日本語でわかる最新の海外医学論文|page:376

ミドリムシ摂取でコロナ禍の不安疲労が解消する?

 コロナ自粛により自律神経が乱れ、多くの日本国民が不安や疲労に苛まれている。これを打破するために、一躍ブームとなったミドリムシが改めて見直されるかもしれないー。3月17日、『コロナ禍における新たな社会課題「不安疲労」の実態と「腸ツボ」刺激によるアプローチ~多糖成分パラミロン最新研究報告~』(主催:パラミロン研究会)が開催。久保 明氏(東海大学医学部客員教授/内分泌・糖尿病専門医)と内藤 裕二氏(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学 准教授)らが登壇し、ミドリムシの生成物がいかに現代社会に必要か解説した。

開発中のRNAi治療薬、原発性高シュウ酸尿症I型に有効/NEJM

 開発中のRNA干渉(RNAi)治療薬lumasiranは、原発性高シュウ酸尿症I型(PH1)の進行性腎不全の原因である尿中へのシュウ酸排泄量を減少させ、投与を受けた患者の大多数で、6ヵ月の治療後、同排泄量は正常またはほぼ正常値となっていた。オランダ・アムステルダム大学のSander F. Garrelfs氏らILLUMINATE-A研究グループが、第III相の二重盲検無作為化試験の結果を報告した。PH1は、まれな遺伝性疾患であり、シュウ酸が肝臓で過剰に産生されることで腎結石、腎石灰化症、腎不全および全身性のシュウ酸症を引き起こす。lumasiranは、グリコール酸オキシダーゼを標的とすることで肝臓でのシュウ酸産生を抑制する新たなRNAi治療薬である。NEJM誌2021年4月1日号掲載の報告。

COVID-19、退院後もさまざまな臓器疾患リスクと関連/BMJ

 COVID-19元入院患者は一般集団と比較して、予想される多臓器の機能障害(とくに呼吸器と心血管代謝)のリスクが高いことが、英国国家統計局のDaniel Ayoubkhani氏らによる検討で明らかにされた。同リスクの増大は高齢者に限ったものではなく、また特定の人種・民族に認められるものでもないという。これまでに心血管系・代謝系・腎臓系・肝臓系に影響を与える肺外機能障害と、COVID-19との関連の可能性が指摘されており、最近のエビデンスとして、COVID-19で入院した患者は、退院後に死亡および再入院する割合が高いことが示されているが、多臓器疾患の長期疫学については定量化されていなかった。結果を踏まえて著者は、「post-covid syndromeの診断・治療・予防は、特定の臓器・疾患に限定することなく統合的なアプローチで臨むことが必要であるとともに、リスク因子を確定するための研究が急がれる」とまとめている。BMJ誌2021年3月31日号掲載の報告。

日本人青年におけるインターネット依存とメンタルヘルスとの関連

 インターネット依存とメンタルヘルスの不調は、青年期の大きな問題である。日本大学の大塚 雄一郎氏らは、インターネット依存とメンタルヘルスの不調が、互いにリスク因子となりうる双方向の関連性を示すかどうかについて、検討を行った。Iranian Journal of Public Health誌2020年11月号の報告。  本縦断的学校ベース調査では、日本の中都市の高等学校8校より1年生1,547人をベースライン対象とし、1年間のフォローアップ調査を行った。インターネット依存は、Youngのインターネット依存尺度日本語版を、メンタルヘルスは、12項目GHQ精神健康調査を用いて評価した。インターネット依存が青年のメンタルヘルスの不調と関連するか、またメンタルヘルスの不調がインターネット依存の発症と関連するかを調査するため、共変量を含む回帰分析を行った。

非浸潤性乳がん患者、乳がん以外の浸潤性がんリスクが1.6倍

 非浸潤性乳がん(BCIS)患者は浸潤性乳がんリスクが高いという報告があるが、乳がんを除く浸潤性がんの潜在リスクに関する報告は一致していない。今回、スイス・チューリッヒ大学のNena Karavasiloglou氏らが、組織的なマンモグラフィ検診プログラムのないチューリッヒ州におけるBCIS患者のデータを調査したところ、BCIS患者は一般集団に比べ、浸潤性乳がんは6.85倍、乳がんを除く浸潤性がんは1.57倍、リスクが高いことが示された。また、70歳以上でのBCIS診断が乳がんを除く浸潤性がんのリスクと関連していたが、浸潤性乳がんとは関連していなかった。Frontiers in Oncology誌2021年3月18日号に掲載。

化学放射線療法後の食道がん切除例、ニボルマブ術後補助療法は?/NEJM

 導入補助化学放射線療法後に食道がん/食道胃接合部がんを切除した患者において、術後補助療法としてのニボルマブはプラセボと比較して無病生存(DFS)期間を有意に延長した。米国・ベイラー医科大学医療センターのRonan J. Kelly氏らが、第III相の国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験「CheckMate 577試験」の結果を報告した。食道がん/食道胃接合部がんに対し術前補助化学放射線療法および手術を行っても、再発リスクが高いままの患者に対する術後補助療法は確立されていなかった。NEJM誌2021年4月1日号掲載の報告。  研究グループは、術前補助化学放射線療法を受け病理学的完全奏効が得られずR0切除を行ったステージII/IIIの食道がん/食道胃接合部がん患者を、ニボルマブ群(240mgを2週ごと16週間、その後480mgを4週ごと投与)またはプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付け、再発または忍容できない毒性が認められるまで、あるいは患者が同意を撤回するまで、最長1年間、投与を継続した。

英国のCOVID-19検査・追跡・隔離システム、順守率低調/BMJ

 COVID-19パンデミックの当初11ヵ月間における英国での検査・追跡・隔離システムの順守について調査した結果、経時的に多少の改善は認めるものの順守率は低調だったという。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのLouise E. Smith氏らが、オンライン調査の結果を報告した。検査・追跡・隔離システムは全英のCOVID-19回復戦略の柱の1つであり、このシステムの成功は、症状が認められた場合は隔離し、発症した場合は検査し、感染が確認されたら濃厚接触者の情報提供を得ることに依存している。著者は、「実用的なサポートと金銭的補償がシステムの順守を改善する可能性がある。男性、若年層、医療福祉関連等の労働者を対象としたメッセージや政策も必要かもしれない」とまとめている。BMJ誌2021年3月31日号掲載の報告。

認知症、脳・心血管疾患、1型糖尿病などがCOVID-19重症化リスクに追加/CDC

 米国疾病予防管理センター(CDC)は、3月29日、成人において新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスクとなる病状リストにいくつかの新しい項目を追加した。以前から可能性が指摘されていた、「1型糖尿病(2型糖尿病に追加)」「中等度~重度の喘息」「肝疾患」「認知症またはその他の神経学的疾患」「脳卒中・脳血管疾患」「HIV感染症」「嚢胞性線維症」「過体重(肥満に追加)」のほか、新しく「薬物依存症」がリストアップされた。新しいリストでは、特定のカテゴリごとに病状が記載されている。

「ワクチン・パスポート」、制度導入にあたっての論点/NEJM

 世界中で新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種が進むにつれ、ワクチン接種済みの証明書を発行し、国内外の移動やイベント参加時などに提出を義務付ける制度、いわゆる「ワクチン・パスポート」に関する議論が生じている。現時点で考えられる論点が、NEJM誌オンライン版2021年3月31日号Perspectiveに掲載された。  ワクチン・パスポートは、既に米国、英国、EUが導入を検討しているほか、オーストラリア、デンマーク、スウェーデンが導入を表明しており、国民1人当たりのワクチン接種数で世界トップのイスラエルでは、すでにワクチン接種を受けた住民に「グリーンパス」を発行し、ホテル、ジム、レストラン、劇場、音楽会場など、入場制限が行われている場への立ち入りを許可する際に使われている。ニューヨーク州が発行する電子ワクチン・パスポート「エクセルシオール・パス」は劇場、イベント会場、大規模な結婚式などへの参加を許可する際に使われている。

高齢NVAF患者、DOAC使用実態と2年間の転帰(ANAFIEレジストリ)/日本循環器学会

 本邦では、80代あるいは90代の心房細動患者も少なくないが、最適な抗凝固療法は必ずしも明らかになっていない。85歳以上の超高齢者が約25%を占める、3万例超の日本人高齢非弁膜症性心房細動(NVAF)患者の大規模レジストリ(ANAFIE)の結果を、第85回日本循環器学会学術集会(2021年3月26日~28日)で井上 博氏(富山県済生会富山病院)が発表した。  ANAFIEレジストリは、日本人高齢NVAF患者におけるリアルワールドでの抗凝固療法の使用状況と臨床転帰を調査するために実施された、多施設共同前向き観察研究。75歳以上のNVAF患者を登録、2年間の追跡調査が行われた。  脳卒中/全身性塞栓症(SEE)、大出血、および2年間の全死因死亡の発生率は、カプランマイヤー分析によって推定された。各イベントのハザード比は、治療群(抗凝固薬なし、ワルファリン[WF]、およびDOAC)間のCox比例ハザードモデルを使用して分析された。

片頭痛に対するCGRPモノクローナル抗体eptinezumab~メタ解析

 片頭痛は、最も一般的な神経疾患の1つである。片頭痛の病態生理には、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が重要な役割を果たしている。中国・蘇州大学附属第一医院のZeya Yan氏らは、片頭痛に対するCGRP関連モノクローナル抗体eptinezumabの有効性、安全性をシステマティックに評価するため、メタ解析を実施した。The Journal of Headache and Pain誌2021年3月6日号の報告。  Medline、Embase、Cochrane Library、Clinicaltrials.govより、2020年9月までに公表された片頭痛に対するeptinezumabのプラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)を検索した。データの評価には、Review Manager 5.3ソフトウエアを用いた。リスク比(RR)および標準平均差(SMD)は、ランダム効果モデルによる2分アウトカムおよび連続アウトカムを用いてそれぞれ分析した。

統合失調症患者の心血管リスクと認知障害との関連~メタ解析

 統合失調症では、認知機能障害とメタボリックシンドローム(MetS)などの心血管リスクとの関連が報告されている。認知機能障害や心血管リスク因子は、一般集団においても認知機能を低下させ、統合失調症の認知障害の一因となりうる。大日本住友製薬の萩 勝彦氏らは、統合失調症患者の認知機能障害と心血管リスク因子、認知障害との関連について調査を行った。JAMA Psychiatry誌オンライン版2021年3月3日号の報告。  Embase、Scopus、MEDLINE、PubMed、コクランデータベースより、2020年2月25日までに公表された研究を、キーワード(統合失調症、代謝系問題、認知機能)を使用して抽出した。会議録、臨床トライアルレジストリ、関連文献のリファレンスリストも併せて検索した。メタ解析には次の研究を含めた。(1)統合失調症または統合失調症感情障害を対象とした認知機能を調査した研究(2)MetS、糖尿病、肥満、過体重、脂質異常症、インスリン抵抗性などの心血管リスク因子とアウトカムとの関連を調査した研究(3)統合失調症または統合失調症感情障害の認知能力について、心血管リスク因子の有無により比較した研究。文献ごとに2~3人の独立したレビュアーによりデータを抽出し、ランダム効果モデルを用いてメタ解析を実施した。主要アウトカムは、臨床的に検証済みの尺度を用いて測定した全体的な認知機能とした。

運動30分前のカフェインが脂肪を燃やす

 運動30分前のカフェイン摂取が最良の脂肪燃焼法かもしれない。これまでの研究で、カフェインが最大脂肪酸化率(MFO)と有酸素能力を増加させることが明らかになっているが、運動と組み合わせた効果は詳しくわかっていなかった。今回、スペイン・グラナダ大学のMauricio Ramirez-Maldonado氏らが、運動テスト中におけるMFOの日内変動に対するカフェイン摂取の影響を調査した結果、有酸素運動30分前のカフェイン摂取は、時間帯に関係なく運動中の脂肪酸化を増加させることを発見した。The Journal of the International Society of Sports Nutrition誌2021年1月7日号に掲載。

肺動脈性高血圧症へのsotatercept、24週後の肺血管抵抗性を低下/NEJM

 肺動脈性肺高血圧症(PAH)に対するsotaterceptの皮下投与は、24週後の肺血管抵抗性を低下することが示された。NT-proBNP値の低下との関連性も認められたという。フランス・パリ・サクレー大学のMarc Humbert氏らが106例を対象に行った第II相多施設共同無作為化比較試験「PULSAR試験」の結果で、NEJM誌2021年4月1日号で発表された。PAHは、肺血管のリモデリングと細胞増殖、長期転帰は不良という特徴を有し、骨形成タンパク質経路シグナル伝達の機能不全が、遺伝性および特発性の両サブタイプに関連しているとされる。新規融合タンパク質sotaterceptは、アクチビンと増殖分化因子を結合させることで、増殖促進シグナル伝達経路と増殖抑制シグナル伝達経路のバランスを回復させる狙いで開発が進められている。

AZ製ワクチン、英国型変異株に有効率70.4%/Lancet

 新型コロナワクチンChAdOx1 nCoV-19(AZD1222)について、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新たな変異株であるB.1.1.7系統への中和活性は同系統以外の変異株との比較において低いことがin vitroにおいて示されたが、変異株B.1.1.7に対する臨床的有効率は70.4%で有効であることが示された。なお、同系統以外のウイルスに対する有効性は81.5%だった。英国・オックスフォード大学のKatherine R. W. Emary氏らが同国で行った、約8,500例を対象とした第II/III相無作為化試験の事後解析の結果で、Lancet誌オンライン版2021年3月30日号で発表した。変異株B.1.1.7は2020年11月以降、英国における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の主因を占めるようになっていた。

ワクチン接種者、検査・隔離なしで旅行が可能に/CDC

 2021年4月2日、米国疾病予防管理センター(CDC)はガイドラインを更新し、新型コロナワクチン接種を完了した人は、PCR検査の陰性証明や隔離期間なしに米国内を旅行できるとした。これまでのガイドラインではワクチン接種者であっても国内外の旅行を控えるよう呼びかけていたが、ワクチン接種者が急激に増加し、ワクチンの有効性に関するデータも集積されてきたことを受け、今回の変更が行われた。ワクチン接種完了の定義は、最後の接種を受けてから2週間経過後とされており、今回追加された項目は下記のとおり。 ・ワクチン接種完了者は、海外の目的地で必要とされない限り、旅行前に検査を受ける必要はなく、帰国後の隔離の必要もない。 ・ワクチン接種完了者は、米国へのフライトの搭乗前にCOVID-19検査を受けて陰性である必要があり、帰国後3~5日以内に再度検査を受ける必要がある。 ・ワクチン接種完了者は、海外旅行中もマスクやソーシャルディスタンスの確保といった感染予防策をとる必要がある。

転移乳がんにおけるBRCA1/2変異、予後への影響は?/JCO

 転移を有する乳がん患者において、がん感受性遺伝子の生殖細胞系列変異の頻度や、これらの変異の臨床的関連性は不明である。今回、ドイツ・University Hospital ErlangenのPeter A. Fasching氏らは、転移を有する乳がん患者の前向きコホートで、BRCA1とBRCA2を含む乳がん素因遺伝子変異の頻度と変異患者の臨床的特徴を調べ、変異が転帰に及ぼす影響を検討した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2021年3月29日号に掲載。

高齢者糖尿病治療ガイド2021を発行/日本糖尿病学会・日本老年医学会

 日本糖尿病学会(理事長:植木浩二郎)は、同学会と日本老年医学会で合同編集・執筆した『高齢者糖尿病治療ガイド2021』を同学会のホームページで3月24日に発表し、刊行した。  超高齢社会のわが国では、高齢者の糖尿病管理は深刻な問題であり、両学会は2015年4月に合同委員会を設置。「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)」の策定・公表やさまざまなガイドを発行することで高齢者糖尿病診療に道筋を示してきた。  今回改訂されたガイドでは、高齢糖尿病患者に多い認知症、サルコペニア・フレイル、“mulitimorbidity”などの併存症、介護保険など高齢者をサポートする諸制度などの高齢者糖尿病患者に特化した内容が掲載されている。また、読者の理解に役立つようにと「高用量SU薬投与中の高齢者」や「中等度の認知症」など11の具体的な症例を提示し、糖尿病診療に従事する医療者以外にでも参考にできるように工夫されている。

良い睡眠には就寝環境も関係する/アイスタット

 世界的にみてもわが国の睡眠時間、睡眠の質は低いといわれている。そして、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)禍の中で、私たちの睡眠環境に変化はあったのであろうか。  3月19日の「春の睡眠の日」に合わせ、「睡眠が快適な人とそうでない人は何が違うのか」また「昼間の眠気は、睡眠事情が関係しているものなのか」を知る目的で、株式会社アイスタットは睡眠に関するアンケートの調査を行った。  アンケートは、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員20~59歳の有職者300人が対象。

妊娠中の抗うつ薬使用と子供の自閉スペクトラム症およびADHDリスク~メタ解析

 妊娠中のSSRIやSNRIなどの抗うつ薬使用と子供の自閉スペクトラム症(ASD)および注意欠如多動症(ADHD)リスクとの関連について、観察研究では一貫性が認められていない。関連を指摘する報告に対し、考慮されていない交絡因子の影響を示唆する見解も認められる。イスラエル・ヘブライ大学のRegina Leshem氏らは、この関連性を検討し、バイアス原因を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Current Neuropharmacology誌オンライン版2021年3月3日号の報告。