日本語でわかる最新の海外医学論文|page:978

蒸気滅菌で利用可能、バナナの葉は低コストの優れた創傷被覆材

 バナナの葉は優れた創傷被覆材であることが、ドイツ・エバーハルト・カール大学テュービンゲンのEmmanuella Guenova氏らによる試験の結果、明らかにされた。バナナの葉は、熱帯地域の国では安価かつ優れた利用しやすい包帯材と見なされているという。しかし、これまで創傷被覆材として取り上げた研究はなく、Guenova氏らは、バナナの葉の有益な特性を損なわず滅菌する方法を検討し、創傷被覆材としての価値を検証した。Dermatologic Surgery誌2013年2月号(オンライン版2012年12月10日号)の掲載報告。

10年先を見据えた抗精神病薬選択のポイント

 米国・コロンビア大学のT Scott Stroup氏らは、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンからアリピプラゾールへの切り替えについて、フラミンガムリスクスコア(FRS)およびメタボリックシンドローム(MetS)に基づいた心血管疾患(CVD)発症リスクへの影響を調査し、その臨床的意義を検討した。Schizophrenia research誌2013年2月21日号の報告。

SYNTAXスコアII開発でCABGかPCIかの予測能がより高く/Lancet

 複雑な冠動脈疾患の血行再建術の選択について、解剖学的な複雑さを考慮しただけのSYNTAXスコアよりも、同スコアに左室駆出率などの臨床因子を加えたSYNTAXスコアIIが有効であることが報告された。オランダ・エラスムス大学メディカルセンターのVasim Farooq氏らが行った試験で明らかにしたもので、Lancet誌オンライン版2013年2月23日号で発表した。SYNTAXスコアは、欧米のガイドラインで至適な血行再建術選択ツールとして提唱されているが、予測能に限界があることが指摘されていた。そこで同研究グループは、8つの予測因子から成るSYNTAXスコアIIを開発し検証試験を行った。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(63)〕 SYNTAX試験の5年追跡結果、CABGのPCIに対する優位性が確認されるも、全死亡・脳卒中に有意差なし

 SYNTAX試験は,左主幹部疾患および3枝疾患を、心臓外科医とPCI施行医がどちらの治療法でも施行可能と判断すればPCIかCABGに無作為に割り付け比較した研究である。PCIは第1世代の薬物溶出性ステントであるTaxusA を用いている。1年の追跡結果からの主論文では、「再血行再建も含めた主要エンドポイントについてTaxusを用いたPCIはCABGに対して非劣性を達成することができなかった」が結論である。

うつ病治療に「チューインガム」が良い!?

 これまでの研究によると、チューインガムはストレスや抑うつ症状を軽減する可能性が示唆されている。しかし、うつ病治療におけるチューインガムの臨床応用に関する研究はあまり報告されていない。トルコ・アタテュルク大学のFurkan Muhammed Erbay氏らは、うつ病患者に対するチューインガム使用の影響を検討した。Appetite誌オンライン版2013年2月12日号の報告。

難治性の慢性特発性蕁麻疹、オマリズマブで症状改善/NEJM

 慢性特発性蕁麻疹(chronic idiopathic/spontaneous urticaria)で抗ヒスタミン薬(ヒスタミンH1拮抗薬)の高用量投与でも症状が改善されない患者について、抗IgEモノクローナル抗体オマリズマブの投与により症状が改善されたことが、ドイツ・Charite-UniversitatsmedizinのMarcus Maurer氏らによる第3相多施設共同無作為化二重盲検試験の結果、報告された。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(62)〕 第二世代ステントの中期成績の比較試験、その名もCOMPARE II

 循環器のカテーテル治療で薬剤溶出性ステント(Drug-Eluting Stent; DES)が用いられるようになってから久しい。第1世代のCypher/Taxusから始まり、現在は第2世代のXience(Promus)/Endeavorが用いられるようになっている。その第2世代のDESの中で、corrugated ring構造を採用し、非常に柔軟性に富んだDESとして注目されているのが、COMPARE II試験で対象となったNoboriである。

外陰部硬化性苔癬にはプロアクティブな維持療法が効果的であり安全

 外陰部硬化性苔癬(VLS)のプロアクティブな維持療法について、局所ステロイド治療で症状が安定した後、週に2回の0.1%フランカルボン酸モメタゾン軟膏(商品名:フルメタほか)を56週間塗布した結果、寛解維持と再発防止が得られ、効果的で安全な治療オプションであることが示された。

統合失調症の陰性症状有病率、脳波や睡眠状態が関連か

 統合失調症の研究では、臨床的な不均一性が混乱を招いていることを踏まえ、米国・ウェイン州立大学のNash N. Boutros氏らは、Deficit Syndrome(DS)を考慮した統合失調症の陰性症状集団の特定を試みた。統合失調症症候群に含まれる疾患として欠損型統合失調症(deficit schizophrenia)が提唱されており、欠損症候群診断基準(SDS;Scale for the Deficit Syndrome)の活用により持続的な陰性症状を特徴とするサブグループの特定が可能とされている。しかし長年にわたり、統合失調症の陰性症状集団の電気生理学的な相互作用を検討した研究は報告されているが、DSに焦点を当てた研究はごくわずかしかないのだという。Clinical Schizophrenia & Related Psychoses誌オンライン版2013年2月21日号の掲載報告。

SYNTAX中・高スコア患者の標準治療はCABGとすべき/Lancet

 左冠動脈主幹部病変および3枝病変を有する患者を対象として、冠動脈バイパス術(CABG)と経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を比較した無作為化試験「SYNTAX」の最終5年フォローアップの成績が、ドイツ・Herzzentrum Universitat LeipzigのFriedrich W Mohr氏らにより発表された。同試験についてはこれまで、1年時点(主要エンドポイントMACCEについてPCI群はCABG群に対して非劣性を達成せず)、3年時点(MACCEほか心筋梗塞発生、血行再建術がPCI群で有意に高い)の各成績が示されていた。今回の5年時点でも両群のイベント発生率の格差が認められたこと、とくに心筋梗塞発生、血行再建術がPCI群で有意に高いことなどが示された。研究グループは「SYNTAXスコアが中あるいは高の複雑病変患者の標準治療はCABGとすべきである」と結論し報告をまとめている。Lancet誌2013年2月23日号の掲載報告。

神経刺激療法、早期パーキンソン病のQOLを改善:EARLYSTIM試験/NEJM

 視床下核刺激術による神経刺激療法は、重度の運動合併症が発現する前の、比較的早期のパーキンソン病患者の治療として、内科的治療のみを行う場合に比べQOLを有意に改善することが、フランス・パリ第6大学のWM Michael Schuepbach氏らの検討で示された。視床下核刺激療法は、レボドパ治療によって誘発された重度の運動合併症がみられる進行期パーキンソン病患者の運動障害を軽減し、QOLを改善することが知られている。同氏らは、早期パーキンソン病患者を対象としたパイロット試験で、神経刺激療法のQOL改善効果を確認しているという。NEJM誌2013年2月14日号掲載の報告。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(61)〕 他人の糞便注入によるクロストリジウム・ディフィシル腸炎の治療に、明白な有効性を証明!

近年、抗菌薬投与に伴うクロストリジウム・ディフィシル(C.ディフィシル)腸炎が欧米で流行し、binary toxin産生やニューキノロン耐性株による、重篤例・再燃例の増加が注目されている。本邦では、このような強毒株の流行はみられないものの、C.ディフィシル腸炎自体は広くみられており、院内感染対策上の重要な課題と捉えられている。 本症は、投与された抗菌薬により腸管内の正常細菌叢が抑制され、毒素産生性のC.ディフィシルが異常増殖して発症するものであり、重症例では偽膜性大腸炎の形をとる。C.ディフィシルは、遺伝子レベルで少数存在する例を含めれば、過半数の人の腸管に常在するが、病院や高齢者施設では、芽胞汚染による院内感染の事例も知られている。本症の治療には、C.ディフィシルに抗菌力を示すバンコマイシンやメトロニダゾールを投与すれば良いのだが、これらは栄養型には抗菌力を示すが、芽胞化して生き残るため、バンコマイシン治療を終えると芽胞から出芽し、再燃してくる。また、乾燥や消毒剤にも抵抗性の芽胞が病院を汚染し、二次感染を引き起こす事例も知られている。

摂食障害、成人期と思春期でセロトニン作動系の特徴が異なる!

 摂食障害の発症にセロトニン作動系が関与していることは、確立した知見である。ただし、これまでの血小板セロトニン・トランスポーターに関する研究で示されている結論は、平均年齢20歳以上の患者を対象とした検討結果に基づくものであった。スウェーデン・ウメオ大学のJeanette Sigurdh氏らは、思春期の摂食障害患者におけるセロトニン作動系の関わりについて検討した。その結果、成人患者で得られている知見とは異なり、思春期の患者では同年代の健常対照と比べ血小板セロトニン・トランスポーター密度が高く、5-HT2A受容体密度が低いことを報告した。International Journal of Neuroscience誌オンライン版2013年2月19日号の掲載報告。

日本人のうつ病予防に期待?葉酸の摂取量を増やすべき

 日本人労働者を対象とした研究の結果、抑うつ度は、教育レベルならびに収入と有意な関連があり、栄養面では葉酸摂取と有意な関連があることが明らかにされた。国立国際医療研究センターの宮木幸一氏らが、本邦初の研究報告として発表したもので、「葉酸の摂取増を図る運動が、メンタルヘルスに関する社会的格差の問題解消に結びつく可能性がある」と報告した。Nutrients誌2013年2月18日号の掲載報告。

原発性自然気胸の再発をミノサイクリン胸膜癒着術が抑制/Lancet

 原発性自然気胸に対する単純吸引+ドレナージ施行後のミノサイクリンを用いた胸膜癒着術は、安全に実施可能で、単純吸引+ドレナージ単独よりも再発抑制効果が高いことが、国立台湾大学のJin-Shing Chen氏らの検討で明らかとなった。原発性自然気胸の標準的な初回治療は単純吸引とドレナージだが、文献的な1年後の再発率は約30%(16~52%)に達する。そのため、さまざまな治療アプローチの開発が進められており、化学物質の胸腔内注入による胸膜癒着術は手術患者、非手術患者の双方で再発を抑制することが示されている。Lancet誌オンライン版2013年2月18日号掲載の報告。

カルシウムの摂りすぎ、女性の死亡率を高める?/BMJ

 カルシウムの過剰摂取は女性の全死因死亡や心血管死のリスクを増大させる可能性があることが、スウェーデン・ウプサラ大学のKarl Michaelsson氏らの調査で示唆された。ごく一般的な摂取量(600~1,400mg/日)であれば問題はなさそうだという。カルシウムの摂取不足により高齢者の骨折率が上昇し、脳卒中や致死的な虚血性心疾患のリスクが増大する。一方、無作為化試験のメタ解析ではカルシウム補助食品の使用により虚血性心疾患や脳卒中のリスクが増大し、観察試験では全死因死亡や心血管死の低下とともに心血管疾患の発症増加が確認されている。BMJ誌オンライン版2013年2月13日号掲載の報告。