日本語でわかる最新の海外医学論文|page:946

慢性C型肝炎、経口薬のみの併用療法に現実味/NEJM

 C型肝炎ウイルス(HCV)の慢性感染に対し、インターフェロンを用いない経口薬だけの併用療法の有効性に関する報告がNEJM誌2013年8月15日号に発表された。ドイツ・ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学メディカルセンターのStefan Zeuzem氏らが行った、新規開発中の2剤のC型肝炎治療薬、ファルダプレビル(プロテアーゼ阻害薬)とデレオブビル(非ヌクレオシド系ポリメラーゼ阻害薬)に関する第2b相無作為化非盲検試験の結果で、治療終了後12週時点の持続性ウイルス学的著効(SVR)の達成は39~69%であったという。検討では2剤併用のほか、インターフェロンとの併用にも用いられる抗肝炎ウイルス薬リバビリン(商品名:コペガスほか)を組み合わせたレジメンの検討も行われ、3剤併用療法のほうがSVR達成が高率だったことも示された。

各抗うつ薬のセロトニン再取り込み阻害作用の違いは:京都大学

 臨床使用される抗うつ薬の大半は、シナプス間隙でのモノアミン濃度を急激に上昇させるが、その治療効果のために数週間の投与を必要とする。このように効果が遅発性なのは、セロトニン作動性神経における神経適応変化が緩徐なためと考えられている。京都大学大学院薬学研究科の永安一樹氏らは、抗うつ薬慢性処置のセロトニン遊離への影響について、ラットの縫線核脳切片培養系を用いて調べた。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2013年8月7日号の掲載報告。

手根管症候群にHLTパッチが有用

 手根管症候群(CTS)は、疼痛、感覚異常、筋力低下などを特徴とする正中神経の圧迫性神経障害である。米国・International Clinical Research Institute社のSrinivas Nalamachu氏らが実施したパイロット試験の結果、発熱成分、リドカイン、テトラカインを組み合わせた局所貼付剤(HLTパッチ)がCTSの疼痛緩和に有用であることを報告した。

大うつ病患者のGERD有病率は高い

 大うつ病(MDD)患者における胃食道逆流症(GERD)の有病率は、健常人と比較して有意に高いことが台中ベテランズ総合病院のPo-Han Chou氏らの研究により明らかになった。精神科医は大うつ病患者を診る際、日常診療において、胸焼けや嚥下障害など、逆流性食道炎の症状がないか注意を払い、症状を認めた場合は専門医に相談すべきである。Psychosomatics誌オンライン版2013年8月13日号の報告。

改めて問われる、心血管リスクとしての腎結石の意義(コメンテーター:石上 友章 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(126)より-

 腎結石を有する女性に、冠動脈性心疾患(CHD)のリスクが増大することが報告された。Ferraroらの長期にわたる観察研究は、質・量において、従来のコホートを圧倒している。したがって、事実として彼らの定義する腎結石とCHDとが統計的に有意に関連していることは、疑いようがないだろう。

確実な紫外線対策は物的バリアで

 日焼けによる損傷は、悪性黒色腫と関連した最も重要な環境要因だが、スペイン・バルセロナ大学のCristina Carrera氏らは、母斑への紫外線誘発の影響を防御することを目的とした日焼け止め外用の効果について、物的バリアとの比較で検証した。その結果、日焼け止めには物的バリアほど炎症性の紫外線の影響を防御する効果がないことを報告した。JAMA Dermatology誌2013年7月号の掲載報告。

プロバイオティクスはアトピー感作や喘息のリスクを低下させるのか?

 出生前や出生後早期に、プロバイオティクスを投与することは、アトピー感作リスクや総IgEを低下させるが、喘息・喘鳴発症のリスクは低下させないことが、米国マイアミ大学小児科学のNancy Elazab氏らにより報告された。Pediatrics誌オンライン版2013年8月19日号の掲載報告。

リセドロン酸、小児骨形成不全への有用性を確認/Lancet

 小児骨形成不全症に対する経口リセドロン酸の安全性と有効性を検討した結果、骨密度の増大、骨折の初発・再発リスクの減少が認められ、忍容性も良好であったことが、英国・シェフィールド小児病院のNick Bishop氏らによる多施設共同無作為化並行群間二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告された。小児骨形成不全症に対しては、しばしばビスホスホネート製剤の静注投与が行われているが、定期的な入院治療を要するなど利便性、コスト面、また患児に与える精神的ストレスなどが大きい。経口治療はQOLの大きな改善につながるとして期待されているが、従来のビスホスホネート製剤を用いた試験では骨折リスクの改善が示されなかった。Lancet誌オンライン版2013年8月5日号掲載の報告より。

僧帽弁逆流、早期手術が長期生存率を有意に増大/JAMA

 僧帽弁尖動揺による僧帽弁逆流を呈する慢性僧帽弁閉鎖不全症の患者に対し、早期に僧帽弁手術を実施する治療戦略は初期薬物療法による経過観察戦略と比較して、長期生存率の増大および心不全リスクの低下に関連していることが示された。米国・メイヨークリニック医科大学のRakesh M. Suri氏らが、1,000例を超える多施設共同レジストリデータの分析の結果、報告した。クラスIトリガー(心不全または左室機能不全)を有さない重症僧帽弁閉鎖不全症患者の至適治療については、現状の治療戦略の長期結果の定義が曖昧なこともあり、なお議論の的となっている。同検討に関する臨床試験データはなく、それだけに今回の検討は重大な意味を持つところとなった。JAMA誌2013年8月14日号掲載の報告より。

SSRI/SNRI治療患者の約7割はアドヒアランス不良

 イタリア・ボローニャ大学のElisabetta Poluzzi氏らは、過去6年間の抗うつ薬処方の傾向と、SSRIまたはSNRIの治療を受ける患者のアドヒアランスについて評価した。その結果、過去6年間で抗うつ薬消費量は20%増えていたこと、SSRI/SNRI治療のアドヒアランスは23.8%であったことなどを報告した。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2013年8月1日号の掲載報告。

大腸用カプセル内視鏡が承認取得~こわくない、恥ずかしくない大腸検査~

 大腸がん検診で便潜血検査が陽性となり要精密検査とされても、大腸内視鏡検査を受診しない人は4割以上に上る。その理由としては「自覚症状がないから」が最も多いが、「痛くてつらそう」「恥ずかしい」という理由も多いという。こうした状況のなか、2013年7月、ギブン・イメージング株式会社の大腸用カプセル内視鏡「PillCam® COLON 2カプセル内視鏡システム」が、審査期間10ヵ月というスピードで承認された。これにより、大腸内視鏡検査をさまざまな理由で受けられない人たちの精密検査のオプションとして提供されることになった。今後、保険適用が認められれば検査数が大幅に増加することが予想される。  

鉄剤静注はメリットあるが感染リスクで相殺/BMJ

 鉄剤の静注投与は、ヘモグロビン濃度を増大し、同種異系の赤血球輸血リスクを低下して急性期治療を要する幅広い場面で適用可能だが、一方で感染リスクの増大もあり、その潜在的有効性は相殺されてしまうことが明らかにされた。オーストラリア・王立パース病院のEdward Litton氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。急性期の患者に対し赤血球輸血は有用だが関連有害事象、コストや不足に対する懸念が増加している。一方で鉄剤の静注投与は、鉄欠乏性貧血患者のヘモグロビン濃度を増大するのに有効であることは明らかであったが、その他の重大有害事象との関連や感染リスクについては不明であった。BMJ誌オンライン版2013年8月15日号掲載の報告より。

遠隔虚血プレコンディショニング、CABGの予後を改善/Lancet

 遠隔虚血プレコンディショニング(RIPC)は、待機的冠動脈バイパス術(CABG)施行後の心筋傷害を抑制し、全死因死亡を改善する可能性があることが、ドイツ・エッセン大学病院のMatthias Thielmann氏らの検討で示された。RIPCは、遠隔臓器や血管領域の虚血と再灌流を短時間で繰り返す手技で、CABG施行後の心筋傷害のリスクを低減することが示唆されているが、心筋バイオマーカーの改善が臨床転帰の改善に結びつくかは明らかにされていないという。Lancet誌2013年8月17日号掲載の報告。

脳腫瘍術後のけいれん予防にレベチラセタム有用

 韓国・ソウル大学ブンダン病院のYoung Jin Lee氏らは、開頭術後のけいれん予防として投与したレベチラセタムの有効性と安全性について、バルプロ酸と比較検討した。その結果、発作アウトカムは両薬剤で同程度であるが、レベチラセタムはバルプロ酸に比べ長期合併症の発現が少なく、副作用による薬剤変更やその他の抗けいれん薬の追加投与が少ないことを報告した。CNS Drugs誌オンライン版2013年8月7日号の掲載報告。

腰痛予後不良の予測因子は疼痛強度と思い込み

 腰痛の長期予後に関する予測因子はほとんどわかっていない。英国・キール大学のPaul Campbell氏らは、プライマリ・ケアにおける腰痛患者を前向きに5年間追跡した結果、疼痛強度および腰痛が持続するかどうかについての患者の認識が、6ヵ月後および5年後の予後不良を予測する因子であることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「両因子が臨床的な介入目標となる可能性がある」と結論している。