研究によると、統合失調症患者における社会的障害にオキシトシン作動性システムが関連しているともいわれている。イスラエル・ハイファ大学のM Fischer-Shofty氏らは、統合失調症患者に対するオキシトシン治療が社会的認知機能を改善するかを検討した。Schizophrenia research誌オンライン版2013年2月19日号の報告。

アピキサバン、VTEの抗凝固療法の延長治療として有用/NEJM

 経口第Xa因子阻害薬アピキサバン(商品名:エリキュース)による抗凝固療法の延長治療は、大出血の発生率を上昇することなく静脈血栓塞栓症(VTE)の再発リスクを低減することが、イタリア・ペルージャ大学のGiancarlo Agnelli氏らによるAMPLIFY-EXT試験で示された。深部静脈血栓症(DVT)や肺塞栓症(PE)などのVTEは、心疾患や脳卒中後の血管関連死の原因として3番目に頻度が高いという。欧米のガイドラインは3ヵ月以上の抗凝固療法を推奨しているが、標準治療であるワルファリンは、出血リスクのほかモニタリングや食事制限などの問題で治療の継続が難しくなることが多く、延長治療の決定には困難が伴う。アピキサバンは固定用量レジメンでの投与が可能で、モニタリングも不要なため、VTEの延長治療の選択肢となる可能性があった。NEJM誌2013年2月21日号(オンライン版2012年12月8日号)掲載の報告。

食道下部への磁気デバイス留置で、GERDの胃酸逆流を抑制/NEJM

 手術的に食道下部に装着して括約筋を補強する磁気デバイスが、プロトンポンプ阻害薬(PPI)の効果が十分でない胃食道逆流症(GERD)患者の胃酸逆流の抑制に有効である可能性が、米国・Minnesota GastroenterologyのRobert A. Ganz氏らの検討で示された。GERDの根本的な病理学的異常は食道下部括約筋の機能低下だという。現在の第1選択治療は主にPPIによる胃酸分泌抑制だが、文献的には最大40%の患者で症状のコントロールが不十分とされる。これらの患者には噴門形成術(Nissen法)が適応となる場合があるが、合併症のため同意が得られないことも多いとされる。NEJM誌2013年2月21日号掲載の報告。

境界性パーソナリティ障害患者の自殺行為を減少させるには

 英国・アバディーン大学のJohn Norrie氏らは、境界性パーソナリティ障害患者を対象とした認知行動療法(CBT)に関する無作為化対照試験「BOSCOT」において、治療時間とセラピストの能力が自殺行為の回数に及ぼす影響を検討した。その結果、有能なセラピストが適当な時間の認知行動療法を行うことで、境界性パーソナリティ障害患者の自殺行為が大幅に減少する可能性が示唆されたことを報告した。Psychology and Psychotherapy誌オンライン版2013年2月19日号の掲載報告。

地中海式食事療法、高リスク集団の心血管イベント1次予防に有用/NEJM

 地中海食(エネルギー制限はしない)とオリーブオイルまたはミックスナッツを組み合わせた食事療法が、心血管リスクの高い集団の心血管イベントの1次予防において相対リスクを約30%低減することが、スペイン・バルセロナ大学病院のRamon Estruch氏らの検討で明らかとなった。地中海食は、オリーブオイル、果物、ナッツ、野菜、シリアルの摂取量が多く、魚や鶏肉の摂取量は中等度、乳製品、赤身肉、加工肉、菓子類の摂取量は少ないことが特徴とされる。地中海式食事療法の遵守状況と心血管リスクは逆相関を示すことが、観察コホート試験や2次予防試験で確認されている。NEJM誌オンライン版2013年2月25日号掲載の報告。

有用な臨床意思決定支援システムとは?/BMJ

 診療プロセスやアウトカムの改善効果のある臨床意思決定支援システムは、患者と医師の双方へのアドバイスが提供されるものや、アドバイスに従わない場合にその理由を入力するようになっているものであることが、カナダ・Western Ontario大学のPavel S Roshanov氏らが行ったメタ解析で明らかになった。一方で、電子カルテやオーダー・エントリー・システムに助言が示されるシステムは、あまり効果的ではなかったという。BMJ誌オンライン版2013年2月14日号掲載の報告より。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(64)〕 女性のカルシウムサプリメント・カルシウム錠の投与は諸刃の剣(投与は慎重に!)

 カルシウムはヒトを含む生物の体内に存在する最も豊富なミネラルの一つであり、かつ最も重要な体内の高精度な情報伝達のメッセンジャーとしても利用されている。血清カルシウムのレベルは厳格に調節されており、カルシウム摂取量が不足している場合は、腸管からより効果的に吸収され、腎臓でのカルシウムの保持力の亢進により、この不足が補われる。不足が続けば骨格プールからカルシウムがさらに動員され、骨が脆弱となり、骨折が起こりやすくなる。