日本語でわかる最新の海外医学論文|page:765

腹腔鏡下、腸間膜欠損部の閉鎖 vs.非閉鎖/Lancet

 腹腔鏡下胃バイパス手術における腸間膜欠損部について、閉鎖を支持する知見が示された。スウェーデン・オレブロ大学のErik Stenberg氏らが、12施設2,507例の患者を対象に行った多施設共同非盲検無作為化並行群間比較試験の結果、明らかにした。腹腔鏡下胃バイパス術後、頻度が高く重大な合併症として、内ヘルニアによる早期小腸閉塞がある。腸間膜欠損部の閉鎖を行うことで同発生が低下するかどうかは明らかにされていない。Lancet誌オンライン版2016年2月16日号掲載の報告。

統合失調症の認知機能障害、コリン作動系薬の可能性

 認知障害は統合失調症において社会性に最も悪影響を与える症状であるが、効果的な治療が行われていない。コリン作動系は、これら症状を効果的に治療することができる新規薬剤の標的として有望視されている。オーストラリア・Florey Institute of Neuroscience and Mental HealthのAndrew Gibbons氏らは、統合失調症に対するコリン作動系の新たな薬物標的に関してレビューを行った。Current pharmaceutical design誌オンライン版2016年1月26日号の報告。

LDL-Cが高い糖尿病患者、骨折リスクが低い?

 糖尿病では骨折リスクが増加するが、骨密度や主なリスク因子による説明は十分なされていない。デンマーク・オーフス大学病院のJakob Starup-Linde氏らは、糖尿病患者の骨折リスクにおける薬物治療および生化学的マーカーの関連について検討した。その結果、調査したほとんどの因子において骨折リスクが高かったが、LDLコレステロール(LDL-C)については値が高いと骨折リスクが低かった。BMJ Open誌2016年2月12日号に掲載。

臨床試験結果の公表率と報告率、大学病院間で差/BMJ

 米国51の大学病院について、臨床試験結果の普及啓発(公表と報告)について調査した結果、実施状況は非常に低調で、大学病院間のばらつきもかなりみられるという。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のRuijun Chen氏らがClinicalTrials.gov上で断面調査を行い明らかにした。主要大学病院でみると、完了臨床試験の2年以内の論文化による公表率は29%にとどまり、ClinicalTrials.govにおける結果報告率に至っては13%であったという。著者は、「大学病院には課せられた使命とミッションがある」と指摘したうえで、エビデンスベースの臨床方針決定を蝕む恐れがあると警鐘を鳴らし、タイムリーな報告と公表の不足を補う仕組みづくりが必要だと述べている。BMJ誌オンライン版2016年2月17日号掲載の報告。

頸動脈狭窄症、70歳以上では内膜剥離術が明らかに優れる/Lancet

 高齢の症候性頸動脈狭窄症患者の手術治療について、これまでに頸動脈内膜剥離術(CEA)が頸動脈ステント留置術(CAS)よりもアウトカムが良好であることが示唆されていたが、詳細な年齢の影響を調べた結果、70~74歳群以降では明らかにCEAのアウトカムが優れることが示された。米国・アラバマ大学公衆衛生大学院のGeorge Howard氏らが、CAS vs.CEAを比較した4つの無作為化試験データをメタ解析。その際60~79歳の患者データについて5歳年齢単位とし、60歳未満、80歳以上を加えた各年齢群の脳卒中または死亡リスクを調べ、年齢とアウトカムとの関連を評価した。結果、高齢者における両手術間のアウトカムの差は、大半がCAS周術期脳卒中リスクの増大によるものであることが判明した。年齢とCEA周術期リスクとの関連はみられず、また両手術とも周術期以降のリスクと年齢の関連はみられなかったという。Lancet誌オンライン版2016年2月12日号掲載の報告。

アルツハイマー介護負担、日本と台湾での比較:熊本大学

 台湾におけるアルツハイマー病(AD)の介護負担は、日本と同様に緊急の社会的課題となっている。介護負担の比較は、それぞれの国における介護者の負担感を明確にする可能性がある。熊本大学の松下 正輝氏らは、日本と台湾のADに対する介護負担の比較を行った。International psychogeriatrics誌オンライン版2016年1月28日号の報告。

生存曲線の比較、ハザード比でよいのか

 がん領域の臨床試験で生存曲線の差を評価するとき、ハザード比(HR)がよく使用される。しかし、HRによる評価では治療効果の不正確な評価につながる恐れがある。そこで、フランス国立保健医学研究所(INSERM)のLudovic Trinquart氏らは、がん領域の無作為化比較試験における治療効果の評価におけるHRと生存曲線下面積(RMST)の差(および比)について比較した。その結果、概して、HRがRMST比よりも治療効果推定値が有意に大きかった。著者らは、絶対的効果が小さい場合にはHRが大きくなる可能性があり、イベント発生までの期間のアウトカムを評価する無作為化試験では、RMSTによる評価をルーチンに報告すべきと結論している。Journal of clinical oncology誌オンライン版2月16日号に掲載。

DPP-4阻害薬は心不全入院リスクを高める可能性/BMJ

 2型糖尿病患者に対するDPP-4阻害薬使用をめぐる心不全リスクの増大について、中国・四川大学のLing Li氏らが、無作為化比較試験(RCT)および観察研究のシステマティックレビューとメタ解析を行った。その結果、心不全リスクを増加させるかどうかは、研究の追跡期間が相対的に短くエビデンスの質も低いため不確かであるが、心血管疾患またはそのリスクを有する患者においては非使用との比較で心不全による入院のリスクが増大する可能性があることを明らかにした。BMJ誌オンライン版2016年2月17日号掲載の報告より。

非高リスク症例における頸動脈ステント留置術 vs.内膜剥離術/NEJM

 頸動脈ステント留置術(CAS)の頸動脈内膜剥離術(CEA)に対する非劣性が、高リスクではない高度無症候性頸動脈狭窄症患者において示された。5年の追跡調査で、非手術関連脳卒中、全脳卒中および全生存率も、両群間で有意差は認められなかった。これまでの臨床試験で、遠位塞栓を予防するデバイス(embolic protection device:EPD)を用いたCASは、手術による合併症の標準または高リスク患者において、CEAの代替として効果的な治療であることが示唆されていたが、米・マサチューセッツ総合病院のKenneth Rosenfield氏らは、高リスクに該当しない患者のみを対象にEPD併用CASとCEAを比較する多施設共同無作為化比較試験「Asymptomatic Carotid Trial(ACT) I」を実施、その結果を報告した。NEJM誌オンライン版2016年2月17日号掲載の報告。

一次性進行型多発性硬化症における経口フィンゴリモド療法(INFORMS):第III相二重盲検プラセボ対照試験(解説:内山 真一郎 氏)-485

一次性進行型多発性硬化症(MS)に、有効性が証明されている治療法は存在しない。フィンゴリモドは、経口のスフィンゴシン-1-リン酸受容体修飾薬であり、再発型MSに効果があるが、一次性進行型MSには試されたことがない。