日本語でわかる最新の海外医学論文|page:908

統合失調症の再入院、救急受診を減らすには

 統合失調症の再発を繰り返す患者について、経口抗精神病薬(経口AP)から非定型持効性注射薬(非定型LAT)に切り替えた結果、再入院率および緊急救命室(ER)受診率が減少したことが、後ろ向きデータベース解析の結果から示された。カナダ・Groupe d’analyse社のMarie-Helene Lafeuille氏らがPremier Hospitalの過去5年間の電子カルテデータを解析して報告した。先行研究において非定型LATの有用性は示されているが、大半が再入院にのみ着目し入院やER受診については考慮されていなかった。BMC Psychiatry誌オンライン版2013年9月10日号の掲載報告。

大腸内視鏡検査はがん発生と死亡率をどのくらい低下させるか/NEJM

 下部消化管内視鏡(大腸内視鏡、S状結腸鏡)検査と、遠位・近位別の大腸がん発生との関連および死亡率との関連を検討した結果が、米国・ダナファーバーがん研究所のReiko Nishihara氏らにより報告された。大腸内視鏡検査およびS状結腸鏡検査が、大腸がん発生の予防に寄与することは知られるが、その効果の大きさや、実施頻度との関連について、とくに近位大腸がんに関しては明らかでなかった。NEJM誌2013年9月19日号掲載の報告より。

ペイフォーパフォーマンス、小規模診療所でも効果/JAMA

 効率的で質の高い医療に対して高い報酬を支払うというペイフォーパフォーマンス(P4P)プログラムについて、電子カルテ(electronic health records)を導入する小規模診療所(大半が医師1、2人のいわゆる一人医師診療所)でも適度に効果があることが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のNaomi S.Bardach氏らによる無作為化試験の結果で、通常ケアと比較してP4Pを導入した診療所のほうが心血管疾患治療のプロセスとアウトカムについて、わずかだが改善が認められたという。これまでP4Pの効果に関する評価は、大部分が大規模なグループ診療所を対象としたもので、米国人の大半が治療を受けている小規模診療所については明らかでなかった。また、慢性疾患の管理に関して電子カルテとP4Pを導入した同診療所をサポートするかも検証されていなかった。JAMA誌2013年9月11日号掲載の報告より。

高血圧患者では慢性腰痛が少ない

 疫学先行研究において、血圧と、片頭痛や頭痛の有病率は逆相関であることが報告されているが、腰痛に関しても同様の関係が示された。ノルウェー・オスロ大学病院のIngrid Heuch氏らによる検討の結果で、「血圧の上昇に伴って疼痛の知覚が低減するという高血圧による痛覚鈍麻の理論は、一貫していることが確認された」と結論し、「こうした反応は、長期にわたって疼痛に苦しむ患者の一種の防御反応かもしれない」と述べている。

アスペルガー障害、高機能自閉症への第二世代抗精神病薬は有用か

 カナダ・王立オタワ精神保健センターのNatalie Sochocky氏らは、アスペルガー障害(AD)および高機能自閉症(HFA)に対する第二世代抗精神病薬の有用性についてシステマティックレビューとメタ解析を実施した。その結果、ADおよびHFAの行動症状は第二世代抗精神病薬により改善するが、有害事象として体重増加に注意が必要であることを報告した。Current Clinical Pharmacology誌オンライン版2013年9月20日号の掲載報告。

PCI後の抗血小板薬2剤併用中止・休薬によって心血管イベント増加/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)と心血管リスクとの関連について観察研究にて検証したPARISの結果が発表された。米国・マウントサイナイ医科大学のRoxana Mehran氏らによる報告で、心血管イベントの発生は、DAPT中断時の臨床状態、中断した理由に依拠し、中断時期が遅いほどリスクは低下することが明らかになった。また、イベントの大半はDAPT継続群で発生していたこと、中断群での早期イベントリスクは留置したステントタイプを問わないことも明らかになった。これまで、DAPT中断はPCI後の重大イベントリスクを増大することは知られていたが、中断までの時間や中断理由によりリスクが変動するかについては明らかではなかった。Lancet誌オンライン版2013年8月30日号掲載の報告より。

重症型アルコール性肝炎の2剤併用療法、予後を改善せず/JAMA

 重症型アルコール性肝炎の治療において、プレドニゾロンにペントキシフィリン(国内未承認)を追加しても予後は改善しないことが、フランス・Hopital HuriezのPhilippe Mathurin氏らの検討で示された。重症型アルコール性肝炎は死亡リスクの高い疾患であり、プレドニゾロンおよびペントキシフィリンはその治療薬として推奨されている。これら2つの薬剤は相乗効果を示す可能性が示唆されていたが、これまで併用療法に関する無作為化試験は行われていなかった。JAMA誌2013年9月11日号掲載の報告。

ベンゾジアゼピン使用は何をもたらすのか

 オーストラリア・カンバーランド病院のDonna Gillies氏らは、急性精神疾患に対するベンゾジアゼピン系薬剤の有用性についてレビューを行った。その結果、ベンゾジアゼピン単独または抗精神病薬と併用した場合の効果が、抗精神病薬単独または同薬併用、あるいは抗精神病薬と抗ヒスタミン薬などの併用と比べて、症状改善に差がないことを報告した。ただし、今回の評価の結果について著者は、ベンゾジアゼピンの単独または併用使用に関するエビデンスが弱く現段階では不明確であり、質の高い研究が必要だと指摘している。Cochrane database of systematic reviewsオンライン版2013年9月18日の掲載報告。

PCIを病院到着から90分以内に施行することで院内死亡率は改善したか?/NEJM

 米国では2005年~2009年の4年間で、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者の、病院到着から経皮的冠動脈インターベンション(PCI)開始までの時間(door-to-balloon time)が16分短縮し、90分以内PCI開始率は23.4ポイント上昇した。しかし、院内死亡率は0.1ポイントの低下でほとんど変化していないことが、ミシガン大学のDaniel S. Menees氏らの調査で判明した。現行のACC/AHAガイドラインでは、STEMI患者に対し病院到着から90分以内のプライマリPCI施行開始を強く推奨(Class I)している。door-to-balloon timeは医療施設の評価指標とされ、地域および国による医療の質向上戦略の中心に位置づけられるが、実際にdoor-to-balloon timeの改善が死亡率の低下に結びついているかは、これまで検証されていなかったという。NEJM誌2013年9月5日号掲載の報告。

約7割の医学専門誌で「試験登録」が論文投稿の条件となっていない/BMJ

 投稿要件として「試験登録」を課している医学専門誌の割合を調べたところ、200誌中55誌と28%にとどまることが、英国・Sideview社パブリッシャーコンサルタントのElizabeth Wager氏らによる調査の結果、明らかになった。前向き試験登録は、出版バイアスを低下することが可能であり、ヘルシンキ宣言によって推奨され、現在一部の主要医学専門誌では出版公表の必要条件としている。2005年に国際医学誌編集者委員会がこの要件を必要とし始めてから、試験登録はかなり増加した。しかし特定の専門誌を対象に行われた小規模の先行研究では、試験登録を要件として示した雑誌はわずか16~33%であったことが報告されていた。BMJ誌オンライン版2013年9月6日号掲載の報告より。

女性のアルツハイマー病リスクに関与する遺伝子パターン

 アルツハイマー病(AD)の病因論に迫るため、ADの主要リスク因子が及ぼす影響に関与していると考えられているエストロゲン受容体(ER)の一塩基多型(SNP)の役割について、スペイン・クルセス大学病院のManuel Fernandez-Martinez氏らは、調査を行った。その結果、アポリポ蛋白E(APOE)遺伝子キャリアの女性において、健忘性の軽度認知障害(MCI)およびADに関連する、SNPの未発現の対立遺伝子の組み合わせがあることを明らかにした。なお、APOE遺伝子はAD発症に密接に関与しており、ADの強力な独立リスク因子の一つであるが、その関与は部分的で他の遺伝子または因子の関与が示唆されていた。BMJ Open誌オンライン版2013年9月18日号の掲載報告。

乾癬患児でもメタボのリスクは高い

 アメリカ・タフツ大学のAri M. Goldminz氏らによって、乾癬性疾患を有する患児において、メタボリックシンドロームの有病率が高いことが示された。Goldminz氏は、小児でのメタボリックシンドロームのリスク因子の評価が、将来の心疾患の罹患と死亡を防ぐために重要であると報告している。pediatric dermatology誌オンライン版2013年9月9日掲載の報告。

起床から喫煙までの時間が短いほど肺がんリスク高:愛知県がんセンター

 喫煙は肺がんの主な原因である。一方、ニコチン依存の明確な指標である、起床から最初の喫煙までの時間(TTFC:time to first cigarette)と肺がんとの関連性について利用可能な情報はほとんどない。愛知県がんセンター研究所の伊藤 秀美氏らは、ケースコントロール研究によって、TTFCによって示されるニコチン依存が肺がんリスク増加に関連することを報告した。Annals of Oncology誌オンライン版2013年9月6日号に掲載。

進化する日本のC型肝炎治療-新規DAAs「シメプレビル」の有効性

 未治療のC型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1感染患者に対するシメプレビル/ペグインターフェロン(PegIFN)α-2a/リバビリン(RBV)の3剤併用療法は、PegIFNα-2a/RBVの2剤併用療法と比較して強力な抗ウイルス活性を示し、持続性ウイルス応答率(SVR)が有意に高いことが、関西労災病院 林 紀夫氏らのDRAGON studyで明らかになった。重篤な副作用も認めず、治療期間も大幅に短縮されるため、高齢者を含めた多くの患者に有用であると考えられる。Journal of gastroenterology誌オンライン版9月5日号の報告。

てんかん児は本当に外傷が多いのか

 小児てんかんを有した子どもは外傷が多いというエビデンスは、頭部外傷を除けば存在しないことが示された。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のChristine B. Baca氏らが、地域住民コホートから特定した、患児とその健常な兄弟姉妹を対照群とした後ろ向きケースコントール評価にて報告した。Journal of Pediatrics誌オンライン版2013年9月18日号の掲載報告。