双極性障害の認知障害にインターロイキン-1が関与

提供元:ケアネット

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公開日:2013/12/06

 

 双極性障害(BD)の特徴である認知障害は炎症性サイトカインによって悪化する可能性が示唆されていた。このたび、米国・ピッツバーグ大学のFrancis E. Lotrich氏らの検討により、認知障害の悪化にインターロイキン(IL)-1系が関与している可能性を支持する所見が示された。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2013年11月25日号の掲載報告。

 研究グループは、本検討において(1)血清IL-1受容体アンタゴニスト(IL-RA)値が高齢BD患者において上昇がみられるのか、(2)IL-1RAは神経認識機能の悪化と関連しているのか、(3)IL-1RA は白質統合性と関連しているのか、を明らかにすることを目的とした。対象は寛解期BD高齢患者21例と、年齢が同等の健常対照26例で、酵素結合イムノアッセイで測定した血清IL-1RA値を用いて両群の比較を行った。神経認識機能悪化との関連は、神経認識機能検査による4因子分析から得られたzスコアと全体zスコアを参考に評価した。白質統合性との関連は、拡散テンソル画像(diffusion tensor image:DTI)で異方性(FA)を評価し、自動ラベリングパスウェイアルゴリズムを用いて白質過強度負荷を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・寛解期BD高齢患者群の年齢は、65±9歳であった。
・血清IL-1RA値は、患者群(439±326pg/mL)のほうが健常対照群(269±109pg/mL)よりも有意な上昇が認められた(p=0.004)。
・また、IL-1RAは、3つの認知機能因子および全体的認知機能と逆相関の関連がみられた(r=-0.37、p=0.01)。
・IL-1RAの全体的認知機能との関連性は、IL-6または脳由来神経栄養因子が変動しても持続した。
・FAは、BD患者群で有意に低く(0.368±0.02 vs. 0.381±0.01、p=0.002)、IL-1RA とFAあるいは白質過強度負荷との関連はみられなかった。
・以上より、BD患者の血清IL-1RA値上昇は、寛解期においても認知機能悪化と関連していた。この関連は、IL-6の増大、一方での脳由来神経栄養因子の減少、あるいは白質統合性でも説明できなかった。
・所見は断面的ではあるが、IL-1系がBDにおける認知機能障害に関与している可能性を支持するものであった。

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(ケアネット)