日本語でわかる最新の海外医学論文|page:636

双極性障害患者の摂食障害合併、傾向と予後は

 双極性障害(BD)において摂食障害(ED)は一般的に認められるが、その縦断的な因果関係についてはほとんど知られていない。米国・スタンフォード大学のDanielle R. Balzafiore氏らは、EDの有無によるBD患者の有病率、臨床的相関、縦断的うつ病重症度を評価した。International journal of bipolar disorders誌2017年12月号の報告。

durvalumab維持療法、Stage III肺がんのPFSを有意に改善(PACIFIC)/ESMO2017

 切除不能な局所進行Stage III肺がんに対するdurvalumab維持療法が、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善。抗PD-L1抗体durvalumabの第III相PACIFIC試験の最新の結果を2017年9月9日、スペイン・マドリードで行われた欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017)でスペインHospital Universitario de OctubreのLuis Paz-Ares氏が発表した。

日本人女性、GIの高い食事はうつになりにくい?

 西洋諸国よりも食事のグリセミックインデックス(GI)と血糖負荷(GL)が高いアジア人集団において、これらとうつ症状との関連についての疫学的エビデンスは限定的であり、結論は出ていない。今回、東京大学の研究グループの横断研究で、日本人の若年および中年女性において、食事のGIがうつ症状と逆相関し、GLとは関連がなかったことが示された。European journal of nutrition誌オンライン版2017年7月20日号に掲載。

緑内障患者の自己眼圧測定、約7割で成功・受容

 自己眼圧測定は、眼圧の頻繁な測定と、最高眼圧および眼圧変動の理解を高めることに寄与するが、英国・エディンバラ大学のSavva Pronin氏らによる検討の結果、大部分の緑内障患者が、反跳式眼圧計を用いて自ら眼圧測定を行うことができ、反復測定を受け入れ可能であることが示唆された。著者は、「自己眼圧測定は患者の関与を改善する可能性があり、自己眼圧測定によって眼圧の経時的な変動の全体像をより詳しく把握することもできる」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年8月31日号掲載の報告。

広範なPCI施行例で、生体吸収性と非生体吸収性ステントを比較/Lancet

 待機的か緊急を問わずPCI施行患者を対象とした試験で、新たな技術が用いられている超薄型ストラット生体吸収性ポリマー・シロリムス溶出ステント(Orsiro)は、非生体吸収性ポリマー・エベロリムス溶出ステント(Xience)と比較して、臨床的アウトカムに関する非劣性が100%見込まれることが発表された。米国・Piedmont Heart InstituteのDavid E. Kandzari氏らによる13ヵ国90の病院で行われた無作為化試験「BIOFLOW V試験」の結果で、著者は「今回の試験結果は、次世代薬剤溶出ステント技術の改善に新たな方向性を示すものであった」と述べている。

認知障害にシスタチンCと微量アルブミン尿が関連

 認知障害は健康に影響する重要な要素であり、早期診断が重要である。今回、久留米大学の福本 義弘氏らの研究グループが、比較的若年の集団において、認知機能が血清シスタチンCおよび微量アルブミン尿と有意に逆相関することを初めて証明した。Atherosclerosis誌オンライン版2017年8月26日号に掲載。

オランザピン誘発性体重増加のメカニズム

 オランザピンなどの非定型抗精神病薬は、過度な体重増加や2型糖尿病を誘発することがある。しかし、これらの薬物誘発性代謝異常の根底にあるメカニズムは、あまりわかっていない。米国・テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターのCaleb C. Lord氏らは、オランザピン誘発性代謝異常のメカニズムについて、動物実験により検討を行った。The Journal of clinical investigation誌オンライン版2017年8月14日号の報告。

PCI施行時の抗凝固療法、bivalirudin vs.ヘパリン/NEJM

 急性心筋梗塞に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行時の抗凝固療法について、bivalirudinとヘパリンの単独投与を比較検討した結果、追跡180日間の死亡・心筋梗塞再発・大出血に関して有意な差は認められなかった。スウェーデン・ルンド大学のDavid Erlinge氏らが、多施設共同無作為化レジストリベースの非盲検臨床試験の結果、報告した。現行プラクティスに従い、橈骨動脈アプローチ法を用いたPCIを受け、強力なP2Y12阻害薬を投与するが糖蛋白IIb/IIIa阻害薬の投与予定のない急性心筋梗塞患者において、どの抗凝固療法戦略が有効かは明白になっていない。bivalirudinとヘパリンの比較に関する先行研究では相反する結果が示されており、またそれら試験では、ヘパリンは無作為化前に、bivalirudinはPCI後にと、異なるアプローチが用いられていた。P2Y12阻害薬の投与についても異なっていた。NEJM誌オンライン版2017年8月27日号掲載の報告。

患者さんにとって福音である迅速審査の実態が好ましくなさそうだ(解説:折笠 秀樹 氏)-730

米国FDAが迅速審査で承認された薬剤を対象として、承認前と承認後の臨床研究について調査がなされた。迅速審査は悪性腫瘍や難病などの重篤な疾患に対して適用される制度であり、代替エンドポイントの結果に基づいて承認がなされる。その代わり、承認後に真のエンドポイントで科学的に立証することが求められている。2009~13年に迅速承認された22剤(24適応)が、今回の調査対象となった。そのうちの79%(=19/24)は悪性腫瘍領域であった。承認前に実施された臨床研究は30件、承認後に実施された臨床研究は18件であった。

HR0.46、オシメルチニブが1次治療で標準治療を上回る(FLAURA)/ESMO2017

 EGFR変異陽性進行NSCLCの1次治療として、第1世代EGFR-TKIによる標準治療に比べ、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)が病勢増悪および死亡のリスクを54%減少させた。第Ⅲ相ランダム化比較試験FLAURAの結果に基づき、米国Winship Cancer Institute of Emory UniversityのSuresh Ramalingam氏がスペイン・マドリードにおける欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017)のPresidential Symposiumで報告した。

厳格降圧はCKD患者の死亡リスクを下げるのか~メタ解析

 高血圧患者における試験では、厳格な降圧が心血管疾患死や全死亡のリスクを低下させる一方、慢性腎臓病(CKD)の発症や進行のリスクを高める可能性が示唆されている。これまで、一般的なCKD患者において厳格な降圧が死亡におけるベネフィットと関連するのかどうか不明である。今回、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のRakesh Malhotra氏らが無作為化試験(RCT)の体系的レビューとメタ解析を行った結果、高血圧とCKD(ステージ3~5)の併存患者において、厳格な降圧が低強度の降圧より死亡リスクが低かった。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2017年9月5日号に掲載。

アトピー性皮膚炎へのPDE4阻害薬軟膏、長期安全性を確認

 慢性炎症性皮膚疾患のアトピー性皮膚炎(AD)に対しては、しばしば長期にわたる局所治療が必要となるが、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬のcrisaborole軟膏は、長期投与においても治療関連有害事象の発現率が低いことが示された。米国・カリフォルニア大学のLawrence F. Eichenfield氏らが、2件の第III相試験を完遂後のAD患者を対象とした48週間の延長試験で明らかにした。なお、本試験では、長期有効性については解析されていない。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年8月17日号掲載の報告。

アスピリン+リバーロキサバン、心血管疾患の2次予防に有効か/NEJM

 心血管疾患の2次予防において、アスピリンにリバーロキサバン(商品名:イグザレルト)を併用すると、アスピリン単剤に比べ転帰が改善するが、大出血が増加することが、カナダ・マックマスター大学のJohn W. Eikelboom氏らが行ったCOMPASS試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年8月27日号に掲載された。心血管疾患の長期的な予防治療として、アスピリンに替わるさまざまな抗血栓療法レジメンが検討されてきた。2次予防では、アスピリンはプラセボに比べ主要有害心血管イベントのリスクを19%、心血管死のリスクを9%低下させることがメタ解析で示されている。また、選択的直接第Xa因子阻害薬リバーロキサバンは、静脈血栓塞栓症の予防、治療や、心房細動における脳卒中や全身性塞栓症の予防に用いられている。

CETP阻害薬、冠動脈イベントを抑制/NEJM

 コレステリルエステル転送蛋白(CETP)阻害薬anacetrapibは、強化スタチン療法を受けているアテローム動脈硬化性血管疾患患者の主要冠動脈イベントを抑制することが、HPS3/TIMI55-REVEAL Collaborative Groupの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年8月29日号に掲載された。CETPは、血中のHDL粒子とアポリポ蛋白B含有アテローム促進性粒子との間で、コレステリルエステルとトリグリセライドの転送を促進する。CETPを薬理学的に阻害すると、HDLコレステロール(HDL-C)が増加し、非HDL-C(とくにLDL-C)が低下するが、これまでに行われた3つのCETP阻害薬の無作為化試験は、いずれも約2年のフォローアップ後に無効または有害事象のため中止されている。

医療機器の適応追加・設計変更に用いた臨床データは不十分なのか(解説:折笠 秀樹 氏)-729

医療機器の場合、しばしば適応追加(対象拡大)や設計変更がなされる。承認済みの医療機器の変更申請に際して、米国FDAでは大別してTraditional PMAとPanel-track PMA supplementという方法がある(Guidance for Industry and FDA Staff: Modifications to Devices Subject to PMA)。後者のほうが厳しくない方法のようだが、それにも6つのパスウェイがある。そのうち、今回はPanel-track supplementパスウェイに焦点を当てた。これは、医療機器の設計・性能上の重大な変更、および新たな適応追加に適用されるパスウェイである。ここでは、必ず臨床研究データの提出が要求される。本調査では、要求された臨床研究データの特徴について調査した。対象となったのは、米国FDAで2006~15年の約10年間に承認された、ハイリスク医療機器78件である。

出生年代別にみた認知症の発症率

 経年的な認知症発症の傾向をよりよく理解するためには年齢とコホート効果を分ける必要があるが、この手法を用いた先行研究はほとんどない。今回、米国・アルベルト・アインシュタイン医学校のCarol A. Derby氏らが、アインシュタイン・エイジング研究に登録された70歳以上の参加者において認知症発症率および心血管系合併症の有病率の傾向を調べた結果、認知症発症率の低下が確認された。しかしながら、著者らは「人口の高齢化を考慮すると、発症率の低下が認知症負担の軽減につながるかどうかは不明」と述べている。JAMA neurology誌オンライン版2017年9月5日号に掲載。