日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1016

わが国の認知症有病率は従来の報告よりかなり高い:第53回日本神経学会学術大会より

わが国の最新の全国調査によると、65歳以上の認知症有病率は14%と推計され、これまで報告されていた有病率(3.8~7.2%)と比較して明らかに高くなっていることが、現在開催中の第53回日本神経学会学術大会(5月22日~25日、東京国際フォーラム)における認知症疫学に関するシンポジウムにて、筑波大学 朝田 隆氏より報告された。

糖尿病スクリーニングでは、空腹時血糖値とHbA1c値の両方測定が有効か?

2型糖尿病のスクリーニングにおいて、空腹時血糖値(FPG)単独、またはHbA1c値単独、あるいはその両方の測定、のいずれが有用かを比較検討した後ろ向きコホート研究の結果が発表された。帝京大学の野村氏らにより、PLos One誌(2012年4月27日付)に報告された。 対象は、ベースライン時点で糖尿病を発症していない19歳~69歳の9,322名の日本人成人(男性:4,786名、女性:4,536名)。有用性は、予測値(PV)、感度、特異性、最大カットオフ値における最大ROC曲線下面積(AUROC)により評価した。

生殖医療技術後の先天異常リスク増大に、母胎要因がどこまで関わっているのか

個々のレジストリ研究やメタ解析など研究成果から、体外受精(IVF)や卵細胞質内精子注入法(ICSI)は先天異常リスクを増大するというエビデンスは一貫して認められている。オーストラリア・アデレード大学のMichael J. Davies氏らは、これまで検討されていなかった、そうした生殖補助医療技術を受けた後に増大が認められる先天異常リスクが、親の特性とどこまで関連しているかについて調査した。NEJM誌2012年5月10日号(オンライン版2012年5月5日号)掲載報告より。

心臓外科がない病院のPCIアウトカム、ある病院に対し非劣性

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)のアウトカムは、心臓外科のある病院とない病院とで違いがあるのか。PCIは通常、心臓外科のある病院に限定されるが、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のThomas Aversano氏らは、両者を比較する無作為化試験を行った。結果、「心臓外科がない病院の、ある病院に対する非劣性が認められた」と結論する報告が発表された。NEJM誌2012年5月10日号(オンライン版2012年3月25日号)掲載報告より。

アトピー性皮膚炎患者の「痒み」に対するタクロリムスの有用性とは?

アトピー性皮膚炎(AD)が原因となって起こる痒みは、ステロイド外用薬による治療ではコントロールできないケースもあるが、タクロリムス軟膏の使用により、難治性の痒みが緩和する例が臨床現場ではたびたび経験される。九州大学の竹内氏らは、AD治療の寛解導入療法、維持療法におけるタクロリムス軟膏の抗掻痒効果を確かめるべく、多施設共同無作為化オープンラベル試験を実施した。ANNALS OF DERMATOLOGY誌2012年5月号(オンライン版2012年4月26日号)の報告。試験開始にあたり、患者は、寛解導入療法後にタクロリムス軟膏単剤で維持される群と、皮膚軟化剤のみで維持される群の2群に無作為に割り付けられた。寛解導入療法では、低用量のステロイド外用薬(

境界性人格障害患者の自殺予防のポイントはリハビリ

境界性人格障害では自殺行為を繰り返すことが大きな問題となる。多くの患者は寛解まで時間を要するため、約10%が自殺により死亡するといわれている。Soloff氏らは境界性人格障害患者の長期予後改善のために、自殺の予測因子を検証した。そのうえで「自殺リスクを減少させ、長期の転帰を改善するには、社会的かつ職業的リハビリテーションによる心理社会的介入が重要である」と結論づけている。Am J Psychiatry誌2012年5月号掲載の報告。

日本人でも早食いは2型糖尿病のリスクに

食べるスピードと日本人男性2型糖尿病発症率との関連を調べた研究結果が発表された。対象は、金属製品工場に勤務する中年層の日本人男性2,050名。参加者を自己申告による食べるスピード別に分類し、評価した。糖尿病発症率は7年間にわたって毎年実施される健康診断の結果を用いて評価した。食べるスピードと糖尿病発症率との関連は、年齢、糖尿病の家族歴、喫煙、飲酒、運動習慣、高血圧・高脂血症の有無といった複数因子の調整を行ったうえで、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。

高齢心房細動患者、脳卒中発症リスクは女性が男性より高い

65歳以上の心房細動患者の脳卒中リスクについて男女差を調べた結果、女性が男性に比べて高いことが明らかにされた。カナダ・McGill University Health CenterのMeytal Avgil Tsadok氏らが、心房細動で入院した高齢者7万人超について行った地域住民ベースのコホート試験の結果で、JAMA誌2012年5月9日号で発表した。

推定GFRによる死亡や末期腎疾患予測、CKD-EPI式がMDRD式より正確に

推定糸球体濾過量(eGFR)による死亡や末期腎疾患発症の予測は、CKD-EPI(Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration)式のほうがMDRD(Modification of Diet in Renal Disease)式より正確であることが示された。米国・Johns Hopkins大学のKunihiro Matsushita氏らが、45のコホート試験、被験者総数110万人について行ったメタ解析の結果で、JAMA誌2012年5月9日号で発表した。先行研究で、CKD-EPI式のほうがMDRD式より、GFR予測が正確であることはわかってきているが、腎疾患関連リスクとの関係については明らかではなかった。

iPhoneアプリ『がん治療と食事』無料配信を開始

大鵬薬品工業と静岡がんセンターは18日、同社らが共同で運営しているサイト『サバイバーシップ』(http://survivorship.jp)に掲載しているコンテンツから人気のあったものをまとめた『がん治療と食事』を、アップル社のiPhone(アイフォーン)版アプリケーションとしてApple Storeより無料で配信を開始したと発表した。

乳がんにおける術後タキサン単独化学療法の忍容性は?:無作為化比較試験N-SAS BC 02

乳がんの術後化学療法においては、アンスラサイクリン系の薬剤が中心をなしてきたが、心毒性などの有害事象があることから、アンスラサイクリンを含まないレジメンの検討がなされている。わが国でも、無作為化比較試験によりタキサン単独療法が検討され(N-SAS BC 02)、現在、「乳癌診療ガイドライン」において術後化学療法の選択肢の1つとして勧められている。一方、タキサン投与により末梢神経障害が多くみられることから、忍容性の検討が求められる。

日本人健診データからみる、hsCRPと糖尿病発症の関係

糖尿病発症と高感度C-反応性タンパク質(hsCRP)との関係を明らかにする目的で、日本人男性を対象とした5年間の前向きコホート研究が行われた。試験参加者は2005年~2010年の間に毎年健康診断を受けた鉄鋼工場勤務の19~75歳の日本人男性7,392名。本研究のエンドポイントである新規糖尿病発症は、HbA1c値が6.5%以上、または、抗糖尿病薬服用として定義した。年齢、ベースライン時のBMI、ベースライン以降のBMI増加、血液生化学検査の値、業務スケジュールや業務上のストレス、といった、さまざまな因子を調整し、ロジスティック回帰分析を用いて調べた。

妊娠中と産後の女性、DVTスクリーニングに単回の圧迫超音波検査が有効

深部静脈血栓症(DVT)が疑われる妊娠中および出産後の女性に対し、単回の圧迫超音波検査は、安全で合理的なスクリーニング法であることが示された。同スクリーニングで陰性でありながら、後にDVTの診断を受けた人の割合は1.1%と低かったという。フランス・Cavale Blanche大学のGregoire Le Gal氏らが、妊娠中・出産後の女性200人超について行った前向き試験で明らかにしたもので、BMJ誌2012年5月5日号(オンライン版2012年4月24日号)で発表した。妊娠はDVTのリスク因子であることが知られているが、一方で妊婦はDVTでなくても、それと似た症状を発症することが少なくないことも知られている。

単純性急性虫垂炎、一次治療の抗菌薬投与で合併症リスク3~4割低減

単純性急性虫垂炎への一次治療には、抗菌薬投与のほうが切除術に比べ、合併症リスクは3~4割低減することがあきらかにされた。英国・ノッティンガム大学病院のKrishna K Varadhan氏らによる、4つの無作為化比較試験の被験者900人を対象にしたメタ解析の結果で、BMJ誌2012年5月5日号(オンライン版2012年4月5日号)で発表した。