日本語でわかる最新の海外医学論文|page:461

FDA、二ボルマブ・イピリムマブ併用、肝細胞がんに迅速承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、3月10日、ソラフェニブ既治療の肝細胞がん患者に対するニボルマブとイピリムマブの併用療法を迅速承認した。  この併用療法の有効性は、ソラフェニブ治療で進行した、または不耐性の肝細胞がん患者を対象に実施された多施設コホート非盲検試験CheckMate-040のコホート4で調査された。合計49例の患者に、イピリムマブ3mg/kgとニボルマブ1mg/kgを3週間ごと4サイクル、その後ニボルマブ240mgを2週間ごと、疾患進行または忍容できない毒性が発現するまで投与した。

アルツハイマー病の認知機能やBPSDに対するスギの香りの影響

 秋田大学の高橋 裕哉氏らは、嗅覚神経刺激によりアルツハイマー病(AD)患者の認知症状が改善するかについて、検討を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年2月9日号の報告。嗅覚機能障害のないAD患者を抽出するため、スティック型嗅覚同定能力検査を実施した。次に、これらの患者を介入群(19例)と対照群(17例)にランダムに割り付けた。嗅覚神経刺激の効果を評価するため、介入群には、スギからのアロマ成分を添加した消毒エタノールを用い、

T1N0肺がん、縮小手術の候補となるのは?

 日本人の早期肺がんの肺葉切除に関するエビデンスが示された。神奈川県立がんセンターの伊藤 宏之氏らは、薄切CTに基づき臨床病期T1N0肺がん患者の肺葉切除後の長期アウトカムを評価し、consolidation tumor ratio(胸部薄切CT上、最大腫瘍径に対する充実性成分の比=C/T比)0.5以下および腫瘍径3cm以下の患者は、予後良好で縮小手術の候補である可能性を示唆した。Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery誌オンライン版2020年1月11日号掲載の報告。

毎日1個の卵、アジア人は心血管疾患リスク低下の可能性/BMJ

 卵の中等度の消費(最大1日1個まで)は、心血管疾患全般のリスクを増加させず、アジア人ではむしろリスクを低下させる可能性があることが、米国・ハーバード公衆衛生大学院のJean-Philippe Drouin-Chartier氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2020年3月4日号に掲載された。卵の消費と心血管疾患リスクの関連は、この10年間、激しい議論を呼ぶ主題となっているが、これまでに得られた知見では結論が出ていないという。  研究グループは、卵の摂取と心血管疾患リスクの関連を評価する目的で前向きコホート研究を行い、この研究結果を含めたアップデートメタ解析を実施した(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。

ICUにおける予防的なPPI投与はH2RAと比べて死亡抑制効果があるのか?(解説:上村直実氏)-1204

ICUに入院して人工呼吸器を装着される患者の多くに対して、致死的な出血性ストレス潰瘍の発症を予防する目的でプロトンポンプ阻害薬(PPI)またはヒスタミン2受容体拮抗薬(H2RA)が使用されている。従来、上部消化管出血予防に対する有用性はH2RAに比べてPPIのほうが優ることが報告されている。しかし、PPIによる予防戦略が院内死亡率の低下についてもH2RAに比べて有用性が高いかどうかは明確になっていない。今回、オーストラリア、カナダ、英国、アイルランド、ニュージーランドの5ヵ国50施設のICUが参加したRCTの結果、上部消化管出血の予防には従来通りH2RAよりPPIが有効であるが、院内死亡率に関しては両者に差がないことがJAMA誌オンライン版に報告されている。

持続血糖測定器「FreeStyle リブレ」に新たな保険適用

 アボット ジャパン合同会社は、フラッシュグルコースモニタリングシステム 「FreeStyle リブレ」(以下「リブレ」)に、2020年4月1日より新たな保険が適用されると発表した。  リブレは、組織間質液中のグルコース値を記録するセンサーと、その測定値を読み取って表示するリーダーから構成され、500円玉大のセンサーを上腕後部に装着し、グルコース値を毎分測定する。センサーは防水性で、最長14日間装着でき、リーダーをセンサーにかざしスキャンするだけで、グルコース値を測定することができる持続血糖測定器。わが国では2017年9月1日より保険適用となっている。

新規RNAi治療薬givosiran 、急性肝性ポルフィリン症のEU承認を取得/アルナイラム

 RNAi治療のリーディングカンパニーであるアルナイラム社は、2020年3月3日、RNAi(RNA interference:RNA干渉)治療薬givosiranが、成人および 12 歳以上の未成年者の急性肝性ポルフィリン症(AHP)治療における、アミノレブリン酸合成酵素1(ALAS1)を標的とする皮下注射剤として、欧州委員会(EC)より製造販売承認を取得したことを発表した。 AHPは、遺伝子変異により肝臓内の特定の酵素が欠如することで生じ、体内のポルフィリンが毒性量まで蓄積する疾患。 重症の腹痛、嘔吐および痙攣などの消耗性の発作を特徴とする希少疾患であり、発作中に麻痺や呼吸停止の可能性もあることから生命を脅かす危険もある。 ALAS1を標的とする RNAi治療薬givosiranは、ALAS1メッセンジャーRNAを特異的に低下させることで、AHPの発作やその他の症状の発現に関連する毒性を減少させる。  

新型コロナ、無症状感染者の陰性化には9日間か―藤田医科大の症例報告

 国内における多くの新型コロナウイルス感染症の患者を出したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」。乗員・乗客で、症状はないもののPCR検査によりSARS-CoV-2感染が確認された人(無症状病原体保有者)および感染者との濃厚接触歴が確認された人(濃厚接触者)を受け入れた藤田医科大学病院岡崎医療センター(愛知県岡崎市)が3月13日、このうち90例について日本感染症学会ホームページで経過を報告した。それによると、3月6日夜の時点で、90例中87例において2回連続のPCR陰性が確認された。初めて陽性と確認された日から起算して、陰性化に要した日数の中央値は9日(四分位範囲:6~11日、範囲:3~20日)であった。

寝室の環境と不眠症との関係~RHINE-IIIの横断研究

 交通騒音は睡眠障害リスクを高めるといわれているが、不眠症状に対する交通関連の大気汚染の影響については、あまり知られていない。スウェーデン・ウプサラ大学のEmma Janson氏らは、交通への近接状況および交通騒音と不眠症との関連について調査を行った。Journal of Clinical Sleep Medicine誌オンライン版2020年2月5日号の報告。対象は、Respiratory Health in Northern Europe(RHINE)研究に含まれる、1945~73年に北欧州の7つの医療センターで生まれた男女からランダムに選択された。寝室での交通騒音、寝室の窓からの交通近接状況、不眠症状についての情報を、自己報告により収集した。交通関連の大気汚染への曝露は、

がん患者が過剰摂取しやすいサプリメントは?

 多くのがん患者は、がん診断後に栄養補助食品を使い始める傾向にある。そのため、がんではない人と比べ、どのような栄養補助食品が、がんサバイバーの総栄養摂取量に寄与しているかを検証する必要がある。今回、米国・タフツ大学のMengxi Du氏らは「がんではない人と比較した結果、がんサバイバーへの栄養補助食品の普及率は高く、使用量も多い。しかし、食事摂取量は少ない」ことを明らかにした。研究者らは「がんサバイバーは食事からの栄養摂取が不十分である。とくに高用量を摂取する栄養補助食品の短期~長期的使用による健康への影響について、がんサバイバー間でさらに評価する必要がある」としている。Journal of Nutrition誌オンライン版2020年2月26日号掲載の報告。

乾癬患者、生物学的製剤の用量低減戦略vs.通常ケア

 「生物学的製剤は、乾癬治療に革命をもたらした」。では、次なる一手として、症状が安定した後の同製剤の用量低減戦略は、通常ケアに対して非劣性なのか。オランダ・ラドバウド大学医療センターのSelma Atalay氏らによる無作為化試験の結果、Psoriasis Area and Severity Index(PASI)スコアベースの評価では非劣性は示されなかったが、健康関連QOL(Dermatology Life Quality Index:DLQIなど)をベースとした評価では用量低減戦略の非劣性が示されたという。結果を踏まえて著者は、「リアルライフの設定で用量低減は可能だが、PASIとDLQIをモニタリングする厳格なスキームが不可欠である」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年2月12日号掲載の報告。

経口ART中のHIV-1感染患者に、月1回のCAB+RPVは有効か/NEJM

 標準的な経口抗レトロウイルス療法(ART)を受けているヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)感染患者の維持療法では、長期作用型注射薬cabotegravir(CAB、インテグラーゼ阻害薬)+リルピビリン(RPV、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬)の月1回投与への切り替えは、標準治療を継続するアプローチに対し、有効性に関して非劣性であることが、米国・ネブラスカ大学医療センターのSusan Swindells氏らによる「ATLAS試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年3月4日号に掲載された。HIV-1感染患者の治療では、簡略化されたレジメンの導入により、患者満足度が向上し、アドヒアランスが促進される可能性があるという。

慢性膵炎に伴う疼痛に対して内視鏡的治療か早期の外科的治療か?(解説:上村直実氏)-1203

「慢性膵炎に伴う腹痛」に対する治療に関しては、最初に内科的保存治療(脂肪制限食+禁酒+NSAIDs、制酸剤+高用量膵酵素)が施行され、その無効例に対して砕石目的のESWLと主に狭窄部の拡張を目的とした内視鏡的治療(ステント装着および結石除去)が優先され、内視鏡的治療の無効例や再発例に対して外科的治療を選択することが一般的とされていたが、最近報告された観察研究やRCTの結果から外科的治療の有用性が見直されており、今回実施されたオランダの多施設共同RCTの結果、内視鏡的治療を先行して行う方法に比べて早期に実施する外科的治療のほうが、優れた疼痛緩和効果を示したことが再確認されている(Issa Y, et al. JAMA. 2020;323:237-247)。

オラパリブ、BRCA遺伝子変異膵がん維持療法として希少疾病用医薬品に/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、3月17日、オラパリブ(商品名:リムパーザ)がBRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵がんにおける維持療法として、希少疾病用医薬品指定を取得したと発表。  海外第III相臨床試験(POLO試験)において、オラパリブは生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性転移性膵がん患者の無増悪生存期間(PFS)の中央値を、プラセボ群3.8ヵ月に対し7.4ヵ月と、ほぼ2倍に延長した。また、POLO試験におけるオラパリブの安全性および忍容性プロファイルは、これまでの試験とほぼ一致していた。

オシメルチニブ、uncommon EGFR変異にも有効か/JCO

  uncommon変異はEGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者の約10%にみられる。 EGFR変異陽性のNSCLCにおけるオシメルチニブの有用性は広く知られているが、 uncommon変異についてはどうか。 uncommon EGFR変異を有するNSCLC患者に対するオシメルチニブの有効性と安全性を評価した韓国の多施設単群非盲検第II相試験がJournal of Clinical Oncology誌2019年2月10日号で発表された。 対象:exon19 del、L858R、T790M変異以外の転移または再発NSCLC

マンモグラフィ、AIと医師一人読影の併用で高精度に

 人工知能(AI)は人間によるマンモグラフィ読影の限界を克服できるのだろうか。今回、米国・セージバイオネットワークスのThomas Schaffter氏らが検討したところ、AI単独では放射線科医を上回ることはなかったが、放射線科医の一人読影との併用で精度が改善することが示された。JAMA Network Open誌2020年3月2日号で発表した。診断精度に関する本研究は2016年9月~2017年11月に実施され、マンモグラフィ検診の読影に絞ったAIアルゴリズム開発を促進するために、国際的なクラウドソーシングチャレンジが開催された。44ヵ国126チーム、1,100人以上が参加し、2016年11月18日に分析を開始した。

現場に即した新型コロナ対策シンポジウムを配信/ファイザー

 ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区)は、新型コロナウイルス感染症に関する情報提供の一環として、3月23日(月)、31日(火)に医療者向けインターネットシンポジウムを開催する。両日とも、現場の第一線で活躍する忽那 賢志氏らが講演を行う予定で、同社の無料会員制サイト『PfizerPRO』から視聴可能である。  詳細は以下のとおり。 (1)COVID-19セミナー 現場に届け、緊急新型コロナ対策  演題名:「新型コロナ:今分かっている事、出来る事」

インスリンポンプ療法に特化したQOL尺度を新規開発

 最近の1型糖尿病に対する先進的な糖尿病関連デバイスは、持続血糖モニタリング(CGM)や持続皮下インスリン注入療法(CSII)など、めざましい進歩を遂げている。  とくにインスリンポンプ療法は、毎回煩雑な手順を踏んで注射しなくてよいため、食事の際や高血糖時など、目標の血糖まで速やかに修正できるなどのメリットがある。一方、常に装着しておかなければならず、装着部位のかゆみや服の制約などのデメリットもある。

新型コロナ感染後、発症前の2次感染が多い可能性

 新型コロナウイルスの連鎖感染の連続症例の発症間隔について、北海道大学の西浦 博氏らが28ペアの連続症例のデータから推計したところ、潜伏期間中央値(約5日)と同等もしくはそれより短かった。この結果は、感染から発症までの間に、多くの2次感染が起こっている可能性を示唆している。International Journal of Infectious Diseases誌オンライン版2020年3月4日号に掲載。流行初期に湖北省武漢市で報告されたデータを使用した疫学研究(Li Q, et al. N Engl J Med. 2020 Jan 29. [Epub ahead of print])では、連続症例の

急性期病棟から退院した統合失調症患者の再入院リスク因子

 予定外の再入院率は、精神科医療におけるケアの質を評価するうえで、重要な指標である。しかし、統合失調症スペクトラム障害患者を対象とした、再入院を予測するためのリスクモデルはなかった。中国・Castle Peak HospitalのKeith Hariman氏らは、精神科急性期病棟から退院した統合失調症スペクトラム障害患者における、退院後28日間の事故や救急受診での予定外の再入院を予測するための臨床リスク予測モデルについて検討を行った。BJPsych Open誌2020年1月28日号の