日本語でわかる最新の海外医学論文|page:535

FoundationOne CDx、エヌトレクチニブのコンパニオン診断として承認/中外

 中外製薬は、2019年6月27日、遺伝子変異解析プログラムFoundationOne CDx がんゲノムプロファイルに関し、ROS1/TRK阻害剤エヌトレクチニブ(商品名:ロズリートレク)のNTRK融合遺伝子陽性の固形がんに対するコンパニオン診断としての使用目的の追加について、6月26日に厚生労働省より承認を取得したと発表。FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルは、NTRK融合遺伝子(NTRK1、NTRK2、NTRK3遺伝子と他の遺伝子の融合遺伝子)を検出することにより、エヌトレクチニブの適応判定補助を行う。エヌトレクチニブは、成人および小児の NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がんに対する治療薬として本年6月18日に承認を取得している。

統合失調症における抗精神病薬減量モデル~パイロット研究

 精神科医と統合失調症患者は、再発することを恐れ、抗精神病薬の減量をためらっているのではないか。このようなジレンマの克服を目的とし、米国・ニューヨーク州立大学バッファロー校のChisa Ozawa氏らは、個々の患者のドパミンD2受容体占有率に対応した経口投与量を算出するモデルを開発した。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2019年6月10日号の報告。  本パイロット研究では、リスペリドンまたはオランザピンの単剤治療で臨床的に安定している統合失調症患者35例を対象に、減量群(17例)または維持群(18例)にランダムに割り付けた。減量群では、モデルを使用してランダムに収集した血漿濃度から算出したトラフ値D2占有率65%に対応するよう、抗精神病薬の減量を行った。

理想の年収額は2,000万円以上

 ケアネットでは、5月30日(木)~6月3日(月)に会員医師1,000人(各年代200人ずつ)を対象に、インターネットによる「年収に関するアンケート」を行った。その中で、自身の業務内容・仕事量に見合うと思う年収額について尋ねたところ、現在の年収帯と同じ年収帯を回答する医師が多かった。また、全年収別で最も回答数が多かった年収帯は2,000~2,500万円(46%)であった。  実年収と自身の考える適正年収についての質問では、600万円未満では「現状と同額と回答」と「現状より高い金額を回答」がほぼ拮抗していたものの、600万円~2,000万円までの各項目では、「現状より高い金額を回答」が6割以上を占め、2,000万円以上から現状と同額またはそれより低い金額と回答する会員医師が約6割以上を占めた。

TAVR導入後5年で、米国の術後脳卒中は減少したか/JAMA

 米国では2012~15年の期間に、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)の施行数が5倍以上に増加したが、TAVR後の脳卒中リスクは知られていない。米国・クリーブランドクリニックのChetan P. Huded氏らは、全国的な調査を行い、2011~17年の術後30日以内の脳卒中発生率は2.3%で、この期間の年間発生率の推移に大きな変動はないことを明らかにした。研究の詳細は、JAMA誌2019年6月18日号に掲載された。  研究グループは、米国におけるTAVR導入後5年間の術後30日以内の脳卒中の発生状況を調査し、脳卒中と30日死亡率、薬物療法と30日脳卒中リスクとの関連を評価する目的で、後ろ向きコホート研究を行った。

アレルギー総合ガイドライン2019が発行、アレルギーとアナフィラキシーを網羅

 アレルギー疾患罹患率はとくに先進国で増加し、いまや日本人の約50%が何らかのアレルギー症状を有しているといわれる。代表的なアレルギー疾患に関する12の最新ガイドラインの内容を1冊にまとめた「アレルギー総合ガイドライン」の改訂版が、3年ぶりに発行された。アレルギー総合ガイドライン2019は診療科を超えて横断的に出現し、急性増悪のリスクもはらむアレルギー疾患に対して、標準的な臨床的対応を円滑に行うことができるよう、実用性を重視した構成となっている。

蜂窩織炎、丹毒、最適な抗菌薬治療は?

 蜂窩織炎や丹毒は、よくみる細菌感染症であり、抗菌薬治療が至適治療とされている。しかし、その治療法についてのコンセンサスは得られておらず、入手可能な試験データではどの薬剤が優れているのかを実証することができない。最適な投与ルート、治療期間のデータも限定的である。英国・ブリストル大学のRichard Brindle氏らは、システマティックレビューとメタ解析により、非外傷性の蜂窩織炎に対する抗菌薬治療の安全性と有効性を評価した。しかし、低質なエビデンス結果しか得られず、著者は「標準的なアウトカム(重症度スコア、用量、治療期間)を設定した試験を行う必要がある」と提言している。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年6月12日号掲載の報告。

不眠症治療薬と自殺未遂リスク

 成人における慢性不眠症の薬理学的治療のためのガイドラインでは、エビデンスが不十分であるにもかかわらず、トラゾドンや他の適応外投与が一般的に行われているとされる。退役軍人保健局(VA)では、ベンゾジアゼピンやゾルピデムに加え、市販の鎮静性抗ヒスタミン薬、古い抗うつ薬などの安価な薬剤が大量に使用されている。これら薬剤の自殺行動に関する安全性の比較については、十分にわかっていない。米国・Canandaigua VA Medical CenterのJill E. Lavigne氏らは、VAにおいて、不眠症治療に一般的に使用されている薬剤の安全性について比較を行った。Journal of General Internal Medicine誌オンライン版2019年6月3日号の報告。

デュルバルマブの肺がんCCRT維持療法、3年後も一貫した効果(PACIFIC)/ASCO2019

 化学放射線同時併用療法(CCRT)を受けた切除不能Stage III非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした第III相PACIFIC試験において、デュルバルマブは無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の有意な改善を示した。本年の米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)では、PACIFIC試験の3年OSデータが発表された。  著者らは、PACIFIC試験の最新OSデータは、CCRT後デュルバルマブの長期臨床的有益性を強調し、さらにこの集団における標準治療としてのPACIFICレジメンを確立するものだとしている。

AT(N)測定、非認知症高齢者の記憶力の予後予測に有効/JAMA

 アミロイドPET、タウPET、MRI皮質厚による予測モデルは、より簡単に入手可能な臨床的/遺伝的情報とともに使用すると、認知症のない高齢者における記憶力低下の予測能が、臨床的/遺伝的情報だけの場合に比べて改善されることが、米国・メイヨー・クリニックのClifford R. Jack Jr氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2019年6月18日号に掲載された。米国国立老化研究所とアルツハイマー病協会(NIA-AA)の作業部会は、アルツハイマー病の研究枠組みにおいて、参加者のバイオマーカーをアミロイド、タウ、神経変性(ニューロンの損傷)の状態に基づき、AT(N)プロファイルとして分類するよう提唱している。

GLP-1受容体作動薬、デュラグルチドは2型糖尿病患者の腎イベントを抑制するか?:REWIND試験の腎に関する予備解析結果(解説:栗山哲氏)-1069

2型糖尿病においてGLP-1受容体作動薬、デュラグルチドのadd-on療法は、新規アルブミン尿発症を抑制する。インクレチン薬であるGLP-1受容体作動薬の腎作用が解明されつつある。現在までにGLP-1受容体作動薬に関する大規模研究は、セマグルチドのSUSTAIN-6研究、リラグルチドのLEADER研究、リキシセナチドのELIXA研究の3つ報告がある。この中で、前二者において腎複合イベントに改善作用が示唆された(ELIXA研究では腎イベントは事前設定されていない)。

宇宙医学研究の成果を高齢者医療に役立てる

 骨密度低下と聞けば高齢者をイメージするが、無重力空間に滞在する宇宙飛行士もそれが問題視されている。しかし、宇宙飛行士と高齢者の骨密度減少の原因と程度にはどのような違いがあるのだろうか? 2019年6月14日、大島 博氏(宇宙航空研究開発機構、整形外科医)が「非荷重環境における骨・筋肉の減少と対策」において、宇宙飛行士に対する骨量減少と筋萎縮の実態と対策について講演した(第19回日本抗加齢医学会総会 シンポジウム2)。

ADHDと食事パターンとの関連~メタ解析

 注意欠如・多動症(ADHD)は、不注意、衝動性、多動の持続的な症状を特徴とする神経生物学的障害である。これまでも、小児期の食事と潜在的なADHDの病因との関連について調査されている。ブラジル・ペロタス連邦大学のBianca Del-Ponte氏らは、ADHDと食事パターンとの関連についてのエビデンスをシステマティックにレビューした。Journal of Affective Disorders誌2019年6月1日号の報告。  PubMed、LILACS、PsycINFOのデータベースより、独立した2人のレビューアーが文献検索を行った。対象は、小児および青年における食事パターンとADHDについて評価した研究とした。研究間の異質性は、推定値をプールしたランダム効果モデルを用いて評価した。

非扁平上皮NSCLCへの維持療法、Bev対Pem対Bev+Pem(ECOG-ACRIN 5508)/ASCO2019

 進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者における維持療法として、ベバシズマブ、ペメトレキセド、およびその併用の3群を比較した第III相ECOG-ACRIN 5508試験の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、米国・Winship Cancer Institute of Emory UniversityのSuresh Ramalingam氏が発表した。  これらの結果を受けてRamalingam氏は、併用群では、Bev群と比較してPFS中央値を延長したものの、OS中央値は有意な差が認められなかったと結論付けている。

狭心症の冠動脈血行再建の適応判定、MRIはFFRに非劣性/NEJM

 冠動脈疾患のリスク因子を有する安定狭心症患者における冠動脈血行再建の適応の判定法として、心筋灌流心血管磁気共鳴画像(MRI)は冠血流予備量比(FFR)と比較して血行再建の施行率が低く、1年後の主要有害心イベント(MACE)に関して心血管MRIはFFRに対し非劣性であることが、ドイツ・フランクフルト大学病院のEike Nagel氏らが実施した「MR-INFORM試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2019年6月20日号に掲載された。安定狭心症患者では、血行再建の適応の判定にこれら2つの戦略が用いられることが多いが、MACEとの関連におけるこれらの非劣性は確立されていないという。

中間~高リスク前立腺がんの放射線治療、超寡分割照射は有効か/Lancet

 中間~高リスクの前立腺がんの治療において、超寡分割放射線治療は通常分割放射線治療に対し、治療奏効維持生存(failure-free survival:FFS)率に関して非劣性であり、早期の副作用の頻度は高いものの晩期の副作用の割合は同等であることが、スウェーデン・ウメオ大学のAnders Widmark氏らが行ったHYPO-RT-PC試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年6月18日号に掲載された。中程度寡分割照射は、従来の通常分割照射に比べ臨床アウトカムが良好であることが示されているが、超寡分割照射に関する無作為化試験の報告はなかったという。

脳卒中治療の進歩により死亡率はどこまで減少したか?(解説:有馬久富氏)-1067

イングランド全域における脳卒中による死亡率の推移がBMJに掲載された。その結果によると、2001~10年までの10年間に脳卒中による年齢調整死亡率は半減した。その多く(7割程度)は致死率の低下によりもたらされており、神経画像診断の進歩・脳梗塞に対する血栓溶解療法の適応拡大・血管内治療の出現など脳卒中治療の改善が大きく寄与したものと考えられる。一方、脳卒中発症率の推移をみると、10年間に約2割程度しか減少していない。さらに悪いことに、55歳未満では脳卒中発症率が増加していた。INTERSTROKE研究2)で示唆されたように脳卒中発症の9割が予防できるにもかかわらず、十分に予防できていないのは非常に残念である。

日本における認知障害から認知症までの診断経路

 米国・メルクアンドカンパニーのChristopher M. Black氏らは、日本における認知障害から認知症までの診断経路を定量化するため、検討を行った。Alzheimer Disease and Associated Disorders誌オンライン版2019年5月22日号の報告。  認知障害患者とその担当医を対象とした、実臨床の横断的調査を実施した。  主な結果は以下のとおり。 ・医師106人より1,107例の患者データが提供された。 ・最初の症状発現から診察に訪れるまでの平均期間は、7.4±6.9ヵ月であり、診察時に中等度または重度の認知障害が認められた患者の割合は、42%であった。

会員医師の約60%が現在の年収に満足

 ケアネットでは、5月30日(木)~6月3日(月)に会員医師1,000人(各年代200人ずつ)を対象に、インターネットによる「年収に関するアンケート」を行った。その中で、ご自身の年収額が妥当と思うかと尋ねたところ、25%が「そう思う」、34%が「ややそう思う」と回答し、約6割の医師が、現在の年収におおむね満足していることがわかった。  年収額の妥当性について年収帯別にみると、600万円未満のうち50%が、600~800万円のうち33%が、800~1,000万円の51%が「そう思う」または「ややそう思う」と回答していた。同様に、1,000~1,200万円の年収帯でも50%、800~1,000万円で51%と大きく変わることがなく、1,600~1,800万円でようやく60%を超えるなど、満足感の差はフラット化している傾向だった。

局所進行非小細胞肺がん、予防的全脳照射のメリットは?/JAMA Oncol

 非小細胞肺がん(NSCLC)患者への予防的全脳照射(PCI)は有益か無益か。カナダ・プリンセスマーガレットがんセンターのAlexander Sun氏らは、RTOG 0214試験の最新の長期追跡結果より、治療後の病勢進行を認めないStageIIIの局所進行NSCLC(LA-NSCLC)患者において、PCIは5年および10年脳転移率を低下し、5年および10年無病生存期間(DFS)を改善したが、全生存期間(OS)は改善しなかったことを報告した。ただし、結果を踏まえて著者は、「主要評価項目を達成できなかったが、今回の長期結果は将来の研究に役立つ多くの重要な知見をもたらした。PCIが適切な患者集団と安全な介入を特定することが重要である」とまとめている。

薬剤コーティングバルーンが高出血リスク患者へのPCIに有効/Lancet

 出血リスクが高い患者に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)において、薬剤コーティングバルーンはベアメタルステントに比べ優れていることが示された。フィンランド・North Karelia Central HospitalのTuomas T. Rissanen氏らが、同国内5施設で実施した単盲検無作為化非劣性試験「Drug-Eluting Balloon in stable and Unstable angina Trial:DEBUT試験」の結果を報告した。抗血小板療法や抗凝固療法の進歩、あるいは新世代薬剤溶出ステント(DES)の導入にもかかわらず、現状では、高出血リスク患者におけるPCIの最適な技術はわかっていない。Lancet誌オンライン版2019年6月13日号掲載の報告。