日本語でわかる最新の海外医学論文|page:645

血中カルシウム濃度に関連する遺伝子多型が冠動脈疾患・心筋梗塞発症に関与するか(解説:今井 靖 氏)-708

カルシウム濃度あるいはカルシウム経口補充に伴うカルシウム血中濃度上昇が、冠動脈疾患・心筋梗塞に関連するとするいくつかの疫学研究がある。しかし、ヒトの長い生涯におけるカルシウム濃度上昇が、冠動脈イベント発症に関連するか否かについては明らかではない。

ペルツズマブはHER2陽性乳がんの再発を有意に減少させる(解説:下村 昭彦 氏)-706

HER2陽性乳がんに対する術後薬物療法としてのトラスツズマブの有用性については広く知られており、実臨床で必須の標準治療となっている。また、ペルツズマブの上乗せはHER2陽性転移再発乳がんの1次治療として、ドセタキセル+トラスツズマブに対して有意に予後を改善させることが広く知られている。

高齢糖尿病患者の降圧薬アドヒアランスと効果の関連

 米国Kaiser Permanente Institute for Health ResearchのMarsha A. Raebel氏らによる約13万例の高齢糖尿病患者の後ろ向きコホート研究で、85歳以上もしくは複数の併存疾患を持つ糖尿病患者では、アンジオテンシン変換酵素阻害薬/アンジオテンシンII受容体遮断薬(ACEI/ARB)の服薬アドヒアランスと血圧低下が関連しないことが示された。一方、スタチンのアドヒアランスはLDLコレステロール(LDL-C)の低下と関連していた。Pharmacotherapy誌オンライン版2017年7月28日号に掲載。

双極性障害に対する抗うつ薬治療、その是非は

 双極性障害(BD)患者に対する抗うつ薬の長期使用の有効性および安全性は、依然として議論の余地が残っている。中国・the Second Xiangya Hospital of Central South UniversityのBangshan Liu氏らは、BD患者の長期抗うつ薬使用の有効性と安全性を調査したランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を行った。Journal of affective disorders誌オンライン版2017年7月11日号の報告。

BMSと国立がん研究センター、希少がん対象の共同研究契約を締結

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(東京都新宿区、代表取締役社長:ダビデ・ピラス)は、国立研究開発法人国立がん研究センター(東京都中央区、理事長:中釜 斉、以下、国立がん研究センター)と、希少がんの研究開発およびゲノム医療を推進する産学共同プロジェクト「MASTER KEYプロジェクト」に関する共同研究契約を締結した。

米国、電子タバコ利用増で禁煙率上昇/BMJ

 過去15年間の米国成人喫煙者における電子タバコ使用の大幅な増加が、国民レベルの禁煙率上昇と統計的に有意に関連していることが、米国・カリフォルニア大学のShu-Hong Zhu氏らの検討で明らかになった。著者は「電子タバコの規制政策の立案やタバコのコントロール介入計画において、慎重な検討を要する所見だといえる」とまとめている。BMJ誌2017年7月26日号掲載の報告。

巨細胞性動脈炎の寛解維持にトシリズマブが有用/NEJM

 巨細胞性動脈炎患者において、26週間のprednisone漸減中にトシリズマブを毎週または隔週で投与した群は、26週間または52週間のprednisone漸減中にプラセボを投与した群と比較して、糖質コルチコイドなしでの寛解維持が優れていたことが示された。米国・マサチューセッツ総合病院のJohn H. Stone氏らが行った、糖質コルチコイド漸減中にインターロイキン-6受容体α阻害薬トシリズマブを投与することで、糖質コルチコイドなしで高率の寛解維持が可能かについて検討した、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の1年間の結果で、NEJM誌2017年7月27日号で発表された。巨細胞性動脈炎の寛解維持に糖質コルチコイドは有用だが、長期に使用すると副作用が伴う。しかし、漸減すると再燃が生じるため糖質コルチコイド中断後も寛解維持可能な治療の登場が待たれている。

溶けて消えるステントを消しても良いのか?消さないためになすべきこと(中川義久 氏)-707

エベロリムス溶出生体吸収性スキャフォールド(BVS)の現状を、5年前に予見できた者はいたであろうか? 希望に満ちあふれた新規デバイスとして、みんなの注目を集めて輝いていたね、スキャフォールドくん。学会会場でBVS関連の発表は聴衆であふれていたね、けれども今は……。

2次予防のLDL-C管理が厳格に―動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017

 日本動脈硬化学会が、先般「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」を改訂した。2012年から5年ぶりとなる。今回の改訂のポイントとしては、従来、NIPPON DATE80を使用していた絶対リスク評価を吹田スコアに変更したことと、動脈硬化性疾患の2次予防のLDL-C管理目標値が100mg/dLから70mg/dLに変更され、より厳格化されたことなどが挙げられる。  以下、主だった改訂点を紹介する。

認知症の睡眠障害、その悪影響は

 睡眠障害の症状は、アルツハイマー病(AD)患者において、共通して認められる。しかし、AD患者の睡眠障害症状が、介護者の負担やQOLに及ぼす影響については、あまり知られていない。米国・ペンシルベニア大学のPhilip Gehrman氏らは、AD患者の睡眠障害の罹患率を明らかにし、介護者の負担やQOLを予測する症状を特定するため検討を行った。また、患者の睡眠障害の症状が介護者に及ぼす影響を他の介護者と比較し、介護者のQOLを予測する際の患者の特徴について検討を行った。Geriatric nursing誌オンライン版2017年7月3日号の報告。

狂犬病mRNAワクチンfirst-in-human試験/Lancet

 狂犬病ウイルス糖タンパク質をコードするmRNAワクチン(CV7201)を、初めてヒトに投与し安全性と免疫原性を評価したproof-of-concept試験の結果が、ドイツ・ミュンヘン大学医療センターのMartin Alberer氏らによって報告された。CV7201は、良好な忍容性プロファイルを示し概して安全であったが、無針注射装置を用いて投与された場合にのみ、WHOが推奨するレベルの中和抗体を誘導できることが認められ、通常の注射器による投与では免疫原性は示されなかった。前臨床試験では、通常の注射器でも高い免疫原性を発揮することが示唆されていた。Lancet誌オンライン版2017年7月25日号掲載の報告。

遺伝素因の血清Ca上昇で冠動脈疾患リスク増/JAMA

 遺伝子変異による血清カルシウム濃度上昇が、冠動脈疾患/心筋梗塞のリスク増加と関連していることが明らかとなった。ただし、冠動脈疾患と生涯にわたる遺伝子曝露による血清カルシウム濃度上昇との関連が、カルシウム補助食品(サプリメント)による短期~中期的なカルシウム補給との関連にもつながるかどうかは不明である。スウェーデン・カロリンスカ研究所のSusanna C. Larsson氏らが、血清カルシウム濃度上昇に関連する遺伝子変異と、冠動脈疾患/心筋梗塞のリスクとの間の潜在的な因果関係をメンデルランダム化解析により検証し、報告した。先行の観察研究において、血清カルシウムは心血管疾患と関連していることが認められており、無作為化試験でも血清カルシウム濃度を上昇させるサプリメントが心血管イベント、とくに心筋梗塞のリスクを増加させる可能性が示唆されていた。JAMA誌2017年7月25日号掲載の報告。

中年期のBMIと認知症リスク~59万人のメタ解析

 スイス・ジュネーブ大学のEmiliano Albanese氏らが、中年期のBMIと認知症との関連について、相反する19研究における約59万人のメタ解析を行った結果、中年期の肥満が認知症リスクを増加させることが示された。一方、低体重と認知症との関連性は依然として議論の余地があるとしている。Alzheimer's & dementia誌2017年6月20日号に掲載。

PD-L1高発現NSCLC1次治療、ペムブロリズマブKEYNOTE-024試験の日本人データ/日本臨床腫瘍学会

 KEYNOTE-024試験は、未治療のPD-L1高発現(TPS50%以上)非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブの1次治療を評価する国際共同無作為化第III相試験。全集団の解析では、無増悪生存期間(PFS)のHRが0.50(p<0.001)、全生存期間(OS)のHRも0.60(p=0.005)と、標準化学療法(SOC)群に対するペムブロリズマブ群の優越性が示されている。第15回日本臨床腫瘍学会では、同試験の日本人患者集団の解析結果が、兵庫県立がんセンター里内美弥子氏より発表された。

CAR-T療法、再発・難治性B細胞性ALL治療に。FDA承認を推奨

 ノバルティスは7月12日、米国食品医薬品局(FDA)抗腫瘍薬諮問委員会(ODAC)が満場一致で、再発・難治性(r/r)B細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)の小児および若年成人患者を対象とする治験を実施中のキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)医療である、CTL019(tisagenlecleucel)の承認を推奨したことを発表した。

4種類の非定型抗精神病薬、自律神経系への影響を比較:横浜市大

 抗精神病薬は、統合失調症患者の自律神経系(ANS)機能不全に関連するが、各非定型抗精神病薬の影響は明らかになっていない。横浜市立大学の服部 早紀氏らは、リスペリドン、オランザピン、アリピプラゾール、クエチアピンの4種類の非定型抗精神病薬が、ANS活性にどのような影響を及ぼすかを調査した。Schizophrenia research誌オンライン版2017年7月12日号の報告。

臨床試験の透明性、製薬企業間に大きなばらつき/BMJ

 臨床試験の透明性に関する製薬企業のコミットメントを調べたところ、きわめてばらつきが大きいことが判明した。一方で、試験結果の公表や臨床試験登録などの透明性に関する具体的な調査項目すべてにおいて、最良の選択をしている企業が1社あり、すべての企業が最良の選択をすることは不可能でないことも示されていたという。英国・オックスフォード大学のBen Goldacre氏らが、世界の製薬企業42社を対象に行った調査で明らかにし、BMJ誌2017年7月26日号で発表した。

アメフト経験者の約9割に慢性外傷性脳症/JAMA

 あらゆるプレーレベルの経験者を含む、亡くなった元アメリカンフットボール選手の脳検体202例を調べたところ、その87%で慢性外傷性脳症(CTE)の神経病理学的所見が確認されたことが報告された。とくに元ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)選手の脳検体111例では99%にCTEが認められたという。米国・ボストン大学のJesse Mez氏らによる報告で、JAMA誌2017年7月25日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「CTEがフットボールを経験したことに関係していることが示唆された」と述べている。