日本語でわかる最新の海外医学論文|page:604

コーヒーと大腸がんの関連、日本の8研究をプール解析

 コーヒーは、がん発症を抑制する可能性のある生物活性化合物が豊富な供給源だが、大腸がんとの関連は不明であり、がんの部位別に調べた研究はほとんどない。今回、わが国の「科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」の研究班が、日本の8つのコホート研究のプール解析により、コーヒーと大腸がんの関連を検討した。その結果、女性において1日3杯以上のコーヒー摂取が結腸がんリスクを低下させる可能性が示唆された。International Journal of Cancer誌オンライン版2018年2月15日号に掲載。

パニック症への薬物治療のリスクとベネフィット

 パニック症は、効果的に治療することができる不安症である。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やベンゾジアゼピンは、パニック症に最も汎用される薬剤の1つである。ブラジル・リオデジャネイロ連邦大学のLaiana A. Quagliato氏らは、これら2つの治療薬の有効性、有害事象、限界に関する、現在のエビデンスについて検討を行った。Expert opinion on drug safety誌オンライン版2018年1月22日号の報告。

COPD増悪抑制、3剤併用と2剤併用を比較/Lancet

 症候性の慢性閉塞性肺疾患(COPD)で高度以上の気流閉塞があり、維持療法を行いながらも増悪のある患者において、細粒子ベクロメタゾン+フマル酸ホルモテロール(長時間作用型β2刺激薬:LABA)+グリコピロニウム(長時間作用型ムスカリン受容体遮断薬:LAMA)の3剤併用は、インダカテロール(LABA)+グリコピロニウムの2剤併用に比べて、COPDの増悪を有意に抑制することが示された。イタリア・フェラーラ大学のAlberto Papi氏らが、1,532例を対象に行った無作為化並行群比較二重盲検試験「TRIBUTE試験」の結果で、Lancet誌オンライン版2018年2月8日号で発表された。

慢性疾患でがん罹患・死亡リスクが大幅増/BMJ

 糖尿病などの慢性疾患への既往や、血圧・コレステロールといった心血管疾患などのマーカーの異常は、がん罹患リスク、がん死亡リスクの増大と関連することが明らかにされた。慢性疾患は、がん罹患の5分の1以上を、がん死亡の3分の1以上を占めることも示された。一方でこうした慢性疾患に関連したがんリスクは、適度な運動により、40%近く低下することも示されたという。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのHuakang Tu氏らが、40万例超を対象に行った前向きコホート試験の結果で、BMJ誌2018年1月31日号で発表された。

小児および青年期の重度な精神疾患発症率と薬理学的治療

 小児および青年に対する抗精神病薬の使用は増加しており、適応外の使用および副作用についての関心が高まっている。ノルウェー・Oslo University HospitalのRagnar Nesvag氏らは、ノルウェーの小児および青年における重度の精神疾患の発症率、精神医学的合併症および薬理学的治療について調査を行った。European psychiatry誌オンライン版2018年1月20日号の報告。

小児の肥満予防、学校と家庭ベースの介入に効果みられず/BMJ

 食事と身体活動をターゲットとして学校と家庭で行う介入は、小児の肥満予防に有効ではないことが、英国・バーミンガム大学のPeymane Adab氏らが実施したWAVES試験で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年2月7日号に掲載された。包括的な系統的レビューによれば、高所得国では、小児の肥満予防における学校ベースの介入の有効性が示唆されているが、個々の研究の介入の方法やアウトカムに異質性があるため、現時点では実臨床で推奨するには限界があるという。

OCT手術顕微鏡の臨床での有用性は

 近年、眼科手術中に光干渉断層撮影(OCT)画像を確認できる一体型のOCT手術顕微鏡(iOCT)が登場した。米国・Cole Eye InstituteのJustis P. Ehlers氏らは、3年間にわたりiOCTの実行可能性および有用性を評価する「DISCOVER研究」を行い、眼科外科医の手術手技に関する意思決定への影響などに基づき、iOCTは概して実行可能で有用であると結論づけた。今回の大規模研究の結果は、眼科手術に対するiOCTの潜在的な価値と影響を検討した他の研究の結果と相違はなかったという。Ophthalmology誌オンライン版2018年2月3日号掲載の報告。

インフルやっと減少に…累積受診者は1,600万人超

 2018年第6週(2018年2月12~18日)の定点当たり報告数は45.38(患者報告数223,928)となり、前週の定点当たり報告数54.33よりも減少した。都道府県別では高知県(67.67)、山口県(62.82)、大分県(60.28)、宮崎県(57.17)、鹿児島県(56.66)、北海道(55.39)、福岡県(53.22)、岩手県(52.09)、埼玉県(51.37)、沖縄県(50.81)、千葉県(50.30)の順となっている。8道県で前週の報告数よりも増加がみられ、39都府県で減少がみられた。全国の保健所地域で警報レベルを超えている保健所地域は521ヵ所(全47都道府県)、注意報レベルを超えている保健所地域は30ヵ所(1都1道2府17県)となった。

リファキシミンの腸内細菌叢への調整作用で肝性脳症を抑える

 2018年1月31日、あすか製薬株式会社は、同社が販売する経口難吸収性抗菌薬リファキシミン(商品名:リフキシマ)の処方制限が昨年12月に解除され、長期投与が可能となったことを機に、都内において肝性脳症に関するプレスセミナーを開催した。  セミナーでは、「『肝性脳症』診断・治療の最新動向 腸内細菌への働きかけによる生存率向上への兆し」をテーマに、吉治 仁志氏(奈良県立医科大学 内科学第三講座 教授)を講師に迎え、レクチャーが行われた。

急性増悪期の薬物療法に関するエビデンスレビュー

 救急部での精神症状の急性増悪の管理における抗精神病薬使用の主な目的は、過鎮静を起こすことなく急速に静穏を図り、患者が自身のケアに携われるようにすることである。しかし、比較研究は不足しており、とくに新規の急速鎮静を示す第2世代抗精神病薬の研究が不足している。米国・Chicago Medical SchoolのLeslie S. Zun氏は、急性増悪期の薬物療法に関するエビデンスのレビューを行った。The Journal of emergency medicine誌オンライン版2018年1月17日号の報告。

米国の胎児性アルコール・スペクトラム障害の有病率は?/JAMA

 胎児性アルコール・スペクトラム障害(fetal alcohol spectrum disorders:FASD)の有病率は、米国の古いデータでは小児1,000人当たり10人とされるが、大規模かつ多様なサンプルに基づく最近のデータはないという。そこで、ノースカロライナ大学チャペルヒル校のPhilip A. May氏らは、国内4地域の小学1年生におけるFASDの推定有病率について検討した。JAMA誌2018年2月6日号掲載の報告。

肥満遺伝リスクを考慮した肥満治療が斬新な治療効果を生み出す可能性に期待!(解説:島田俊夫氏)-815

肥満は単なる見栄えが悪いといった外見上の問題ではなく、肥満そのものが病気であるとの認識を持つことが肥満治療上重要である。とくに内臓脂肪蓄積は、肥満に伴い多くの悪玉アディポサイトカインを分泌することで、炎症を惹起し万病を生み出している。肥満は健康の敵であることは言うまでもないが、肥満をいかに治療するかは深刻な問題である。一方で肥満は過食が大きな要因の1つではあるが、体質によって太りやすい人、太りにくい人がいることも周知の事実である。BMJ誌の2018年1月10日号に掲載された米国テューレン大学のTiange Wang氏らによる論文は、肥満と遺伝リスクとの関連性ならびに健康食順守による肥満治療効果を併せ検証した興味深い研究であり、私見をコメントする。

チカグレロル、心筋梗塞発症から1年以上の多枝病変のイベントを減少

 アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ)は2018年2月7日、第III相PEGASUS-TIMI54試験の新たなサブ解析結果を発表した。心筋梗塞の既往があり、さらに2本以上の多枝病変(以下、MVD)を有する患者において、チカグレロル(商品名:ブリリンタ)60mgと低用量アスピリンの併用療法により、MACE(心血管死、心筋梗塞あるいは脳梗塞からなる複合リスク)リスクが19%(HR:0.81、95%CI:0.7~0.95)、冠動脈疾患死のリスクが36%(HR:0.64、95%CI:0.45~0.89)低減した。

アトピー性皮膚炎への抗IL-13抗体薬、ステロイドと併用では改善

 インターロイキン(IL)-13は、2型炎症反応において重要な役割を果たしており、アトピー性皮膚炎における新たな病原性メディエーターとされる。中等症~重症アトピー性皮膚炎に対し、ヒト化抗IL-13モノクローナル抗体であるlebrikizumab 125mgの4週ごと投与は、局所作用性コルチコステロイドとの併用において、重症度を有意に改善し忍容性は良好であることが認められた。米国・オレゴン健康科学大学のEric L. Simpson氏らが、無作為化プラセボ対照二重盲検第II相臨床試験(TREBLE試験)の結果を報告した。なお著者は、「単独療法としてのlebrikizumabの有効性は不明であり、今回は研究期間が短く長期投与の有効性および安全性は評価できない」と付け加えている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年1月15日号掲載の報告。

イチゴ腫根絶のWHO戦略、長期効果示せず/Lancet

 イチゴ腫(フランベジア)の根絶に向けたWHOの戦略は長期的に有効ではなく、原因菌の長期的排除には、集団薬剤投与(mass drug administration:MDA)は単回では不十分であることが、スペイン・バルセロナ大学病院のOriol Mitja氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年2月7日号で報告された。イチゴ腫はTreponema pallidum subspecies pertenue(T. p. pertenue)によって発症し、熱帯地方の14ヵ国以上において、子供の外観を損なう慢性的な潰瘍の主な原因とされる。WHOが新たに採択したイチゴ腫根絶戦略では、アジスロマイシン単回の集団投与後に、対象患者を絞って治療を行うプログラムを用いており、パイロット試験では短期的に、顕著な低減効果が示されている。

NFL正規選手 vs.代替選手、引退後の死亡リスクは?/JAMA

 全米プロフットボールリーグ(NFL)に所属していたプロ選手のうち、「正規」の選手と、臨時に採用され競技期間が短かった「代替」選手を比較した結果、引退後の死亡リスクには差がないことが、米国・ペンシルベニア大学のAtheendar S. Venkataramani氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2018年2月1日号に掲載された。アメリカンフットボールのプロ選手の寿命に関するこれまでの研究では、一般集団に比べ死亡率が低いことが示されているが、職業的な運動選手と一般集団では生理学的特性などが大きく異なるため、選択バイアスの影響を受けている可能性が示唆されていた。

重炭酸Naとアセチルシステインに造影剤腎症の予防効果なし(中川原譲二氏)-814

血管造影関連の造影剤腎症を予防する目的で、欧米では、重炭酸Naの静脈投与やアセチルシステインの経口投与が行われているが、「PRESERVE」試験では、血管造影を受ける腎合併症発症リスクが高い患者において、これらの薬剤投与はいずれも、死亡や透析、血管造影に関連した急性腎障害の予防に寄与しないことが示された(NEJM. 2017 Nov 12.)。