日本語でわかる最新の海外医学論文|page:976

理学療法士が足りない

相馬中央病院整形外科 石井 武彰 2012年10月2日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。  私は平成24年4月より相馬市にある相馬中央病院で整形外科医として勤務しています。初期臨床研修後に九州大学整形外科に入局し、3年間の関連病院での研修後、昨年は大学院で病理の仕事をしていました。震災後の川内村で行われた健康診断に参加したことより、福島県浜通りに関心を持っていたところ、相双地区で整形外科医が不足し求められているとの話を聞き、縁があって相馬中央病院で働く事となりました。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(24)〕 安定狭心症に対する最適治療法の決定に冠血流予備量比(FFR)は有用な検査法である

 経皮的冠動脈インターベンション治療(PCI)が、急性冠症候群の予後改善に有効な治療法であることについては異論のないところである。しかしながら、安定狭心症に対するPCIの適用に関しては未解決な問題が多い。歴史的には選択的冠動脈造影手技が確立されたことにより、冠動脈疾患の診断・治療が長足の進歩を遂げたことは周知の事実である。

「小児の肺炎球菌」PCV7ワクチン導入で大きく減少

 欧州における7価肺炎球菌ワクチン(PCV7)導入後の状況について、フランス・Denis Diderot大学のWeil-Olivier C氏らが、レビュー報告を行った。欧州では2006~2008年の間に16ヵ国が順次、PCV7の定期接種(2~3回+ブースター1回)を導入し、現在は、PCV10、PCV 13の定期接種導入も進んでいる。BMC Infect Dis誌オンライン版9月7日号の掲載報告。

せん妄は超高齢者における認知症の強いリスク因子

 せん妄は85歳以上の超高齢者(oldest-old)における認知症の強いリスク因子であることが、英国・ケンブリッジ大学のDavis氏らによる集団コホート研究の結果、報告された。著者は、「適正な集団をサンプルとした初の知見である」と本研究の成果を強調している。これまでも、せん妄は認知症のリスクであり、認知症患者においては衰弱を加速することが示唆されていたが、先行研究ではベースラインでの認知機能状態の把握が完全ではなかった。Brain 誌2012年9月号(オンライン版2012年8月9日号)の掲載報告。

ベンゾジアゼピン系薬剤の使用で抗精神病薬多剤併用率が上昇?!

 統合失調症治療では、抗精神病薬の多剤併用や大量投与がしばしば行われる。多剤併用・大量投与によりさまざまな弊害も報告されている。Suokas氏らはフィンランドにおける大規模な全国調査を行い、統合失調症患者における長期的な抗精神病薬の多剤併用率と予測因子を調査した。Soc Psychiatry Psychiatr Epidemiol誌オンライン版2012年9月25日号の報告。

肥満外科手術患者の術後20年間の医療サービス利用コスト

 肥満外科手術を受けた患者の20年間の医療サービス利用について、従来療法を受けた対照群と比較した結果、手術群のほうが入院医療を多く利用しており、最初の6年間は外来利用も多かったが、それ以降の外来利用は両群で有意差はなかった。また、7~20年目の薬剤コストは手術群のほうが有意に低かったことが報告された。スウェーデン・ヨーテボリ大学のMartin Neovius氏らによるSwedish Obese Subjects試験の結果で、肥満外科手術は体重減を維持し、糖尿病、心血管イベント、がんの発生率を低下し生存を改善することが示されていたが、長期にわたる医療サービス利用への影響については不明であった。JAMA誌2012年9月19日号の掲載報告。

睡眠時無呼吸症候群に対して肥満外科手術は有効か?

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)に対する肥満外科手術は従来療法と比較して、大幅に体重は減少するものの、達成無呼吸低呼吸指数(AHI)については有意差を伴う減少は認められなかったことが、オーストラリア・モナッシュ大学のJohn B. Dixon氏らによる無作為化試験の結果、報告された。OSAは肥満と強く関連しており、肥満を有するOSA患者では体重減が治療計画において推奨されている。しかし、これまでその有効性を検討した無作為化対照試験は行われていなかった。JAMA誌2012年9月19日号の掲載報告。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(23)〕 STEMIにプライマリPCIが有効、秋の夜長に想うこと

 循環器内科医がもっとも達成感を感じる場面はいかなるものであろうか? おそらく多くの医師の答えは次の場面であろう。急性心筋梗塞、それも激しい胸の痛みに苦悶しているSTEMI患者に、緊急冠動脈造影から引き続きプライマリPCIを施行し、無事に再開通療法に成功した場面である。先ほどとは別人のように落ち着いた表情の患者を前にして、深夜に病院に駆けつけた苦労もふっとんでしまう充実感がある。

体重に関する“いじめ”はうつ病のリスクファクター

 太っている子供はいじめられやすい傾向がある。そして体重に関連するいじめは、うつ病や摂食障害を引き起こすリスクとなる。米国Madowitz氏らは肥満児に対するいじめがうつ病発症のリスク上昇や不健康な体重管理行動と関連するかを検証した。その結果、著者らは「体重に関連するいじめに悩む肥満児は、通常体重の子供と比較しうつ病のレベルが高い」ことを、Pediatr Obes誌オンライン版2012年9月19日号で報告した。

破壊的行動障害に対する非定型抗精神病薬使用

 小児および青少年の破壊的行動障害に対する非定型抗精神病薬の有効性と安全性に関するメタ解析が行われた。破壊的行動障害は注意欠如・多動性障害(ADHD)と関連していることが多い。精神科医療サービスの利用も多く、非定型抗精神病薬のような薬物治療が行われる可能性もある。一方で、小児と青少年の破壊的行動障害に対する非定型抗精神病薬使用が有意に増加しているというエビデンスも増えており、ニュージーランド・Health WaikatoのLoy JH氏らは、プラセボと比較した有効性と安全性を評価した。Cochrane Database Syst Rev. 2012年9月12日号の報告。

福島県県民健康管理調査はこれでよいのか?(1)

 福島県の県民健康管理調査は地元の住民から多くの疑念をもたれている。医師・医療従事者と多くの患者・受診者の間に。信頼に根ざした関係が成り立っていない。これでは医療の基盤が崩れており問題が大きい。甲状腺の検査についてはメディアで取り上げられ、ある程度知られているが、それだけではない。

MRI、膝関節の異常所見を高率に描出:フラミンガム変形性関節症研究/BMJ

 MRIは、X線検査では変形性膝関節症の所見がみられない中年~高齢者において、脛骨大腿骨関節の病変を高率に描出することが、米国・ボストン大学医学部のAli Guermazi氏らの検討で示された。変形性膝関節症は、治療対象となる頻度が世界的に最も高い関節症で、生涯リスクは加齢とともに増大し、高リスク因子として肥満が挙げられる。診断は臨床検査やX線検査に基づくが、膝の痛みを訴える患者の約半数がX線画像では異常を認めないという。MRIは従来のX線画像では可視化されない変形性膝関節症の所見を検出可能なことが示されている。BMJ誌2012年9月14日号(オンライン版2012年8月29日号)掲載の報告。

Cochraneレビューには、対象試験の利益相反情報の記載が少ない

 Cochraneレビューの多くが、解析対象の試験の資金源や、著者と製薬企業の金銭的な関係の情報を記載していない実態が、カナダMcGill大学(モントリオール)のMichelle Roseman氏らの調査で明らかとなった。系統的レビューとメタ解析のガイドラインでは、解析対象試験の利益相反の記載は求められていないという。最近の研究では、強い影響力を持つ生物医学誌に掲載された薬剤の臨床試験に関する29編のメタ解析のうち、対象試験の資金源の記述があったのは2編のみで、著者と製薬企業の金銭的な関係の情報を提供するものは1編もなかった。一方、質の高いエビデンスに基づくレビューの基準を定めるCochraneレビューに、これらの情報がどの程度記載されているかは不明だった。BMJ誌2012年9月14日号(オンライン版2012年8月21日号)掲載の報告。

不眠症に対する鍼治療のエビデンスは?

 不眠症に対して、鍼治療のような非薬物療法は多くの人に有効で広く行われているが、いまだエビデンスは不十分であるとされている。中国・香港大学のCheuk DK氏らは、不眠症に対する鍼治療の有効性と安全性を評価するメタ解析を行った。33試験、2,293例を含んだ分析の結果、試験の方法論的な質が不良であったり、不均一性や出版バイアスが高く、鍼治療の支持・不支持を論ずるに足りるエビデンスが十分かつ厳密ではなかった。著者は、「より大規模な質の高い臨床試験が求められる」と述べている。Cochrane Database Syst Rev. 2012年9月12日号の報告。

自殺リスクの危険因子の検証、年齢別のうつ症状との関係は?

 統合失調症やうつ病は自殺の主要なリスクファクターである。とりわけ、中年や高齢者の統合失調症患者による自殺は、社会的な問題ともなっている。しかし、年齢とうつ症状から自殺リスクを予測できるかは、まだわかっていない。米国 Kasckow氏らは統合失調症および閾値下うつ病患者におけるうつ症状と自殺念慮との関係に、年齢がどう関わるかを検討した。Am J Geriatr Psychiatry誌オンライン版2012年9月18日号の報告。

多剤耐性結核、PA-824を含む3剤併用レジメンが有望

 薬剤感受性の多剤耐性結核の新規治療法として、PA-824+モキシフロキサシン+ピラジナミド併用療法は適切なレジメンであり、今後、開発を進める価値があることが、南アフリカ共和国Stellenbosch大学のAndreas H Diacon氏らの検討で示された。薬剤抵抗性の結核による世界的な疾病負担を軽減するには、投与期間が短く耐性になりにくい新規薬剤の開発が求められる。近年、種々の新規抗結核薬の臨床評価が進められ、なかでもbedaquiline(ジアリルキノリン、TMC207)とPA-824(nitroimidazo-oxazine)は用量依存性の早期殺菌活性(early bactericidal activity; EBA)が確認され有望視されている。Lancet誌2012年9月15日号(オンライン版2012年7月23日号)掲載の報告。

静脈性下腿潰瘍、新規のスプレー式細胞療法が有効

 静脈性下腿潰瘍の治療として、新たに開発されたスプレー式の細胞療法(HP802-247)が有効なことが、米国・マイアミ大学Leonard M Miller医学校のRobert S Kirsner氏らの検討で示された。静脈性下腿潰瘍患者の多くは現在の標準治療では治癒しないという。HP802-247は、増殖を停止させた同種新生児角化細胞と線維芽細胞を含むスプレー薬で、静脈性下腿潰瘍の新たな細胞療法として開発が進められている。Lancet誌2012年9月15日号(オンライン版2012年8月3日号)掲載の報告。