日本語でわかる最新の海外医学論文|page:251

「肥満」との違いは?肥満症診療ガイドライン改訂

 11月24日に日本肥満学会(理事長:横手 幸太郎氏[千葉大学医学部附属病院長])は、『肥満症診療ガイドライン2022』についてプレスセミナーを開催した。  セミナーでは、肥満症の現況や治療に関する解説と今回刊行されたガイドラインの概要が説明された。また、本ガイドラインは12月2・3日に那覇市で開催される第43回日本肥満学会(会長:益崎 裕章氏[琉球大学大学院 医学研究科 内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座 教授])で発刊される。

母子手帳アプリ『母子モ』で疾患啓発/AZ

 アストラゼネカは、11月28日付のプレスリリースで、母子手帳アプリ『母子モ』を通じた早産児やRSウイルス感染症に関する情報提供を11月11日より開始したことを発表した。  RSウイルスは、2歳までにほとんどの乳幼児が感染するといわれており、早産児や生まれつき肺や心臓等に疾患を抱える乳児では感染すると重症化しやすいとされている。また、正期産であっても生後6ヵ月未満は感染後重症化するリスクが高いため、該当する年齢の乳幼児を持つすべての保護者に疾患情報や感染対策について知ってもらうことが重要である。

認知症で修正可能な危険因子は?~ランセット認知症予防モデルを検証

 認知症リスクに対し修正可能なリスク因子は、40%の影響を与えるといわれており、認知症の予防または進行遅延につながると考えられる。Lancet委員会による認知症予防のリスク因子ライフコースモデルは、一般集団においてまだ検証されていない。ニュージーランド・オタゴ大学のCharlotte Mentzel氏らは、高齢者の大規模データセットを用いて、本モデルの評価を行った。その結果、ニュージーランドの高齢者集団においてBMI、高血圧、聴覚障害、うつ病が、認知症の修正可能なリスク因子として確認されたことから、認知症予防のためのこれらのリスク因子に対する介入の信頼性が向上したことを報告した。Archives of Gerontology and Geriatrics誌オンライン版2022年11月2日号の報告。

軽症のコロナ入院患者、ARB上乗せは無益/BMJ

 軽症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者において、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)(主にテルミサルタン40mg/日)による治療は疾患重症度に対する有益性がないことが、オーストラリア・シドニー大学のMeg J. Jardine氏らがインドとオーストラリアの17施設で実施したプラグマティックなアダプティブデザインの無作為化比較試験「CLARITY試験」の結果、示された。これまで、ARB未治療の患者を対象とした5件の無作為化臨床試験において、レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬の主要評価項目に対する中立的効果が報告され、1件では副次評価項目である死亡に対し高用量テルミサルタン(80mgを1日2回14日間投与)の有益性が報告されていた。

STEMIの治療開始までの時間と院内死亡率、直近4年で増加/JAMA

 米国・Lindner Center for Research and EducationのJames G. Jollis氏らが、2018~21年のST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者11万例超を対象に行った横断研究の結果、治療開始までの時間(中央値)は2018年第2四半期86分、2021年第1四半期91分、院内死亡率はそれぞれ5.6%および8.7%で、いずれも統計学的に有意に増加していた。そのほか、来院形態にかかわらず、治療開始までの時間が目標を達成した場合に院内死亡率が低いなど、2018~21年の期間におけるSTEMI治療の経過と転帰に関する解析結果を報告している。JAMA誌2022年11月22日号掲載の報告。

isCGMは低血糖予防に有効/京都医療センターほか

 低血糖予防教育に間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM)を用いることで低血糖時間や重症低血糖リスクが低減されることが、村田 敬氏(京都医療センター臨床栄養科)、坂根 直樹氏(同センター臨床研究センター 予防医学研究室長)らの19施設の糖尿病専門医と臨床研究専門家の共同研究により明らかとなった。詳細はDiabetes Research and Clinical Practice誌に11月13日掲載された。

ドキソルビシン、乳がん併用療法での休薬期間短縮可能に/サンドファーマ

 サンドファーマ株式会社は2022年11月24日、ドキソルビシン(一般名:アドリアシン注用10、同注用50)について、乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)に対する他の抗悪性腫瘍薬との併用療法の場合、シクロホスファミド水和物との併用において、用法及び用量の医薬品製造販売承認事項一部変更承認を受けたことを発表した。 <製品概要> ・販売名: アドリアシン注用10 アドリアシン注用50 ・一般名:ドキソルビシン塩酸塩 ・効能・効果:変更なし ・用法・用量: <乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法> シクロホスファミド水和物との併用において、標準的なドキソルビシン塩酸塩の投与量及び投与方法は、1日量、ドキソルビシン塩酸塩として60mg(力価)/m2(体表面積)を日局注射用水または日局生理食塩液に溶解し、1日1回静脈内投与後、13日間又は20日間休薬する。 この方法を1クールとし、4クール繰り返す。 なお、年齢、症状により適宜減量する。またドキソルビシン塩酸塩の総

ストレスや睡眠反応性が不眠症状に影響を及ぼすまでの期間

 米国・アリゾナ大学のJiah Yoo氏らは、ストレス曝露後の睡眠障害(睡眠反応性)と睡眠障害後のストレス反応(ストレス反応性)を自然主義的に毎日測定し、これらの反応性と不眠症との関連をレトロスペクティブに調査した。その結果、ベースライン時のストレス反応性と睡眠反応性は、11ヵ月後の不眠症状の悪化をそれぞれ独立して予測するだけでなく、相互に関連し予測していることが明らかとなった。著者らは、本調査結果は不眠症のストレス因子モデルの根底にあるプロセスを可視化し、睡眠とストレス反応性の長期的かつ自然主義的な測定の有用性を示唆していると述べている。Sleep誌オンライン版2022年10月27日号の報告。

難治性心室細動、新たな除細動法が生存退院率を改善/NEJM

 院外心停止で難治性心室細動が認められる患者において、二重連続体外式除細動(DSED)およびベクトル変化(VC)除細動は標準的な除細動と比較して、いずれも生存退院率が高く、修正Rankin尺度スコアで評価した良好な神経学的転帰の達成はDSEDで優れたものの、VC除細動には差がなかったことが、カナダ・トロント大学のSheldon Cheskes氏らが実施した「DOSE VF試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年11月24日号で報告された。  DOSE VF試験は、カナダの6つの救急医療サービス(合計約4,000人の救急隊員)が参加した3群クラスター無作為化対照比較クロスオーバー試験であり、2018年3月~2022年5月の期間に行われた(カナダ心臓・脳卒中財団の助成を受けた)。

コロナワクチン追加接種後も重篤なCOVID-19となる患者の特徴(解説:寺田教彦氏)

2022年11月末、新型コロナウイルス患者は増加傾向となり、「第8波」への対応が問題となっている。「第1波や第2波」の頃と比較すると、新型コロナワクチンの普及や、重症化リスクの高いCOVID-19患者への抗ウイルス薬処方が可能になるなど治療の選択肢が増えており、これらの適切な活用が求められている。本論文の執筆者であるUtkarsh Agrawal氏は、過去に新型コロナワクチン初回接種完了後も重症化する患者(COVID-19関連入院またはCOVID-19関連死)についてスコットランドで検討しており、高齢(80歳以上)、5つ以上の併存疾患、過去4週間以内の入院歴、新型コロナウイルスに接触するリスクの高い職業、行動(10回以上の検査歴)、介護施設入居者、社会的弱者、男性、前喫煙者でリスクが高いことを報告していた。

4回目接種後、医療者での抗体価推移と有効性の持続期間/NEJM

 4回目の新型コロナウイルスワクチン接種後の抗体価は2・3回目接種後と比較して違いはあるのか。そして上がった抗体価はどのくらい持続するのか。イスラエル・Sheba Medical CenterのMichal Canetti氏らは、同国の医療従事者における4回目接種後6ヵ月間の液性免疫応答とワクチン有効性を評価。2回目および3回目接種後と比較した。NEJM誌オンライン版2022年11月9日号のCORRESPONDENCEに掲載の報告より。  SARS-CoV-2検査および血清学的フォローアップ検査によって感染歴がないことが確認され、4ヵ月以上前に3回目接種を受けていた4回目接種者が対象。4回目接種後の液性免疫応答(IgGおよび中和抗体の測定によって評価)を、2回目および3回目の投与後と比較した。 ワクチンの有効性は、以下の期間(4回目の接種後7~35日、36~102日、または103~181日)ごとに4回目接種を受けた参加者の感染率を、3回接種者の感染率と比較することによって評価された。Cox比例ハザード回帰モデルを使用し、年齢、性別、および職業により調整され、経時的な感染率の違いを説明するための時間スケールとして暦時間が使用された。死亡や追跡不可となった参加者はいなかった。

SGLT2阻害で腎結石の形成抑制~日本人疫学データ、動物・細胞培養実験より

 阿南 剛氏(東北医科薬科大学医学部泌尿器科学/現:四谷メディカルキューブ 泌尿器科科長)と廣瀬 卓男氏(東北大学医学部内分泌応用医科学/東北医科薬科大学医学部)、菊池 大輔氏(東北医科薬科大学病院薬剤部)らの研究グループは、疫学研究よりナトリウムグルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬は日本の男性糖尿病患者での尿路結石の罹患割合の減少と関連していたことを確認し、動物実験などからSGLT2阻害が腎結石の形成抑制につながることを明らかにした。このことから、SGLT2阻害薬が腎結石に対する有望な治療アプローチになる可能性を示した。本研究はPharmacological Research誌オンライン版10月28日号に掲載された。

双極性うつ病に対する補助療法の有効性と安全性~メタ解析

 双極性うつ病に対する補助療法の有効性および安全性は、いまだ明らかとなっていない。杏林大学の丸木 拓氏らは、双極性うつ病に対しラモトリギン、リチウム、バルプロ酸の単剤療法の補助療法として使用された第2世代抗精神病薬、ラモトリギン、リチウム、バルプロ酸の有効性および安全性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、双極性うつ病に対する第2世代抗精神病薬、ラモトリギン、リチウム、バルプロ酸による補助療法は、ベネフィットとリスクの両方を上昇させる可能性があるものの、重度の有害事象においては有意差がないことが示唆された。著者らは、双極性うつ病に対する補助療法は、患者の併存疾患および状態を十分に考慮し、意思決定を共有したうえで進めていくことが重要であろうとまとめている。International Journal of Bipolar Disorders誌2022年10月21日号の報告。

2型DM患者の高TG血症へのペマフィブラート、心血管イベント抑制効果は?/NEJM

 軽度~中等度の高トリグリセライド血症を伴い、HDLコレステロールとLDLコレステロールの値が低い2型糖尿病患者において、ペマフィブラート(選択的ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体αモジュレーター)はプラセボと比較して、トリグリセライド、VLDLコレステロール、レムナントコレステロール、アポリポ蛋白C-IIIの値を低下させたが、心血管イベントの発生は抑制しなかったことが、米国ブリガム&ウィメンズ病院のAruna Das Pradhan氏らが実施した「PROMINENT試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2022年11月24日号に掲載された。

COVID-19に罹患したエッセンシャルワーカーの臨床的特徴-ワクチン接種の有無で比較-(解説:小金丸博氏)

COVID-19に罹患したエッセンシャルワーカーやフロントラインワーカーの臨床的・ウイルス学的特徴をワクチン接種の有無で比較した前向きコホート研究の結果がJAMA誌2022年10月18日号に報告された。エッセンシャルワーカーとフロントラインワーカーは、他者と3フィート(約91cm)以内の距離で接触する仕事を週に20時間以上行うものと定義され、具体的には医療従事者のほか、教育、農業、食品加工、輸送、固形廃棄物収集、公共事業、行政サービス、保育などの分野が含まれた。この研究は、米国において、症状の有無に関係なく毎週行うサーベイランス検査でSARS-CoV-2感染症と特定された労働者を対象とし、変異株の種類やワクチン接種状況別に臨床症状やウイルスRNA量の評価を行った。

コロナ感染、繰り返すほど重症化・後遺症リスク増

 新型コロナウイルスへの複数回の感染により、死亡と後遺症リスクは2倍超、入院リスクは3倍超になることが、米国・VAセントルイス・ヘルスケアシステムのBenjamin Bowe氏らによるコホート研究で明らかになった。新型コロナウイルスの感染による死亡や後遺症のリスクは知られているが、1回感染後の再感染によってそれらのリスクが高くなるかどうかは不明であった。Nature Medicine誌2022年11月10日掲載の報告。  調査は、2020年3月1日~2022年4月6日の米国退役軍人省の医療データベースを利用し、コロナ1回感染者44万3,588例、2回以上の複数回感染者4万947例(2回感染者3万7,997例[92.8%]、3回感染者2,572例[6.3%]、4回以上感染者378例[0.9%])、対照群として1回も感染していない未感染者533万4,729例を抽出し、死亡率、入院率、後遺症発現率を解析した。

片頭痛に対する有酸素運動や筋トレの有効性~メタ解析

 いくつかの臨床試験において、片頭痛のマネジメントに対するさまざまな運動プロトコールを用いた介入の有効性が報告されている。しかし、それぞれの運動介入による有効性を直接比較した研究はほとんどない。米国・スタンフォード大学のYohannes W. Woldeamanuel氏らは、1ヵ月当たりの片頭痛回数の減少に対し運動介入の有効性を評価した臨床試験を含めた、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。その結果、筋力トレーニングは片頭痛の軽減に最も有効な運動介入であり、高強度の有酸素運動がそれに次ぐことが報告された。The Journal of Headache and Pain誌2022年10月13日号の報告。

TS-1、ER+HER2-乳がん術後療法に適応拡大/大鵬

 大鵬薬品工業は2022年11月24日、経口抗がん薬TS-1(一般名:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム、商品名:ティーエスワン配合カプセルT20・T25/ティーエスワン配合顆粒T20・T25/ティーエスワン配合OD錠T20・T25)について、新たな適応として「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法」の承認を、厚生労働省より取得したことを発表した。  今回の承認は、医師主導臨床試験である「エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳癌に対するTS-1術後療法」(POTENT試験)の結果に基づく。同試験では、エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳がんに対する術後補助療法において、標準的な治療法である内分泌療法(5年間)を対照群とし、この内分泌療法(5年間)とTS-1(1年間)を併用する治療法を試験群として、再発抑制効果が高まることを無作為化比較第III相試験により検証することが目的とされた。主な評価項目は、浸潤性疾患のない生存期間、全生存期間および安全性などで、2012年2月~2016年2月の症例登録期間中に全国の乳がん専門施設139施設から1,959例が登録された。

発作性AF、冷凍アブレーションが持続性への移行を有意に抑制/NEJM

 未治療の発作性心房細動に対するクライオ(冷凍)バルーンアブレーションによる初期治療は、抗不整脈薬と比較して、3年間の追跡期間における持続性心房細動の発生率および心房頻脈性不整脈の再発率が低いことが、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のJason G. Andrade氏らがカナダの18施設で実施した医師主導の無作為化非盲検評価者盲検試験「EARLY-AF試験」の結果、示された。心房細動は慢性化する進行性の疾患で、心房細動の持続は血栓塞栓症や心不全のリスクを増加させる。初期治療としてのカテーテルアブレーションは、心房細動の発症機序に作用し持続性心房細動への移行を抑制する可能性が期待されていた。NEJM誌オンライン版2022年11月7日号掲載の報告。

SGLT2阻害薬、DM有無問わずCKD進行と心血管死を抑制/Lancet

 SGLT2阻害薬は、心血管リスクの高い2型糖尿病患者のみならず慢性腎臓病または心不全を有する患者においても、糖尿病の状態、原発性腎疾患または腎機能にかかわらず、腎臓病進行および急性腎障害のリスクを低下させることが、英国・オックスフォード大学のNatalie Staplin氏らSGLT2 inhibitor Meta-Analysis Cardio-Renal Trialists' Consortium(SMART-C)による解析の結果、報告された。Lancet誌2022年11月19日号掲載の報告。研究グループは、MEDLINEおよびEmbaseを用い、2022年9月5日までに発表されたSGLT2阻害薬の臨床試験(SGLT1/2阻害薬の併用を含む、年齢18歳以上の成人を対象とした二重盲検プラセボ対照試験[クロスオーバー試験は除く]、各群500例以上、試験期間6ヵ月以上)を検索し、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。