日本語でわかる最新の海外医学論文|page:603

低脂肪vs.低炭水化物ダイエット、体重減効果は?/JAMA

 健康的低脂肪(HLF)ダイエットと健康的低炭水化物(HLC)ダイエットについて、12ヵ月後の体重減効果は同等であることが、米国・スタンフォード大学のChristopher D.Gardner氏らが、609例を対象に行った無作為化比較試験で示された。また遺伝子型やダイエット開始前のインスリン分泌能は、いずれの食事療法の体重減効果とも関連がみられなかったという。結果を踏まえて著者は、「疾病の素因と仮定される遺伝子型およびインスリン分泌能は、HLFとHLCのどちらが至適な食事療法かを識別するのには役立たないようだ」とまとめている。JAMA誌2018年2月20日号掲載の報告。

データ共有を宣言するも実が伴っていなかった(解説:折笠秀樹氏)-817

データ共有の方針(Data sharing policy)をとると、他の研究者から依頼があれば著者は生データを提供しなければならない。BMJとPLOS Medicine誌は、早くからデータ共有を打ち出してきた臨床雑誌である。この方針が打ち出された以降(2013~16年)に出版された、37件のランダム化比較試験(RCT)を調査対象とした。これらの雑誌には臨床試験よりも観察研究が載りがちであるが、4年間でRCTが37件というのはちょっと少ないかと思われた。

新しいドパミン受容体パーシャルアゴニスト、ブレクスピプラゾール

 ブレクスピプラゾールは、アリピプラゾールと同クラスの新規ドパミン受容体パーシャルアゴニストの抗精神病薬である。オーストラリア・モナッシュ大学のJudy Hope氏らは、ブレクスピプラゾールについてのレビューを行い、アリピプラゾールとの比較を行った。Australasian psychiatry誌2018年2月号の報告。

オシメルチニブ耐性後のMET増幅、NSCLCの予後を悪化?/Lung Cancer

 MET増幅はEGFR C797Sと並び、第3世代EGFR-TKIオシメルチニブの代表的な体制機構である。過去の研究では、オシメルチニブ耐性の30%前後にMET増幅がみられるとの報告もある。しかし、オシメルチニブ耐性後のMET増幅に関するコホート研究はほとんど行われていない。本研究では、進行肺腺がん患者におけるオシメルチニブ耐性後のMET増幅の獲得について、またMET増幅と臨床予後との関係について調査した。

尿路感染へのトリメトプリムで突然死リスクは増えるのか/BMJ

 尿路感染症(UTI)に対するトリメトプリムの使用は、他の抗菌薬使用と比べて、急性腎障害(AKI)および高カリウム血症のリスクは大きいが、死亡リスクは高くないことが、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のElizabeth Crellin氏らによるコホート研究の結果で示された。また、相対リスクの上昇は試験対象集団全体においては類似していたが、レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬およびカリウム保持性利尿薬を服用していた群ではベースラインのリスクが高いほど、AKIや高カリウム血症の絶対リスク上昇がみられたという。BMJ誌2018年2月9日号掲載の報告。

加齢黄斑変性への抗VEGF薬、長期投与は?

 米国・Retina Consultants of Orange CountyのSean D. Adrean氏らは、抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬をtreat-extend-stop(TES)法で50回以上投与された、滲出型加齢黄斑変性(AMD)患者の臨床転帰を後ろ向きに調査した。その結果、50回の注射後にはETDRS視力表で平均2行視力が改善し、平均追跡期間8年で最終調査時には3行以上改善していた眼の割合が35.2%であったことを報告した。著者は、「長期にわたるTES法での抗VEGF治療を要する患者は、視力の維持または改善が可能である」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2018年2月10日号掲載の報告。

双極性障害の補助治療オプションに関する情報のアップデート

 双極性障害は、複雑な疾患であり、その治療においては、しばしば併用療法が必要となる。近年、双極性障害の治療法は、著しい進歩を遂げている。臨床医が患者に情報を提供し、最適な結果が得られるよう治療を行うために、オーストラリア・メルボルン大学のOlivia M. Dean氏らは、現在の補助療法の治療選択肢に関する概要をまとめた。Bipolar disorders誌オンライン版2018年1月25日号の報告。

非転移性去勢抵抗性前立腺がん、アパルタミドがMFS延長/NEJM

 アンドロゲン受容体の競合的阻害薬apalutamideは、高リスクの非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者の転移および死亡のリスクを改善し、無転移生存期間(MFS)を延長することが、米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのMatthew R. Smith氏らが行ったSPARTAN試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年2月8日号に掲載された。apalutamideは、開発中の非ステロイド性抗アンドロゲン薬で、病勢進行リスクの高い非転移性去勢抵抗性前立腺がんの第II相試験において、良好な前立腺特異抗原(PSA)奏効期間が報告されている。

ジカウイルスワクチン、初期結果は有望/Lancet

 ジカウイルス感染の予防では、安全かつ有効で、急速な感染拡大にも対応できるワクチンが求められている。米国・ウォルター・リード陸軍研究所(WRAIR)のKayvon Modjarrad氏らは、精製ホルマリン不活化ジカウイルスワクチン(ZPIV)候補の開発を進めており、今回、第I相試験の初期結果をLancet誌2018年2月10日号で報告した。

主要医学雑誌の論文、データの入手可能性と再現性は/BMJ

 医学雑誌編集者国際委員会(ICMJE)は、投稿論文にデータ共有計画の記載を求めており、医学ジャーナルのBMJとPLOS Medicineは、ランダム化対照比較試験(RCT)の出版の条件として、データ共有を明確に求める強固な指針を示している。米国・スタンフォード大学のFlorian Naudet氏らは、これら2つのジャーナルに掲載されたRCT論文を調査し、データの入手可能性は十分とはいえないが、データの共有が可能であった場合は、再解析のほとんどで、元論文の結果がほぼ再現されたと報告した。研究の成果は、BMJ誌2018年2月13日号に掲載された。

高齢者に不向きな抗うつ薬の使用とその後の認知症リスクとの関連

 効果に比べ有害事象のリスクが高い薬剤は高齢者に向いているといえず、これらの薬剤はPIM(Potentially Inappropriate Medication)と呼ばれている。一部の抗うつ薬はPIMであると考えられるが、抗うつ薬とその後の認知症との関連については、これまでの研究で明らかになっていない。ドイツ・ボン大学のKathrin Heser氏らは、抗うつ薬(とくにPriscusリスト[ドイツ版のビアーズリスト]でPIMとみなされている抗うつ薬)の服用が、認知症発症を予測するかについて検討を行った。Journal of affective disorders誌2018年1月15日号の報告。

救急での肺塞栓症の除外、PERCルールが有用/JAMA

 低リスクの肺塞栓症(PE)が疑われる患者において、肺塞栓症除外基準(PERC:Pulmonary Embolism Rule-Out Criteria)を用いた場合、3ヵ月間の血栓塞栓イベント発生率は従来の方法と比較して非劣性であり、PERCルールの安全性が支持された。フランス・パリ第4大学のYonathan Freund氏らが、PERCルールを検証したPROPER試験の結果を報告した。PEを除外することを目的とした8項目からなる臨床基準PERCの安全性は、これまで無作為化試験で検証されたことはなかった。JAMA誌2018年2月13日号掲載の報告。

レンバチニブ vs.ソラフェニブ、切除不能肝細胞がん初回治療/Lancet

   切除不能肝細胞がんの初回治療において、レンバチニブはソラフェニブに対し全生存期間(OS)の非劣性が認められた。また、レンバチニブの安全性および忍容性プロファイルは、これまでの研究と一致していた。近畿大学の工藤 正俊氏らが、国際多施設共同無作為化非盲検第III相非劣性試験(REFLECT試験)の結果を報告した。切除不能肝細胞がん患者の初回全身療法として承認されているのはソラフェニブのみであり、新しい治療薬の開発が望まれていた。レンバチニブは、VEGF受容体(VEGFR)であるVEGFR1~3、FGF受容体(FGFR)であるFGFR1~4、PDGF受容体α、RET、KITを標的とするキナーゼ阻害薬で、第II相試験において肝細胞がんに対する有効性が示唆されていた。Lancetオンライン版2018年2月9日号掲載の報告。