日本語でわかる最新の海外医学論文|page:688

急性咽頭痛、デキサメタゾンで有意に改善/JAMA

 急性咽頭痛で抗菌薬の即時投与を必要としない成人患者に対し、経口デキサメタゾンの単回投与が、48時間後の症状完全消失に効果があることがわかった。なお24時間後の症状完全消失については、有意な改善はみられなかったという。英国・Nuffield Department of Primary Care Health SciencesのGail Nicola Hayward氏らが、英国プライマリケアベースで565例を対象に行った、プラセボ対照無作為化二重盲検試験で明らかにしたもので、JAMA誌2017年4月18日号で発表した。急性咽頭痛はプライマリケアで最も多い症状の1つで、それに対する不適切な抗菌薬投与も少なくないのが現状だという。

1型DMの網膜症スクリーニング、適切な実施頻度は?/NEJM

 1型糖尿病患者への網膜症スクリーニングについて、当初の網膜症の程度と平均糖化ヘモグロビン値を鑑みることで、適切な実施頻度が明らかになった。現在、同患者には毎年の広角眼底検査が推奨されているが、それに比べて検診の頻度は約6割少なく済み、コスト削減にもつながるという。「糖尿病のコントロールと合併症に関する試験」(DCCT試験)とその長期追跡試験「糖尿病への介入と合併症に関する疫学試験」(EDIC試験)に参加した米国・マサチューセッツ総合病院のDavid M Nathan氏らDCCT/EDIC研究グループが、両試験結果に基づくモデルを検証した結果で、NEJM誌2017年4月20日号で発表した。

ニボルマブ、胆道がんの先駆け審査対象品目に

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:相良暁)とブリストル・マイヤーズ スクイブ社は2017年4月24日、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)が、4月21日付で「胆道がん」を対象に、厚生労働省が定める「先駆け審査指定制度」の対象品目として指定を受けたと発表した。

初発統合失調症患者の脳変化を調査

 統合失調症患者では、進行性の脳体積減少が認められ、抗精神病薬曝露との関連が報告されている。南アフリカ・ステレンボッシュ大学のR Emsley氏らは、抗精神病薬ナイーブの初発エピソード統合失調症患者における脳体積の変化と抗精神病薬の投与量との関連を調査した。Psychological medicine誌オンライン版2017年3月28日号の報告。

飲酒と前立腺がんリスクの関連、ビールとワインで逆

 大量飲酒で悪性前立腺がん(APC)リスクがわずかに増加することが最近の研究で示されているが、飲料の種類ごとの関連は一致していない。今回、オーストラリア・Cancer Council VictoriaのN P Papa氏らが調査したところ、ビールでは摂取量がAPCリスクと相関し、スピリッツでは摂取量に相関する可能性が示され、ワインでは用量反応関係はみられなかった。また、ビールを週5日以上飲む人は飲まない人に比べてAPCリスクが高かったが、ワインを飲む人はすべての摂取頻度で、飲まない人に比べてAPCリスクが低かった。Prostate cancer and prostatic diseases誌オンライン版2017年4月18日号に掲載。

増加するPM2.5とオゾンの疾病負荷への影響/Lancet

 世界の疾病負荷は、過去25年間で、とくに低~中所得国における人口の高齢化、非感染性疾患割合の変化、大気汚染の進行により、増加し続けている。今回、米国・健康影響研究所のAaron J Cohen氏らが行った最新の調査(Global Burden of Diseases,Injuries,and Risk Factors Study 2015[GBD 2015])では、PM2.5とオゾンによる環境大気汚染が世界的に進行しており、それに伴う疾病負荷の増大の実態が明らかとなった。Lancet誌オンライン版2017年4月10日号掲載の報告。

知ってほしい希少疾病「PTCL」

 2017年4月21日都内にて、「末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)の治療戦略と新たな一歩」と題するセミナーが開かれた(主催:ムンディファーマ株式会社)。演者である畠 清彦氏 (公益財団法人 がん研究会有明病院 血液腫瘍科部長)は、「2017年はPTCL治療におけるパラダイムシフトの年になる」とし、新薬への期待を述べた。

米国の若年発症糖尿病、10年間で有意に増加/NEJM

 米国の若年者における1型および2型糖尿病の発症は、2002~12年に有意に増加し、とくに少数人種・民族で増加率が高いことが、米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のElizabeth J Mayer-Davis氏らが行ったSEARCH for Diabetes in Youth Studyで明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2017年4月13日号に掲載された。若年期に診断された1型および2型糖尿病は、疾患管理の問題や急性期、慢性期の合併症のリスクによって臨床上および公衆衛生上大きな負担が生じる。研究グループは以前、2001~09年に有病率は1型、2型とも増加したことを確認しているが、糖尿病の最新の疾病負荷をより深く理解するには、発症動向のデータを要するという。

iFR vs.FFR、即席麺が老舗の味に肩を並べたのか?DEFINE-FLAIR試験(解説:中野 明彦 氏)-672

iFRは、ずっとFFRの背中を追いかけてきた。FFRは、冠動脈病変の生理的・機能的評価のゴールドスタンダードである。最大充血を誘発することで末梢血管抵抗を最小値かつ一定にし、狭窄前後の圧力比を血流量比に落とし込むことを可能とする。

医師主導で進むプレシジョン・メディシン―第15回 肺がん医療向上委員会

 4月13日(木)、都内で日本肺癌学会主催の第15回 肺がん医療向上委員会が開催され、「肺がん領域におけるプレシジョン・メディシン:その影響と将来」をテーマに後藤 功一氏(国立がん研究センター東病院 呼吸器内科)が講演を行った。自身が研究代表者を務める希少肺がん領域の遺伝子スクリーニングネットワーク「LC-SCRUM-Japan」の取り組みを中心に、日本におけるプレシジョン・メディシン(精密医療)の進展と今後の展望について論じた。

カテーテルによる三尖弁形成術の初期段階の実用性は?

 機能的な三尖弁逆流(TR)は有病率が高いうえ進行することが多く、予後にも影響を与える。AHA/ACC(American Heart Association/American College of Cardiology guidelines)のガイドラインによると、三尖弁の修復術は、左室の開心術と同時に行う場合のみ、NYHA分類Iの適応となっている。三尖弁の修復術は患者にとって有益であるが、患者の多くは左心の開心術の際に、三尖弁の修復術を受けていない。一方で、経カテーテルによる治療は増えており、重症TRはこれらの患者の予後にも影響を与えている。このような背景から、経カテーテルによるTR治療が注目されている。

RA治療評価には「患者の主観」も重要

 2017年4月17日、東京において日本イーライリリー株式会社主催で「関節リウマチにおけるPROの重要性と患者さんの求めるQOL」と題したプレスセミナーが開催され、リウマチ医療における最新のPRO(患者報告アウトカム)1)研究に携わるオックスフォード大学のピーター・C・テイラー氏より、関節リウマチ(RA)治療においてPROが果たす役割や、PROを用いた患者とリウマチ医による疾患管理の重要性などが語られた。

日本のDPCデータより統合失調症診断患者を分析

 QOLや社会的機能が改善された臨床的寛解を達成するためには、患者特性ごとに最適な治療を考慮する必要がある。これまでのエビデンスでは、統合失調症の再発予防に対する抗精神病薬持効性注射剤(LAI)の使用が支持されている。関西学院大学のStephane Cheung氏らは、統合失調症と診断された日本人患者の特徴を明らかにし、再入院または救急受診率についてLAIと経口抗精神病薬(AP)のアウトカムを比較した。Clinical Drug Investigation誌オンライン版2017年3月30日号の報告。

アテゾリズマブ、白金化学療法不適格の尿路上皮がん1次治療に承認:FDA

 ロシュ社は2017年4月18日、米国食品医薬品局(FDA)がプラチナベース化学療法不適格の局所進行または転移性尿路上皮がん患者に対するアテゾリズマブの投与について、迅速承認したことを発表した。アテゾリズマブは、プラチナベース化学療法歴のある局所進行または転移性尿路上皮がん患者への投与について、既に承認を取得していたが、今回はプラチナベース化学療法不適格に対する1次治療での承認。

経口ステロイド短期投与で有害事象が2~5倍に/BMJ

 米国の民間保険加入の成人患者では、約5例に1例が経口副腎皮質ステロイド薬の短期投与を処方されており、主要有害事象である敗血症、静脈血栓塞栓症、骨折のリスクが、非投与例の自然発生率の約2~5倍に高まることが、米国・退役軍人省臨床管理研究センターのAkbar K Waljee氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2017年4月12日号に掲載された。経口副腎皮質ステロイド薬の慢性的な使用は、心血管、筋骨格、消化器、内分泌、眼疾患、皮膚、神経系への広範な作用などの合併症をもたらす。一方、その短期的な使用と関連するリスクの特徴は、十分には知られていないという。

クローン病に新たな治療アプローチ、IL-23阻害薬/Lancet

 インターロイキン-23(IL-23)のp19サブユニットを標的とするヒト型モノクローナル抗体製剤risankizumabは、活動期クローン病の臨床的寛解導入において、プラセボよりも高い効果を発揮することが、カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のBrian G Feagan氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2017年4月12日号に掲載された。クローン病の発症には、遺伝学的、生物学的にIL-23経路の関与が認められる。予備的なデータでは、risankizumabは、IL-23経路が関与する慢性炎症性皮膚疾患である乾癬に有効なことが知られている。

善玉ナトリウム利尿ペプチドは急性心不全には効かない?(解説:絹川 弘一郎 氏)-671

心不全の悪玉は交感神経系とレニン・アンジオテンシン系である、といわれてきた。一方、診断や重症度分類に有用なナトリウム利尿ペプチドはANPとBNPが代表であり、血管拡張作用とあわせて善玉ではないかと推察されている。もっとも、この善玉は通常、悪玉に負ける弱いヒーローであるが、ネプリライシンという善玉分解酵素を抑制することで助け舟を出すとやっと力を発揮して、ついに(条件付きではあるけれども)ACE阻害薬を上回る効果を有する薬剤(sacubitril/valsartan)の開発に結実した。

出生年によって子宮頸がんリスクに大きな差

 わが国では、2013年に厚生労働省が「積極的なHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン接種勧奨の中止」を発表後、接種率が急激に低下した。今回、大阪大学産婦人科が中心となって運営している大阪府下での疫学研究OCEAN STUDY(Osaka Clinical Research for HPV vaccine)グループが、出生年ごとの将来の子宮頸がん発症リスクを評価した。Human vaccines & immunotherapeutics誌オンライン版2017年3月8日号に掲載。

認知症予防、毎日の野菜・果物摂取が大切

 食生活の是正は、潜在的に認知症リスクを軽減する可能性があるが、果物の重要性や認知機能維持に必要な野菜や果物の量については不明である。中国・香港中文大学のAllen T C Lee氏らは、WHOにより推奨されている野菜や果物の1日の最低必要量が、認知症リスクを低下させる独立因子であるかを検討した。Age and ageing誌オンライン版2017年2月10日号の報告。