日本語でわかる最新の海外医学論文|page:904

造血細胞移植後の重大な心血管疾患リスクを減らすには?

 造血細胞移植後の心血管疾患リスクに対する生活習慣の影響について、米国フレッドハッチンソンがん研究センターのEric J. Chow氏らが検討した。その結果、医師が心血管リスク因子と生活習慣に注意を払うことにより、造血細胞移植後の重大な心血管疾患の罹患率を減少させる可能性が示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2013年12月2日号に掲載。

人工股関節と膝関節置換術、肺塞栓症発生率はどちらが高いか?

 これまで、米国における、待機的初回人工股関節/膝関節置換術における入院中の肺塞栓症発生率は不明であった。以前の研究ではがん、外傷または再置換術の患者が含まれていたためである。今回、米国・メリーランド大学メディカルセンターのUsman Zahir氏らが行った後ろ向きコホート研究の結果、膝関節置換術は股関節置換術より入院中の肺塞栓症の発生率および発生リスクが高いことが明らかとなった。

ピーナッツを食べると長生き(コメンテーター:桑島 巌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(162)より-

 アーモンド、ピーナッツ、栗、クルミ、落花生などのナッツ類は、不飽和脂肪が豊富で、かつカリウム、マグネシウム、カルシウムといったミネラル、それにビタミンも多く含まれる栄養価の高い食べ物であることが知られている。事実、内皮機能の改善やインスリン抵抗性を改善するという報告もある。本論文はナースヘルス追跡研究という約7万6,000人の女性を対象とした追跡調査と、ヘルスプロフェッショナル研究という約4万2,000人の男性を対象とした追跡研究という2つの大規模な疫学研究をまとめた結果で、ナッツ消費量多いほど死亡率が少ないという結論を示した。

うつ病治療に対する、電気けいれん療法 vs 磁気けいれん療法

 電気けいれん療法(ECT)は、うつ病の治療において有効性が高く、確立された治療法である。一方、磁気けいれん療法(MST)は最近開発され、ECTと同等の有効性を示し、かつ副作用が少ないことが示されている。ドイツ・ボン大学のM. Soehle氏らは、うつ病の治療に使用されるECTとMSTについて、全身麻酔における覚醒時間を比較検討した。その結果、同程度の麻酔深度において、けいれん誘発後の覚醒は、ECTよりもMSTのほうが早いことが判明した。British Journal of Anaesthesia誌オンライン版2013年12月3日号の掲載報告。

シミュレーションによるコミュニケーション訓練、実臨床では改善効果なし/JAMA

 シミュレーション・ベースのコミュニケーション技能訓練は、内科研修医やナース・プラクティショナーの終末期ケアのコミュニケーションやケアの質を改善しないことが、米国・ワシントン大学のJ Randall Curtis氏らの検討で示された。終末期ケアに関するコミュニケーションは臨床技能の中心に位置づけられる。シミュレーションに基づく訓練により技能獲得が改善されることが示されているが、患者報告によるアウトカムへの影響は、これまで明らかにされていなかった。JAMA誌2013年12月4日号掲載の報告。

虚血性僧帽弁逆流症、僧帽弁形成術vs.置換術のアウトカムは同等/NEJM

 虚血性僧帽弁逆流症に対し、僧帽弁形成術と置換術では、12ヵ月の左室収縮終末期容積係数(LVESVI)は同等であることが示された。死亡率も有意差はなかったが、中等度~重度の僧帽弁逆流症の再発率については、形成術群が置換術群より有意に高率だった。米国・ペンシルベニア大学のMichael A. Acker氏らが、251例の患者について行った無作為化比較試験の結果、明らかにした。虚血性僧帽弁逆流症は、死亡リスクが高く、ガイドラインでは手術が推奨されているが、形成術か置換術かを支持するエビデンスは限定的であった。NEJM誌オンライン版2013年11月18日号掲載の報告より。

レベチラセタムの神経活性阻害、新たな機序が判明:熊本機能病院

 抗てんかん薬レベチラセタム(LEV)はユニークな作用機序を有するが、その機序は完全には解明されていない。熊本機能病院の脇田 真仁氏らは、LEVの作用機序を詳細に解明するため、ラットを用いてLEVが海馬苔状線維-CA3ニューロンのグルタミン作動性伝達に及ぼす影響を検討した。その結果、LEVはZn2+誘発性のGABA A を介したシナプス前抑制の阻害を解除し、グルタミン酸を介した興奮性シナプス伝達を低下させることを示した。Journal of Pharmacology Experimental Therapeutics誌オンライン版2013年11月20日号の掲載報告。

経口フルオロキノロンは網膜剥離リスクを増大するのか?/JAMA

 経口フルオロキノロン系抗菌薬の服用は、網膜剥離のリスクを増大しないことが、大規模コホート試験で示された。デンマーク・Statens Serum InstitutのBjorn Pasternak氏らが住民ベースの約516万人を対象にしたコホート試験の結果、明らかにした。近年、眼科疾患患者を対象とした研究において、経口フルオロキノロン服用と網膜剥離との強い関連が報告されていた。JAMA誌2013年11月27日号掲載の報告より。

TAVR後の院内死亡率5.5%、脳卒中2.0%/JAMA

 経カテーテル大動脈弁置換術(Transcatheter aortic valve replacement:TAVR)を受けた米国患者のデバイス植込み成功率は92%であり、全院内死亡率は5.5%、脳卒中の発生は2.0%であったことなどが、Edwards Sapien XTデバイスの市販後調査報告として発表された。TAVRは2011年に米国食品医薬品局(FDA)によって、重症の症候性大動脈弁狭窄症で手術不能の患者に対する治療法として承認され、2012年には高リスクだが手術可能な症例にも適応となり施術が行われている。JAMA誌2013年11月20日号掲載の報告より。

抗精神病薬治療は予後にどのような影響を及ぼすのか

 抗精神病薬治療中の患者では、いくつかの心血管リスク因子(糖尿病、肥満、喫煙、脂質異常症)を有する割合が高く、脳卒中の有病率が有意に高いことなどが明らかにされた。これには、服用する抗精神病薬が定型あるいは非定型かによる違いはみられなかったという。スペイン・Institut Catala de la SalutのX Mundet-Tuduri氏らがバルセロナで行った断面調査の結果、報告した。Revista de Neurologia誌2013年12月号の掲載報告。

首や腰の痛みと精神的苦痛は相互に関連する

 頚部や腰部の疼痛と精神的苦痛との相互作用に関する理解は、公衆衛生の観点から重要である。スウェーデン・カロリンスカ研究所のKari Paanalahti氏らは、大規模な地域住民を対象とした前向きコホート研究を行い、脊椎痛および精神的苦痛の併存は、女性に多く、男女いずれにおいても回復が不良で、脊椎痛と精神的苦痛は双方向の関連性があることを確認した。Spine Journal誌オンライン版2013年11月18日号の掲載報告。

上部早期胃がんに対する最適な術式を検討:日本での多施設後ろ向き研究

 上部早期胃がん治療における手術にはさまざまな術式がある。大阪大学消化器外科の益澤 徹氏(現大阪警察病院)らは、上部早期胃がん203例における記録から、胃全摘術後Roux-en-Y型食道空腸吻合術(TG-RY)、噴門側胃切除術後食道胃吻合術(PG-EG)、噴門側胃切除術後空腸間置術(PG-JI)の3つの術式を比較し、最適な術式を検討した。World Journal of Surgery誌オンライン版2013年12月6日号に掲載。

感染性胃腸炎患者の嘔吐物や便の処理のための新キット登場

 キョーリン メディカルサプライ㈱(本社:東京都新宿区、代表取締役社長 金井 覚)は、杏林製薬㈱(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 宮下三朝)と共同で、嘔吐物などの汚物処理に使用する新製品として、昨年7月に発売した環境除菌・洗浄剤「ルビスタ」を応用した「ルビスタ嘔吐物処理キット」を2013年12月初旬に発売する。

院外心停止搬送中の低体温治療、転帰改善せず/JAMA

 心室細動(VF)有無を問わない病院搬送中の心停止蘇生後患者への低体温治療施行の有効性について、病院到着までに深部体温を低下し34℃に到達するまでの時間を短縮したが、生存または神経学的アウトカムは改善しなかったことが示された。米国・ワシントン大学のFrancis Kim氏らが、1,359例を対象とした無作為化試験の結果、報告した。心停止後の脳外傷は後遺症や死亡と関連し覚醒しない患者も多い。低体温治療は脳機能回復に有望な治療とされ、現在、VFあり蘇生後の昏睡状態の患者に対する入院ベースの導入は推奨されているが、プレホスピタルでの最適な導入のタイミングは不確かであった。JAMA誌オンライン版2013年11月17日号掲載の報告より。

遺伝子型に基づく初期投与量決定の試み(ワルファリン以外)/NEJM

 抗凝固療法の遺伝子ガイド投薬アルゴリズムの有効性と安全性に関して、アセノクマロール(国内未承認)、フェンプロクモン(同)について検討した無作為化試験の結果、治療開始後12週間の国際標準比(INR)治療域の時間割合は改善されなかったことが明らかにされた。オランダ・ユトレヒト大学のTalitha I. Verhoef氏らが報告した。抗凝固療法ではワルファリンの使用頻度が最も高いが、国によってはアセノクマロールまたはフェンプロクモンが、心房細動患者の脳卒中予防や静脈血栓塞栓症の治療または予防に用いられている。また観察研究において、遺伝子ガイド投薬が両剤投与の有効性および安全性を高める可能性が示唆されていた。NEJM誌オンライン版2013年11月19日号掲載の報告より。