日本語でわかる最新の海外医学論文|page:767

うつ病患者の予後に影響する生活習慣病

 肥満、メタボリックシンドローム(Mets)、地中海式ダイエットの低い順守率は、うつ病患者で頻繁にみられ、それぞれが予後と関連している。うつ病のアウトカムに対する、これらの要因の6、12ヵ月の予測力を分析するため、スペイン・バレアレス大学のRachel H B Mitchell氏らは、検討を行った。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2016年1月19日号の報告。

「抗凝固薬の不使用」もTAVR後の弁圧較差増加の予測因子

 大動脈弁狭窄症患者に対する経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)の使用は、急速に拡大しているが、TAVR後の大動脈弁圧較差の悪化についてのデータは限られている。TAVR後の1,521例のデータを解析した後ろ向き多施設共同研究が、Journal of The American College of Cardiology誌2016年2月号に報告された。

一次性進行型MSに対するフィンゴリモドの有用性/Lancet

 一次性進行型多発性硬化症(PPMS)に対するフィンゴリモド(スフィンゴシン-1-リン酸受容体調節薬)の安全性と有効性を検証した第III相試験「INFORMS」の最終結果が報告された。フィンゴリモドによる抗炎症療法は、PPMSの病態進行を抑制しないことが示された。試験報告を行った米国マウント・サイナイ・アイカーン医科大学のFred Lublin氏らは、結果を踏まえて「PPMSの治療は、再発性MSとは異なるアプローチが必要である」とまとめている。フィンゴリモドは、再発性MSおよび二次性進行型MSに有効であることから、PPMSに対しても同様の効果が期待されていた。Lancet誌オンライン版2016年1月27日号掲載の報告。

食品からのフラボノイド摂取は体重管理に有用か/BMJ

 フラボノイド(とくにフラボノール、フラバン-3-オール、アントシアニン、フラボノイドポリマー)を豊富に含む、リンゴ、西洋なし、ベリー類、ピーマンなどの果物や野菜を多く食べることは、体重管理に有用であることを、米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のMonica L Bertoia氏らが、3つの大規模前向きコホート研究、合わせて約12万4,000人を最長24年追跡したデータを解析し、明らかにした。フラボノイドは天然に存在する生理活性化合物で、果物や野菜に含まれている。これまで、果物や野菜類の摂取量が多いと体重が増加しにくいことや、緑茶に含まれるフラボノイドが脂肪吸収の減少とエネルギー消費の増加などに関与していることが報告されていた。しかし、体重の減少に関する研究の多くは、緑茶で発見されたフラバン-3-オールに関するもので、試験参加人数も限られていた。著者は、「今回の研究成果は、肥満の予防や肥満の悪影響リスクを低減する食事摂取基準の見直しに役立つ可能性がある」とまとめている。BMJ誌オンライン版、2016年1月28日号掲載の報告。

魚介類が持っている水銀、認知症とは関連せず/JAMA

 魚介類摂取頻度が増えると、脳内水銀量は増加するものの、アルツハイマー型認知症を示唆する脳神経病理とは関連しない。また、アポリポ蛋白E(APOEε4)遺伝子を持つ人では、魚介類摂取がアルツハイマー病リスクの軽減とつながっていることを、米国・ラッシュ大学メディカルセンターのMartha Clare Morris氏らが、高齢者286例の剖検脳と生前の魚介類摂取頻度との関連を分析した結果、明らかにした。JAMA誌2016年2月2日号掲載の報告より。

中絶胎児で小頭症を確認、脳内からジカウイルス検出/NEJM

 ブラジルで妊娠初期にジカウイルスに感染したと考えられる25歳の欧州女性が、妊娠32週で人工中絶。その胎児解剖の結果、小頭症が認められ、脳内からはジカウイルスが検出された。スロベニア共和国・リュブリャナ大学のJernej Mlakar氏らによる症例報告で、NEJM誌オンライン版2016年2月10日号で発表した。中南米とカリブ地域では2015年、ジカウイルス感染症の流行が報告され、同ウイルスに感染した母親から生まれた新生児の小頭症が増加していることが重大な懸念として持ち上がっている。

見落とされがちな抗うつ薬の副作用(解説:岡村 毅 氏)-481

本論文は、新規抗うつ薬の有害事象に関して、それぞれの論文ではなく、治験総括報告書(規制当局より提供を受けた)を集めて分析したものである。主要評価項目は、死亡と自殺関連行動(自殺、自殺企図、自殺念慮)、副次評価項目は攻撃的行動とアカシジアであった。

各認知症と尿酸との関連を分析

 血清尿酸(sUA)レベルと認知障害および認知症は関連しうる。この関連性は、認知症のサブタイプによってさまざまで、とくに脳血管性認知症(VaD)とアルツハイマー病(AD)やパーキンソン病関連認知症(PDD)との間では異なる。英国・グラスゴー大学のAamir A Khan氏らは、システマティックレビューとメタ解析により、sUAと認知障害および認知症との関連についてのすべての公開データを統合することを目的とし、検討を行った。Age (Dordrecht, Netherlands)誌2016年2月号(オンライン版2016年1月28日号)の報告。

プロトコールに基づく薬剤師の介入で、医療の質向上を

 日本医療薬学会は2月11日、都内にて「薬剤師が担うチーム医療と地域医療の調査とアウトカムの評価研究シンポジウム」(研究代表者:東京医科歯科大学 教授 安原 眞人氏)を開催した。この研究は2013年から厚生労働科学研究事業として、チーム医療の進展や地域医療の拡充に向けて、薬剤師の担う役割を明確にし、求められる専門性を生かすための実践的方法論を確立することを目的として、3年間の計画で開始された。初年度は先行事例の収集、2014年度はアウトカム評価、そして2015年度は実践的方法論に焦点が当てられた。

白内障術後眼内炎、効果の高い予防的抗菌薬投与は?

 白内障の術後眼内炎予防を目的とした抗菌薬投与は、前房内注射が点眼よりも効果が高く、また、注射+点眼は注射単独よりも効果が増すことは示されなかった。米国の北カリフォルニア・カイザーパーマネンテのLisa J. Herrinton氏らが、同加入者で白内障手術を受けた31万5,246例を対象に行った観察縦断的コホート研究の結果、報告した。なお、同コホートの眼内炎発症率は0.07%で、後嚢破損が依然として重大なリスク増大因子(3.68倍)であったという。Ophthalmology誌2016年2月号(オンライン版2015年10月14日号)の掲載報告。

喫煙者のQOL低下、中枢気道虚脱が関連/JAMA

 喫煙者(元喫煙者も含む)では、呼気時の中枢気道虚脱(ECAC)が呼吸器QOLの悪化と関連していることを、米国・アラバマ大学のSurya P. Bhatt氏らが、COPDGene研究で得られた呼気・吸気CT画像を解析し、明らかにした。ECACは、呼気時に気道が50%以上狭窄する病態として定義され、気管軟骨の脆弱化や気管後壁(膜性壁)の過伸展により生じる。喫煙や慢性閉塞性肺疾患(COPD)と関連するといわれているが、ECACの有病率や臨床的意義はわかっていなかった。JAMA誌オンライン版2016年2月2日号掲載報告。

日本人統合失調症患者のMets有病率を調査:新潟大学

 統合失調症患者はメタボリックシンドローム(Mets)リスクが高いが、Mets有病率は民族間で異なる。また、Metsの誘因となる運動不足や偏食などの環境的要因は、統合失調症の入院患者と外来患者とでは異なる可能性がある。日本のメンタルヘルスケアシステムは他国とは異なるが、これまで、日本人統合失調症患者におけるMets有病率の調査はほとんどなかった。新潟大学の須貝 拓朗氏らは、入院および外来の日本人統合失調症患者におけるMetsの有病率を明らかにするため全国調査を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2016年1月22日号の報告。

日本初の抗PCSK9抗体が承認取得、対象患者は?

 日本初の抗PCSK9(ヒトプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)抗体として、高コレステロール血症治療薬「レパーサ皮下注」(一般名:エボロクマブ)が1月に製造承認を取得した。本剤の適応となる患者は、心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)で効果不十分な、家族性高コレステロール血症(FH)または高コレステロール血症の患者である。では、心血管イベントのリスクが高い患者とはどのような患者なのだろうか。2月8日、都内で開催されたプレスカンファランス(主催:アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社)より、中村 正人氏(東邦大学医療センター大橋病院循環器内科 教授)の講演をご紹介する。

ベンゾジアゼピン系薬は高齢者の認知症リスクを高めるか/BMJ

 ベンゾジアゼピン系薬の累積使用量が少ない場合に認知症のリスクはわずかに高まるが、多い場合はこの関連が認められないことが、米・ワシントン大学のShelly L Gray氏らによる地域住民ベースの前向きコホート研究で明らかとなった。著者は、「この結果は、ベンゾジアゼピン系薬と認知症との因果関係を支持しないものだ」と結論付けている。高齢者では、転倒、骨折、せん妄のリスクがあるためベンゾジアゼピン系薬の投与は推奨されていない。にもかかわらず、睡眠障害や不穏等に対する使用は、年齢とともに増えているのが現状である。これまでの研究で、ベンゾジアゼピン系薬の投与が認知症リスクの増加と関連していることが示唆されていたが、長期の使用が認知症や認知機能低下と関連しているかどうかは不明であった。BMJ誌オンライン版2016年2月2日号掲載の報告。