日本語でわかる最新の海外医学論文|page:339

ファイザー製ワクチン、3回目接種後の副反応は?

 米国食品医薬品局(FDA)は9月22日、ファイザー/ビオンテック社製COVID-19ワクチン(BNT162b2)の3回目接種(ブースター接種)について、65歳以上や重症化リスクの高い人などを対象に緊急使用許可を承認した。この承認に当たり開催されたFDAの諮問委員会でファイザー社が提出した資料には、ブースター接種による免疫応答と安全性についてのデータが含まれた。本稿では、安全性データについてまとめる。

反復性片頭痛予防に対するフレマネズマブの有効性~日韓共同第III相試験

 片頭痛の約90%を占める反復性片頭痛に対する予防療法は、現在の利用可能な治療では十分でない。片頭痛の病因に関連するカルシトニン遺伝子関連ペプチド経路を標的とするモノクローナル抗体であるフレマネズマブは、大規模な国際第III相臨床試験において、慢性および反復性片頭痛に対して効果および忍容性が確認されている。埼玉精神神経センターの坂井 文彦氏らは、日本人および韓国人の反復性片頭痛患者に対するフレマネズマブの有効性および安全性について、評価を行った。Headache誌2021年7月号の報告。

広範囲の疼痛と認知症や脳卒中リスク~フラミンガム研究

 慢性疼痛は、認知機能低下の初期に認められる指標である可能性があるといわれているが、広範囲の疼痛と認知機能低下や脳卒中リスクとの関連をシステマティックに調査した研究は、これまであまりなかった。中国・重慶医科大学付属第一医院のKanran Wang氏らは、慢性疼痛の一般的なサブタイプである広範囲の疼痛とその後の認知症、アルツハイマー型認知症および脳卒中との関連を調査した。Regional Anesthesia and Pain Medicine誌オンライン版2021年8月16日号の報告。  米国コミュニティベースのフラミンガム心臓研究のデータを用いてレトロスペクティブコホート研究を実施した。疼痛の状態は、1990~94年の単一時点で評価した。広範囲の疼痛は、フラミンガム心臓研究の疼痛ホムンクルスに基づき決定した。ベースライン時に認知症でなかった人を対象に、中央値で10年間(四分位範囲:6~13年)フォローアップを行った。広範囲の疼痛と認知症、アルツハイマー型認知症、脳卒中との関連を調査するため、比例ハザードモデルを用いた。

迅速承認がん治療薬、確認試験が否定的でも推奨薬のまま?/BMJ

 米国食品医薬品局(FDA)の迅速承認を受けたがん治療薬の適応症は、法令で定められた承認後確認試験で有効性の主要エンドポイントの改善が得られなかった場合であっても、3分の1が添付文書に正式なFDAの承認を得たものとして記載され、数年にわたり診療ガイドラインで推奨されたままの薬剤もあることが、カナダ・クイーンズ大学のBishal Gyawali氏らの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2021年9月8日号で報告された。  研究グループは、FDAの迅速承認を受けたものの、承認後確認試験で主要エンドポイントの改善が得られなかったがん治療薬の規制上の取り扱いを調査し、承認後確認試験の否定的な結果が診療ガイドラインでの推奨にどの程度影響を及ぼしているかを評価する目的で、後ろ向き観察研究を実施した(米国・Arnold Venturesの助成を受けた)。

冠動脈ステント留置後のDAPT期間、1ヵ月に短縮の可能性/NEJM

 薬剤溶出型冠動脈ステント留置による経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた出血リスクが高い患者において、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の34日間投与は193日間投与と比較して、純臨床有害事象および主要心臓・脳有害事象のリスクが非劣性で、大出血・臨床的に重要な非大出血のリスクは有意に低いことが、スイス・Universita della Svizzera ItalianaのMarco Valgimigli氏らが実施した「MASTER DAPT試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年8月28日号に掲載された。

進行食道がん1次治療に免疫チェックポイント阻害薬の併用療法が参入(解説:上村直実氏)

外科的に切除不能な進行・再発または転移のある食道扁平上皮がんに対して、一般的には放射線・化学療法が行われている。このうち化学療法に関しては30年前からフルオロウラシルとシスプラチン等のプラチナ製剤の併用療法(FP療法)が標準治療として用いられてきたが、最近、免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-L1阻害薬)の登場によって大きな変化が起こりつつある。すなわち、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)やペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)など抗PD-L1阻害薬とFP療法の併用がFP療法単独に比べて、全生存期間(OS)や無増悪生存期間(PFS)を有意に延長するという研究結果が報告されている。

いよいよ総裁選!医師が希望する次期総裁は?…会員1,000人アンケート

 9月29日、自民党総裁選の開票が行われる。出馬する4氏のうち次期総裁になって欲しい人物や、次期総裁に期待する政策について、会員医師1,000人を対象にアンケートを行った(2021年9月22日実施)。  「出馬を表明した4氏のうち、次の総裁になってほしいのは誰ですか?」との問いには河野 太郎氏(行政改革担当大臣)が54%の支持を集めトップで、続く21%の高市 早苗氏(前総務相)に倍以上の差をつけた。岸田 文雄氏(前政務調査会長)は高市氏と僅差の20%、野田 聖子氏(幹事長代行)は5%と伸び悩んだ。

切除不能のStageIII NSCLCに対するCRT後のデュルバルマブはリアルワールドでも生存改善(PACIFIC-R)/ESMO2021

 化学放射線療法(CRT)後の切除不能Stage III非小細胞肺がん(NSCLC)へのデュルバルマブ地固め療法のリアルワールド研究が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress2021)で発表された。中間解析の結果、リアルワールドでも、この患者集団におけるデュルバルマブの有用性が示された。  このレジメンを評価する第III相PACIFIC試験は、当初から良好な成績を示しており、5年解析でも全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)とも有意に改善している

早期乳がんの術後トラスツズマブは6ヵ月で十分か?~メタ解析/ESMO2021

 HER2陽性早期乳がん患者に対するトラスツズマブ単剤での術後補助療法の無浸潤疾患生存期間(iDFS)について、これまでの無作為化非劣性試験の個々の患者データを用いてメタ解析を実施した結果、標準である12ヵ月投与に対して6ヵ月投与での非劣性が示された。英国・Cambridge University Hospitals NHS Foundation TrustのHelena M. Earl氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。

統合失調症患者の早期再発に関連する要因

 統合失調症は、再発を繰り返して進行する慢性的な精神疾患である。再発リスクに影響を及ぼす可能性のある多くの因子を特定することは、再発を予防するうえで重要である。トルコ・Gulhane Training and Research HospitalのIbrahim Gundogmus氏らは、統合失調症患者の早期再発率とそれに関連する可能性のあるリスク因子を特定するため、検討を行った。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2021年8月19日号の報告。  統合失調症患者308例を対象に、自然主義的観察デザインのプロスペクティブ研究を実施した。早期再発のカットオフ値は、1年と定義した。

トラスツズマブ デルクステカン、HER2変異NSCLCに有望(DESTINY-Lung01)/ESMO2021

 HER2抗体複合体(ADC)トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)による、既治療の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する第II相試験DESTINY-Lung01の初回解析が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表され、有効な成績が示された。  NSCLCにおけるHER2遺伝子変異は約3%と多くはない。標的治療薬は承認されておらず、検査は行われない。治療には化学療法が使われるが、効果は限定的である。  そのようななか、第II相DESTINY-Lung01試験の中間解析で良好な成績を示したことから、T-DXdに新たな選択肢としての期待がかかる。  DESTINY-Lung01試験は多施設国際2コホート研究。

ファイザー製ワクチンの6ヵ月の有効性と安全性、第II/III相試験データ/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のBNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)について、6ヵ月間でワクチンの有効性は徐々に低下するものの安全性プロファイルは良好であり、COVID-19予防効果は高い。米国・ニューヨーク州立大学のStephen J. Thomas氏らが、現在進行中の国際共同無作為化観察者盲検プラセボ対照第II/III相試験の結果を報告した。BNT162b2ワクチンは現在、世界各国で承認、条件付き承認または緊急使用が正式に認められているが、最初の認可の時点で接種後2ヵ月を超えるデータは得られていなかった。NEJM誌オンライン版2021年9月15日号掲載の報告。

降圧薬の心血管イベント予防効果、年齢や血圧で異なるか/Lancet

 薬理学的な降圧は高齢になっても効果的であり、主要心血管イベント予防の相対的なリスク低下が無作為化時点での収縮期または拡張期の血圧値によって異なるというエビデンスはなく、120/70mmHg未満でも有効であるという。英国・オックスフォード大学のKazem Rahimi氏らBlood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration(BPLTTC)のメンバーらが、MACEのリスクに関する降圧薬の有効性を比較検証した無作為化比較試験のメタ解析結果を報告した。70歳以上の高齢者において、とくに、血圧が十分に上昇していない場合の心血管アウトカムに対する降圧の薬物療法の有効性は明らかになっていなかった。結果を踏まえて著者は、「降圧薬による治療は年齢にかかわらず重要な治療選択肢として考慮すべきであり、国際的なガイドラインから年齢に関連した血圧の閾値を撤廃すべきである」と述べている。Lancet誌2021年9月18日号掲載の報告。

TN乳がん1次治療におけるペムブロリズマブ上乗せ、CPS≧10でOS改善(KEYNOTE-355)/ESMO2021

 未治療の手術不能または転移を有するPD-L1 CPS 10以上のトリプルネガティブ(TN)乳がん患者において、ペムブロリズマブ+化学療法はプラセボ+化学療法と比較して、全生存(OS)期間を有意に改善した。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)包括的がんセンターのHope S. Rugo氏が、第III相KEYNOTE-355試験におけるOSの最終解析結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。本邦では、PFSを有意に改善した同試験の中間解析結果を基に、2021年8月に承認されている。

初期アルツハイマー病に対するaducanumabの長期的ベネフィット

 アルツハイマー病は、慢性的かつ進行性の神経変性疾患であり、患者および介護者に対して大きな負担が強いられる。aducanumabは、アルツハイマー病の病理に作用する初めての治療薬として米国FDAより承認された薬剤であり、アルツハイマー病の病態生理学的特徴である脳内のアミロイドプラーク減少が期待できる。第III相臨床試験であるEMERGE試験で、aducanumabはアルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)および軽度アルツハイマー型認知症患者における臨床的な進行抑制作用を示し、アミロイド病理に対する作用が確認されている。米国・RTI Health SolutionsのWilliam L. Herring氏らは、初期アルツハイマー病患者に対するaducanumabの長期的ベネフィットを評価するため、EMERGE試験の有効性データに基づき検討を行った。Neurology and Therapy誌オンライン版2021年8月23日号の報告。

EGFR exon20挿入変異非小細胞肺がんへのmobocertinibをFDAが迅速承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、2021年9月15日、プラチナベース化学療法で進行した、EGFR exon20挿入変異陽性の局所進行または転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)に対して、mobocertinibを迅速承認した。  mobocertinibは、EGFRexon20挿入変異を標的とした、新たなTKIである。  今回の承認は、上記患者を対象とした国際非ランダム化非盲検マルチコホート試験(NCT02716116)に基づいたもの。  同試験では、プラチナベース化学療法で疾患進行した114例の患者に、mobocertinib160mg/日を疾患進行または忍容できない毒性の発現まで投与し、有効性を評価した。

無症候性重度狭窄へのCAS vs.CEA、長期有効性・リスクに差は?/Lancet

 インターベンションを要する無症候性重度狭窄患者に対し、頚動脈ステント留置術(CAS)と頚動脈内膜剥離術(CEA)の有効性およびリスクを比較したところ、長期5年の手技非関連脳卒中リスク、手技関連の後遺障害を伴う脳卒中や死亡リスク共に同等であることが示された。英国・オックスフォード大学のAlison Halliday氏らが、33ヵ国・130病院を通じて行った国際多施設共同無作為化比較試験「ACST-2」の結果を報告した。重度狭窄を有するが直近の脳卒中や一過性脳虚血の既往のない無症候性の患者では、CASまたはCEAのいずれもが有効で長期脳卒中リスクを低減可能なことが報告されている。しかしながら最近の全国規模のレジストリデータで、いずれの手技共に後遺障害を伴う脳卒中や死亡に1%程度の手技的リスクをもたらしていることが示され、大規模な無作為化試験を行い長期的な影響の比較のエビデンスを得る必要性が提言されていた。Lancet誌2021年9月18日号掲載の報告。

ファイザー製ワクチン、60歳以上で3回目接種の効果は?/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンBNT162b2(Pfizer/BioNTech製)について、2回接種を5ヵ月以上前に完了した60歳以上の高齢者に対する3回目ブースター接種は、COVID-19感染および重症化リスクが大幅に低下することを、イスラエル・Weizmann Institute of ScienceのYinon M. Bar-On氏らが報告した。イスラエルでは2021年7月30日に、5ヵ月以上前にBNT162b2の2回接種を完了した60歳以上の高齢者への、3回目接種が承認されている。研究グループは、追加免疫のデータを収集するため3回目ブースター接種を行った同国約114万例の高齢者を対象に試験を行った。NEJM誌オンライン版2021年9月15日号掲載の報告。

閉経後乳がん術後療法、タモキシフェン後のレトロゾール延長の効果は?(GIM4)/ESMO2021

 閉経後のホルモン受容体(HR)陽性乳がんの術後補助療法において、タモキシフェン2〜3年間投与後のレトロゾールの投与期間について、標準の2〜3年間に比べて5年間のほうが無浸潤疾患生存期間(DFS)と全生存期間(OS)を有意に改善したことが、イタリア・Gruppo Italiano Mammella(GIM)によるGIM4試験で示された。IRCCS Ospedale Policlinico San MartinoのLucia Del Mastro氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。なお、この結果はLancet Oncology誌オンライン版2021年9月17日号に同時掲載された。

大腸がんガイドライン改訂案に関するパブリックコメント募集/大腸癌研究会

 大腸癌研究会は、治療ガイドライン改訂案についてのパブリックコメント募集を開始した。  募集しているのは「大腸癌治療ガイドライン医師用」2022年版に関するパブリックコメントで、大腸癌研究会のホームページ上に改訂案を公開している。  今回の改訂は、「薬物療法」と「Stage IV大腸癌の治療方針」に限定している。