日本語でわかる最新の海外医学論文|page:634

国内のインフルエンザ増加続く。推計受診者数1,400万人に/本年第5週

 2018年第5週(平成30年1月29日~2月4日)の定点当たりのインフルエンザ報告数は54.33(患者報告数268,811)となり、第4週(平成30年1月22~28日)の定点当たり報告数52.35よりも増加した。都道府県別では大分県(77.09)、福岡県(69.96)、埼玉県(68.29)、神奈川県(66.31)、高知県(66.19)、鹿児島県(64.61)、千葉県(63.98)、愛知県(62.52)、山口県(62.28)、佐賀県(59.51)、三重県(58.28)、福島県(57.43)、岩手県(56.98)、宮崎県(56.02)、新潟県(55.74)、熊本県(55.06)の順となっている。

初期アルツハイマー病におけるエアロビクスエクササイズの影響

 アルツハイマー病患者は、自立した日常生活動作が妨げられる。アルツハイマー病患者の自立を支えるための介入を特定し、介護の経済的および心理的な負担を軽減することは不可欠である。米国・カンザス大学のEric D. Vidoni氏らは、初期アルツハイマー病患者の機能障害および介護の時間について調査を行った。Journal of geriatric physical therapy誌オンライン版2017年12月28日号の報告。

B細胞性ALL、CAR-T療法で8割が全寛解/NEJM

 小児および若年成人における再発・難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)に対して、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞療法(CAR-T療法)であるtisagenlecleucelの単回投与は、長期にわたる持続的な寛解をもたらし、Grade3以上の有害事象は一過性であることが確認された。米国・ペンシルベニア大学のShannon L. Maude氏らが、11ヵ国の25施設で実施された国際共同第II相臨床試験の結果を報告した。単一施設で行われたtisagenlecleucelの第I・IIa相試験では、同患者における完全寛解率は93%と高く、毒性は重篤であったものの、ほとんどが可逆的であることが示されていた。NEJM誌2018年2月1日号掲載の報告。

脳内出血後の院内死亡、ワルファリンvs. NOAC/JAMA

 脳内出血(ICH)患者の院内死亡リスクを、発症前の経口抗凝固薬(OAC)で比較したところ、OAC未使用群に比べ非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)あるいはワルファリンの使用群で高く、また、NOAC使用群はワルファリン使用群に比べ低いことが示された。米国・デューク大学メディカルセンターの猪原拓氏らが、米国心臓協会(AHA)/米国脳卒中協会(ASA)による登録研究Get With The Guidelines-Stroke(GWTG-Stroke)のデータを用いた後ろ向きコホート研究の結果、明らかにした。NOACは血栓塞栓症予防としての使用が増加しているが、NOAC関連のICHに関するデータは限られていた。JAMA誌オンライン版2018年1月25日号掲載の報告。

双極性障害患者における道路交通傷害リスクと薬物治療との関連

 双極性障害患者の道路交通傷害リスクを調査するため、台湾・長庚大学のVincent Chin-Hung Chen氏らは、台湾の全国規模の人口データセットを用いて、非双極性障害患者との比較検討を行った。さらに、双極性障害と道路交通傷害リスクとの関連に対する、リチウム、抗てんかん薬、抗うつ薬、第1世代抗精神病薬、第2世代抗精神病薬の処方で推定される緩和効果についても調査を行った。Journal of affective disorders誌2018年1月15日号の報告。

心房細動合併心不全の予後、アブレーションで大幅改善/NEJM

 心房細動を合併した心不全患者で、種々の理由で抗不整脈薬治療を受けられない場合においても、心房細動に対するカテーテルアブレーションを行うことで、薬物治療のみでのレートコントロールやリズムコントロールに比べ、全死因死亡および心不全悪化による入院の複合リスクは、約4割減少することが示された。米国・ユタ大学のNassir F.Marrouche氏らが、患者363例を対象に行った無作為化比較試験で明らかにし、NEJM誌2018年2月1日号で発表した。心房細動を合併した心不全患者は、心不全単独患者よりも脳卒中や心不全悪化による入院、死亡のリスクが高い。心房細動に対するカテーテルアブレーションは、そのほかの心機能は正常で薬物療法が無効の症候性心房細動に推奨されており、これまでの試験で、心房細動合併の心不全患者においてアウトカムを改善することが示唆されていた。

小児腎臓病既往で、末期腎不全リスクが約4倍/NEJM

 小児期の腎臓病既往歴は、たとえ青年期においては腎機能が正常であっても、その後の末期腎不全(ESRD)発症リスクを有意に増大することが明らかになった。イスラエル・ヘブライ大学のRonit Calderon-Margalit氏らが、約152万人の同国青少年についてコホート研究を行い明らかにしたもので、NEJM誌2018年2月1日号で発表した。これまで、小児期に慢性腎臓病(CKD)に進展しなかった小児腎臓病の長期的リスクは明らかにされていないという。

新薬が出ない世界で(2)(解説:岡村毅氏)-809

アルツハイマー型認知症に対する疾患修飾薬(根本治療薬)であるアミロイド抗体(solanezumab)が、軽度のアルツハイマー型認知症の患者さんに対しても効果がなかったという報告である。すでに軽度から中程度においては効果がないことが示されていたが(EXPEDITION 1&2、Doody RS, et al. N Engl J Med. 2014;370:311-321. PMID: 24450890)、この時、軽度の方に対しては効果があるという希望が示されていた。そこで今回の研究(EXPEDITION 3)が遂行されたのだが、残念ながら希望はかなわなかった。

かかりつけ医の初診料に加算を新設:2018年度診療報酬改定 答申

 中央社会保険医療協議会(中医協)は、2018年2月7日の総会で2018年度診療報酬改定案をまとめ、加藤勝信厚生労働相に答申した。今回の改定では団塊の世代が後期高齢者となる2025年を見据えて「地域包括ケアシステムの構築」が柱の1つとして掲げられ、外来医療の機能分化、歯科医・薬剤師との連携や生活習慣病の重症化予防を推進する項目が盛り込まれている。

抗うつ薬の臨床試験におけるプラセボ効果に関する解析

 抗うつ薬の臨床試験におけるプラセボの反応率は増加し続けていることから、臨床試験の失敗数の増加を招いていると考えられてきた。最近報告された2件のシステマティックレビューで、この問題が調査されており、それぞれの報告で正反対の見解が示された。京都大学の古川 壽亮氏らは、これまでの結果を再検討する解析を行った。Evidence-based mental health誌オンライン版2018年1月12日号の報告。

術前の呼吸理学療法教育で肺合併症が半減/BMJ

 待機的上腹部手術患者では、術直後の呼吸訓練に関する理学療法の講習を術前に受けることで、院内肺炎を含む術後の呼吸器合併症がほぼ半減することが、オーストラリア・メルボルン大学のIanthe Boden氏らの検討(LIPPSMAck-POP試験)で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年1月24日号に掲載された。呼吸器合併症は、上腹部手術後の最も重篤かつ不良な転帰であり、死亡率や医療費も増加させる。これらの合併症は、術前の理学療法教育や呼吸訓練の指示のみで予防可能なことを示唆する試験がいくつかあるが、このエビデンスには、方法論上の欠点や一般化可能性が乏しいといった限界があるとされていた。

乳がん検診と治療が及ぼす死亡率減少への影響をサブタイプ別に検証(解説:矢形寛氏)-807

Cancer Intervention and Surveillance Network(CISNET)は、国立がん研究所がスポンサーとなっている組織であり、がんの予防、スクリーニング、治療が、がんの頻度や死亡率に及ぼす影響をよりよく理解するためのモデルなどを提供している。2005年のNEJMでは、CISNETモデル用いた検討により、死亡率低下のうち46%がスクリーニング、54%が治療による影響と評価されていた。

抗VEGF薬硝子体内注射の効果をリアルワールドデータで確認

 米国・ラッシュ大学医療センターのElizabeth A. Atchison氏らは、米国眼科学会(AAO)によるIRIS(Intelligent Research in Sight)レジストリのデータを解析し、抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬の硝子体内注射後の眼圧低下は、わずかだが統計的に有意に持続していることを明らかにした。臨床的に有意な眼圧上昇は、治療眼全体で2.6%に認められたという。Ophthalmology誌オンライン版2018年1月11日号掲載の報告。

人工知能(AI)で胃がんを発見する/がん研究会

 2018年1月22日、公益財団法人がん研究会有明病院(院長:山口 俊晴、所在地:東京都江東区)の平澤俊明医師(上部消化管内科副部長)と株式会社AIメディカルサービス(CEO: 多田智裕、所在地:東京都新宿区)の多田智裕医師(ただともひろ胃腸科肛門科院長/東京大学医学部客員講師)らの研究グループは、人工知能(AI)を活用し、胃内視鏡静止画像の中から高精度に胃がんを検出する内視鏡画像診断支援システムを開発したと発表。

統合失調症患者における抗精神病薬使用と死亡率

 統合失調症における抗精神病薬での治療が、患者の死亡率の増減に関連しているのか、また、特定の薬剤と投与経路との間に臨床的な意味の違いがあるのかは、よくわかっていない。東フィンランド大学のHeidi Taipale氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬治療と死亡率との関連について検討を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2017年12月20日号の報告。

C肝に8週投与でSVR99%:マヴィレット第III相試験/NEJM

 肝硬変を伴わないC型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1型または3型感染患者において、グレカプレビル・ピブレンタスビル合剤(商品名:マヴィレット配合錠)の1日1回8週間治療および12週間治療のいずれについても、高率の持続性ウイルス学的著効(SVR)を達成(それぞれ99%、95%)したことが、ドイツ・フランクフルト大学病院のStefan Zeuzem氏らが行った検討の結果、示された。NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬グレカプレビルとNS5A阻害薬ピブレンタスビルは、すべてのHCV遺伝子型(1~6型)に活性を示し、耐性に対して高いバリアを持つ直接作用型抗ウイルス薬である。両薬合剤の第II相試験では、12週間治療のSVRが全遺伝子型で93%以上を達成し、1/3型のSVRは97%を示していた。NEJM誌2018年1月25日号掲載の報告。

身体活動がPTSDに及ぼす影響

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)の有病率は高まっており、治療を受けていない場合、個人、家族および最終的には社会全体へ重大な影響を及ぼす可能性がある。これまでのPTSD治療には、心理療法と薬物療法があるが、患者は、それ以外の治療を受ける機会を制限されている。心理療法と薬物療法を組み合わせたこれまでの治療方法を強化するため、費用対効果の高い補助療法に関する研究が求められている。