日本語でわかる最新の海外医学論文|page:775

特発性肺線維症(IPF)初の分子標的薬ニンテダニブ発売

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:青野吉晃、以下、日本ベーリンガーインゲルハイム)は8 月31 日、チロシンキナーゼ阻害剤/抗線維化剤ニンテダニブエタンスルホン酸塩(商品名:オフェブ カプセル100mg、同カプセル150 mg、以下オフェブ)を、特発性肺線維症の効能・効果で発売したと発表。

少量飲酒でも発がんリスクは上昇する?/BMJ

 米国人では、大量飲酒は何種かのがんリスクを上昇することが知られている。ハーバードTHチャン公衆衛生大学院のYin Cao氏らは今回、少量~中等量の飲酒(女性1日1杯、男性1日1~2杯)により、有意差はないものの発がんリスクがわずかに上昇することを確認した。一方で、喫煙と独立した飲酒の役割は明らかになっていない。米国では非喫煙者が増加しているが、先行研究で喫煙は、飲酒ががんに及ぼす影響を部分的に促進する可能性があることが示されているものの、非喫煙者に喫煙者に関する知見をそのまま当てはめることはできないという。BMJ誌オンライン版2015年8月18日号掲載の報告より。

抗精神病薬のQT延長リスク、アリピプラゾールはどうか

 特定の抗精神病薬は、補正QT間隔(QTc)の延長リスクを高め、その結果torsades de pointes(TdP:トルサードポワン)や心臓突然死(SCD)のリスクを高める。また、薬剤誘発性ブルガダ症候群(BrS)もSCDと関連している。そして、ほとんどのSCDは、さらなる心リスク因子を有する患者において発生する。これまで、QTc延長リスクが高いトルサードハイリスク患者に対するアリピプラゾールの心臓への安全性に関する評価は行われていなかった。デンマーク・オールボー大学病院のChristoffer Polcwiartek氏らは、アリピプラゾールの心臓への安全性を評価するため、メタ分析的アプローチによるシステマティックレビューを行った。Psychopharmacology誌2015年9月号の報告。

働く糖尿病患者の65%が薬をきちんと服薬せず

 日本イーライリリー株式会社は、フルタイム勤務で、複数の経口薬のみで治療中の40~50代の2型糖尿病患者、390名を対象に意識調査を実施、その結果を発表した。  調査の結果、働き盛りの糖尿病患者では、多忙や不規則な生活で必ずしも医師の指示通り服薬ができていないことが明らかになった。また、ライフスタイルに合わせた治療を望んでおり、外出先での服薬をなくしたり、服薬回数の多さを考慮することが、治療継続のポイントと考えていることがわかった。

1日1回1錠のジェノタイプ1型C型慢性肝炎治療薬 ハーボニー配合錠発売

 ギリアド・サイエンシズ株式会社(以下、ギリアド)は9月1日、ジェノタイプ1型のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症改善を適応とするNS5A阻害薬と核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害薬の配合剤である「ハーボニー配合錠」(以下、ハーボニー)(一般名:レジパスビル・ソホスブビル配合剤)を発売した。

H.pylori除菌治療、最も有効なレジメンは?/BMJ

 複数あるヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)除菌治療の有効性と忍容性について、中国・安徽医科大学のBao-Zhu Li氏らが、システマティックレビューとネットワークメタ解析により評価を行った。結果、14種類の除菌治療に関するデータが入手でき、解析の結果、標準治療とされている抗菌薬3剤併用7日間の効果が最も低く、最も有効であるのは、併用療法(抗菌薬3剤+PPI阻害薬)で、次いで抗菌薬3剤+生菌10~14日間、レボフロキサシンベースのトリプル治療10~14日間、ハイブリッド治療14日間、逐次的治療10~14日間であることが示唆された。標準治療は除菌効果が低いとして、多くの新たなレジメンが導入され、効果が高いものがあることも報告されている。しかし、各治療間の比較や最適な治療を特定する検討はこれまで限定的であった。BMJ誌オンライン版2015年8月19日号掲載の報告。

長時間労働は、冠動脈心疾患よりも脳卒中のリスクを高める/Lancet

 長時間労働を行う労働者は、標準時間労働の場合よりも脳卒中のリスクが高く、冠動脈心疾患のリスクは脳卒中に比べると低いことが、英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのMika Kivimaki氏らIPD-Work Consortiumの検討で示された。長時間労働は心血管疾患や冠動脈心疾患のリスクを増大させることが、日本の調査を含むいくつかの研究で示され、標準時間労働と比較した相対リスク(RR)は約1.4倍に上昇することが知られている。一方、これらの研究の問題点として以下の点が挙げられるという。(1)出版バイアス(結果が肯定的な研究は、否定的な研究に比べ公表される可能性が高い)、(2)逆因果関係(進行性の器質的心血管疾患があるために、イベント発生前の期間の労働時間が短くなった)、(3)交絡関係(長時間労働は社会経済的地位が高い職種で多いが、心血管疾患は地位が低い職種のほうが高頻度)、(4)重要な心血管エンドポイントである脳卒中のリスクを検討した試験がほとんどない。Lancet誌オンライン版2015年8月19日号掲載の報告より。

医療機器では市販後臨床試験が重要になりつつある(解説:折笠 秀樹 氏)-404

薬剤溶出性ステントなどのハイリスクな医療機器で、米国FDAが2010年と2011年に承認した28品目について、機器の一生(Total product life cycle)を調査した。クラス分類で言うとクラスIIIあるいはIVに相当すると思われる。米国ではPMA(Premarket approval)により機器は承認され、その後PAS(Post approval studies)が実施される。機器の一生とは、このPMAとPASで実施される臨床試験として定義する。

不適切なベンゾジアゼピン処方、どうやって検出する

 慢性的な不眠症への治療は重要であり、一般に睡眠薬の処方が行われている。しかし、常用や長期使用は、耐性や依存性のリスクや有害事象のリスクを増大するため避けるべきとされ、2012年にアップデートされたBeers criteria(高齢者で不適切な薬物治療)では、高齢者の不眠症治療ではすべてのベンゾジアゼピン系薬を回避するよう示されている。イタリア・CRS4のSilvana Anna Maria Urru氏らは、地域薬局のサーベイデータを用いることで、不眠症に対するベンゾジアゼピン系薬の不適切な処方に関する情報を入手できることを報告した。International Journal of Clinical Pharmacy誌オンライン版2015年7月22日号の掲載報告。

超早産児の低酸素血症の予後に影響する因子/JAMA

 超早産児は生後数週間にわたり間欠性の低酸素血症や徐脈を経験する可能性がある。これまでその予後については不明であったが、ドイツ・テュービンゲン大学病院のChristian F. Poets氏らによるCanadian Oxygen Trialの事後解析から、月経後年齢(postmenstrual age)36週まで生存した超早産児において、生後2~3ヵ月に発生した1分以上の低酸素エピソードのみが、生後18ヵ月間の有害転帰と有意に関連していることが明らかにされた。この結果について著者は、「今後の研究でも同様の所見が認められれば、そのようなエピソードを予防するための検討が必要になる」とまとめている。JAMA誌2015年8月11日号掲載の報告より。

トランス脂肪酸だけが健康に悪いのか/BMJ

 飽和脂肪酸の摂取と、全死因死亡、心血管疾患(CVD)、冠動脈疾患(CHD)、虚血性脳卒中、2型糖尿病との関連は認められなかったが、そのエビデンスは限定的であることが示された。一方、トランス脂肪酸の摂取は、全死因死亡、総CHD発生、CHD死と関連していたが、それは工業型トランス脂肪酸の摂取が反すう動物由来トランス脂肪酸の摂取よりも多いためであることが示唆された。カナダ・マックマスター大学のRussell J de Souza氏らが、観察試験のシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2015年8月11日号掲載の報告より。

認知機能改善効果が期待される新規抗うつ薬

 大うつ病性障害(MDD)では、しばしば認知機能障害の併発がみられる。いくつかの臨床試験で、MDDに対する抗うつ薬の認知機能促進作用が示されてきた。カナダ・トロント大学のJoshua D. Rosenblat氏らは、MDD患者の認知ドメインに及ぼす抗うつ薬の影響についてシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。その結果、抗うつ薬は精神運動速度と遅延再生にプラスの影響を及ぼし、なかでもvortioxetineが大きく寄与している可能性を示唆した。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年7月25日号の掲載報告。

特発性肺線維症の死亡率は悪性腫瘍よりも高い

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、特定疾患治療研究事業の対象疾患である「特発性肺線維症」(以下IPFと略す)の治療薬ニンテダニブ(商品名:オフェブ)の製品記者発表会を、8月20日都内において行った。  ニンテダニブは、本年7月に製造販売を取得、今秋にも発売が予定されている治療薬で、IPFでは初めての分子標的薬となる。