食事パターンは高齢者の認知機能に関連している 最終更新:2021/05/19 医療一般 高齢者において、地中海式食事法とマインド食が記憶と言語機能に、「アルコール飲料」がワーキングメモリに関連していることが、ドイツ・German Center for Neurodegenerative Disorders(DZNE)のL M P Wesselman氏らの研究により明らかとなった。結果を踏まえて著者は、「認知機能低下率に対する栄養の推定的効果、およびアルツハイマー病(AD)リスクが高いグループへの食事介入の可能性について結論を出すには、縦断的データが必要だ」としている。European Journal of Nutrition誌2021年3月号の報告。
脳梗塞後の上肢運動機能障害、リハ+迷走神経刺激で改善/Lancet 最終更新:2021/05/18 ジャーナル四天王 虚血性脳卒中後の長期にわたる中等度~重度の上肢運動機能障害の治療において、リハビリテーション療法との組み合わせによる迷走神経刺激療法(VNS)は偽(sham)刺激と比較して、Fugl-Meyer Assessment上肢運動項目(FMA-UE)で評価した上肢運動機能障害の改善効果が優れ、新たな治療選択肢となる可能性があることが、英国・グラスゴー大学のJesse Dawson氏らが実施した「VNS-REHAB試験」で示された。Lancet誌2021年4月24日号掲載の報告。 本研究は、英国と米国の19の脳卒中リハビリテーション施設が参加した三重盲検擬似的処置(sham)対照比較試験であり、2017年10月~2019年9月の期間に参加者の無作為化が行われた(米国MicroTransponderの助成による)。
新型コロナウイルスワクチンと血栓症には関係があるのか? (2):ChAdOx1-S(AstraZeneca)の場合(解説:後藤信哉氏)-1391 最終更新:2021/05/18 CLEAR!ジャーナル四天王 筆者はワクチン接種による新型コロナウイルス感染拡大速度低減、医療崩壊予防効果に期待している。人類を集団として見た場合には現在のワクチンには効果を期待できる。ワクチンも含めて、現在の医療の科学は個体差を考慮できる水準まで進歩していない。集団に対してワクチンを接種した結果何がどれだけ起こったかを記述するのみである。未来を予知する能力はない。ワクチン接種の結果を過去形で、しかし、速やかに公表することが大切である。
東京五輪での医師ボランティア募集、8割が否定的/会員アンケート結果 最終更新:2021/05/18 医療一般 コロナ禍で医療崩壊が叫ばれ東京オリンピック・パラリンピックの開催自体が危ぶまれる中、同競技大会組織委員会が日本スポーツ協会公認のスポーツドクターからボランティア約200人を募集していたことが明らかとなった(募集は5月14日で締切、応募総数は393人)。この募集に対して、当事者となる医師たちはどのような心境だろうかー。 本アンケートは、スポーツドクターの有資格者が多い診療科(整形外科、救急科、リハビリテーション科)かつ競技会場となる9都道県(北海道、宮城県、福島県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県)在住のケアネット会員医師を対象に実施[5月7日(金)~12日(水)]。ボランティアへの応募意向をはじめ、参加時に心配な点や募集に対して感じたことなどを伺った。
高齢の早期乳がん患者への化学療法の効果は? 最終更新:2021/05/18 医療一般 高リスクの早期乳がんでは化学療法によりアウトカムが改善されるが、高齢者にはほとんど投与されない。今回、英国・The Royal Marsden Hospital NHS Foundation TrustのAlistair Ring氏らは、高齢の高リスク早期乳がん患者の化学療法による効果を検討したところ、転移を有する再発のリスクは化学療法で低下したが、生存期間延長が示されたのはエストロゲン受容体(ER)陰性乳がんのみであった。また、QOLへの影響は大きかったが一時的だった。British Journal of Cancer誌オンライン版2021年5月10日号に掲載。
FDA、HER2陽性胃がんペンブロリズマブ+トラスツズマブ+化学療法の1次治療迅速承認 最終更新:2021/05/18 医療一般 米国食品医薬品局(FDA)は、2021年5月5日、局所進行または転移を有する切除不能HER2陽性胃・胃食道接合部(GEJ)腺がん患者の1次治療に、トラスツズマブ、化学療法(フルオロピリミジン+プラチナ)およびペンブロリズマブの併用を迅速承認した。 この承認は、上記患者の多施設無作為二重盲検プラセボ対照KEYNOTE-811試験の中間解析に基づいたもの。
COVID-19予防効果のある薬剤は?RCT11件のメタ解析/BMJ 最終更新:2021/05/18 医療一般 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染およびCOVID-19に対する薬剤の予防効果について、カナダ・マックマスター大学のJessica J Bartoszko氏ら研究グループが、WHOのCOVID-19関連データベースを基に、新たなエビデンスを継続的に組み込むリビングシステマティックレビュー(LSR)とネットワークメタ解析により検討したところ、ヒドロキシクロロキンについては、入院および死亡率にほとんど影響がない上、有害事象のリスクを増大する可能性が示された。イベルメクチン単独およびイベルメクチン・イオタカラギナン併用は、バイアスリスクが大きい上、不正確性も極めて高く、確かな根拠が得られなかった。本研究は、BMJ誌2021年4月26日号に掲載された。
片頭痛予防に対する抗CGRPモノクローナル抗体の付加価値 最終更新:2021/05/18 医療一般 35年間のトランスレーショナルリサーチにより、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の伝達を阻害することによる片頭痛治療への新しい道が開かれた。短時間作用型のgepant系CGRP受容体スモールアンタゴニストの後に開発された、CGRPまたはCGRP受容体をブロックするモノクローナル抗体(CGRP/rec mAbs)は、片頭痛治療のパラダイムシフトを起こした。トリプタンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)のような一過性の効果を有する古典的な急性期治療薬とは異なり、CGRP/rec mAbsは、三叉神経血管系の末梢部分でのみ長期間作用するため、持続性のある治療を行うことができる。これは、主に片頭痛の病態生理における上流で作用する古典的な予防薬とは異なる。CGRP/rec mAbsであるeptinezumab、erenumab、fremanezumab、ガルカネズマブのランダム化比較試験(RCT)では、数千人の患者を対象としており、最も広く研究されている片頭痛予防薬となっている。これらの結果によると、CGRP/rec mAbsは、プラセボよりも有意に優れていることが認められており、Dodick氏により包括的なレビューが行われている。ベルギー・リエージュ大学のJ. Schoenen氏らは、これらのRCTよりプラセボ減算アウトカムおよび治療必要数(NNT)について要約し、エフェクトサイズ、効果発現、持続性、患者サブグループにおける治療反応、安全性、忍容性、費用対効果に焦点を当て、その後公表された新たな事後研究について分析を行った。また、CGRP/rec mAbsの1つを用いた限定的な実臨床経験について要約した。Revue Neurologique誌2020年12月号の報告。
自閉スペクトラム症に対する小児精神薬理学~システマティックレビュー 最終更新:2021/05/18 医療一般 自閉スペクトラム症(ASD)は、一生涯にわたる重度の神経発達障害であり、社会的費用が高く、患者やその家族のQOLに大きな負荷を及ぼす疾患である。ASDの有病率は高く、米国においては小児の54人に1人、成人の45人に1人が罹患しているといわれているが、社会的およびコミュニケーションの欠陥、反復行動、限定的な関心、感覚処理の異常を含むASDの中核症状に対する薬理学的治療は十分ではない。イタリア・メッシーナ大学のAntonio M. Persico氏らは、ASDに対するベストプラクティスの促進、今後の研究のための新たな治療戦略を整理するため、小児および青年期のASDに対し、現在利用可能な最先端の精神薬理学的治療についてレビューを行った。Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2021年4月20日号の報告。
貧血のある透析患者へのバダデュスタット、安全性・有効性は?/NEJM 最終更新:2021/05/17 ジャーナル四天王 貧血を有する透析治療を受けている慢性腎臓病(CKD)患者において、経口投与の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬バダデュスタットは、ダルベポエチン アルファと比較して、心血管安全性とヘモグロビン(Hb)値の正常化および維持に関して非劣性であることが示された。ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のKai-Uwe Eckardt氏らが、2件の第III相無作為化非盲検非劣性試験(被験者計3,923例)の結果を報告した。NEJM誌2021年4月29日号掲載の報告。
糖尿病の発症年齢が若いほど認知症になりやすい?/JAMA 最終更新:2021/05/17 ジャーナル四天王 2型糖尿病の発症年齢が下がるほど、その後の認知症リスクは高くなることが示された。フランス・パリ大学のClaudio Barbiellini Amidei氏らが、英国の前向きコホート研究Whitehall II参加者を対象とした追跡期間中央値31.7年のデータを分析して明らかにした。2型糖尿病については若年発症者が増加する傾向がみられる。これまで2型糖尿病の若年での発症と血管合併症との関連は知られていたが、認知症との関連は不明であった。JAMA誌2021年4月27日号掲載の報告。
新型コロナウイルスワクチンと血栓症には関係があるのか?:Ad26.COV2.S(Janssen)の場合(解説:後藤信哉氏)-1390 最終更新:2021/05/17 CLEAR!ジャーナル四天王 新型コロナウイルス禍の克服の鍵の1つがワクチンである。人類は科学技術の英知を結集して驚くべき速さにて新型コロナウイルスに対するワクチンを複数開発した。予後の悪い疾病に対する治療と異なり、健常人に接種するワクチンには高い安全性が要求される。有効かつ安全なワクチンの開発には一般に長い年月がかかる。複雑精妙な人体の調節系は完全に理解されていない。薬剤であれ、ワクチンであれ、投与後の反応を個別予測する演繹的方法は確立されていない。拡大する新型コロナウイルス感染、感染すれば致死率は2%に至るとされる。人類全体として見ればワクチンによる免疫の獲得は感染の拡大速度を減少させ、医療崩壊を防ぐ効果を期待できる。現在も感染の第4波が拡大し、地域によっては医療崩壊にひんしている日本では感染拡大速度を減少させるワクチンを急速に拡大させたい。集団としての視点から日本国内のワクチン接種に反対するヒトは少ないと思う。しかし、予防介入、治療介入には副作用がある。安全性の高いワクチンであっても、ワクチン接種直後に心筋梗塞、脳梗塞などを偶然発症する場合もある。副作用なのか、偶発症なのか、個別のイベントにおける判断は難しい。
monarchE試験で報告されたアベマシクリブの3つの重要なAE、その特徴と転帰/ESMO BREAST 2021 最終更新:2021/05/17 医療一般 monarchE試験において、ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性の高リスク早期乳がんに対する術後内分泌療法(ET)とアベマシクリブの併用は、無浸潤疾患生存期間(iDFS)の有意な改善を示した。同試験では、ET単独群と比較してアベマシクリブ併用群で静脈血栓塞栓症(VTE)、アミノトランスフェラーゼ上昇(EAT)、間質性肺疾患(ILD)が頻繁に報告されており、その特徴と転帰についての詳細解析結果を、京都大学の戸井 雅和氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer Virtual Congress 2021、2021年5月5~8日)で報告した。
ファイザー社ワクチン、無症候性感染も予防か/Lancet 最終更新:2021/05/17 医療一般 2020年12月から英国において、ファイザー(BNT162b2mRNA)およびアストラゼネカ(ChAdOx1nCOV-19)の新型コロナウイルスワクチン接種が急速に進められている。今回、SIREN Study Groupに所属するオックスフォード大学のVictoria Jane Hall氏らは、両ワクチンの適用範囲に関する因子を特定することを目的に、無症状で定期的な検査を受けている医療従事者を対象者としてBNT162b2mRNAのワクチン効果を記録した。その結果、BNT162b2mRNAワクチンが症状の有無にかかわらず生産年齢人口の感染を予防できることを明らかにした。また、今回の対象者は変異株B1.1.7流行時にワクチン接種されており、この変異株に対しても有効性を示していた。Lancet誌2021年4月23日号掲載の報告。
転倒を繰り返す高齢者のリスク因子 最終更新:2021/05/17 医療一般 高齢者の再発性転倒のリスク因子は、バランスと可動性、投薬、心理的、感覚および神経筋に分類される可能性が明らかになった。1年に2回以上繰り返し転倒する高齢者は、機能低下と死亡のリスクがあるため、これらの脆弱性マーカーを特定することが転倒予防への近道になりうると考えられる。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のJehu DA氏らによるこの研究の詳細は、Maturitas誌2021年2月号に報告された。 再発性転倒のどのリスク因子が最も重要なのか理解することは、転倒の2次予防戦略を立てるうえで助けとなる。さまざまな転倒リスクに対する再発性転倒の相対リスクを検証するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。
オシメルチニブのEGFR陽性肺がん術後アジュバント、欧州で承認勧告/アストラゼネカ 最終更新:2021/05/17 医療一般 アストラゼネカは、欧州連合(EU)において、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)が、腫瘍完全切除後の早期(IB期、II期およびIIIA期)EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法の治療薬として、製造販売承認が勧告されたと発表。 今回の欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(CHMP)の肯定的見解は、第III相ADAURA試験の結果に基づくものである。同試験において、オシメルチニブは主要評価項目であるII期およびIIIA期のEGFR変異陽性NSCLC患者における無病生存期間(DFS)、ならびに全対象症例におけるDFSにおいても、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示した。
統合失調症維持療法における経口剤とLAIとの比較~メタ解析 最終更新:2021/05/17 医療一般 統合失調症に対する抗精神病薬の長時間作用型注射剤(LAI)と経口剤を比較したエビデンスでは、研究デザインが一貫していない。慶應義塾大学の岸本 泰士郎氏らは、臨床的意思決定における情報を整理するため、抗精神病薬LAIと経口剤のベネフィットを比較した3つの研究デザインのエビデンスを評価した。The Lancet. Psychiatry誌2021年5月号の報告。 統合失調症に対する抗精神病薬のLAIと経口剤を比較したランダム化比較試験(RCT)、コホート研究、事後分析研究について、包括的なシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。MEDLINE、PubMed、Cochrane Library、Scopus、Embaseより、2020年3月13日までに公表された研究を、言語制限なしで検索した。未公表の研究およびClinicalTrials.govについても検索した。統合失調症および関連障害を有する成人を対象として、6ヵ月以上継続した研究を選択した(参加者の80%以上)。penfluridol(LAIまたは毎日の経口投与でないため)を用いた研究、症例報告、患者数が20例未満の症例シリーズは対象研究より除外した。独立した2人の研究者がデータを抽出し、3人目の研究者が不一致性を改善した。必要に応じて、研究著者に連絡し、追加情報を入手した。主要アウトカムは、抗精神病薬のLAIと経口剤による入院または再発のリスク比(RR)とし、ランダム効果モデルを用いてメタ解析を行った(再発よりも入院を優先して使用)。2次分析により、入院と再発の優先順位を入れ替えて、入院リスクおよび再発リスクを個別に評価した。副次的アウトカムは、メタ解析可能なすべてのデータとし、有効性、安全性、QOL、認知機能、その他のアウトカムにより分類し、研究デザインごとに分析を行った。2値アウトカム(dichotomous outcome)はプールされたRR、連続アウトカム(continuous outcome)は標準平均差(SMD)を用いて評価した。
バダデュスタットvs.ダルベポエチン、保存期CKDのMACEへの有効性/NEJM 最終更新:2021/05/14 ジャーナル四天王 保存期慢性腎臓病(NDD-CKD)患者において、バダデュスタットはダルベポエチン アルファと比較し、血液学的有効性に関しては事前に設定した非劣性マージンを満たしたが、主要安全性評価項目である主要有害心血管イベント(MACE)については非劣性マージンを満たさなかった。米国・スタンフォード大学のGlenn M. Chertow氏らが、バダデュスタットの有効性を評価した2件の第III相無作為化非盲検実薬対照非劣性試験の結果を報告した。バダデュスタットは、経口投与の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬で、HIFを安定化してエリスロポエチンおよび赤血球の産生を刺激することから、腎性貧血の治療薬として開発された。NEJM誌2021年4月29日号掲載の報告。 研究グループは、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)による治療歴がなくヘモグロビン(Hb)値10g/dL未満のNDD-CKD患者、およびESA治療歴がありHb値8~11g/dL(米国)または9~12g/dL(米国以外)のNDD-CKD患者を、バダデュスタット群またはESAダルベポエチン アルファ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。
AZ製ワクチン、血栓症の絶対リスクは?/BMJ 最終更新:2021/05/14 ジャーナル四天王 Oxford-AstraZeneca製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「ChAdOx1-S」の接種を受けた人では、脳静脈血栓症を含む静脈血栓塞栓症の発生がわずかに増加することが確認された。他の安全性については、血小板減少症/凝固異常と出血イベントの発生がわずかに高かったが、ワクチン接種を受けた人のサーベイランスが強化された影響のためか、大部分は安心してよい結果であったという。デンマーク・南デンマーク大学のAnton Pottegard氏らが、同国とノルウェーで実施したコホート研究の結果を報告した。自発的な有害事象の報告や臨床のケースシリーズにおいて、ChAdOx1-S接種後数日から数週間以内に血小板減少症、出血、動脈/静脈血栓症が発生したことが確認されているが、これらの発生について一般集団での自然発生に基づく予想より過剰かどうかは不明であった。BMJ誌2021年5月5日号掲載の報告。
慢性硬膜下血腫に対するデキサメタゾンの有効性(解説:中川原譲二氏)-1388 最終更新:2021/05/14 CLEAR!ジャーナル四天王 慢性硬膜下血腫は、とくに高齢者に多い通常の神経疾患である。慢性硬膜下血腫患者のアウトカムに対するデキサメタゾンの有効性は、これまで十分な検討がなされていなかった。そこで著者らは、英国の23施設で、無作為化試験「Dexamethasone for Adult Patients with a Symptomatic Chronic Subdural Haematoma trial:Dex-CSDH試験」を実施し、デキサメタゾンの有効性を検討した。著者らは、18歳以上の慢性硬膜下血腫患者を、デキサメタゾン群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。デキサメタゾン群では、1~3日目に8mg、4~6日目に6mg、7~9日目に4mg、10~12日目に2mgをそれぞれ1日2回、13~14日目に2mgを1日1回と、2週間漸減経口投与した。外科的血腫除去術は、主治医の判断により実施された。主要評価項目は無作為化後6ヵ月時の修正Rankinスケール(mRS)スコア(0:症状なし~6:死亡)で、0~3をアウトカム良好と定義し、修正intention-to-treat解析を行った。