日本語でわかる最新の海外医学論文|page:995

ベンゾジアゼピン系薬剤の使用で抗精神病薬多剤併用率が上昇?!

 統合失調症治療では、抗精神病薬の多剤併用や大量投与がしばしば行われる。多剤併用・大量投与によりさまざまな弊害も報告されている。Suokas氏らはフィンランドにおける大規模な全国調査を行い、統合失調症患者における長期的な抗精神病薬の多剤併用率と予測因子を調査した。Soc Psychiatry Psychiatr Epidemiol誌オンライン版2012年9月25日号の報告。

肥満外科手術患者の術後20年間の医療サービス利用コスト

 肥満外科手術を受けた患者の20年間の医療サービス利用について、従来療法を受けた対照群と比較した結果、手術群のほうが入院医療を多く利用しており、最初の6年間は外来利用も多かったが、それ以降の外来利用は両群で有意差はなかった。また、7~20年目の薬剤コストは手術群のほうが有意に低かったことが報告された。スウェーデン・ヨーテボリ大学のMartin Neovius氏らによるSwedish Obese Subjects試験の結果で、肥満外科手術は体重減を維持し、糖尿病、心血管イベント、がんの発生率を低下し生存を改善することが示されていたが、長期にわたる医療サービス利用への影響については不明であった。JAMA誌2012年9月19日号の掲載報告。

睡眠時無呼吸症候群に対して肥満外科手術は有効か?

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)に対する肥満外科手術は従来療法と比較して、大幅に体重は減少するものの、達成無呼吸低呼吸指数(AHI)については有意差を伴う減少は認められなかったことが、オーストラリア・モナッシュ大学のJohn B. Dixon氏らによる無作為化試験の結果、報告された。OSAは肥満と強く関連しており、肥満を有するOSA患者では体重減が治療計画において推奨されている。しかし、これまでその有効性を検討した無作為化対照試験は行われていなかった。JAMA誌2012年9月19日号の掲載報告。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(23)〕 STEMIにプライマリPCIが有効、秋の夜長に想うこと

 循環器内科医がもっとも達成感を感じる場面はいかなるものであろうか? おそらく多くの医師の答えは次の場面であろう。急性心筋梗塞、それも激しい胸の痛みに苦悶しているSTEMI患者に、緊急冠動脈造影から引き続きプライマリPCIを施行し、無事に再開通療法に成功した場面である。先ほどとは別人のように落ち着いた表情の患者を前にして、深夜に病院に駆けつけた苦労もふっとんでしまう充実感がある。

体重に関する“いじめ”はうつ病のリスクファクター

 太っている子供はいじめられやすい傾向がある。そして体重に関連するいじめは、うつ病や摂食障害を引き起こすリスクとなる。米国Madowitz氏らは肥満児に対するいじめがうつ病発症のリスク上昇や不健康な体重管理行動と関連するかを検証した。その結果、著者らは「体重に関連するいじめに悩む肥満児は、通常体重の子供と比較しうつ病のレベルが高い」ことを、Pediatr Obes誌オンライン版2012年9月19日号で報告した。

破壊的行動障害に対する非定型抗精神病薬使用

 小児および青少年の破壊的行動障害に対する非定型抗精神病薬の有効性と安全性に関するメタ解析が行われた。破壊的行動障害は注意欠如・多動性障害(ADHD)と関連していることが多い。精神科医療サービスの利用も多く、非定型抗精神病薬のような薬物治療が行われる可能性もある。一方で、小児と青少年の破壊的行動障害に対する非定型抗精神病薬使用が有意に増加しているというエビデンスも増えており、ニュージーランド・Health WaikatoのLoy JH氏らは、プラセボと比較した有効性と安全性を評価した。Cochrane Database Syst Rev. 2012年9月12日号の報告。

福島県県民健康管理調査はこれでよいのか?(1)

 福島県の県民健康管理調査は地元の住民から多くの疑念をもたれている。医師・医療従事者と多くの患者・受診者の間に。信頼に根ざした関係が成り立っていない。これでは医療の基盤が崩れており問題が大きい。甲状腺の検査についてはメディアで取り上げられ、ある程度知られているが、それだけではない。

MRI、膝関節の異常所見を高率に描出:フラミンガム変形性関節症研究/BMJ

 MRIは、X線検査では変形性膝関節症の所見がみられない中年~高齢者において、脛骨大腿骨関節の病変を高率に描出することが、米国・ボストン大学医学部のAli Guermazi氏らの検討で示された。変形性膝関節症は、治療対象となる頻度が世界的に最も高い関節症で、生涯リスクは加齢とともに増大し、高リスク因子として肥満が挙げられる。診断は臨床検査やX線検査に基づくが、膝の痛みを訴える患者の約半数がX線画像では異常を認めないという。MRIは従来のX線画像では可視化されない変形性膝関節症の所見を検出可能なことが示されている。BMJ誌2012年9月14日号(オンライン版2012年8月29日号)掲載の報告。

Cochraneレビューには、対象試験の利益相反情報の記載が少ない

 Cochraneレビューの多くが、解析対象の試験の資金源や、著者と製薬企業の金銭的な関係の情報を記載していない実態が、カナダMcGill大学(モントリオール)のMichelle Roseman氏らの調査で明らかとなった。系統的レビューとメタ解析のガイドラインでは、解析対象試験の利益相反の記載は求められていないという。最近の研究では、強い影響力を持つ生物医学誌に掲載された薬剤の臨床試験に関する29編のメタ解析のうち、対象試験の資金源の記述があったのは2編のみで、著者と製薬企業の金銭的な関係の情報を提供するものは1編もなかった。一方、質の高いエビデンスに基づくレビューの基準を定めるCochraneレビューに、これらの情報がどの程度記載されているかは不明だった。BMJ誌2012年9月14日号(オンライン版2012年8月21日号)掲載の報告。

不眠症に対する鍼治療のエビデンスは?

 不眠症に対して、鍼治療のような非薬物療法は多くの人に有効で広く行われているが、いまだエビデンスは不十分であるとされている。中国・香港大学のCheuk DK氏らは、不眠症に対する鍼治療の有効性と安全性を評価するメタ解析を行った。33試験、2,293例を含んだ分析の結果、試験の方法論的な質が不良であったり、不均一性や出版バイアスが高く、鍼治療の支持・不支持を論ずるに足りるエビデンスが十分かつ厳密ではなかった。著者は、「より大規模な質の高い臨床試験が求められる」と述べている。Cochrane Database Syst Rev. 2012年9月12日号の報告。

自殺リスクの危険因子の検証、年齢別のうつ症状との関係は?

 統合失調症やうつ病は自殺の主要なリスクファクターである。とりわけ、中年や高齢者の統合失調症患者による自殺は、社会的な問題ともなっている。しかし、年齢とうつ症状から自殺リスクを予測できるかは、まだわかっていない。米国 Kasckow氏らは統合失調症および閾値下うつ病患者におけるうつ症状と自殺念慮との関係に、年齢がどう関わるかを検討した。Am J Geriatr Psychiatry誌オンライン版2012年9月18日号の報告。

多剤耐性結核、PA-824を含む3剤併用レジメンが有望

 薬剤感受性の多剤耐性結核の新規治療法として、PA-824+モキシフロキサシン+ピラジナミド併用療法は適切なレジメンであり、今後、開発を進める価値があることが、南アフリカ共和国Stellenbosch大学のAndreas H Diacon氏らの検討で示された。薬剤抵抗性の結核による世界的な疾病負担を軽減するには、投与期間が短く耐性になりにくい新規薬剤の開発が求められる。近年、種々の新規抗結核薬の臨床評価が進められ、なかでもbedaquiline(ジアリルキノリン、TMC207)とPA-824(nitroimidazo-oxazine)は用量依存性の早期殺菌活性(early bactericidal activity; EBA)が確認され有望視されている。Lancet誌2012年9月15日号(オンライン版2012年7月23日号)掲載の報告。

静脈性下腿潰瘍、新規のスプレー式細胞療法が有効

 静脈性下腿潰瘍の治療として、新たに開発されたスプレー式の細胞療法(HP802-247)が有効なことが、米国・マイアミ大学Leonard M Miller医学校のRobert S Kirsner氏らの検討で示された。静脈性下腿潰瘍患者の多くは現在の標準治療では治癒しないという。HP802-247は、増殖を停止させた同種新生児角化細胞と線維芽細胞を含むスプレー薬で、静脈性下腿潰瘍の新たな細胞療法として開発が進められている。Lancet誌2012年9月15日号(オンライン版2012年8月3日号)掲載の報告。

成人で認められた抗てんかん薬の効果、小児でも有効か?

 成人で認められた抗てんかん薬の効果について、部分てんかん発作(POS)の2~18歳児における同等の補助的療法効果を予測する外挿可能性が支持された。米国 バージニア・コモンウェルス大学のPellock JM氏らが、システマティックレビューを行い報告した。Neurology 誌オンライン版2012年9月5日号の報告。

トファシチニブに関するデータ、米国リウマチ学会で発表へ

 米・ファイザー社は17日、中等度から重度の活動性関節リウマチ(RA)の成人患者に対して開発中の経口JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤であるトファシチニブについて、11月9日から14日までワシントンD.C.で開催される2012年米国リウマチ学会(ACR)、リウマチ専門医協会(ARHP)年次会議にて14の演題が発表される予定であることを発表した。日本法人であるファイザー株式会社が21日に報告した。

DTaPワクチン5回接種後のワクチン効果持続期間は?

 ジフテリア・破傷風・無細胞性百日咳(DTaP)混合ワクチンの5回目接種後、その効果は時間経過に伴い低下し、1年経過するごとに百日咳に罹患するリスクは平均42%増加することが報告された。米国・Kaiser Permanente Vaccine Study CenterのNicola P. Klein氏らがケースコントロール試験の結果、明らかにした。米国では、小児に対し、DTaPワクチンの5回接種を行っているが、5回接種後のワクチン効果の持続期間については不明だった。NEJM誌2012年9月13日号掲載の報告。

安定冠動脈疾患、FFR 0.80以下の狭窄があればPCI実施でアウトカムは大幅改善

 安定冠動脈疾患で冠血流予備量比(FFR)が0.80以下の狭窄が認められる人に対し、FFRガイド下の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と薬物療法の併用は、薬物療法のみに比べ、緊急血行再建術実施率を約13%程度に減少するなど、アウトカムが大幅に改善することが示された。ベルギー・Cardiovascular Center AalstのBernard De Bruyne氏らが無作為化試験を行った結果で、NEJM誌2012年9月13日号(オンライン版2012年8月27日号)で発表した。急性冠症候群に対するPCIの効用は確立しているものの、安定冠動脈疾患については、最適薬物治療のみと比べた場合の優位性については不明だった。

早漏治療にはSSRI、トラマドールが有効?!

 早漏の原因として、ノルアドレナリンやセロトニンなどの自律神経のバランス異常があると考えられている。これらノルアドレナリンやセロトニンの調整にはSSRIやSNRIなどの抗うつ薬が有する薬理作用が有効であるとも考えられる。中国のTao Wu氏らは、ノルアドレナリンやセロトニンの再取り込み阻害作用を有するがん疼痛治療剤トラマドールの早漏治療に対する有効性および安全性に関してメタアナリシスを行い検討した。Urology誌2012年9月号(オンライン版2012年7月26日号)の報告