大腸がんスクリーニング、遠位大腸がん死亡リスクを減少/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2014/04/24

 

 S状結腸鏡検査または大腸内視鏡検査による大腸がんスクリーニング検査は、いずれも遠位大腸がんによる死亡リスクを大幅に減少することが、ドイツ・がん研究センターのHermann Brenner氏らが行ったメタ解析で確認された。また、大腸内視鏡検査については、近位大腸がんの死亡リスク減少効果があることも明らかになった。
 
 両検査の大腸がん発生リスク低下との関連は、1992年以降に観察研究では報告されていた。またS状結腸鏡検査によるスクリーニングが、全体および遠位大腸がんの発生および死亡リスクの低下と関連することは、2009年以降、4件の無作為化試験が報告されていた。しかし、両検査を比較しての付加的価値については、無作為化試験が少なく、不明であった。BMJ誌オンライン版2014年4月9日号掲載の報告より。

S状結腸鏡検査、遠位大腸がん死亡率は46%減少
 研究グループは、S状結腸鏡検査または大腸内視鏡検査による大腸がんスクリーニングに関する試験結果について、PubMedとEmbase、Web of Scienceを活用して検索し、メタ解析を行った。

 S状結腸鏡検査による大腸がんスクリーニングについては、4件の無作為化試験と10件の観察試験について分析した。その結果、遠位大腸がんについては一貫してスクリーニングによる罹患率と死亡率の減少がみられた。割り付けした群ごとの分析(intention-to-screen解析)では、遠位大腸がん罹患率減少率は31%(95%信頼区間:26~37)で、同死亡率減少率は46%(同:33~57)だった。無作為化試験について、試験の実施計画に合った対象集団についての分析(per protocol解析)では、それぞれの減少率は64%(同:50~74)と66%(同:38~81)だった。

大腸内視鏡検査、大腸がん死亡率は68%減少
 大腸内視鏡検査による大腸がんスクリーニングについては、6件の観察試験について分析を行った。その結果、遠位大腸がんについて、罹患率と死亡率のさらに大幅な減少が認められた。そのうえ、近位大腸がんによる死亡率についても減少がみられた。大腸がん罹患率と死亡率は、大腸内視鏡検査によってそれぞれ69%(同:23~88)、68%(同:57~77)減少した。

 観察試験について比較したところ、近位大腸がんによる死亡リスクは、大腸内視鏡検査による大腸がんスクリーニングのほうが、S状結腸鏡検査に比べ減少効果があることがわかった。

 これらの結果を踏まえて著者は、「今回得られた付加的価値について、高コスト、不快感、合併症率、必要許容量、またコンプライアンスの違い(可能な限り)といった観点でさらに調べる必要がある」とまとめている。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)