日本語でわかる最新の海外医学論文|page:943

むち打ち関連障害(外傷性頸部症候群)の治療、活動への恐怖心軽減が重要

 外傷性頸部症候群(whiplash-associated disorders:WAD)では、活動への恐怖と回避が障害を助長する一因となる可能性がある。米国・ワシントン大学のJames P. Robinson氏らは、WAD患者を対象に恐怖の役割について検討し、恐怖を軽減させることが治療効果に影響を及ぼすことを明らかにした。Pain誌2013年3月号(オンライン版2012年12月1日)の掲載報告。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(77)〕 TNFα阻害薬により低疾患活動性を達成した関節リウマチ患者でTNFα阻害薬の減量や中止は可能か?

 TNFα阻害薬の登場により関節リウマチの診療にパラダイムシフトがおこり、関節リウマチの疾患活動性を数値化し、糖尿病や高血圧のように定められた治療目標(寛解、低疾患活動性)に向けて治療が強化されるようになった。一般的な治療方法は第一選択薬としてメトトレキサート(MTX)が使用され、治療目標を達成できない場合にTNFα阻害薬が使用される。

統合失調症、双極性障害の急性期治療に期待!アリピプラゾール筋注製剤

 非定型抗精神病薬であるアリピプラゾール(商品名:エビリファイ)は、統合失調症患者や双極性障害患者に対し広く用いられている。海外では筋注製剤も承認されており、急性期治療における有用な選択肢として期待されている。イタリア・サピエンツァ大学のSergio De Filippis氏らは、統合失調症または双極性障害の急性期治療として、アリピプラゾール筋注の有用性をオープランラベル試験により検証した。Pharmacotherapy誌オンライン版2013年3月15日号の掲載報告。

アトピー性皮膚炎患者の悩みの種、目の周りの黒ずみへのレーザー治療の有効性

 アトピー性皮膚炎患者の悩みの種となっている目の周りの黒ずみについて、レーザー治療が有効かつ安全に使用可能であることを、韓国・中央大学のKui Young Park氏らがパイロットスタディを行い報告した。アトピー性皮膚炎患者の多くに同症状がみられ治療への希求も高いが、同治療に関する文献的な報告はほとんどなかった。Journal of Cosmetic and Laser Therapy誌オンライン版2013年3月6日号の掲載報告。

RA単独療法は、トシリズマブがアダリムマブよりも症状改善が有意/Lancet

 メトトレキサート(商品名:リウマトレックスほか、MTX)が使用できない関節リウマチ(RA)患者に対する生物学的製剤の単独療法は、トシリズマブ(同:アクテムラ)がアダリムマブ(同:ヒュミラ)よりも優れることが、スイス・ジュネーブ大学病院のCem Gabay氏らによる第4相国際多施設共同無作為化二重盲検並行群間試験「ADACTA」の結果、示された。先行研究(第3相無作為化二重盲検対照試験)において、トシリズマブ+MTXまたはDMARDsの併用療法が異なるRA患者の症状を改善することが示されていたが、米国のRAレジストリにおいて約3分の1が生物学的製剤単独療法を受けているとの実態を受けて本検討が行われた。また、トシリズマブ単独療法の有効性および安全性は、先の第3相試験で示されていた。Lancet誌オンライン版2013年3月18日号掲載の報告より。

長距離ドライバーのカフェイン摂取、事故リスク減少と関連/BMJ

 商業用自動車の長距離ドライバーにとって、お茶やコーヒー、カフェイン錠剤などの法的に認められているカフェイン添加物は、事故のリスクを6割強減少することが、オーストラリア・ジョージ国際保健研究所のLisa N Sharwood氏らによる症例対照研究の結果、明らかになった。長距離ドライバーに関しては、疲労対策として違法な刺激物(コカインなど)の使用が知られる。一方で、カフェインは法的に認められた刺激物で広く消費されており、シミュレーションでは運転者の敏捷性や作業効率を亢進することが示されていたが、リアルワールドでの研究は行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2013年3月18日号の掲載報告。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(76)〕 ATLAS試験の功績は?~国際臨床試験の集大成~

 乳がんに対するホルモン療法の臨床試験は、古くから行われているが、このATLAS試験は、これまで行われたホルモン療法・抗がん剤の臨床試験の中で最も大規模な臨床試験であったと言える。全世界36ヵ国、10年かけて1万2,894名の患者が登録され、日本からも137例が登録された。

視機能喪失の訴えは、うつ病のリスク!?

 自己申告に基づく視機能喪失は、客観的な評価に基づく視力喪失よりも、うつ病との関連が有意であることが、米国・NIHのXinzhi Zhang氏らによる全米成人サンプル調査からのエビデンスとして示された。結果を踏まえて著者は「医療者は、視機能喪失を訴える人のうつ病リスクを認識しなければならない」と結論している。これまで、うつ病と視力喪失の関連について、全米成人サンプルにおける検討はされておらず、特異的なコホート、主に高齢者を対象としたものに限られていた。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2013年3月7日号の掲載報告。

陰性症状改善に!5-HT3拮抗薬トロピセトロンの効果は?

 慢性期統合失調症患者における陰性症状をどのように改善させるかは、今なお問題である。陰性症状にはセロトニン5-HT3受容体が関与することは知られている。イランのMaryam Noroozian氏らは、慢性期統合失調症患者に対する5-HT3拮抗薬トロピセトロン(本疾患には未承認)の追加投与による陰性症状への有効性と忍容性を評価した。Psychopharmacology誌オンライン版2013年3月21日号の報告。

退院時診断に基づくERの軽症患者の受診抑制策は効果的なのか?/JAMA

 米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のMaria C. Raven氏らは、非緊急の救急部門(ER)受診を退院時診断で特定できるのか、主訴と退院時診断を比較する検討を行った。米国では増大する医療費削減策として、ERのいわゆる軽症患者の受診を抑制するため、非緊急ER受診が退院診断と関連しているような場合は医療費支払いを拒否または制限するというメディケア施策が、複数の州で制定・実行または検討されているという。本施策については効果的とする一方、たとえば高齢の糖尿病患者で胸痛を訴えた後の逆流性食道炎が退院時診断であったような場合や、医療費支払いの制限を心配した過度の受診抑制が起きるのではないかという懸念も示されている。JAMA誌2013年3月20日号掲載の報告より。

高力価スタチン服用者、急性腎障害による入院リスクが高い/BMJ

 慢性腎障害がみられない患者の場合、高力価スタチン服用者は低力価スタチン服用者に比べ急性腎障害による入院率が有意に高いことが、カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学のColin R Dormuth氏らの検討で示された。スタチンの腎臓に対する有害作用の可能性を示唆する研究がいくつかあるが、スタチンによる急性腎障害に関する検討はこれまで行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2013年3月20日号掲載の報告。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(75)〕 プライマリ・ケア医による閉塞性睡眠時無呼吸の管理は、睡眠専門施設に劣らない

 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の診断と重症度評価は、睡眠センターにおける終夜睡眠ポリグラフ(PSG)によってなされてきた。近年、入院せずに在宅で行う簡易モニターの有用性が示され、代表的な治療法であるCPAPも自動的に圧調節が可能となり、適正圧の決定ができるようになってきた。しかし、OSA患者の管理が、睡眠センターの専門医ではなく、プライマリ・ケアを担当する医師と看護師でも可能であるかは明らかでない。

慢性腰痛症の高齢者、体重が痛みや歩行時間と関連

 腰痛を有する高齢者で肥満者は過体重者より、歩行および階段昇段時の疼痛が強く腰椎の強度が低いことが、米国・フロリダ大学のHeather K. Vincent氏らの比較記述的研究で示された。腰椎伸展強化を含むリハビリテーション戦略は機能的な可動性と歩行時間を改善し、そのどちらも慢性腰痛症を有する肥満高齢者の体重管理に役立つ可能性がある、とまとめている。

ECTが適応となる統合失調症患者は?

 電気けいれん療法(ECT)は双極性障害や大うつ病などの気分障害の治療において有効な手段のひとつである。また、統合失調症の緊張型、重症なうつ病、躁病、その他の感情障害に対して有効な治療法でもある。イタリア、ラ・サピエンツァ大学のMaurizio Pompili氏らは統合失調症患者に対するECTの短期的および長期的な効果や薬物療法との比較を行い、ECT適応患者を明らかにしようと試みた。Schizophrenia research誌オンライン版2013年3月14日号の報告。

心肺蘇生への立ち会い、家族のPTSDを抑制/NEJM

 自宅で心停止を来した患者に対する心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation:CPR)に家族が立ち会うことで、立ち会わない場合に比べ心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症が有意に改善することが、フランス・アヴィセンヌ病院(ボビニー)のPatricia Jabre氏らの検討で示された。先進工業国では心停止が年間約60万件発生しており、蘇生に立ち会う家族の心理的、身体的負担は大きいが、可能な限りの蘇生処置が行われたことを知るという長所がある。また、家族が立ち会うことで、見えない場所で行われる蘇生処置への疑念や非現実的な期待が払拭されるとともに、最後の別れの機会が提供され、死の現実を理解することで死別のプロセスの遷延化や病的な悲嘆、PTSDを軽減する可能性があるという。NEJM誌オンライン版2013年3月14日号掲載の報告。

血中循環腫瘍DNA、転移性乳がんに特異的で高感度のバイオマーカー/NEJM

 血中循環腫瘍DNA(circulating tumor DNA)は、転移性乳がんに関し、特異的で感度の高いバイオマーカーであることが示された。従来マーカーのがん抗原15-3(CA 15-3)や血中循環腫瘍細胞(circulating tumor cells)よりも、腫瘍量との相関関係が強いという。英国・ケンブリッジ大学のSarah-Jane Dawson氏らが、転移性乳がん患者30例について行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌2013年3月13日号で発表した。転移性乳がん患者については、その治療反応性のモニタリングを目的とした、より適切なバイオマーカーが必要とされている。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(74)〕 進行性腎機能障害を呈する特発性膜性腎症の治療にはステロイド+アルキル化剤が有用

 特発性膜性腎症は、その経過中に自然寛解する例が20~30%あるため、これが薬物療法の評価を一部左右する可能性がある。また、腎機能がすでに低下している症例に関しては、臨床試験の確実なエビデンスが得られていない。本研究は進行性の腎機能障害が確認されている例が対象であるため、自然寛解の影響を考慮する必要がなく、また、すでに腎機能障害のある症例の治療効果を検証するという意味で、意義が大きい。

p53と乳がんのサブタイプ、化学療法への反応 ザンクト・ガレン乳癌カンファレンス2013 会員レポート

 2013年3月13日から16日までスイス ザンクト・ガレンにて第13回ザンクト・ガレン乳癌カンファレンス2013が開催された。この重要な会議における、実用的な情報をニュートラルに提供するため、ケアネットでは会員現役ドクターによる聴講レポートを企画。現在そして今後の乳がん診療トレンドを本日から紹介する。