日本語でわかる最新の海外医学論文|page:639

不眠症治療における睡眠衛生教育のメタ解析

 睡眠衛生教育は、プライマリケアにおいて不眠症の治療に用いられている。より強力な治療法として報告されている睡眠衛生教育や不眠症に対する認知行動療法が、最初から実践されるべきかについては、不明である。中国・香港大学のKa-Fai Chung氏らは、睡眠不足または不眠症に対する睡眠衛生教育の有効性に関する検討を行った。Family practice誌オンライン版2017年11月29日号の報告。

腎細胞がん、レンバチニブ・ペムブロリズマブ併用にブレークスルーセラピー指定

 エーザイ株式会社とMerck&Co.,Inc.,は2017年1月9日、エーザイ創製のマルチキナーゼ阻害剤レンバチニブ(商品名:レンビマ)とMSDの抗PD-1 抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)との併用療法による進行性または転移性腎細胞がんの適応に対して、米国食品医薬品局(FDA)よりブレークスルーセラピー指定を受けたと発表。

ビッグデータの分析による正常体温の個体差/BMJ

 正常体温は、加齢とともに低下し、正常体温が高いことはがんやBMIの増加と関連する可能性があることが、米国・ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のZiad Obermeyer氏らによる、長期的なビッグデータを用いた検討で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2017年12月13日号に掲載された。19世紀に開始されたヒトの深部体温の研究には長い伝統があるが、主に特定の集団の平均体温の確立に重点が置かれてきた。一方、体温は、患者によって大きく異なる多彩な因子(年齢と体内時計、代謝、排卵周期など)の影響を受けることが知られ、個々の患者のベースラインの正常体温には系統的な差異がある可能性が高まっているという。

統合失調症の再入院に対する抗精神病薬の比較

 再発予防、とくに初回エピソード統合失調症患者における、新規抗精神病薬の長期有効性の比較についてはあまり知られていない。フィンランド・東フィンランド大学のHeidi Taipale氏らは、統合失調症患者の再入院リスクに対する各種抗精神病薬の影響について、比較検討を行った。Schizophrenia bulletin誌オンライン版2017年12月20日号の報告。

初の「サルコペニア診療ガイドライン」発刊

 本邦初となる「サルコペニア診療ガイドライン2017年版」が2017年12月25日に発刊されたことを受け、2018年1月10日、都内でプレスセミナー(日本サルコペニア・フレイル学会主催)が開催された。セミナーでは本ガイドラインの作成委員長を務めた荒井 秀典氏(国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター長)が登壇し、サルコペニア診療ガイドライン作成の背景と、その概要について解説した。

心臓サルコイドーシスの診断と予後の評価、心臓MRIは有意義か?

 心臓サルコイドーシスは健康状態を悪化させ、死にもつながる疾患である。心臓に関連した症状がある患者の評価において、心臓MRIは重要な診断ツールであるが、これまでに使われてきたテストに加えてMRIを行うことが、心臓サルコイドーシスの診断に有用であるかは不明である。Vasileios Kouranos氏らによる本研究の目的は、心臓サルコイドーシスにおけるさまざまな検査の診断的価値を評価するとともに、心臓MRIの役割を示し、リスクが高い患者を特定することである。Journal of American College of Cardiology誌12月号に掲載。

製薬企業データを活用しAIで創薬/DeNA

 株式会社ディー・エヌ・エー(所在地:東京都渋谷区、代表取締役社長兼CEO:守安 功)および株式会社DeNAライフサイエンス(所在地:東京都渋谷区、代表取締役社長:大井 潤)は、旭化成ファーマ株式会社(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:柴田 豊)および塩野義製薬株式会社(所在地:大阪府大阪市、代表取締役社長:手代木 功)と、旭化成ファーマおよび塩野義製薬が所有する化合物情報(構造式および特性情報)を用いて、AI創薬の実現可能性を技術的に検証する共同研究を2018年1月から開始する。

心臓デバイス装着例へのMRI検査の安全性/NEJM

 米国では、心臓ペースメーカーや植え込み型除細動器(ICD)を使用中の患者は、デバイスが米国食品医薬品局(FDA)の規定する基準を満たさない限り、安全上の懸念からMRI検査を受けられないことが多く、FDA基準を満たすデバイスは「MRI-conditional(条件付きでMRI可能)」と呼ばれる。米国・ペンシルベニア大学のSaman Nazarian氏らは、このような条件を満たさず、FDAによりMRI禁忌とされる従来の心臓デバイス(レガシー・デバイス)の装着例で、MRI検査を受けた患者を前向きに調査し、臨床的に問題となる有害事象は発現していないと明らかにした。NEJM誌2017年12月28日号掲載の報告。

ペットは老化の進行を抑制する?/BMJ

 動物との交遊は、老化の修正可能な特性である可能性があるが、高齢者がペットを飼うことと老化のバイオマーカーとの関連はほとんど知られていない。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのG. David Batty氏らは、約8,800例の高齢者を調査し、ペットの飼育は老化のバイオマーカーに影響を及ぼさないことを示した。研究の成果は、BMJ誌2017年12月13日号に掲載された。英国では高齢者の半数がペットを飼っており、オーストラリアの調査では高齢者の12%が「動物は交遊の主要形態」と答えているという。

満月の夜には死亡事故が多い(解説:折笠秀樹氏)-799

Redelmeierらは1万3,000件ものオートバイによる死亡事故について、それは満月の夜に起こりやすいかどうかを調査した。満月の夜には1晩当たり9.10件の死亡事故が観察されたが、そうでない夜には1晩当たり8.64件にすぎなかった。わずか1.05倍という危険度だが、その差は偶然とは思えない、統計学的に有意な結果であった(p=0.005)。死亡事故の原因と目されている雨天・ヘルメット着用・性別・年齢などでは、両群に違いはなかった。つまり、他の交絡因子では説明できないということだ。

大気汚染による高齢者への深刻な健康被害に警鐘を鳴らす!(解説:島田俊夫氏)-798

大気汚染が大きな社会問題としてこれまでも論議されてきたことは周知の事実である。大気中の汚染微粒子状物質への暴露による冠動脈疾患への影響に関してもすでに多くの報告がみられる。わが国も大気汚染による健康被害の先進国としてこの問題に取り組んできた経緯がある。今日、急激に工業発展を遂げている地球の工場と化している中国の大気汚染は地球環境の崩壊につながりかねない深刻な問題である。Lancet誌のオンライン版2017年12月5日号に掲載された英国国立心臓・肺研究所のRudy Sinharay氏らにより報告された無作為化クロスオーバー試験は大気汚染による健康被害に警鐘を鳴らす、高齢者に的を絞った時宜を反映した興味深い論文であり私見をコメントする。

高血糖はがん死亡に関連するが、非がん死亡とは関連せず

 高血糖はがん全体および特定のがんの発症率と関連し、糖尿病によるリスクとは異なる。フランスの大規模なプライマリケア集団(IPCコホート)において、これらの関連を全死因死亡や非がん死亡と比較し分析したところ、高血糖ががん死亡と有意に関連(とくに消化器がんと白血病)していたが、非がん死亡とは関連していなかった。またこの関連は、長期アスピリン治療を含む交絡因子を考慮しても維持された。Diabetologia誌オンライン版2018年1月5日号に掲載。

医療勤務環境改善マネジメントシステム普及促進TOPセミナー開催のお知らせ

 長時間労働や当直、夜勤・交代制勤務などにより厳しい労務環境に置かれている医療従事者。働き方改革の機運が高まる中、医療現場にもより健康で安心して働くことのできる環境整備が求められている。厚生労働省は、「医療勤務環境改善マネジメントシステム」を活用した取り組みを推進するため、昨年より、医療機関の経営者や管理者を対象にしたセミナーを実施してきたが、その締めくくりとなるTOPセミナーが2月に東京で実施される。

BiTE抗体ブリナツモマブ、B細胞性ALLに国内申請

 アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社(本社:東京、代表取締役社長:スティーブ スギノ)とアステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長:畑中 好彦)は、アステラス・アムジェン・バイオファーマがCD19とCD3に二重特異性を有するT細胞誘導抗体製剤ブリナツモマブについて、日本で、再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病(ALL)の治療薬として製造販売承認申請を行ったと発表した。

高齢者のCaやビタミンD補給、骨折を予防せず/JAMA

 自宅で生活する高齢者について、カルシウム、ビタミンD、またはその両方を含むサプリメントの使用は、プラセボや無治療と比較して骨折リスクの低下と関連しないことが、中国・天津病院のJia-Guo Zhao氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果で明らかにされた。骨粗鬆症関連の骨折による社会的および経済的負荷が世界的に増加しており、骨折を予防することは公衆衛生上の大きな目標であるが、カルシウム、ビタミンDまたはそれらの併用と、高齢者における骨折の発生との関連性については、これまで一貫した結果が得られていなかった。著者は、「施設外で暮らす一般地域住民である高齢者に対し、こうしたサプリメントの定期的な使用は支持されない」と結論付けている。JAMA誌2017年12月26日号掲載の報告。

高齢者の大気汚染物質への曝露、基準値以下・短期でも死亡リスク増/JAMA

 微小粒子状物質(PM2.5)や暖候期オゾンへの曝露について、現行の米国環境大気質基準(National Ambient Air Quality Standards:NAAQS)よりも低濃度かつ短期間であっても、死亡リスクの上昇と有意に関連していることが明らかとなった。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のQian Di氏らが、メディケア受給者を対象としたケース・クロスオーバー研究の結果を報告した。米国環境保護局は5年ごとにNAAQSを再検証しているが、非監視地域や感受性が高い集団における、現在のNAAQS基準を下回るレベルの大気汚染での死亡リスクに関するエビデンスは不足していた。結果を踏まえて著者は、「現行のNAAQS基準を見直す必要があるだろう」と提言している。JAMA誌2017年12月26日号掲載の報告。