日本語でわかる最新の海外医学論文|page:917

虚血性心筋症における幹細胞注入療法の安全性/JAMA

 慢性虚血性心筋症患者における自己間葉系幹細胞(MSC)と自己骨髄単核細胞(BMC)による経心内膜幹細胞注入療法は、安全と思われることが報告された。米国・マイアミ大学のAlan W. Heldman氏らが、65例の患者について行った第1相および第2相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。同患者への自己細胞培養による幹細胞注入療法の有効性と安全性については議論の的となっている。著者は、「今回の結果は、サンプルサイズと多重比較の点で限定的だが、より大規模な試験で、安全性の明確なエビデンスを得ること、また治療アプローチの有効性の評価を行うことを支持するものであった」と述べている。JAMA誌オンライン版2013年11月18日号掲載の報告より。

論文公表率はそんなに低くなかったが、やはり100%を目指してもらいたい。(コメンテーター:折笠 秀樹 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(158)より-

 ClinicalTrials.govへ登録済みである585件の臨床試験の中で、29%が論文として公表されていなかった。また、試験完了から出版までの期間はおよそ30ヵ月であった。500症例以上の大規模試験に限った調査ではあるが、思ったほど悪くないというのが率直な感想である。

双極性障害の認知障害にインターロイキン-1が関与

 双極性障害(BD)の特徴である認知障害は炎症性サイトカインによって悪化する可能性が示唆されていた。このたび、米国・ピッツバーグ大学のFrancis E. Lotrich氏らの検討により、認知障害の悪化にインターロイキン(IL)-1系が関与している可能性を支持する所見が示された。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2013年11月25日号の掲載報告。

複合性局所疼痛症候群に対するTNF-α阻害薬の効果

 複合性局所疼痛症候群(CRPS)には、TNF-αなどの炎症性サイトカインが関与していると考えられることから、TNF-α阻害薬の治療効果が期待されている。オランダ・エラスムス大学医療センターのMaaike Dirckx氏らは、インフリキシマブ(商品名:レミケード)による無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験を行った。

院外心停止に対する機械的心肺蘇生、予後は手動と同等/JAMA

 院外心停止患者に対する、除細動併用の機械的心肺蘇生(CPR)と手動CPRとを比較した結果、4時間生存率に有意差は認められなかったことが判明した。スウェーデン・ウプサラ大学のSten Rubertsson氏らが、英・オランダを含めた3ヵ国6施設で登録された2,589例の院外心停止患者を対象に行った多施設共同無作為化試験「LINC」の結果、報告した。院外心停止に対する機械的CPRは、予後を改善する可能性が示唆されていたが、これまで大規模試験は行われていなかった。なお、6ヵ月時点までの神経学的アウトカムについても報告されているが、両群間に有意差はなく生存患者の94~99%のアウトカムが良好であったという。JAMA誌オンライン版2013年11月17日号掲載の報告より。

ワルファリン投与量を遺伝子ガイドにより調整してみた/NEJM

 抗凝固療法コントロールについて、薬理遺伝学的ベースの遺伝子ガイドによりワルファリン投与量を調整して行っても、治療開始4週間の改善はみられなかったことが大規模無作為化試験の結果、示された。米国・ペンシルベニア大学のStephen E. Kimmel氏らが報告した。遺伝子ガイド(薬理遺伝学的をベースとした)によるワルファリン投与法は、これまで小規模臨床試験および観察試験で検討されたのみで、臨床における有用性は曖昧であった。NEJM誌オンライン版2013年11月19日号掲載の報告より。

糖尿病患者の腎保護作用を期待できる降圧薬は?(コメンテーター:浦 信行 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(157)より-

 まず、在来の臨床研究では尿蛋白低減効果をエンドポイントとしたものが多いが、このメタ解析のエンドポイントをハードエンドポイントである血清クレアチニン濃度の倍化、末期腎不全、死亡としたことに意義がある。われわれの最終目標は腎障害進展抑制、生命予後改善だからである。

ドーパミン活性レベルの維持に関与する遺伝子多型を特定:弘前大

 弘前大学大学院医学研究科の土嶺 章子氏らは、認知機能測定の指標として、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)遺伝子Val158MET多型が有用であることを明らかにした。COMTはドーパミンやアドレナリン、ノルアドレナリンなどの代謝酵素で、ドーパミン代謝経路の主成分である。今回の検討で、同遺伝子多型がドーパミン活性の最適レベルを維持しているという仮説を支持する知見も得られたという。PLoS One誌2013年11月号の掲載報告。

ザリガニから重篤な皮膚感染症の原因菌:日本でブルーリ潰瘍が増加

 熱帯および亜熱帯地域ではよくみられるブルーリ潰瘍の発症例が、近年、日本で増加しているという。ブルーリ潰瘍(アフリカ・ウガンダのブルーリ地方で多く報告されたことで命名)は、細菌の一種である抗酸菌のMycobacterium(M.) ulceransを原因とする重篤な皮膚感染症であるが、これまで環境中からの病原菌の検出には至っていなかった。福島県立医科大学医学部皮膚科学講座の大塚 幹夫氏らは、まれな症例であった家族3人の同時発生例について調査した結果、居宅の裏庭にある流れが停滞した水路で捕獲したザリガニから同病原菌が有するのと同一の遺伝子を検出したという。JAMA Dermatology誌オンライン版2013年11月6日号の掲載報告。

LDLコレステロールを推算する新方程式/JAMA

 LDLコレステロール(LDL-C)値推算法について、従来のFriedewald式よりも正確なガイドラインのリスク層別化に優れた新たな方程式が、米国・ジョンズ・ホプキンス大学チッカローネ心疾患予防センターのSeth S. Martin氏らにより開発された。Friedewald式は1972年に448例の患者のデータを分析して編み出された、LDL-C実測の手間とコストがかからない計算式であり、長年、研究や臨床の目標値として、また国際的ガイドライン等の主要目標として取り入れられてきた。新推算法は、従来式の「トリグリセリド(TG)/5」の5という固定係数の解消を図ったもので、135万人の脂質データを分析して新たに補正係数を作成し、それを用いた評価法を開発した。JAMA誌2013年11月20日号掲載の報告より。

心房細動患者、減量も大事/JAMA

 心房細動患者の治療マネジメントにおいては、心血管代謝リスク因子のマネジメント強化とともに減量を指導することが、心房細動の症状および重症度の軽減に結びつき、また心臓リモデリングに有益であることが示された。オーストラリア・アデレード大学のHany S. Abed氏らが、単施設150例を対象とした無作為化試験の結果、報告した。肥満は心房細動のリスク因子であることは知られているが、減量と心血管代謝リスク因子のマネジメントが、心房細動の症状を軽減するかについては不明であった。JAMA誌2013年11月20日号掲載の報告より。

消化管手術の創合併症発症率は真皮縫合とステープラーで同等である(コメンテーター:中澤 達 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(156)より-

 ステープラーによる皮膚縫合は消化器外科での開腹手術後に広く行われている反面、もう一つの手段である真皮縫合の潜在的な利点については評価されていない。本研究はオープンラベル多施設ランダム化比較試験として、24施設が参加して行われた。適応基準は、20歳以上、臓器機能異常なし、上部消化管または下部消化管の開腹外科手術を施行された患者。手術前に真皮縫合とステープラー群に1:1で割り付けられた。

難治性てんかん患者に対するレベチラセタムの有用性はどの程度か

 新規抗てんかん薬は、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められない場合の併用療法に使用することが定められているが、どの程度の有効性が期待できるのだろうか。中国・復旦大学のYouxin Fang氏らは、てんかん患者に対しレベチラセタム(LEV)を併用した際の有効性と忍容性を明らかにするためメタ解析を実施した。その結果、LEVの追加はプラセボに比べ、発作を有意に減少させ、忍容性も良好であることを報告した。Journal of Clinical Neuroscience誌オンライン版2013年11月11日号の掲載報告。

アトピー性皮膚炎や喘息がてんかんの有病率に影響

 小児において、アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー性疾患の有無はてんかんの既往と関連しており、また、アレルギー性疾患の数が増えると、てんかんの有病率や生涯有病率が高まることが、米国ノースウェスタン大学のJonathan I Silverberg氏らの調査によって報告された。Allergy誌オンライン版2013年11月20日掲載の報告。

慢性腰痛の痛みや機能障害などの改善に水中療法の集中プログラムが有効

 水中療法の週5回2ヵ月間集中プログラムは、慢性腰痛患者の疼痛、機能障害、身体組成値および体力測定値を改善するとともにQOLを向上させることが認められた。スペイン・グラナダ大学のPedro Angel Baena-Beato氏らによる比較臨床試験で明らかとなった。Clinical Rehabilitation誌オンライン版2013年10月31日号の掲載報告。

薬剤溶出性ステントの優劣は1年の短期成績によって決めてよいか?(コメンテーター:上田 恭敬 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(155)より-

 DUTCH PEERSは、臨床で使用される頻度が高い2つの第三世代ステントであるコバルトクロム製のゾタロリムス溶出ステント(米国メドトロニック社製「リゾリュートインテグリティ」)、あるいはプラチナクロム製のエベロリムス溶出ステント(米国ボストン・サイエンティフィック社製「プロマス・エレメント」)の留置を受けた全患者を対象に、安全性と有効性を評価することを目的とした無作為化単盲検多施設共同非劣性試験である。