日本語でわかる最新の海外医学論文|page:916

脳動静脈奇形(未破裂)の予防的切除や塞栓術は予後を改善できるか?/Lancet

 未破裂脳動静脈奇形には、薬物療法単独のほうが、薬物療法+介入治療を行うよりも死亡や脳卒中のリスク抑制に優れることが明らかにされた。米国・コロンビア大学医療センターのJ P Mohr氏らによる多施設共同非盲検無作為化試験「ARUBA」の結果、示されたもので、これまで未破裂脳動静脈奇形の予防的切除の臨床的ベネフィットは明らかになっていなかった。Lancet誌オンライン版2013年11月19日号掲載の報告より。

脳梗塞急性期の積極的な降圧治療は2週間後の転帰を改善するか?/JAMA

 虚血性脳卒中患者の急性期における降圧治療は、死亡や身体機能障害の抑制に寄与しないことが、米国・チューレーン大学のJiang He氏らが行ったCATIS試験で示された。高血圧患者や脳卒中、一過性脳虚血発作(TIA)の既往歴を有する正常血圧者では、降圧治療により脳卒中のリスクが低減することが報告されている。脳卒中の1次および2次予防における降圧のベネフィットは確立されているが、血圧の上昇がみられる急性虚血性脳卒中患者に対する降圧治療の効果は知られていないという。JAMA誌オンライン版2013年11月17日号掲載の報告。

急性咽頭炎に対する抗菌薬の適応はどのように判断するか?(コメンテーター:小金丸 博 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(160)より-

 プライマリケアの現場では、いまだに多くの急性咽頭炎の患者に抗菌薬が投与されている。急性咽頭炎の原因の多くはウイルス性であり、抗菌薬が不要なことが多い。しかしながら、A群溶連菌による咽頭炎に対しては、主に扁桃周囲膿瘍などの化膿性合併症の予防と急性リウマチ熱の予防のために、抗菌薬の投与が必要となる。抗菌薬投与の適応を決定するために、臨床症状を用いたスコア(Centor criteria)や迅速抗原検査が使用されているが、これらの有用性を支持する強いエビデンスはほとんど存在しなかった。

コーヒー・緑茶と上部気道消化管がんリスクとの関連~コーヒーと緑茶では逆

 上部気道消化管がんリスクにおけるコーヒーや緑茶の影響ははっきりしていない。これらは通常摂取するときに高温であるため、その潜在的なリスク増加により、含まれる成分の抗発がん作用の評価に交絡が生じている。愛知県がんセンター研究所疫学・予防部の尾瀬 功氏らは、コーヒーや緑茶の摂取と上部気道消化管がんのリスクとの関連を評価するために、ケースコントロール研究を実施した。その結果、コーヒーの摂取は上部気道消化管がんのリスク低下と関連する一方、緑茶はリスク増加と関連する可能性があることを示唆した。International Journal of Cancer誌オンライン版2013年12月6日号に掲載。

日本人統合失調症患者、遅発例と早期発症例の特徴は:自治医大

 遅発性統合失調症は、DSM-Ⅳには記載がないものの、その臨床的特徴について多くの研究で報告されている。しかし、とくにアジア諸国において、遅発性統合失調症に関する研究は限られている。自治医科大学の安田 学氏らは、疫学調査により遅発性統合失調症と早期発症統合失調症を比較し、その臨床的特徴について検討した。Psychogeriatrics誌2013年12月号の報告。

慢性腰痛に対する腰椎固定術は長期転帰を改善しない

 慢性腰痛の治療において、保存療法に対する手術療法の有効性については議論の余地があり、長期転帰はほとんど知られていない。スイス・Schulthess KlinikのAnne F. Mannion氏らは、平均11年間にわたる追跡調査を行い、脊椎固定術と認知行動・運動療法とで患者の自己評価に差はないことを示した。

遺伝子型を用いた個別化医療は可能か不可能か?―ワルファリンの場合―(コメンテーター:後藤 信哉 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(159)より-

 ワルファリンの薬効には個人差がある。個人差を規定する因子は遺伝子型と生活習慣の差異であろう。遺伝子型が血液型と同じように医療基盤として確立された場合に、ワルファリン治療の質は向上できるだろうか?同じ臨床的疑問にチャレンジした2本の論文がNEJM誌に掲載された。2つの論文は全く別の結論を導きだしている。

アトピー性皮膚炎、FLG変異があるとアレルギー感作リスクが高い

 ハンガリー・デブレツェン大学のG. Mocsai氏らは、皮膚バリア機能と皮膚の炎症の重症度が関連していることを報告した。炎症が重症でフィラグリン(FLG)遺伝子変異と野生型アトピー性皮膚炎(AD)を有する患者では関連が弱まる可能性があり、FLG変異を有する患者のほうが、野生型AD患者よりもアレルギー感作のリスクが高い可能性があることが示唆されたという。British Journal of Dermatology誌オンライン版2013年11月20日号の掲載報告。

これからのうつ病治療はWebベース介入で変わるのか

 大うつ病性障害(MDD)は一般的、かつ重篤な障害である。MDDに対し効果的な治療が存在するものの、医療システムのキャパシティー不足などにより、多くの患者が未治療の状態にある。待機期間中は、慢性化のリスクとともに、苦しみや障害が長引く。うつ病において、Webベース介入の有効性に関するエビデンスが多くの研究で示されており、問題の軽減に役立つ可能性がある。BMC Psychiatry誌2013年11月26日号の掲載報告。

腎動脈ステントは薬物療法を超えるか?/NEJM

 アテローム硬化性腎動脈狭窄で、高血圧あるいは慢性腎臓病を有する患者への腎動脈ステントは、薬物療法単独と比べて臨床イベントの予防に関して有意なベネフィットをもたらさないことが明らかになった。米国・トレド大学のChristopher J. Cooper氏らによる多施設共同オープンラベル無作為化対照試験「CORAL」の結果、報告された。高齢者に一般的にみられるアテローム硬化性腎動脈狭窄について、先行研究2件において、腎動脈ステントは腎機能改善にベネフィットがないことが示されていた。しかし、重大有害腎・心血管イベント予防に関しては不明であったことから本検討が行われた。NEJM誌オンライン版2013年11月18日号掲載の報告より。

遺伝子型に基づきワルファリンの初期投与量を決める試み/NEJM

 遺伝子型に基づきワルファリンの初期投与量を決めることで、投与開始12週間に治療域の国際標準比(INR)2.0~3.0であった時間の割合が改善したことが示された。過剰抗凝固(INR 4.0以上)の発生率も、有意に低下したという。英国・リバプール大学のMunir Pirmohamed氏らが、心房細動または静脈血栓塞栓症の患者を対象とした前向き無作為化比較試験の結果、報告した。NEJM誌オンライン版2013年11月19日号掲載の報告より。

精神病性うつ病に、抗うつ薬+抗精神病薬は有効か

 精神病性うつ病に対しては、抗うつ薬と抗精神病薬の併用、抗うつ薬単独療法または抗精神病薬単独療法などが考慮されるが、最適な薬物治療のエビデンスは限られていた。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJaap Wijkstra氏らは、精神病性うつ病に対する薬物療法のエビデンスをレビューした。その結果、抗うつ薬と抗精神病薬の併用療法が、抗うつ薬単独療法または抗精神病薬単独療法に比べ、うつ症状の軽減に有効であることを報告した。今回の知見についても、著者は「精神病性うつ病に関する検討は多いが、結論の信頼性は十分なものではなかった。抗うつ薬と抗精神病薬の併用がそれぞれの単独またはプラセボに比べて有効であることを示すエビデンスがいくつかあるが、抗うつ薬または抗精神病薬単独療法のエビデンスは限られている」と報告している。Cochrane Database of Systematic Reviews2013年11月26日号の掲載報告。

ロタウイルスワクチン、乳児けいれん発作に予防効果

 ロタウイルスワクチンを完全接種(RV5を3回またはRV1を2回)した乳児は、非接種児と比較して、けいれん発作リスクが統計的に有意に低下(初発けいれん発作リスクの18%低下、1年間の全けいれん発作リスクの21%低下)したことが明らかになった。米国国立予防接種・呼吸器疾患センター(NCIRD)のDaniel C. Payne氏らが、2006~2009年のVaccine Safety Datalink(VSD)登録の乳児25万人のデータを後ろ向きに分析し報告した。著者は、「今回示された乳児けいれん発作の減少は、ロタウイルスワクチン関連ベネフィットである、下痢による入院の予防効果を補完するものである」とまとめている。Clinical Infectious Disease誌オンライン版2013年11月20日号の掲載報告。

ナッツを毎日食べる人ほど健康長寿/NEJM

 ナッツ摂取頻度が多い人ほど、総死亡やがんなど特異的死亡リスクが低くなるという、逆相関の関連性が認められることが、大規模コホート試験で明らかになった。米国・ハーバードメディカルスクールのYing Bao氏らが、米国の看護師健康調査(1980~2010年)と医療従事者追跡調査(1986~2010年)の参加者約12万人について行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌2013年11月21日号で発表した。先行研究で、ナッツ摂取量が多い人ほど、心血管疾患や2型糖尿病など主要な慢性疾患リスクが低くなることは知られていたが、死亡リスクとの関連は不明だった。