日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1075

防げる子宮頸がん…防がないのは罪 ~HPVワクチンの接種により73%の子宮頸がんが減少。社会・経済的効果も190憶円~

諸外国に遅れをとりながらわが国でも子宮頸がんの予防ワクチンが承認された。そのような中『子宮頸がんと予防ワクチン』と題し、国立がんセンター中央病院にて講演会が開催された。講演会では、主催者の国立がんセンター中央病院院長土屋了介氏に加え3名の演者が製薬企業、医療者、患者それぞれの立場でHPVワクチンを日本の医療環境に取り入れていく中での課題や問題点について発表した。そのなかから自治医大埼玉医療センター産婦人科今野良氏の講演内容を中心に紹介する。

筋弛緩回復剤「ブリディオン」承認取得

シェリング・プラウ株式会社は20日、筋弛緩回復剤「ブリディオン静注200mg / 500mg(一般名:スガマデクスナトリウム)」の承認を同日付で取得したと発表した。ブリディオンは、旧シェリング・プラウ・コーポレーション(現:Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A)が創製した、新たな筋弛緩回復剤で、平成21年9月現在、世界35カ国以上において承認を取得している。

GSK 新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン「アレパンリックス」承認取得

グラクソ・スミスクライン株式会社は20日、同社の新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン「アレパンリックス(H1N1)筋注」の承認を厚生労働省から取得したと発表した。同剤は、新型インフルエンザの流行に伴うワクチンの緊急的な必要性から、海外で承認されたことを前提に、特例承認医薬品として審査・承認された。

静注用人免疫グロブリン製剤『献血ベニロン‐I静注用』 効能追加で承認取得

化学及血清療法研究所と帝人ファーマ株式会社は20日、静注用人免疫グロブリン製剤『献血ベニロン‐I静注用』(一般名:乾燥スルホ化人免疫グロブリン/以下、献血ベニロン)について、「チャーグ・ストラウス症候群及びアレルギー性肉芽腫性血管炎における神経障害の改善(ステロイド剤が効果不十分な場合に限る)」の効能追加の承認を取得したと発表した。

新型インフル感染死亡率は予想よりも低い、イングランドの調査

2009年11月までにイングランドでは138人が新型インフルエンザウイルス(2009年汎発性インフルエンザA/H1N1)感染が原因で死亡し、推定死亡率(10万人当たり26人)は予想よりも低かったことが、イギリス保健省Richmond HouseのLiam J Donaldson氏らの調査で明らかとなった。イギリスでは、インフルエンザによる死亡率は伝統的に超過死亡(excess death)に基づいて算出されているが、死亡証明による予測であるため母集団が少ない場合は信頼性が低いとされる。この調査の初期報告は、検査で感染が確定された例を母集団としたため過小評価となった可能性があるが、今回は症状の見られる症例を母集団として推計したという。BMJ誌2010年1月9日号(オンライン版2009年12月10日号)掲載の報告。

術後は静脈血栓塞栓症のリスクが著明に増大、イギリスの中年女性

中年女性では、術後の静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症)のリスクが12週にわたって増大し、特に股関節や膝関節の置換術、がんの切除術後に大きいことが、イギリス・オックスフォード大学腫瘍疫学科のSian Sweetland氏らが実施したコホート試験「Million Women Study」(http://www.millionwomenstudy.org/introduction/)で示された。肺塞栓症とその前駆病態である深部静脈血栓症は世界的に罹患率、死亡率が高く、多大な疾病負担となっている。静脈血栓塞栓症のリスクは術後早期に最も大きいことが知られているが、どのくらい持続し、手術のタイプによってどの程度異なるかは明確でなかったという。BMJ誌2010年1月2日号(オンライン版2009年12月3日号)掲載の報告。

CRP濃度は、種々の血管疾患、非血管疾患の指標である

循環血中のC反応性蛋白(CRP)濃度は、確立された従来のリスク因子や炎症マーカーと関連するとともに、様々な血管疾患、非血管疾患とも相関を示すことが、イギリス・ケンブリッジ大学のStephen Kaptoge氏らEmerging Risk Factors Collaboration(ERFC)が実施したメタ解析で明らかとなった。肝臓で合成される血漿蛋白であるCRPは、高い感受性を示す全身性の炎症マーカーであり、重篤な感染に対する急性反応や組織損傷時に血中濃度が1万倍にまで上昇するという。また、LDLと結合して動脈硬化性プラーク中に発現するため冠動脈心疾患の原因とも考えられており、22のプロスペクティブ試験のメタ解析ではCRP高値の場合は冠動脈心疾患の相対リスクが高いことが示されている。Lancet誌2010年1月9日号(オンライン版2009年12月22日号)掲載の報告。

新型インフルに最も有効なワクチンが明らかに、中国の検討

新型インフルエンザウイルス(2009年汎発性インフルエンザA/H1N1)に対するワクチンによる予防治療としては、ヘマグルチニン(HA)を7.5μg含みアジュバントを用いないsplit-virionワクチンの1回接種が最も有効なことが、中国疾病予防管理センターのXiao-Feng Liangらが実施した多施設共同試験で明らかとなった。現在、世界各国で新型インフルワクチンの臨床試験が行われているが、いずれも参加者が少なく、過去の感染や交差反応による既存の免疫反応の影響を除外しきれない試験もあるため、プラセボを対照とした大規模臨床試験が切望されていた。Lancet誌2010年1月2日号(オンライン版2009年12月16日号)掲載の報告。

新型インフル迅速検査で陰性でも、妊産婦には抗ウイルス薬を

米国カリフォルニア州の公衆衛生局Janice K. Louie氏らは、州内の妊産婦の、2009新型インフル(H1N1インフルエンザ)による入院または死亡に関する報告データを精査した。その結果、2009新型インフルは妊産婦に、重症疾患および死亡をもたらすこと、2009年の州内妊産婦の死亡率は高まることが予想され、2009年の全米の妊産婦死亡率も高まる可能性が示されたことを報告した。NEJM誌2010年1月7日号(オンライン版2009年12月23日号)より。

一般中年の早期再分極パターンには要注意、死亡リスク上昇

中年で12誘導心電図検査において早期再分極が見られる人は、心疾患による死亡リスクが高いことが、フィンランドのオウル大学内科臨床医学部門のJani T. Tikkanen氏らによって報告された。早期再分極は、12誘導心電図でV1~V3以外の誘導で見られるQRS-ST接合部(J点)の上昇であり、心房細動が発症しやすいことと関連していると言われる。しかし、一般集団でこのパターンが見られた人の予後については、これまでほとんど検討されていなかった。NEJM誌2009年12月24日号(オンライン版2009年11月16日号)掲載より。

PCI実施の透析患者への禁忌薬剤投与、出血リスクは1.6倍

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を実施する透析患者に対し、禁忌薬剤である抗血栓薬を投与すると、院内出血リスクが約1.6倍に増大することが明らかにされた。米国デンバー退役軍人病院のThomas T. Tsai氏らが、約2万3,000人の透析患者を対象に行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2009年12月9日号で発表した。これまで禁忌薬剤を投与した場合のアウトカムなどについての研究報告はほとんど行われていない。

病院パフォーマンスレポート、導入による医療の質改善効果は不明

病院パフォーマンスレポートを導入しても、医療の質改善につながるかどうかは不明であることが無作為化試験の結果として報告された。カナダInstitute for Clinical Evaluative SciencesのJack V. Tu氏らが明らかにしたもの。治療過程や患者アウトカムについて、その質に関する成績表であるレポートカード導入と質改善について行った無作為化試験は初めてという。試験結果は、JAMA誌2009年12月2日号(オンライン版2009年11月18日号)で発表された。