difelikefalin、透析患者のかゆみとQOLを改善/NEJM 最終更新:2019/11/21 ジャーナル四天王 中等度~重度のかゆみを呈する透析患者において、κオピオイド選択的受容体作動薬difelikefalin投与を受けた患者は、プラセボ投与を受けた患者と比べて、12週後のかゆみの強度は有意に軽減し、かゆみに関連したQOLは有意に改善したことが示された。米国・Donald and Barbara Zucker School of Medicine at Hofstra/NorthwellのSteven Fishbane氏らによる、第III相の多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検試験「KALM-1」試験の結果で、NEJM誌オンライン版2019年11月8日号で発表された。
サイトメガロウイルス(CMV)の再活性化に対するmaribavirの効果(解説:吉田敦氏)-1140 最終更新:2019/11/21 CLEAR!ジャーナル四天王 これまで臨床応用された抗サイトメガロウイルス(CMV)薬(治療薬)の効果は、概して高くはなく、一方で副作用が多いという短所があった。ガンシクロビルは骨髄抑制、ホスカルネットは腎障害・電解質異常、cidofovir(本邦未承認)は腎障害がしばしば出現し、使用に当たっては躊躇することもある。四半世紀前と比べても、それほど進歩したという印象はない。今回、新規の抗CMV薬として開発されたmaribavir(マリバビル)の効果について、第II相オープンラベル試験の結果が発表された。
インフルエンザ予防の新知見、養命酒の含有成分が有効か 最終更新:2019/11/21 医療一般 クロモジエキスを配合した、あめの摂取によるインフルエンザ予防効果が示唆された―。養命酒製造株式会社(以下、養命酒)と愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センターの共同研究グループは、2017/2018シーズンに実施した「クロモジエキス配合あめ」のインフルエンザ予防効果に関する二重盲検試験を実施。風邪症状(発熱、喉・鼻症状)の有無や有症日数についても同時に解析を行った結果、クロモジエキス配合あめ摂取群がプラセボあめ摂取群と比較して、インフルエンザ感染患者の抑制ならびに風邪症状の有症期間を有意に短縮した。
急性期全般不安症に対する第1選択薬の有効性、受容性比較~メタ解析 最終更新:2019/11/21 医療一般 全般性不安症(GAD)の第1選択薬としては、SSRIやSNRIがガイドラインで推奨されている。中国・西安交通大学のHairong He氏らは、これら第1選択薬の有効性、受容性を比較するため、ネットワークメタ解析を用いて、エビデンスのアップデートを行った。Journal of Psychiatric Research誌2019年11月号の報告。 成人GADの急性期治療に使用された11種類の薬剤のプラセボ対照および直接比較試験について、1980~2019年1月1日のエビデンスを電子データベースより検索した。各研究より、人口統計、臨床、治療に関するデータを抽出した。主要アウトカムは、有効性(ハミルトン不安尺度の合計スコアのベースラインからの変化)および受容性(すべての原因による治療中止)とした。
小児・若年AMLの真菌症予防に至適な抗真菌薬は?/JAMA 最終更新:2019/11/20 ジャーナル四天王 米国・フィラデルフィア小児病院のBrian T. Fisher氏らは、小児~若年成人の急性骨髄性白血病(AML)患者を対象に、侵襲性真菌症(IFD)の予防におけるカスポファンギンとフルコナゾールの有効性を比較検討した。予定されていなかった中間解析で無益性(futility)が示唆されたため、それ以上の患者登録を中止し、登録済みの患者で試験を継続したところ、カスポファンギンのIFD予防効果が優れることが示された。AMLの小児~若年成人患者では、酵母菌および糸状菌の双方による生命を脅かすIFDのリスクが高いとされる。フルコナゾールが酵母菌に対してのみ活性を示すのに対し、カスポファンギンは酵母菌および糸状菌の双方に活性を有することから、カスポファンギンのほうがIFDの予防効果が高い可能性が示唆されている。JAMA誌2019年11月5日号掲載の報告。
「真の逆流によるPPI抵抗性胸焼け」には薬物より手術が有効(解説:上村直実氏)-1138 最終更新:2019/11/20 CLEAR!ジャーナル四天王 最近の日本では、ピロリ菌感染率の著明な低下や食事の欧米化による酸分泌の増加や高齢化に伴う下部食道括約筋圧の低下などによる胃食道逆流症(GERD)が増加して、国民の罹患率が10%以上に達している。GERDの主たる症状は胸焼けであり、治療の主役はプロトンポンプ阻害薬(PPI)など薬物による酸分泌抑制である。PPI抵抗性胸焼けとは、強力な胃酸分泌抑制薬であるPPIを投与しても改善しない胸焼け症状の総称である。PPI抵抗性の原因としては、不十分な胃酸分泌抑制、酸以外の逆流、逆流と症状の関連を認めない機能性胸焼け、食道運動障害、好酸球性食道炎、食道過敏、心理的要因、心疾患など食道以外の臓器に原因がある場合など非常に多彩である。
「代謝的に健康な肥満者」の特徴と予想されるリスク 最終更新:2019/11/20 医療一般 「代謝的に健康な肥満者」については不明な点が多く、意見が分かれている。今回、スウェーデン・スコーネ大学のJohan Korduner氏らが調査したところ、「代謝的に健康な肥満者」は「代謝的に不健康な肥満者」に比べて身体活動度が高く、脂質および血糖プロファイルが良好で、約20年の追跡調査での全死亡および心血管(CV)リスクが低かった。また、非肥満者と比べると全死亡およびCVリスクに有意差がみられなかった。Obesity Research & Clinical Practice誌オンライン版2019年11月8日号に掲載。
アトピー児の皮膚生検にテープストリッピング法が有用 最終更新:2019/11/20 医療一般 早発性アトピー性皮膚炎(AD)児の皮膚生検を低侵襲で行える再現性ある手法として、テープストリッピング法が有用であることが示された。米国・マウントサイナイ医科大学のEmma Guttman-Yassky氏らによる検討で、小児ADの病変もしくは非病変の皮膚バイオマーカーとなり、治療反応の追跡や将来的な経過、並存疾患の予測に有用である可能性が示された。AD表現型の評価には皮膚生検の分子プロファイリングが標準であるが、皮膚生検は小児にとって常に適しているとは限らない。縦断研究や臨床試験で皮膚疾患を追跡評価できる、再現性ある低侵襲のアプローチが不足していた。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年10月9日号掲載の報告。
統合失調症、双極性障害、うつ病患者における抗精神病薬切り替え治療の影響 最終更新:2019/11/20 医療一般 米国・Analysis GroupのRajeev Ayyagari氏らは、統合失調症、双極性障害、うつ病患者における、抗精神病薬の切り替えと再発および医療資源利用との関連について評価を行った。Journal of Medical Economics誌オンライン版2019年10月30日号の報告。 6年にわたる米国6州のメディケイド請求データより、抗精神病薬の切り替えと非切り替えの比較について、レトロスペクティブに分析を行った。ベースライン時に統合失調症、双極性障害、うつ病と診断されたすべての患者および1つ以上の錐体外路症状(EPS)が認められた患者について、現疾患の再発、他の精神疾患の再発、すべての原因による救急受診、すべての原因による入院、EPS診断までの期間を分析した。
世界の末期腎不全医療の現状が明らかに/BMJ 最終更新:2019/11/19 ジャーナル四天王 低所得国も含めた世界の末期腎不全(ESKD)医療の現状には大きなばらつきがあることが、カナダ・アルバータ大学のAminu K. Bello氏らによる国際断面調査の結果、明らかにされた。ESKD有病率は800倍以上の差がみられ、腎代替療法(透析、移植)に公的資金が投じられている国は64%、透析が利用可能な国は100%であったが腹膜透析は76%であり、保存療法が利用可能な国は81%であることなどが示された(割合はそれぞれ各データが入手できた国を分母としたもの)。過去10年間で、腎疾患の世界的な疫学や経済的側面について大きく理解が進んでいる。とくに低・中所得国の急性腎障害(AKI)、慢性腎臓病(CKD)およびESKDの負荷に関するデータがより多く入手できるようになっているが、それらの疾患が人々の健康に大きな影響を及ぼすにもかかわらず、AKI、CKDは概して、国際・地域あるいは各国の慢性疾患コントロール戦略には含まれていないという。BMJ誌2019年10月31日号掲載の報告。
外来診療中のサージカルマスク着用とN95マスク着用の呼吸器感染症予防効果の比較(解説:吉田敦氏)-1139 最終更新:2019/11/19 CLEAR!ジャーナル四天王 インフルエンザウイルスをはじめとする呼吸器ウイルス感染の予防に、外来診療で日常的に着用されるサージカルマスクが、N95マスクとどの程度予防効果が異なるのか、今回ランダム化比較試験が行われた。小児を含む米国7医療機関において、外来診療に当たる医療従事者を小集団(クラスター)に分割、小集団ごとにサージカルマスク、N95マスクのいずれかにランダムに割り付けし、H1N1 pandemicを含む4シーズン以上を観察期間とした。医療従事者には毎日呼吸器症状を含む体調の変化について日記をつけさせ、発症した際には遺伝子検査を行い、さらに無症状であっても遺伝子検査と血清抗体検査を行うことで、不顕性感染の有無まで把握を試みたものである。
コマーシャルペーパーといわれても致し方がないのではないか(解説:野間重孝氏)-1136 最終更新:2019/11/19 CLEAR!ジャーナル四天王 チカグレロルとプラスグレルは、世界の薬剤市場でクロピドグレルの後継を巡って、いわばライバル薬品として扱われているといってよい。両剤ともに作用の発現が早く、また投与中止後、薬効の消失が速やかであることが期待できるという点で共通している。しかしプラスグレルはいわゆるチエノピリジン系に属し、そのものは活性を有しないのに対し、チカグレロルはそのものが活性を持つという点が大きく異なる。ただし、プラスグレルはクロピドグレルと異なり、複数のCYPにより代謝されるため、チカグレロルに劣らない速度で活性を発揮することが可能になっている。
全国でインフルエンザ流行期入り、昨年より1ヵ月早く 最終更新:2019/11/19 医療一般 厚生労働省は15日、全国的なインフルエンザの流行シーズンに入ったと発表した。前年比で4週間早いシーズン入りで、現在の統計法で調査を始めた1999年以降では2番目に早い。 国立感染症研究所が15日付でまとめた、2019年第45週(11月4~10日)の感染症発生動向調査において、インフルエンザの定点当たり報告数が 1.03(定点数:全国約5,000 ヵ所、報告数:5,084)となり、流行開始の目安となる 1.00を上回った。
若い女性の座っている時間とうつ病との関連 最終更新:2019/11/19 医療一般 身体活動(PA)の不足や長時間の座りっ放し(sitting time:ST)は、死亡率やうつ病などの慢性疾患リスクの増加と関連している。2つのリスクは独立しているともいわれているが、それらの連合効果や層別効果はよくわかっていない。オーストラリア・クイーンズランド工科大学のT. G. Pavey氏らは、若年女性におけるうつ症状のリスクと12年間に及ぶPAやSTの複合効果について調査を行った。Journal of Science and Medicine in Sport誌2019年10月号の報告。
利益相反の開示は論文査読に影響するのか/BMJ 最終更新:2019/11/18 ジャーナル四天王 現行の倫理規定では、すべての科学論文について利益相反(conflicts of interest:COI)の開示が求められているが、米国・ハーバード・ビジネス・スクールのLeslie K. John氏らによる無作為化試験の結果、論文の査読にCOI開示は影響しないことが示された。著者は、「査読者が出版を評価する論文のあらゆる質の評価に、COI開示が影響していることを確認できなかった」としている。科学雑誌やアカデミックな倫理基準において、査読者、エディターおよび読者が、可能性があるバイアスを検出・補正できるように、著者に対してCOI開示が命じられている。しかし、これまでその行為が目的を達しているかを確認する検討は行われていなかったという。BMJ誌2019年11月6日号掲載の報告。
次世代CFTR矯正薬、嚢胞性線維症の呼吸機能を改善/Lancet 最終更新:2019/11/18 ジャーナル四天王 嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子遺伝子(CFTR)のF508del変異ホモ接合体を有する嚢胞性線維症の治療において、tezacaftor+ivacaftorにelexacaftorを併用すると、tezacaftor+ivacaftorと比較して、良好な安全性プロファイルとともに、呼吸機能が著明に改善することが、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのHarry G M Heijerman氏らが行ったVX17-445-103試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年10月31日号に掲載された。CFTR調節薬は、CFTR遺伝子変異に起因する根本的な異常を矯正するとされる。CFTRのF508del変異ホモ接合体を有する嚢胞性線維症患者では、CFTR矯正薬(tezacaftor)とCFTR増強薬(ivacaftor)の併用により、健康アウトカムの改善が達成されている。同型の嚢胞性線維症患者の第II相試験において、次世代CFTR矯正薬であるelexacaftorは、tezacaftor+ivacaftorと併用することで、F508del-CFTR機能と臨床アウトカムをさらに改善したと報告されていた。
潰瘍性大腸炎に対するベドリズマブとアダリムマブの臨床的寛解効果は?(解説:上村直実氏)-1135 最終更新:2019/11/18 CLEAR!ジャーナル四天王 潰瘍性大腸炎(UC)は国の特定疾患に指定されている原因不明の炎症性腸疾患(IBD)であり、現在、国内に16万人以上の患者が存在している。UCの治療に関しては、最近、腸内フローラの調整を目的とした抗生物質や糞便移植の有用性が報告されつつあるが、通常の診療現場で多く使用されているのは薬物療法である。寛解導入および寛解維持を目的とした基本的な薬剤である5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤、初発や再燃時など活動期に寛解導入を目的として用いるステロイド製剤、ステロイド抵抗性および依存性など難治性UCに使用する免疫調節薬(アザチオプリン、シクロスポリンAなど)と生物学的製剤が使用されているのが現状である。
HIF-PH阻害薬vadadustatの腎性貧血に対する国内第III相試験結果/米国腎臓学会 最終更新:2019/11/18 医療一般 今年ノーベル生理学・医学賞を受賞した「低酸素応答の仕組みの解明」の研究を基に、各社で低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬の開発が進められている。その1つであるvadadustat(MT-6548)は、田辺三菱製薬がアケビア社から導入した1日1回経口投与のHIF-PH阻害薬で、今年7月に腎性貧血を適応症として厚生労働省に承認申請している。今月、ワシントンで開催された米国腎臓学会腎臓週間(11月5~10日)で、本剤の保存期および血液透析期の腎性貧血患者に対する国内第III相臨床試験の結果が発表された。
小細胞肺がん、PARP阻害薬veliparibの追加でPFS改善/JCO 最終更新:2019/11/18 医療一般 小細胞肺がん(SCLC)に対して、化学療法へのPARP阻害薬veliparib追加の有効性が確認された。veliparibは、非臨床試験で標準化学療法の効果を増強することが示されており、米国・エモリー大学のTaofeek K. Owonikoko氏らは、未治療の進展型SCLC(ES-SCLC)患者を対象に第II相無作為化臨床試験を行った。その結果、シスプラチン+エトポシド(CE)へのveliparib追加併用療法により、無増悪生存(PFS)期間が有意に延長したことが示されたという。Journal of Clinical Oncology誌2019年1月20日号掲載の報告。
医師300人に聞いた!今季のインフルエンザ診療 最終更新:2019/11/18 医療一般 ここ数年、過去最大規模の流行を繰り返すインフルエンザだが、今年は早くも流行が始まっている。現場での診療方針はどのような傾向にあるのだろうか。ケアネットでは先月、会員医師を対象に「今シーズンのインフルエンザ診療について」のアンケートを行い、325人から回答を得た。 アンケートでは、早期流行の実感、迅速診断キットの使用頻度、抗インフルエンザウイルス薬の処方頻度、外来での抗インフルエンザ薬の選択について答えていただいた。