日本語でわかる最新の海外医学論文|page:977

成人で認められた抗てんかん薬の効果、小児でも有効か?

 成人で認められた抗てんかん薬の効果について、部分てんかん発作(POS)の2~18歳児における同等の補助的療法効果を予測する外挿可能性が支持された。米国 バージニア・コモンウェルス大学のPellock JM氏らが、システマティックレビューを行い報告した。Neurology 誌オンライン版2012年9月5日号の報告。

トファシチニブに関するデータ、米国リウマチ学会で発表へ

 米・ファイザー社は17日、中等度から重度の活動性関節リウマチ(RA)の成人患者に対して開発中の経口JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤であるトファシチニブについて、11月9日から14日までワシントンD.C.で開催される2012年米国リウマチ学会(ACR)、リウマチ専門医協会(ARHP)年次会議にて14の演題が発表される予定であることを発表した。日本法人であるファイザー株式会社が21日に報告した。

DTaPワクチン5回接種後のワクチン効果持続期間は?

 ジフテリア・破傷風・無細胞性百日咳(DTaP)混合ワクチンの5回目接種後、その効果は時間経過に伴い低下し、1年経過するごとに百日咳に罹患するリスクは平均42%増加することが報告された。米国・Kaiser Permanente Vaccine Study CenterのNicola P. Klein氏らがケースコントロール試験の結果、明らかにした。米国では、小児に対し、DTaPワクチンの5回接種を行っているが、5回接種後のワクチン効果の持続期間については不明だった。NEJM誌2012年9月13日号掲載の報告。

安定冠動脈疾患、FFR 0.80以下の狭窄があればPCI実施でアウトカムは大幅改善

 安定冠動脈疾患で冠血流予備量比(FFR)が0.80以下の狭窄が認められる人に対し、FFRガイド下の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と薬物療法の併用は、薬物療法のみに比べ、緊急血行再建術実施率を約13%程度に減少するなど、アウトカムが大幅に改善することが示された。ベルギー・Cardiovascular Center AalstのBernard De Bruyne氏らが無作為化試験を行った結果で、NEJM誌2012年9月13日号(オンライン版2012年8月27日号)で発表した。急性冠症候群に対するPCIの効用は確立しているものの、安定冠動脈疾患については、最適薬物治療のみと比べた場合の優位性については不明だった。

早漏治療にはSSRI、トラマドールが有効?!

 早漏の原因として、ノルアドレナリンやセロトニンなどの自律神経のバランス異常があると考えられている。これらノルアドレナリンやセロトニンの調整にはSSRIやSNRIなどの抗うつ薬が有する薬理作用が有効であるとも考えられる。中国のTao Wu氏らは、ノルアドレナリンやセロトニンの再取り込み阻害作用を有するがん疼痛治療剤トラマドールの早漏治療に対する有効性および安全性に関してメタアナリシスを行い検討した。Urology誌2012年9月号(オンライン版2012年7月26日号)の報告

初回エピソード統合失調症患者、長期予後予測に新基準!

 統合失調症治療においては、初回エピソードでの治療が長期予後に影響を与える。そのため、初回エピソード統合失調症患者では早期改善を目指したより良い治療が求められる。ドイツ Schennach氏らは、1年間の追跡調査により初回エピソード統合失調症における早期治療反応の予測妥当性を評価し、現在用いられているカットオフ値(2週間で20%改善)による結果と比較した。Acta Psychiatr Scand誌オンライン版2012年9月8日号の報告。

STEMI患者の死亡率低下、背景にプライマリPCI実施の増大

 フランス・パリ大学のEtienne Puymirat氏らは、フランスにおける1995~2010年のST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者の死亡について調査した結果、STEMI患者の全心血管死は減少しており、その要因として、60歳未満の女性STEMI患者の増加、その他人口動態的特徴の変化および再灌流療法および推奨薬物療法の増加が挙げられたと報告した。本調査は、近年のSTEMI患者の死亡低下と、その主な改善要因として再灌流療法の実施が報告されていることを受けて行われた。JAMA誌2012年9月12日号掲載報告より。

成人喘息患者における吸入コルチコステロイド投与量の調整

 軽症~中等度成人喘息患者の治療失敗を予防するための吸入コルチコステロイド投与量の調整戦略について、呼気一酸化窒素濃度や症状に基づく調整が、医師の評価に基づく調整よりも優れてはいないことが明らかにされた。米国・テキサス大学のWilliam J. Calhoun氏らによる無作為化比較試験「BASALT」の結果で、これまで同戦略についてはコンセンサスが得られていなかった。JAMA誌2012年9月12日号掲載報告より。

「統合失調症リスク因子」海馬における働きが判明

 先行研究(ヒトおよびマウスの遺伝子研究)で統合失調症との関連が示されていたG蛋白共役型受容体SREB2/GPR85について、不明であった海馬における作用が解明された。米国・ノースウエスタン大学のChen Q氏らによるマウスを用いた実験の結果、海馬の成体神経新生および神経新生に依拠する学習および記憶にネガティブに作用することが示された。この結果を踏まえて著者は「SREB2の制御は、精神疾患患者の中核症状改善への新しいアプローチとなる可能性がある」と述べている。Eur J Neurosci誌2012年9月号(オンライン版2012年6月15日号)の報告。

小児におけるレベチラセタム静注の有効性と安全性を確認

 小児における急性反復痙攣およびてんかん重積状態に対するレベチラセタム静注の有効性と安全性が、観察研究の結果、確認された。英国・Alder Hey小児病院のMcTague A氏らによる報告で、「長時間作用性抗痙攣薬としてフェニトイン静注にとって代わるものかを無作為化臨床試験で判定すべきである」と提言した。Seizure誌2012年9月号(オンライン版2012年6月19日号)掲載報告より。  観察研究は2年にわたって行われ、急性反復発作(ARS)あるいは痙攣性または非痙攣性てんかん重積状態(SE)の治療として、レベチラセタム静注を受けた全患者を評価した。発作タイプ、てんかん症候群と基礎原因、レベチラセタム静注の初期負荷投与量およびその有効性と安全性、また最終フォローアップ時の本剤投与状況について調べた。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(21)〕 心臓MRI(CMR)で無症候のハイリスク患者を見分けることができる!

 これまで高齢者、あるいは糖尿病患者で無症候性心筋梗塞の頻度は高く、かつ、その患者群の予後は不良であることが知られていた。しかし、無症候性心筋梗塞患者を検出するスクリーニング法として、最も広く用いられているのが心電図であった。一方、最近の技術の進歩に伴い、微小な心筋梗塞を顕出することが可能となった。1つはトロポニンなどに代表されるバイオマーカーである。

とくにうつ病患者は要注意?慢性疼痛時のオピオイド使用

 オピオイド製剤はがん性疼痛だけでなく慢性疼痛に対しても有用であると報告されている。しかし、患者の自己判断による治療中止率は高く、オピオイド治療を継続させるためにはオピオイドの有用性の認知について対策が重要である。米国Howe氏らは有効なオピオイドによる治療を受けている患者において、オピオイド治療の中止あるいは減量を望む予測因子を検討するため、オピオイド使用に関する両価性とうつ病について調査した。Clin J Pain誌2012年9月号の報告。

認知症治療薬ガランタミン、ラット試験で喫煙欲求の軽減効果を確認

 アルツハイマー型認知症治療薬ガランタミンに喫煙欲求を軽減する効果があることが、米国・ペンシルベニア大学のHopkins TJ氏らによるラット試験の結果、示された。現行の禁煙薬物療法では、喫煙再発予防や禁煙維持への効果に限界がある。ガランタミンはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬の1つであり、ニコチン性アセチルコリンレセプターにpositive allosteric modulatorとして作用する。最近、マウスを用いた試験で、ガランタミンがニコチン中断による認知障害を改善したことが示され、ヒトでの喫煙再発予防に寄与する可能性が示唆されていた。Neuropsychopharmacology誌2012年9月号(オンライン版2012年6月6日号)の報告。

第6回医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会感想文

 医療制度研究会 中澤 堅次 2012年9月21日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 前回までの論点整理と、第三者機関の調査の実務についての討論と、医療安全支援センターの実績に関するヒアリングの三点が予定され議論が行われました。