日本語でわかる最新の海外医学論文|page:905

殺虫剤でアルツハイマー病リスクが増加

 米国・ラトガース大学のJason R. Richardson氏らは、アルツハイマー病(AD)患者では殺虫剤成分の代謝物であるジクロロジフェニルジクロロエチレン(DDE)濃度が上昇していることに着目し、血清DDE濃度とADとの関連、およびアポリポ蛋白E(APOE)遺伝子型の関与を明らかにするためケースコントロール研究を行った。その結果、血清DDE高値はADのリスク上昇と関連していること、APOEε4アレルを保有する例でその関連が強くみられることを報告した。JAMA neurology誌オンライン版2014年1月27日号の報告。

心血管疾患リスク、妊娠第1期の発育が重要/BMJ

 妊娠第1期の胎児頭殿長が大きいほど、小児期の心血管リスクは低いことが、約1万2,000例の妊婦の胎児を対象にした前向きコホート試験の結果、明らかになった。オランダ・エラスムス大学医療センターのVincent W V Jaddoe氏らが報告した。出生時体重が小さいと、成人してからの心血管疾患リスクが増大することは知られていたが、胎児または乳児のどの時期が重要なのかは不明だった。今回の結果を踏まえて著者は、「胎児期早期が後年の心血管系の健康に関して重要な時期のようだ」と述べている。BMJ誌オンライン版2014年1月23日号掲載の報告。

大酒飲みは早死する/Lancet

 ロシアの喫煙男性は、ウオッカ摂取量が多いほど死亡リスクが増大することが、ロシアがん研究センターのDavid Zaridze氏らが、約20万人を対象に行った前向き観察試験で明らかになった。また、その主な原因は、これまでの研究結果で特定されていた事故や自殺といった外因や、上部気道消化管がん、肝臓がんなどの疾患であることも確認されたという。Lancet誌オンライン版2014年1月31日号掲載の報告より。

統合失調症の新たなバイオマーカー:順天堂大学

 順天堂大学の勝田 成昌氏らは、急性期統合失調症患者における末梢血のカルボニルストレスマーカー測定の意義について、横断および縦断的研究にて検討した。これまで、慢性統合失調症患者について横断研究による同検討は行われており、末梢カルボニルストレスマーカーの変化、すなわち血清ペントシジンが高値であることはカルボニルストレスが蓄積されていることを示し、またピリドキサール(ビタミンB6)が低値であることはカルボニル化合物活性の緩和を示すことが知られていた。しかし、そうした変化について縦断的な検討はされていなかった。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2014年1月21日号の掲載報告。

最重症COPDに低用量オピオイドは安全か/BMJ

 低用量オピオイド(経口モルヒネ30mg/日以下相当)は、COPD患者の入院や死亡を増大せず、重度呼吸器疾患における症状軽減への使用は安全である可能性が報告された。スウェーデン・ルンド大学のMagnus P Ekstrom氏らが行った同国住民ベースの前向き連続患者コホート研究の結果で、一方で、高用量オピオイドは死亡を増大する可能性も示された。重度呼吸器疾患の患者では慢性の息切れ(呼吸困難)がみられるが、オピオイドによる緩和が可能である。またCOPD患者では一般に不安解消のためにベンゾジアゼピン系薬が用いられているが、これらの単独または併用使用が、呼吸抑制や入院、早期死亡を招くのではないかという懸念があった。BMJ誌オンライン版2014年1月30日号の掲載報告。

急性心筋梗塞アウトカム、国家間で格差/Lancet

 急性心筋梗塞の治療およびアウトカムについて、英国とスウェーデンの国家間の違いを検証した結果、プライマリ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の施行率や使用頻度の高い薬物の傾向、30日死亡率などに大きな格差があることが、英国・ロンドン大学のSheng-Chia Chung氏らによる検討で明らかにされた。これまで急性心筋梗塞について、医療システムが異なる国家間での比較という観点が欠落していたという。著者は、「このような国家間の比較研究は、医療システムの改善と死亡抑制に役立つと思われる」とコメントしている。Lancet誌オンライン版2014年1月23日号掲載の報告より。

破裂性腹部大動脈瘤に対する開腹手術 vs. 血管内修復術(コメンテーター:中澤 達 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(172)より-

 英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのJanet T Powell氏らのIMPROVE(Immediate Management of Patients with Rupture: Open Versus Endovascular repair)試験研究グループが、30施設・613例の無作為化試験の結果から、破裂性腹部大動脈瘤に対する治療戦略について、開腹手術と血管内修復術とでは30日死亡率低下およびコスト削減に有意差はないことを示した。

小児・思春期の双極性障害に対する非定型抗精神病薬vs気分安定薬

 米国・ヒューストン薬科大学のHua Chen氏らは、小児および思春期の双極性障害患者に対する非定型抗精神病薬と気分安定薬の有効性と安全性を比較検討する、後ろ向きコホート研究を実施した。その結果、非定型抗精神病薬は気分安定薬に比べ、治療中止や治療増強が少なく、より効果的で安全な治療選択肢となりうることが判明したと報告した。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌オンライン版2014年1月24日号の掲載報告。

脊椎変性疾患の慢性腰痛にパミドロン酸は有効か

 ビスホスホネート静脈内投与は、骨パジェット病、転移性骨疾患、多発性骨髄腫などの疼痛緩和に用いられるが、慢性腰痛に対する症例報告も散見される。米国・Grunenthal社のMarco Pappagallo氏らは、慢性腰痛を伴う脊椎変性疾患患者を対象に、パミドロネート(パミドロン酸二ナトリウム、商品名:アレディアほか)静脈内投与の有効性を検討するパイロット試験を行った。結果、パミドロネート180mg投与において、プラセボと比較して有意な改善効果がみられることが示されたという。PAIN誌2014年1月号(オンライン版2013年9月23日号)の掲載報告。

認知症患者への精神療法、必要性はどの程度か

 英国・ロンドン大学のVasiliki Orgeta氏らは、認知症に対する標準的ケアに精神療法を追加することで、併存することの多い不安や抑うつに有効であるか否かを明らかにするため、システマティックレビューを行った。その結果、抑うつおよび医師評価による不安は精神療法により軽減すること、その一方で自己評価あるいは介護者評価による不安の軽減には有効性を認めなかったことを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2014年1月22日号の掲載報告。

ピーナッツアレルギーに経口免疫療法(OIT)は有効/Lancet

 ピーナッツアレルギーを有する小児の脱感作に経口免疫療法(OIT)が有効であることが、英国・ケンブリッジ大学病院NHS財団トラストのKatherine Anagnostou氏らによる第II相無作為化比較対照試験「STOP II」の結果、示された。QOL改善、良好な安全性プロファイルが示され、免疫学的臨床検査値にも有意な変化が認められたという。結果を踏まえて著者は、「OITを非専門医の下では行ってはならないが、7~16歳児でのピーナッツOITは有効で忍容性も良好である」と結論している。ピーナッツOITの有効性に関する検討は先行して行われた第I相の小規模試験において示唆されていた。Lancet誌オンライン版2014年1月30日号掲載の報告。

水痘予防にはMMRV 2回接種を支持/Lancet

 チェコ共和国・フラデツ・クラーロヴェー大学病院のRoman Prymula氏らは、水痘の発症予防について、麻疹・ムンプス・風疹・水痘ワクチン(MMRV)2回接種と、単価水痘ワクチン1回接種の有効性を比較する無作為化対照試験を欧州10ヵ国の協力を得て行った。その結果、あらゆる型の水痘予防を確実なものとするためにもMMRVの2回接種を支持する結果が得られたことを報告した。今日、水痘発症率は、水痘ワクチンを“ルーチン”で行っている国では激減している。予防は単価ワクチンもしくはMMRVの接種にて可能であり、今回、研究グループは、どちらが有用かを比較検証した。Lancet誌オンライン版2014年1月29日号掲載の報告より。

抗精神病薬で気をつけるべき横紋筋融解症

 横紋筋融解症に対する抗精神病薬の影響は、まだ十分に理解されているわけではない。そのメカニズムとして、セロトニンやドパミン作動性遮断との関連が示唆されている。米国・クレイトン大学のKathleen Packard氏らは、抗精神病薬の使用と横紋筋融解症との関連を調べた。Journal of pharmacy practice誌オンライン版2013年1月15日号の報告。

出生後早期の過体重、青年期肥満の原因となる可能性/NEJM

 5~14歳の子供では、より幼年であるほど肥満の発症率が高い傾向がみられ、とくに幼稚園入園時に過体重の子供の肥満率が高いことが、米国・エモリー大学のSolveig A Cunningham氏らの調査で示された。米国では、BMIの上位5%内に含まれる6~11歳の小児の割合が、1963~65年の4.2%から1999~2000年には15.3%にまで上昇し、21世紀初頭の10年間でほぼプラトーに達したと推測されている。このように、小児肥満の有病率の上昇が指摘される一方で、その発症率については意外なほど知られていないという。NEJM誌2014年1月30日号掲載の報告。

造血幹細胞移植後に真菌症を起こしやすくなる遺伝的欠損とは/NEJM

 ペントラキシン3(PTX3)の遺伝的欠損は好中球の抗真菌能に影響を及ぼし、造血幹細胞移植(HSCT)を受けた患者における侵襲性アスペルギルス症(Aspergillus fumigatus)のリスクに関与している可能性があることが、イタリア・ペルージャ大学のCristina Cunha氏らの検討で示された。液性パターン認識受容体は、長いタイプのPTX3として知られ、抗真菌免疫において代替不可能な役割を果たすとされる。一方、侵襲性アスペルギルス症の発現におけるPTX3の一塩基多型(SNP)の関与はこれまでに明らかにされていない。NEJM誌2014年1月30日号掲載の報告。