日本語でわかる最新の海外医学論文|page:309

リキッドバイオプシーによる術後再発リスク評価(COSMOS-CRC-01)/日本臨床腫瘍学会

 2021年に国内で初めて、リキッドバイオプシーを用いた固形がんに対する包括的ゲノムプロファイリングが保険承認された。現在、リキッドバイオプシーを用いた血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を解析し術後の微小残存腫瘍(MRD)を検出することで術後の再発リスクを評価するというCOSMOS試験が進行中だ。  MRD測定は造血器腫瘍分野における予後予測に広く使われており、固形がんにおける予後予測にも使えるのではないかと検討されていた。COSMOS試験は国立がん研究センターを中心としたがん臨床研究の基盤であるSCRUM-Japanのプロジェクトの1つであり、大腸がん、胃がん、膵がん、肝臓がん、メラノーマ患者を対象としている。

HR+HER2-転移・再発乳がん、ベバシズマブ+パクリタキセル導入療法後に内分泌療法+カペシタビン維持療法の戦略で長期のOSを確認/日本臨床腫瘍学会

 ホルモン受容体陽性(HR+)HER2 陰性(HER2-)転移・再発乳がんに対するベバシズマブ+パクリタキセル導入化学療法後の維持療法の有効性を検討した国内多施設無作為化第II相試験(KBCSG-TR1214)において、内分泌療法+カペシタビン併用維持療法が内分泌療法単独に比べ無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことがすでに報告されている。今回、この治療戦略の全生存期間(OS)への影響を評価するために、本試験を事後解析した結果について、大阪大学の吉波 哲大氏が第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で発表した。

新型コロナ感染、1年間の精神疾患リスクは?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者は、同時期のSARS-CoV-2非感染者および歴史的対照者と比較して、さまざまな精神疾患(不安障害、うつ病性障害、ストレスおよび適応障害、オピオイド使用障害、オピオイド以外の物質使用障害、神経認知機能低下、睡眠障害など)のリスクが高いことが、米国・VAセントルイス・ヘルスケアシステムのYan Xie氏らによるコホート研究で明らかとなった。著者は、「COVID-19生存者のメンタルヘルス障害に対する取り組みは優先課題である」とまとめている。BMJ誌2022年2月16日号掲載の報告。  研究グループは、米国退役軍人省のデータを用い、2020年3月1日~2021年1月15日の間に少なくとも1回、SARS-CoV-2のPCR検査が陽性であった人(16万9,240例)を特定し、このうち陽性確認から30日後に生存していた人(COVID-19群15万3,848例)の転帰を調べ(追跡期間終了日:2021年11月30日)、精神疾患の発症リスクを2つの対照群と比較した。対照群は、COVID-19群と同時期にSARS-CoV-2の感染が確認されていない同時期対照群(563万7,840例)と、COVID-19流行以前の歴史的対照群(585万9,251例)である。  COVID-19と精神疾患発症との関連は、事前に定義した共変量およびアルゴリズムで選択された高次の共変量の両方に関して調整した逆確率重み付け法により、追跡期間中のハザード比(HR)と、各群における1年推定発生率の差に基づく1,000人当たりの1年間の補正後リスク差ならびにその95%信頼区間(CI)を算出した。

コロナ重症化リスクを低減、パキロビッドパック第II/III相試験結果/NEJM

 重症化リスクがあるワクチン未接種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)成人患者に対し、ニルマトレルビル+リトナビル(商品名:パキロビッドパック)はプラセボと比較し、入院または死亡のリスクを約89%低下させ、安全性に明らかな懸念は認められなかった。米国・ファイザー社のJennifer Hammond氏らが、国際共同第II/III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験「EPIC-HR試験」の結果を報告した。ニルマトレルビルは、経口投与可能なSARS-CoV-2のメインプロテアーゼ(Mpro)阻害剤で、in vitroにおいて幅広い種類のコロナウイルスに対し強力なMpro阻害活性およびウイルス複製阻害作用を示し、マウスモデルにおいて経口投与により肺のSARS-CoV-2力価がプラセボに比べ有意に低下することが示されていた。NEJM誌オンライン版2022年2月16日号掲載の報告。

統合失調症、うつ病患者に退院時使用されている頓服薬の傾向

 統合失調症やうつ病に対する継続的な薬物療法が重要であることは、さまざまなガイドラインで示唆されているが、頓服による治療に関する報告はほとんど行われていない。東京大学の市橋 香代氏らは、向精神薬の頓服使用を行っている統合失調症およびうつ病患者の特徴を明らかにするため、検討を行った。Asian Journal of Psychiatry誌オンライン版2022年1月13日号の報告。  精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究(EGUIDEプロジェクト)のデータを用いて、統合失調症(2,617例)およびうつ病患者(1,248例)の退院時における向精神薬頓服使用の有無、患者の年齢や性別、頓服使用と継続的な向精神薬使用との関連について評価を行った。  主な結果は以下のとおり。

小型非小細胞肺がんの術式 区域切除vs.肺葉切除(JCOG0802/WJOG4607L)/日本臨床腫瘍学会

 小型(2cm以下)末梢非細胞肺がん(NSCLC)における区域切除と肺葉切除を比較した無作為化非劣性比較試験が実施され、区域切除の非劣性が示された。  現在は、2cm以下のNSCLCにおいても標準外科療法は肺葉切除である。より切除範囲の小さい区域手術は呼吸機能を温存できるため、小型NSCLCに適用できれば恩恵は大きいとされる。しかし、両群を比較した無作為化試験は行われていなかった。

妊娠中のコロナワクチン2回接種、乳児の入院61%予防効果/CDC

 母親が妊娠中にCOVID-19ワクチンを2回接種することで、生後6ヵ月未満の乳児の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染による入院を61%予防する効果があることが、米国の研究チームの調査で明らかになった。研究結果は、米疾病対策センター(CDC)のMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2022年2月15日号に掲載。  これは米国の研究チームOvercoming COVID-19が、2021年7月1日~22年1月17日、米国17州20の小児病院において実施したケースコントロール研究である。生後6ヵ月未満の入院乳児379例が対象で、このうちCOVID-19による入院が176例(症例群)で、COVID-19以外による入院が203例(対照群)だった。乳児の母親は、妊娠中にファイザー製またはモデルナ製のコロナワクチンを2回接種完了と、未接種の2グループに分類。症例群で母親がワクチンを接種していたのは16%(28/176例)だったのに対し、対照群で母親がワクチンを接種していたのは32%(65/203例)だった。

早期TN乳がんの術前・術後ペムブロリズマブによるEFS、アジア人での解析(KEYNOTE-522)/日本臨床腫瘍学会

 高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)を対象に、術前補助療法としてペムブロリズマブ+化学療法併用を化学療法単独と比較、さらに術後補助療法としてペムブロリズマブとプラセボを比較した第III相KEYNOTE-522試験において、4回目の中間解析までにペムブロリズマブ群が術前補助療法による病理学的完全奏効率(pCR)および無イベント生存期間(EFS)を有意に改善した。今回、本試験のアジア人集団の 4 回目の中間解析結果について、北海道大学/国立病院機構北海道がんセンターの高橋 將人氏が、第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で発表した。 [KEYNOTE-522試験] ・対象:治療歴がなく、原発巣の腫瘍径2cm以下でリンパ節転移あり(T1c、N1~2)またはリンパ節転移に関係なく腫瘍径2cm超(T2~4d、N0~2)で、遠隔転移がない(M0)ECOG PS 0/1のTNBC患者 ・試験群:術前に化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルを4サイクル後、ドキソルビシン/エピルビシン+シクロホスファミドを4サイクル)+ペムブロリズマブ(3週ごと)、術後にペムブロリズマブ(3週ごと)を9サイクルあるいは再発または許容できない毒性発現まで投与(ペムブロリズマブ群) ・対照群: 術前に化学療法+プラセボ、術後にプラセボを投与(プラセボ群) ・評価項目: [主要評価項目]pCR(ypT0/Tis ypN0)、EFS [副次評価項目]pCR(ypT0 ypN0およびypT0/Tis)、全生存期間(OS)、PD-L1陽性例におけるpCR・EFS・OS、安全性

検査前確率+DダイマーでDVT診断向上/BMJ

 深部静脈血栓症(DVT)の診断において、検査前臨床的確率とDダイマーを組み合わせた戦略は、超音波検査の実施回数を減少させつつDVTのリスクが低い患者群を特定できることが、カナダ・マックマスター大学のClive Kearon氏らが実施した前向き試験「Designer D-Dimer Deep vein thrombosis(4D)試験」で示された。これまでのコホート研究で、検査前臨床的確率が低いまたはWellsスコアが低くDダイマー陰性の患者はDVTを除外できることの安全性が示唆されていた。BMJ誌2022年2月15日号掲載の報告。

COVID-19入院患者へのロナプリーブ、血清抗体の有無で有効性に差/Lancet

 COVID-19入院患者において、カシリビマブ・イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ)の抗体カクテル療法は、血清陰性患者(液性免疫反応が起きていなかった患者)の28日死亡率を低下させたが、血清陽性患者の28日死亡率は低下しなかった。無作為化非盲検対照プラットフォーム試験「RECOVERY試験」の結果を、英国・オックスフォード大学のPeter W. Horby氏らRECOVERY試験共同研究グループが報告した。カシリビマブ・イムデビマブは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン上にあるそれぞれ異なる部位に非結合的に結合することにより、SARS-CoV-2の宿主細胞への侵入を阻害するモノクローナル抗体で、COVID-19外来患者における有効性が報告されていた。Lancet誌2022年2月12日号掲載の報告。

食道がん1次治療におけるニボルマブ+イピリムマブとニボルマブ+化学療法、日本人サブ解析(CheckMate-648)/日本臨床腫瘍学会

 進行食道扁平上皮がんの1次治療における免疫チェックポイント阻害薬と化学療法の併用、および免疫チェックポイント阻害薬2剤併用の有用性を示したCheckMate-648試験。2022年2月に開催された第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)において、本試験の日本人サブグループの解析結果を、神奈川県立がんセンターの尾形 高士氏が発表した。 [CheckMate-648試験] ・対象:未治療の切除不能な進行または転移のある食道扁平上皮がん患者 ・試験群:以下の3群に1対1の割合で無作為に割り付け ニボイピ群:ニボルマブ3mg/kgを2 週ごと+イピリムマブ1mg/kgを6週ごと

国内オミクロン株感染者139例の臨床的特徴/感染研

 国立感染症研究所は、国内におけるオミクロン株の疫学的・臨床的特徴を迅速に把握することを目的として、検疫および国内にて初期に探知されたオミクロン株症例について、積極的疫学調査を行った。18日、第5報として収集されたすべての結果が報告された。 【対象症例】  2021年11月29日~2022年1月12日までに本調査の協力医療機関に入院し診療を行った新型コロナウイルス感染者の中から、ゲノム解析によりオミクロン株感染が確定した139例。 【調査方法】  退院後に調査票を用いて、基本情報、渡航情報、ワクチン接種歴、基礎疾患、入院時のバイタルサイン・臨床症状、入院期間中に観察された臨床症状、合併症、入院中の治療、入院経過・退院時転帰などの情報を収集し、疫学的記述を行った。

LINEチャットボットでコロナの隔離期間を自動計算

 新型コロナワクチンに関する情報提供を行う医師らが組織する「一般社団法人コロワくんサポーターズ」は提供するLINEボットサービス(関連記事:副反応は大丈夫?新型コロナワクチンの疑問に答えるLINEボット)の新機能として「コロナ待機期間 自動計算システム」を追加した。  これまでワクチン接種の対象者や副反応の不安に対し、チャットボット機能を使った情報提供をしてきたが、今回の新機能は「コロナ陽性者・濃厚接触者」「症状あり・なし」「陽性判定日」等の情報を入れることで隔離解除日を自動計算して教えてくれる。利用はLINE上で「コロワくんの相談室」を検索して友達追加するだけ、と簡便だ。

痛み止めの使い過ぎによる頭痛の有病率調査~糸魚川研究

 一般的な日本人を対象とした痛み止めの使い過ぎによる頭痛(MOH)の有病率に関する調査は十分に行われていない。新潟・糸魚川総合病院の勝木 将人氏らは、MOHの有病率およびその特徴を明らかにするため、アンケート調査を実施した。また、クラスタリングを実施し、MOHのサブグループ化を行った。Neurological Sciences誌オンライン版2022年1月19日号の報告。  新潟県・糸魚川市において、COVID-19のワクチン接種後の待機時間を利用して15~64歳の住民を横断的に調査した。MOHの定義は、1ヵ月当たり15回以上の頭痛、過去3ヵ月間で1ヵ月当たり10日または15日以上の鎮痛薬の使用とし、自己報告により情報を収集した。ウォード法およびK-means++法を用いて、MOHのクラスタリングを行った。  主な結果は以下のとおり。

急性期脳梗塞へのアルテプラーゼ、発症前NOAC服用でもリスク増大なし/JAMA

 アルテプラーゼ静注治療を受けた急性虚血性脳卒中患者において、発症前7日以内の非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)服用者の頭蓋内出血リスクは、抗凝固薬非服用者と比べて大きく増大しないことが示された。米国・デューク大学のWayneho Kam氏らが、16万例超の患者を対象に行った後ろ向きコホート試験の結果を報告した。現行のガイドラインでは、急性虚血性脳卒中発症前にNOACを服用していた場合、原則的にはアルテプラーゼ静注を使用しないよう勧告されている。JAMA誌オンライン版2022年2月10日号掲載の報告。  研究グループは2015年4月~2020年3月に、脳卒中診療の質改善プログラム「Get With The Guidelines-Stroke」(GWTG-Stroke)に登録する米国内1,752ヵ所の医療機関で、急性虚血性脳卒中発症後4.5時間以内にアルテプラーゼ静注治療を受けた16万3,038例を対象に、後ろ向きコホート試験を行った。  被験者は、脳卒中発症前のNOAC服用者、抗凝固薬の非服用者であった。補完的に、抗凝固薬服用中に急性虚血性脳卒中や頭蓋内出血を発症した患者レジストリ「Addressing Real-world Anticoagulant Management Issues in Stroke」(ARAMIS)のデータも活用。脳卒中発症前NOAC服用患者への、アルテプラーゼ静注治療の安全性と機能性アウトカムについて、抗凝固薬の非服用者と比較した。  主要アウトカムは、アルテプラーゼ静注後36時間以内の症候性頭蓋内出血の発生だった。副次アウトカムは、院内死亡を含む安全性に関する4項目と、自宅への退院率を含む退院時に評価した機能性アウトカム7項目だった。

コロナ感染での獲得免疫、ワクチン接種で1年以上持続/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンのSARS-CoV-2感染予防効果について、英国・Health Security AgencyのVictoria Hall氏らが、医療従事者約3万6,000例を対象に行った前向きコホート試験の結果、BNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の2回接種の有効率はChAdOx1 nCoV-19(AstraZeneca製)と比べて高率だが短期間であり、6ヵ月を過ぎると大きく低下することが示された。また、感染者の獲得免疫は、感染後1年で減衰するものの、ワクチン接種によって1年以上高率のままであることも示された。NEJM誌オンライン版2022年2月16日号掲載の報告。  SARS-CoV-2への感染とワクチン接種による免疫獲得と感染予防の期間と有効性を明らかにするため、研究グループは、英国内でルーチンのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査を受けていた医療従事者3万5,768例を対象に前向きコホート試験を行った。  ワクチン初回接種から10ヵ月以内のワクチン有効性と、既感染による獲得免疫について、感染確定者のワクチン接種の有無別、また既感染で階層化することで評価した。  既感染の有無、ワクチンの種類と接種間隔、人口統計学的特性、および職場におけるSARS-CoV-2曝露で補正を行ったCox回帰モデルを用いて評価した。

IPF合併肺がんに対するニンテダニブ+化学療法(J-SONIC)/日本臨床腫瘍学会

 特発性肺線維症(IPF)は高率に肺がんを合併する。IPF合併肺がんの大きな問題はIPFの急性増悪であり、ときに急速な呼吸不全から致死的となる。しかし、IPF合併例は進行非小細胞肺がん(NSCLC)の臨床試験のほとんどで除外されている。  北九州市立医療センターの大坪孝平氏らは、IPF合併進行NSCLCに対し、ニンテダニブ+化学療法と化学療法単独を比較したJ-SONIC試験を、わが国の複数の臨床試験グループ間で行った。J-SONIC試験はIPF合併肺がんでは、世界初となる第III相無作為化比較試験である。

認知症患者に対するベンゾジアゼピン、Z薬の使用

 世界中のガイドラインにおいて、認知症のBPSDや不眠の治療に対し、ベンゾジアゼピンやZ薬などのベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(BZRA)の使用が制限下で推奨されている。オランダ・Center for Specialized Geriatric CareのDirk O. C. Rijksen氏らは、認知症ナーシングホームの入居者に対するBZRAの使用率と適切性についての評価を行った。Journal of Alzheimer's Disease Reports誌2021年12月9日号の報告。  2016~18年に実施した向精神薬使用に関する2つの介入研究より、BZRA使用に関して事後分析を実施した。対象は、24のオランダ介護組織の認知症特別ケアユニットに入居している患者1,111例。継続的および頓服のBZRAの使用率と患者の症状との関連を評価した。継続的なBZRA使用の適切性(適応症、投与量、投与期間、認知症や睡眠障害の治療ガイドラインに準じた評価)について評価した。  主な結果は以下のとおり。

がん治療のバイオシミラーのエビデンス、先発品より質が高い?/JAMA Oncol

 がん治療における3剤の先発バイオ医薬品のバイオシミラーに関する31試験をメタ解析したところ、バイオシミラーの試験のほうが先発品の主要試験に比べ、平均症例数が多く、無作為化、二重盲検化された試験が多かった。また、すべてのがん種で先発品と有効性が同等であることが示された。米国・Brigham and Women's HospitalのDoni Bloomfield氏らが、JAMA Oncology誌オンライン版2022年2月3日号で報告した。

マルモと認知症(解説:岡村毅氏)

医学界は常に移ろいでいる。社会は高齢化し、重視するものが根治から生活の質へと変わり、プライマリケアの存在感がじわじわと向上している。そのなかで近年注目されてきたのがマルチモビディティ(多疾患併存)である。通常は2つ以上の慢性疾患を持つことを指す。ちなみに「マルモ」などと呼ばれることもあるとかないとか。マルチモビディティを持つ「高齢者」が認知症になりやすいという報告はある。では、若いころのマルチモビディティも認知症のリスク因子であるのでは、と考えるのは自然だ。そうすると長い歴史のあるコホートを戦略的に持っている英国が断然有利だ。あらゆる仮説を、時代をさかのぼってある程度検証できるのだから。ジェームズ・ボンドの国だけあって情報戦に強い、ということか。