日本語でわかる最新の海外医学論文|page:226

妊娠高血圧、自己モニタリング+遠隔指導で産後の長期血圧が改善/JAMA

 出産後に降圧薬を要する妊娠高血圧腎症または妊娠高血圧の女性において、血圧の自己モニタリングと医師による降圧薬漸増の遠隔指導は、通常の産後外来管理と比較して、産後9ヵ月時の血圧が低下したことが示された。英国・オックスフォード大学のJamie Kitt氏らが、同国の単施設で実施した、評価者盲検の無作為化並行群間非盲検比較試験(PROBE試験)「Physician Optimized Postpartum Hypertension Treatment Trial:POP-HT試験」の結果を報告した。妊娠高血圧は有害な心臓リモデリングを引き起こし、その後の高血圧および心血管疾患の発症率を高めることが知られているが、血圧の自己モニタリングと医師の遠隔モニタリングによる指導が血圧管理を改善することが示唆されていた。JAMA誌2023年11月28日号掲載の報告。

完全磁気浮上LVAD装着の重症心不全、アスピリンは不要?/JAMA

 完全磁気浮上の左心補助人工心臓(LVAD)を装着した重症心不全患者において、ビタミンK拮抗薬(VKA)による抗血栓療法は、VKA+アスピリンと比較して血栓塞栓症のリスクが増加することはなく、出血イベントを減少させる。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMandeep R. Mehra氏らが、北米、欧州、オーストラリアなど9ヵ国の51施設で実施された多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Antiplatelet Removal and Hemocompatibility Events With the HeartMate 3 Pump trial:ARIES-HM3試験」の結果を報告した。LVADは重症心不全患者の生活の質と生命予後を向上させるが、非外科的出血イベントは最も一般的な合併症である。

肥満2型糖尿病患者に強化インスリン療法は必要か?(解説:住谷哲氏)

本試験では基礎インスリンを投与しても、血糖コントロール目標が達成できない肥満2型糖尿病患者に対するチルゼパチド週1回投与と毎食前リスプロ投与による強化インスリン療法との有効性が比較された。結果は予想通り、HbA1c低下、体重減少、目標血糖値達成率、低血糖の回避のすべてでチルゼパチドが優れていた。 経口血糖降下薬のみでは血糖コントロール目標が達成できない場合の治療選択肢として、以前は基礎インスリンを併用するBOT basal-supported oral therapyが金科玉条であったが、現在では基礎インスリンを投与する前にGLP-1受容体作動薬(GIP/GLP-1受容体作動薬を含む)を追加投与することが推奨されている。

世界初のsa-mRNAコロナワクチンが国内承認/CSL・Meiji Seika

 SL Seqirus社(オーストラリア、メルボルン)とMeiji Seika ファルマは、2023年11月28日に、自己増幅型メッセンジャーRNAワクチン(sa-mRNA、レプリコンワクチンとも呼ばれる)である「コスタイベ筋注用」(ARCT-154)について、「SARS-CoV-2による感染症の予防」を適応とした成人の初回免疫および追加免疫における国内製造承認を取得した。CSL Seqirus社のファミリー企業のCSLベーリングが11月29日付のプレスリリースで発表した。本ワクチンは、世界で初めて承認を受けたsa-mRNAワクチンとなる。この次世代ワクチンは、日本ではMeiji Seika ファルマが商業化を行う。なお、今回承認を取得したのは新型コロナウイルスの従来株対応1価ワクチンで、現在の流行株とは異なるため供給されない。

医師数が少なく検査機器数が多い日本の医療/OECD

 経済協力開発機構(OECD/本部:フランス・パリ)から加盟38ヵ国に関する医療レポートが、11月7日に公表された。レポートでは、新型コロナ感染症(COVID-19)が与えた各国への影響のほか、医療費、医療の質などの関する内容が記載されている。平均寿命はOECDの中で84.5歳と1番長いが、受診率の多さ、医師数、電子化の遅れなど他の国との差もあり、今後の課題も提示されている。

非定型抗精神病薬の胃腸穿孔・腸閉塞リスク~MID-NETデータに基づく医薬品安全性評価

 胃腸穿孔・腸閉塞は、抗精神病薬によって引き起こされる有害事象の1つであるが、添付文章上の警告情報については、各抗精神病薬により異なっている。医薬品医療機器総合機構の長谷川 知章氏らは、非定型抗精神病薬を処方された患者における胃腸穿孔・腸閉塞リスクを評価するため、日本の医療情報データベースMID-NETのリアルワールドデータを用いて、ネステッドケースコントロール研究を実施した。Therapeutic Innovation & Regulatory Science誌オンライン版2023年10月29日号の報告。  調査期間は、2009~18年。非定型抗精神病薬を処方された患者における胃腸穿孔・腸閉塞リスクを、定型抗精神病薬を処方された患者と比較し、評価を行った。

若~中年での高血圧、大腸がん死亡リスクが増加~NIPPON DATA80

 高血圧とがんリスクとの関連についての報告は一貫していない。今回、岡山大学の久松 隆史氏らが、日本人の前向きコホートNIPPON DATA80において、高血圧と胃がん、肺がん、大腸がん、肝がん、膵がんによる死亡リスクとの関連を調査したところ、30~49歳における高血圧は、後年における大腸がん死亡リスクと独立して関連していることがわかった。Hypertension Research誌オンライン版2023年11月22日号に掲載。  研究グループは、NIPPON DATA80(厚生労働省の循環器疾患基礎調査1980年)において、ベースライン時に心血管系疾患や降圧薬服用のなかった8,088人(平均年齢48.2歳、女性56.0%)を2009年まで追跡。喫煙、飲酒、肥満、糖尿病などの交絡因子で調整したFine-Gray競合リスク回帰を用いて、血圧が10mmHg上昇した場合のハザード比(HR)を推定した。また、逆の因果関係を考慮し、追跡開始後5年以内の死亡を除外して解析した。

1週間の低ナトリウム食、降圧薬と同程度の降圧効果/JAMA

 50~75歳の中高年において、低ナトリウム(Na)食(1日のNaが計約500mg)の1週間摂取は高Na食の1週間摂取と比較して血圧を有意に低下させ、その低下は高血圧症の有無や降圧薬の使用とは関係ないことが示された。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのDeepak K. Gupta氏らによる「CARDIA-SSBP試験」の結果で明らかになった。推奨Na摂取量については、食事によるNa摂取に対する血圧反応の個人差が一部で議論されている。また、降圧薬服用者における食事によるNa摂取の血圧への影響は、これまで十分に研究されていなかった。JAMA誌オンライン版2023年11月11日号掲載の報告。

大腸がんの新しい非侵襲的検査、便潜血より良好な検出感度/JAMA

 マルチターゲット便中RNA(mt-sRNA)検査(ColoSense)は、大腸がんおよび進行腺腫の検出感度が高く、従来の免疫便潜血検査(FIT)と比較し感度を有意に改善することが認められた。また、大腸内視鏡検査で病変が認められない特異度は、既存の非侵襲的な分子スクリーニング検査と同等であった。米国・ワシントン大学のErica K. Barnell氏らが、医療機器クラスIIIとしての承認申請を行うために、平均的リスクの45歳以上を対象に実施された盲検化第III相試験「CRC-PREVENT試験」の結果を報告した。JAMA誌2023年11月14日号掲載の報告。

パルスフィールドアブレーションは心房細動治療のゲームチェンジャーになりうるか(解説:高月誠司氏)

日本では2024年に、新しい不整脈に対するアブレーション法として3種類のパルスフィールドアブレーションが導入される。ADVENT試験は、心房細動に対して従来の高周波カテーテルアブレーションとパルスフィールドアブレーションを比較した初めてのランダム化比較試験で、ほぼ同等の治療成績であった。組織に500~1,000V/cmの高電圧のパルスを与えると、細胞には小さな穴が瞬間的に多数形成され、閾値以上のエネルギーでパルスを与えると細胞が壊死する。この閾値は組織ごとに異なり、心筋細胞は周囲の食道や神経組織よりも閾値が低く、選択的なアブレーションが可能で、合併症が少なくなることが期待されている。また、肺静脈隔離のdurabilityが高い、つまり遠隔期の肺静脈の再伝導が少ないことが報告されており、心房細動アブレーションのゲームチェンジャーとして大いに期待されている。ただし、心房粗動の治療として、右房の三尖弁輪下大静脈間の解剖学的峡部でパルスをかけると、その心外膜側の右冠動脈で冠動脈スパズムが誘発されることも知られている。静注のニトログリセリンの前投与はこれを予防しうるということだが、冠攣縮性狭心症が多い本邦では冠動脈スパズムに対して十分な注意が必要であろう。

「肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント」発表/日本肥満学会

 肥満症治療薬セマグルチド(商品名:ウゴービ皮下注)が、2023年11月22日に薬価収載された。すでに発売されている同一成分の2型糖尿病治療薬(商品名:オゼンピック皮下注)は、自費診療などによる適応外の使用が行われ、さまざまな問題を引き起こしている。こうした事態に鑑み、日本肥満学会(理事長:横手 幸太郎氏[千葉大学大学院医学研究院内分泌代謝・血液・老年内科学教授])は「肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント」を11月27日に同学会のホームページで公開した(策定は11月25日)。  ステートメントでは、「肥満と肥満症は異なる概念であり、肥満は疾患ではないため、この存在のみでは本剤の適応とはならない」と適応外での使用に対し注意を喚起しており、適応としての「肥満症」、使用時に確認すべき注意点について以下のように整理している。

アルコール依存症やニコチン依存症と死亡リスク

 一般集団を対象とした、アルコール依存症とニコチン依存症の併発とその後の死亡リスクとの関連についての知見は、不十分である。ドイツ・グライフスヴァルト大学のUlrich John氏らは、死亡率の予測における、過剰な飲酒、喫煙、アルコール依存症、ニコチン依存症、起床してから最初に喫煙するまでの時間との潜在的な関連性を分析した。その結果から、過剰な飲酒、喫煙、アルコール依存症、ニコチン依存症、起床してから最初に喫煙するまでの時間は、死亡するまでの期間に累積的な影響を及ぼす可能性が示唆された。European Addiction Research誌オンライン版2023年10月26日号の報告。  対象サンプルは、18~64歳のドイツ北部在住の一般集団よりランダムに抽出した。1996~97年における過剰な飲酒、喫煙、アルコール依存症、ニコチン依存症、起床してから最初に喫煙するまでの時間を、Munich-Composite International Diagnostic Interviewを用いて評価した。すべての原因による死亡率に関するデータは、2017~18年に収集し、分析には、Cox比例ハザードモデルを用いた。

がん遺伝子パネル検査のアノテーションにAIを活用開始

 聖マリアンナ医科大学は、2023年11月13日、同学附属大学病院でのがん遺伝子パネル検査において、ゲノムデータの解析(アノテーション)にAIでデータ解析を行うことができる「MH Guide」を活用する取り組みを開始した。  MH Guideは、ドイツ・Molecular Health社が開発したAIシステムで、遺伝子パネル検査から得られるデータを解釈し、エビデンスに基づいた治療方針決定を支援する解析ソフトウェアである。

石灰化大動脈弁狭窄症に、非侵襲的超音波療法は可能か/Lancet

 石灰化大動脈弁狭窄症は、一般に外科的または経カテーテル的な大動脈弁置換術(AVR)による治療が行われているが、重度の合併症や限られた余命のために適応とならない患者が多く、代替治療として非侵襲的治療法の可能性が示唆されている。フランス・パリ・シテ大学のEmmanuel Messas氏らは、大動脈弁の弁尖を修復する超音波パルスを照射する革新的な技術である非侵襲的超音波療法(NIUT)の評価を行い、安全かつ実行可能であることを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年11月13日号で報告された。

原発性胆汁性胆管炎の2次治療、elafibranorが有効か/NEJM

 標準治療で十分な効果が得られなかった原発性胆汁性胆管炎の治療において、経口投与のペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)α、δの二重作動薬であるelafibranorはプラセボと比較して、生化学的治療反応が有意に優れ、ALP値の正常化の割合も高いことが、米国・Liver Institute NorthwestのKris V. Kowdley氏らが実施したELATIVE試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2023年11月13日号に掲載された。  ELATIVE試験は、14ヵ国82施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2020年9月~2022年6月の期間に患者を登録した(フランスのGENFITおよびIpsenの助成を受けた)。

卒業試験に失敗、そしてこれから起きること(解説:岡村毅氏)

アルツハイマー型認知症の病態の「本丸」、すなわちアミロイドをターゲットにした薬剤が世に出始め、新たな時代が始まりつつある。すでにエーザイと 米国・Biogen によるアデュカヌマブそしてレカネマブ、米国・Eli Lilly and Companyのdonanemabにおいて科学的効果が確認され、市場に出てくる。レカネマブのスタディ名はClarity AD(明快AD)、そしてdonanemabのスタディ名はTRAILBLAZER(開拓者)であった。アルツハイマー型認知症を明らかにしたい、新世界を開拓したいという研究者の夢が詰まったスタディ名である。

第一三共のXBB.1.5対応mRNAコロナワクチン、一変承認取得

 第一三共は11月28日付のプレスリリースにて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するオミクロン株XBB.1.5対応1価mRNAワクチン「ダイチロナ筋注」(DS-5670)について、追加免疫における製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。本ワクチンが特例臨時接種に使用されるワクチンとして位置付けられ次第、厚生労働省との供給合意に基づき、国産初のmRNAワクチンとして供給を開始し、2023年度中に140万回分を供給する予定。  厚労省が11月27日に公表した資料(一変承認前の情報)によると、本ワクチンは、既SARS-CoV-2ワクチンの初回免疫完了者(12歳以上)に対する、「追加免疫」として使用することができる。

適度な飲酒量は存在する?

 適量の飲酒の健康への影響についてはまだよくわかっていない。今回、肥満および2型糖尿病に対する飲酒の用量依存的影響についてバイアスを減らして評価するために、カナダ・トロント大学のTianyuan Lu氏らがメンデルランダム化法を用いて検討した。その結果、観察研究での関連とは異なり、適度な飲酒に肥満や2型糖尿病の予防効果はない可能性が示された。さらに、大量の飲酒は肥満度を増加させるだけでなく、2型糖尿病リスクを増加させる可能性があることが示唆された。The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism誌2023年12月号に掲載。  メンデルランダム化法は、観察研究における交絡や逆因果によるバイアスを軽減し、飲酒の潜在的な因果的役割を評価するのに役立つ。本研究では、UK Biobankに登録されたヨーロッパ系血統の40万8,540人について、最初に自己申告による飲酒頻度と10項目の身体測定値、肥満、2型糖尿病との関連を検証した。その後、全集団と、飲酒頻度で層別化した部分集団の両方でメンデルランダム化法を用いて解析を行った。

がん患者の死亡リスクを低減させるビタミンD濃度は?

 ビタミンDサプリメント(2,000IU/日)の連日服用により、がん種に関係なくがん死亡率が減少したことが報告されている。今回、中国・北京大学のYu Bai氏らががん患者におけるビタミンD濃度と全死因死亡およびがん特異的死亡との関連を調査した結果、一定値以上のビタミンD濃度まで高くなるとそれらのリスクが大幅に減少することが明らかになった。Nutrition and Cancer誌オンライン版2023年11月18日号掲載の報告。  研究グループは、2007~18年の米国疾病予防管理センター(CDC)の国民健康栄養調査から入手した成人のがん患者2,463例のデータを解析し、2019年12月31日までの国民死亡記録と関連付けた。人口統計学的特徴、生活様式、食事因子、血清25-ヒドロキシビタミンD(25[OH]D)の検査期間、がん種について多変量調整を行った。

ベンゾジアゼピン使用と認知症リスク~メタ解析包括レビュー

 高齢化社会に伴い、認知症の患者数は増加しており、認知症が主な死因の1つとなっている。しかし、ベンゾジアゼピン使用と認知症リスクとの関係については、一貫した結果が得られておらず、エビデンスの最新レビューが必要とされる。台湾・中国文化大学のChieh-Chen Wu氏らは、メタ解析の包括的レビューを実施し、ベンゾジアゼピン使用と認知症リスクとの関連についての入手可能なエビデンスを要約した後、その信頼性を評価した。Journal of Personalized Medicine誌2023年10月12日号の報告。  ベンゾジアゼピン使用と認知症リスクとの関係を調査した観察研究のメタ解析をシステマティックに評価した。各メタ解析について、全体的なエフェクトサイズ、不均一性、バイアスリスク、論文の公表年を収集し、事前に指定した基準に基づきエビデンスの格付けを行った。各研究の方法論的な品質の評価には、システマティックレビューを評価するための測定ツールAMSTARを用いた。