日本語でわかる最新の海外医学論文|page:910

女性にも薬剤溶出ステントは有効か?/Lancet

 冠動脈疾患の男性患者だけでなく女性患者においても、薬剤溶出ステント(DES)はベアメタルステント(BMS)に比べ有効性と安全性が優れることが、スイス・ベルン大学病院のGiulio G Stefanini氏らの検討で確認された。冠動脈疾患の治療におけるDESの安全性と有効性はさまざまな無作為化試験で検討されているが、登録患者に占める女性の割合が約25%と低いため、女性におけるDESの有用性を評価する十分なパワーを有する単一の試験はないという。Lancet誌オンライン版2013年9月2日号掲載の報告。

予後予測能が高まるeGFR算出法/NEJM

 シスタチンC値の単独またはクレアチニン値との併用による推定糸球体濾過量(eGFR)算出は、多様な集団において、死亡および末期腎不全(ESRD)リスクなどの転帰予測を改善することが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のMichael G. Shlipak氏らがメタ解析の結果、報告した。これまで、シスタチンC値にクレアチニン値を加味することが、eGFR算出精度を改善することは知られていた。しかし、多様な集団における慢性腎臓病(CKD)患者の検出や病期分類およびリスク層別化にもたらす効果については明らかではなかった。NEJM誌2013年9月5日号掲載の報告より。

ヨガはうつ病補助治療の選択肢になりうるか

 ヨガは、うつ病患者またはうつレベルが高い人の補助的治療の選択肢となりうることが、ドイツ・デュイスブルグ-エッセン大学のHolger Cramer氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、示された。心身医学的介入は、うつ病への対応として一般的に用いられており、なかでもヨガは最も高頻度に用いられる心身医学的介入の1つである。Depression and Anxiety誌オンライン版2013年8月6日号の掲載報告。

成人の慢性疼痛患者 6人に1人は小児期から

 小児期の慢性疼痛は成人期になっても続く場合があることが、米国・ミシガン大学のAfton L. Hassett氏らのアンケート調査で確認された。成人の慢性疼痛患者の6人に1人は小児期または青年期に慢性疼痛の既往があり、こうした患者の多くは広範痛で、神経障害を来しており、精神疾患や身体機能悪化を伴う傾向にあったという。Journal of Pain誌オンライン版2013年9月9日号の掲載報告。

ネットワーク・メタ解析を読むときの留意点(コメンテーター:折笠 秀樹 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(132)より-

 ネットワーク・メタ解析(Network meta-analysis)とはメタ解析の一種である。通常のメタ解析は治療法Aと治療法Cを比較した臨床試験を収集し、個々の比較結果を統計的に併合する。従って、治療法Aと治療法Dや、プラセボを比較した臨床試験は解析対象とはならない。

うつ病に対するアリピプラゾール強化療法、低用量で改善

 大うつ病性障害(MDD)に対する低用量アリピプラゾールの強化療法について、プラセボと比べてうつ病サブスケールについては有意な改善が示されることが明らかになった。米国・マサチューセッツ総合病院のChristina Dording氏らによる検討の結果で、忍容性については身体症状の悪化がない場合に良好である可能性が示された。結果を踏まえて著者は、さらなる前向き試験において同療法がもたらす効果をMDDの症状別に検討する必要があるとまとめている。International Clinical Psychopharmacology誌2013年9月号の掲載報告。

円形脱毛症に多血小板血漿療法が有望

 円形脱毛症治療について、多血小板血漿(platelet-rich plasma:PRP)療法が安全で有効な治療選択肢となる可能性が示された。イタリア・国際毛髪研究財団(IHRF)のA. Trink氏らが無作為化二重盲検試験による予備的研究の結果、報告した。円形脱毛症は自己免疫疾患であり、炎症性の脱毛が引き起こされる。治療可能性は限られており、治癒的または予防的治療法はない。PRP療法は、皮膚科領域に新たに登場した治療法であり、発毛に有益な役割を果たす可能性が予備的エビデンスとして示唆されていた。

メタ解析で一部の対照群の除外は、解析結果をねじ曲げることもある/BMJ

 ネットワーク・メタ解析において、プラセボ/未治療などの治療対照群を除外することは、解析結果に重大な影響をもたらす可能性が明らかになった。治療効果はプラセボ/未治療群除外の場合で1.16~3.10倍の違いがみられたという。カナダ・オタワ大学のEdward J Mills氏らによる検討の結果で、「仮に重要な治療比較群が失われていれば、臨床医にもたらされる研究の有用性が減弱される可能性がある」とまとめている。ネットワーク・メタ解析は、複数の介入について効果を比較することが可能でますます普及が進んでいる手法だが、解析に組み込む介入を都合よく選択することもあるとされていた。BMJ誌オンライン版2013年9月5日号掲載の報告より。

新旧抗凝固薬とアスピリンの効果比較:静脈血栓症の二次予防/BMJ

 近年発売された抗凝固薬と抗血小板薬は、プラセボや経過観察と比較して静脈血栓症(VTE)の二次予防効果が認められることが、カナダ・オタワ大学のLana A Castellucci氏らによる、12試験・被験者総数1万例超のシステマティックレビューとメタ解析の結果、明らかになった。同解析において効果が最も高かったのは標準補正用量ビタミンK拮抗薬だったが、一方で重大出血リスクも最も高かった。また、効果が最も低かったのはアセチルサリチル酸であったという。これまで抗凝固薬・抗血小板薬の静脈血栓症二次予防効果については、意見が分かれていた。BMJ誌オンライン版2013年8月30日号掲載の報告より。

急性心筋梗塞の再潅流療法において血栓吸引は有用か?(コメンテーター:上田 恭敬 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(131)より-

 本論文は、スウェーデンの国家的レジストリーであるSwedish Coronary Angiography and Angioplasty Registry(SCAAR)に登録されている患者に加えて、デンマークの追加施設から同レジストリーシステムへ登録される患者を対象として行われた多施設、前向き、オープンラベル、無作為化比較対照試験Thrombus Aspiration in ST-Elevation Myocardial Infarction in Scandinavia(TASTE) trialの結果についての報告である。

低線量ヘリカルCTは早期肺がん検出能が高い/NEJM

 低線量ヘリカルCTによる毎年の肺がん検診は、胸部X線によるものに比べ、陽性適中率は低いものの、早期肺がんの検出能が高い傾向が明らかにされた。米国・カリフォルニア大学のDenise R. Aberle氏らが、低線量ヘリカルCTと胸部X線の肺がん検診のアウトカムを調べる全米肺検診試験(National Lung Screening Trial:NLST)の結果を分析し報告した。NEJM誌2013年9月5日号掲載の報告より。

レニン阻害薬、動脈硬化進展を抑制せず/JAMA

 冠動脈疾患を有する高血圧前症患者へのレニン阻害薬アリスキレン(商品名:ラジレス)投与はプラセボと比較して、アテローム性動脈硬化の進展を抑制しないことが、南オーストラリア健康・医療研究所(SAHMRI)のStephen J. Nicholls氏らによる無作為化試験AQUARIUSの結果、示された。著者は、「今回の結果は、アテローム性動脈硬化症の退縮または予防についてアリスキレン使用を支持しないものであった」と結論している。JAMA誌オンライン版2013年9月3日号掲載の報告より。

ざ瘡瘢痕の治療間隔とその効果:フラクショナルCO2レーザー

 フラクショナルCO2レーザーを用いたざ瘡瘢痕治療について、治療間隔の違いによる効果と副作用が、デンマーク・オーフス大学病院のBjorn M氏らにより調査・報告された。その結果、フラクショナルCO2レーザー治療によりざ瘡瘢痕が改善したこと、治療間隔が1ヵ月であっても3ヵ月であっても、効果と副作用には影響しなかったことが示された。Lasers in Surgery and Medicine誌オンライン版2013年9月9日号掲載の報告。